システム維持のコストやセキュリティホールの課題解決のために、EC-CUBEからクラウド型サービスへ乗り換えを検討するECサイトが増えており、そのリプレース先として、世界的に人気のECプラットフォームShopifyが人気です。
ShopifyへECをリプレースする際の手順や、見直すべき事項についてまとめて解説します。
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EC-CUBEからのリプレースの要因はセキュリティと機能開発コスト
オープンソースのカートシステムであるEC-CUBEは、国産カートプログラムとして知名度も高く、利用ECサイトも多いプログラムです。サーバーを自前で用意する必要がありますが、毎月のソフトウェア利用料がかからず、高機能なことなどから、初期構築時にSlerやWeb制作会社などに一括で設定してもらい導入し、そのまま運用を続ける例が多く見られます。
そのような場合、社内にはメンテナンスを定期的に行う技術者などが居ないことがほとんどで、セキュリティホールがあってもパッチのインストールなどを怠る、メジャーアップグレードを行わないために脆弱性が放置されるなどといったことから、結果として、過去には顧客情報やクレジットカード情報が盗まれる個人情報流出事件などが数多く発生してしまいました。
セキュリティホールの発生はEC-CUBEに限らないため、セキュリティ情報を集め、すばやくメンテナンスができればいいのですが、企業側の都合で、格安で買い取り制作などを行ってしまうとメンテナンスフリーの状態となり、重要な情報キャッチも遅れがちになってしまいます。
また、EC-CUBEに詳しくて社内でECを構築してくれた社員が転職してしまい、どう設定しなおせばいいかわからなくなっているというケースもあるでしょう。一方で、新機能を追加したい場合、現状のECサイトがつぎはぎで構築されていると、新しい業者に依頼しづらいほど複雑なシステム構造になっているというケースがあります。
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EC-CUBEからの乗り換え候補となりやすいShopify
このように「セキュリティレベルを上げたい」「新しい機能を追加したい」ものの、社内で技術者にリソースが割けない・外部にもお願いできない場合、月額はかかるものの、メンテナンスが自動で行われ、最新の環境を保持できるクラウド型のプラットフォームに乗り換えたいというニーズが増えています。
乗り換え先としてよく検討されるひとつが世界175か国で利用されているECプラットフォームであるShopifyです。Shopifyはクラウドサービスのため、自社サーバーの準備もプログラムのインストールも必要なくすぐに使い始めることができます。また、クラウドの特徴として多数の機能アップデートがどんどん追加され新機能開発をスクラッチで行う必要がありません。標準機能から拡張したい場合は8000種以上のShopifyアプリを必要に応じて個別に追加できるため、追加開発費も低く抑えることが可能です。
もちろん、大規模サイトや集中注文数にも耐える処理スピードやスケーラビリティと、グローバルブランドからも信頼されるセキュリティレベルの高さにも定評があり、セキュリティ管理に心配がある企業担当者も安心して利用できます。
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EC-CUBEのショップをShopifyに移行できるデータ
EC-CUBEの既存ショップをShopifyに移行することは可能です。ただし、事前に知っておきたいことや注意点も多いため順番に見ていきましょう。
Shopifyにない項目や名称が異なる項目
まずEC-CUBEで構築済みのショップにあるデータは、エクスポートしてShopifyへ取り込むことができます。商品データ、在庫データ、注文データ、顧客データといったショップに欠かせないデータが移行できます。また、各種ページやブログ関連も移行可能です。
ただし、注意したいのは、すべての項目が1対1で対応しているわけでは当然ないということです。異なるソフトですから、項目名が違っていたり、そもそも項目がないという箇所もあります。ShopifyとEC-CUBEの商品データの詳細を以下にまとめました。
EC-CUBE | Shopify | |
名称が異なる項目 | 商品コード | SKU |
通常価格 | 割引前価格 | |
規格 | バリエーション | Shopifyにない項目 | 販売制限数 | メタフィールドの設定が必要 |
発送日目安 | 商品情報には記載ない (配送情報は別途提供できる機能がある) |
