アメリカやイギリス、オーストラリア、インドでは、4000人規模の調査で約半数が生成AIを利用したことがあり、そのうちの75%が仕事用途で、Z世代の利用率は7割に上るそうです。(※1)
世界175カ国で利用されているコマースプラットフォームのShopifyも生成AIの活用には積極的に取り組んでいて、ShopifyMagicという名称の下、EC事業者が効率よく事業を運営できるような仕組みを整えています。今回は、そのShopifyMagicの概要と、今後の展開が予定されているEコマースアシスタント機能のSidekickについてご紹介します。
※1=セールスフォース調べ
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ビジネスの円滑な運営をサポートするShopifyMagic
ShopifyMagicは、Shopifyで扱われる商品や業務のワークフローと完全に統合された、無料の公式AIサポート機能の集合体です。Spotifyを使ってビジネスを展開する事業者であれば、Eコマース活動の始まりの段階から利用することができ、商品管理や成長のためのアドバイスなど、広範囲にわたる支援ができるように開発されました。
Shopifyを利用して自社の事業を拡大するには、ストア設定、プロモーション、顧客サービス、バックエンド運営など、多岐にわたる作業が求められます。これらの作業に伴う負担を軽減するために、個々のストアごとにカスタマイズされた高度なサポートを実現しているものが、ShopifyMagicなのです。
ShopifyMagicの3つの機能と使い方
ShopifyMagicでは大きく分けて、ストア業務のさまざまな部分で必要となるテキストの自動生成、事業に関するアドバイザーやストア構築の助手的な役割を果たすAIアシスタントのSidekick、そして、どのShopifyアプリが自分のストアに最適化を判断するのに役立つ、他の事業者によるアプリのレビューを要約してくれるアプリレビューサマリーの3種類の機能が提供されています。
このうち、テキストの自動生成の対象となる分野は、ブログ記事、ページ内容、商品説明、Shopifyメール、ShopifyInboxを利用したお客様からの質問に対する即時回答、テーマエディタ(※2)です。
※2=ブログ記事、ベージ内容、Shopifyメール、SpotifyInboxは英語のみの対応
それでは、Shopifyメールや即時回答の自動生成を例に、ShopifyMagicの使い方を見てみましょう。
メールのタイトルを生成
顧客に新商品の案内をShopifyメールで送る場合に、タイトル入力フィールドの3つ星アイコンをクリックしてShopifyMagic機能を呼び出し、効果的なタイトルを生成するように依頼してみます。メールの概要を入力して、”Generate text”(テキスト生成)ボタンをクリックします。
すると、赤で囲った部分にタイトル候補が表示されます。ここでは、”Tone of voice”(口調)のプルダウンメニューで”Persuasive”(説得調)が選択されています、たとえば”Daring”(大胆な)を選んで、より挑発的な言い回しに変えることもできます。
お問い合わせの自動回答を作成
顧客からの質問に対してAIが自動応答する場合の即時回答の設定を行なうには、”Manage instant answers”(即時回答の管理)をクリックして、管理画面を呼び出します。
すると、よくある質問に対して、ストアポリシーや過去のアクションに基づく回答が自動生成されたリストが表示されます。ここでは、「オーダーを受けてから出荷までにかかる時間」についての質問に対して、「受注後2、3日で出荷する」という回答を確認しています。
この回答に対して、右側のコラムで顧客とのやり取りをシミュレートしています。このままチャットを続けて、AIの応答をチェックすることも可能です。なお、自動生成された回答の内容については、あくまでもストアの管理者が責任を持って確認しておくことが求められています。
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業者専属のEコマースアシスタントとなるSidekick
Sidekickとは、Shopify専用のAI機能を搭載したコマースアシスタントで、ShopifyMagicの中核的な存在です(※3)。Sidekickは、Eコマースに求められるデータや専門的な知識のトレーニングを受け、Shopifyのシステムの隅々まで把握しています。そして、事業者が直面する幅広いタスクに関して、状況に応じたサポートを提供するのです。