プラグインでカスタマイズした機能やデータの対応にも注意
使用している項目を別途、ほかで使用する機能に移行するのか、あるいは「熨斗情報」などのようにもともとが初期機能にはなくプラグインで対応していたものをどうするかなどは、一つひとつ、確認・検討していかなければなりません。
ほかにもEC-CUBE側でカスタマイズされた結果、顧客名簿が姓名区切りなしで登録される場合に、Shopifyに合わせて分割できるか課題になることも。この場合は、名前区切りを手作業で直すことができないので、姓のみ移行させるといった場合もあります。
顧客データのログインパスワードは移行できない
また、顧客情報に関しては、ログインパスワードは引き継ぐことができない仕様になっています。そのため、サイトの移行が完了した際には、すべての顧客に対して「サイトを移行したので再度パスワードを設定してください」という旨のお知らせを出し、再設定をしていただく必要があります。
お客さまに手間をかけてしまうことから顧客を失うという不安もあるかもしれませんが、再ログインでクーポンをプレゼントしたり、ログイン先にセールを設定するなど再訪問のきっかけづくりとして取り組めると考えるといいでしょう。
推測されやすいパスワードを排除し、ルールをある程度厳重化してセキュリティレベルを向上させるチャンスにもなります。
ほかにもデータ移行にはさまざまな検討ポイントがあります。以下の記事も参考になります。
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3パターンの手法があるEC-CUBEからShopifyへのデータ移行
EC-CUBEからShopfiyへデータを移行する際は、下記の3パターンの手法があります。
- UI画面でコピー&ペーストする(すべて手動)
- EC-CUBEからデータをエクスポートし、CSVデータとしてShopifyへ読み込める情報に整形した上でShopifyへインポートする
- Matrixifyなど、データ移行に特化したアプリを利用する
1. の方法は小規模なサイトにはいいですが、商品数や顧客数がある程度多くなれば現実的な方法とはいえません。
2. の方法は、基本的なデータは、EC-CUBEからエクスポートし、CSVデータでShopifyに読み込める情報に整形して、インポートすることで移行できますし、エラーを回避しながら確実に取り込みを確認していければ大幅に手間も軽減でき、現実的な方法です。
3. の方法は、アプリの内容が理解できる開発者がいれば、もっともスムーズにデータが取り込めるのでおすすめです。
ほかにも、Shopifyアプリストアには多数の「データ移行ができる」という機能をうたっているアプリがあります。また無料ではなく従量制などでアプリ利用にも料金はかかります。どのアプリを選ぶか、どう使うかなどは、使いこなせるか、使うだけのメリットがあるかによって選択が決まってくるでしょう。
MatrixifyはCSVデータを使ったやりとりに特化した機能を持つShopfiyアプリ
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EC-CUBEからShopifyへのデータ移行の前後の手順
データ移行をする時に決めておく事と、実際の手順は以下の通りです。手順ごとにどのくらい期間が必要なのか確認し、前もってスケジュールしておきましょう。
- 独自ドメインの移管をするか新規ドメインかを決める(*1)
- 移行元のデータを確認し、移行するものを決める
- 移行データをエキスポートする
- 書き出されたデータを整形するなど準備を行う
- Shopify側へインポートする
- 読み込み結果をShopify上で確認する
- Shopify上でテンプレートを選び、デザインを調整する(*2)
- 配送機能や決済ページを新規に設定する(*3)
- サイト全体の動作テスト、カートの動作テストを行う
- ドメイン設定を行い、URLの変更を確認し、リダイレクト設定を準備する
- 顧客に対して新規サイトへの登録とパスワード再設定をお知らせし、登録してもらう
※*1=サブドメインのみの移管はできません。.caや.co.ukなども移管できないため、事前にヘルプを確認しましょう*2=デザインはそのまま読み込みして再現することはできません*3=配送機能や決済も移行できません
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スムーズにEC-CUBEからShopifyへのデータ移行するための注意点
EC-CUBEからShopifyへのデータ移行する際、主な注意点として次のようなものがあります。
特定のプロトコルを削除する
ストア内にインポートするアセットファイル(テーマファイル、スタイルシート、画像)のURLには、http://やhttps://やftp://などのプロトコル名から始まるURLが残っている場合は、//から始まるURLに書き換える必要があります。詳しくはShopifyのトラブルシューディングをご確認ください。
そもそもデザインデータは、移行せずに1から新テンプレートを利用することをお勧めします。
移行元サイトでリダイレクトの設定を行う
ECサイトのURLが変わるため、過去のリンクからも移行先の同じ内容のページへたどり着けるように、必ず移行元サイト側にリダイレクト設定を行います。ドメインを移行した場合でも、商品一覧やカテゴリーなど、そもそものサイト構造が変わってしまうため、必ずリダイレクト設定が必要になります。
EC-CUBEのURL構造を含めてリダイレクト設定の概要については、下記の記事をご覧ください。
内部リンクやメディアリンクはすべて修正
記事コンテンツのような、商品ページ以外のページ、ブログ記事なども移行できます。ただし、Shopifyでは、記事内の埋め込みリンクに相対パス(*4)を使用します。また、EC-CUBEとShopifyでは、内部でのメディア保存場所が異なります。そのため、記事内に埋め込まれている画像がある場合、そのすべてのリンクを新しいパスへ修正しなければならないことに注意しましょう。
*4=/media/abc.jpg のようにhttp://から始まらないタイプのパス
移行した登録会員は、再登録してもらわなければ実際は非アクティブのまま
顧客データは移行できると紹介してきましたが、これはデータが移行できるだけで、実際にはお客さま本人の承認がなければ会員状態は有効になっておらず、非会員の状態です。
ECサイトがリリースされたら、サイト運営者は会員ステータスの有効化の案内を「リニューアルのお知らせ」としてメールで一斉送信します。お客さまがそのメールで会員状態の有効化URLをクリックし、パスワードを自ら再設定すると、やっと本当に会員登録(表向きは、サイト移行に伴うパスワード再設定)が完了することになります。
リニューアルのお知らせメールから再登録を行えば問題はないですが、過去のサイトに会員登録していたことを忘れて新規登録を行うと、「すでに登録されています」とされ、対象メールアドレス宛に再度会員の有効化メールが届くということになります。
デザインはゼロから作るイメージに
構築を最小限にするため、HTMLやCSSのデザインファイルを読み込んでそのまま使おうと考える場合もあるかもしれませんが、そもそもの仕様が多数異なるため、デザインはShopifyのテンプレートから作り直すほうが安全です。
仮に読み込めたとしてもレイアウトがずれたり、不具合が出た場合に適切な対処ができなくなります。デザインについては、テンプレートから選んでUI画面で変更を加えるといったレベルから、liquidというオリジナルの形式でデザインのカスタマイズを行う方法があります。
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細心の注意を図るためにプロに代行してもらうことも検討しよう
このように、EC-CUBEからShopifyへの移行についてポイントを紹介してきましたが、かなり多くの検討点、準備があると言え、ワンクリックで移行が完了するようなものではないのが現状です。インポートデータが間違っていないか、脱落したデータはないのか、以前あったはずのページが存在するのか、送料や税金の計算は間違っていないかなど、ほかにも注意しなければならない点はあります。
とはいえ、旧バージョンのまま手が付けられなくなったサイトの場合は、とにかく移行をしなければなりませんし、データ移行がスムーズに行えば、スクラッチ開発よりはるかに低コストで安全に商品ページや顧客データなどの登録と確認に時間がかかるデータの登録を済ませられます。
また、クラウドベースのプラとフォームに移行することで、運用コストやセキュリティにかけるリスクも下げられます。
ShopfiyにはShopifyエキスパートやShopify Plusパートナーという制度があり、Shopifyを導入したい企業の構築をお手伝いしています。日本でも数少ない、Shopify PlusパートナーであるウェブライフのBiNDecでは、大規模なEC-CUBEサイトをShopifyやShopify Plusに移行する経験豊富な技術者がお手伝いしています。
Shopifyへのリプレース、EC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。