※3=現在は先行アクセスの受付中で、こちらからメールアドレスとShopifyストアのURLを入力することで、利用待ちのリストに登録することができます。
サイト運用を相談できるSidekickの使い方
Sidekickとは、まさにストアごとにパーソナライズされた専門のアシスタントとチャットする感覚で、自然な言葉を使ってやり取りすることができます。そこから新たな商品企画やキャンペーンのアイデアを得たり、顧客体験を向上させたりしながら、ビジネス上のさまざまなタスクや判断を正しく、かつ効率よくこなしていけるようになるのです。
では、新しい取扱商品の提案、ストアのビジター数の確認、売上の落ち込みの原因分析と対策、ストアの模様替えをSidekickと対話しながら行なっていく流れを見ていきましょう。
商品説明や売り上げデータのグラフを生成
Sidekickは、Shopifyのダッシュボード画面の右上の顔のアイコンから呼び出すことができます。ここでは、スポーツグッズを扱うストアが新しい取扱商品を作るという想定で、ビーチでの利用をイメージした35ドルのローションの製品名と楽しげな説明文を生成するように依頼しています。
その結果、「ビーチ・ブリス・トナー」という製品名と、「私たちの「ビーチ・ブリス・トナーのさわやかで爽快な感覚を体験してください。天然の海のミネラルと植物抽出物を注入したこのトナーは、あなたの肌を引き締めて清潔に保ち、今日1日の準備を整えます。すべての肌タイプに最適です。」という説明文が生成されました。もちろん、内容や成分が適切かどうかは、ストア側できちんと確認する必要があります。
過去数日間のストアのビジター数もSidekickに確認でき、該当するデータがわかりやすい曲線グラフによって表示されます。
売上について相談し、提案してくれる
次に、スノーボード製品の売上の落ち込みについて相談すると、Sidekickから「売上の減少は、おそらく降雪量が少なかったことによるものです。すでに多くの地域で夏の気候となりつつあるので、売り上げが減少するのは当然です。」との回答がグラフ付きで返ってきました。そこで、該当商品のセールを開始するように指示すると、Sidekickが10%のディスカウントを提案してきたので、”Preview”ボタンで確認します。
プレビューとして、このようなセール画面が生成されました。左のコラム内で、クーポン利用の有無や、ディスカウント率の調整、特定の商品のみかコレクション全体かの選択、ディスカウント対象となる最低購入価格などを再設定して、プレビュー画面で確認することができます。
夏に向けて、サーフボードのコレクションをストアに加えるように指示すると、Sidekickが、そのコレクションページのデザインテーマやタイトルなどを提案してくる。これも、”Preview”ボタンで確認することができる。
最終的にスノーボード製品をストアから削除して、サーフボードショップに衣替えするように指示した結果、魅力的なフォントとレイアウトのトップページが生成された。
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まとめ
このようにShopifyでは、ストアを運営する事業者に対して、独自の高度なAI機能を無料で開放することによって、共にビジネスを成長させていけるような環境を整えています。これからEC事業を展開しようと考えているアントレプレナーから、すでにそれなりの規模の年商をあげているベテラン事業者まで、それぞれに寄り添って最適のアドバイスを行えるAI機能を自由に使えることが、ビジネスパートナーとしてShopifyを選ぶ大きな理由の1つになりつつあるのです。
世界シェアNo.1のECシステムのShopifyならば、AIを活用した効率的なEC運用が可能です。Shopifyでは、商品説明文作成のような日常の細々とした業務から、事業を拡大するための効果的なマーケティング施策まで、知識豊富でフレンドリーなAIが強力にサポートしてくれます。
株式会社ウェブライフでは、Shopifyを利用したECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」を提供しており、ここで紹介したようなShopifyの最新のAI機能も利用しながら、ビジネスに最適な運用戦略をご提案しています。EC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。