魅力的な商品を販売していても、何もしなければお客様は来てくれません。ECにはECの戦い方があり、SEOや広告、SNS活用など、様々な施策があります。その中でも、カンフル剤的な役割を果たすのが「販促キャンペーン」です。そこで、この記事では、実際にキャンペーンをする際に考慮すべきことと、売上につながる「EC販促キャンペーン」について具体的な事例を紹介します。
ECサイトで販促キャンペーンをやるべき理由とは?
EC販促キャンペーンは、売上アップを狙いたいEC担当者なら積極的に展開していきたいと考えるもの。しかし、キャンペーンを実施することでどのようにして売上につながるのか、目的や効果を意識しなければ、一時的な利益アップにつながっても、最悪の場合、経費の無駄遣いにもなりかねません。なぜ販促キャンペーンを行うのか、目的や狙いたい効果について、まずはしっかりと考えてみましょう。
認知度向上につながる
広告やSNSなどにおける集客施策のネタになり、サイトの認知度を高め、流入を増やすことができます。既存顧客に対しては再訪問を促し、サイトの存在を知らなかった人にとっては、商品やブランドを知ってもらうきっかけになります。一度認知されれば、購入までのハードルはぐっと下がり、次の機会に購入してくれる可能性が高まります。
短期的な利益を見込める
サイトに訪問した見込み客・既存顧客の購買意欲を高め、コンバージョン率や客単価を上げることにもつながります。セールやプレゼントキャンペーンなど、「お得感」を上手く訴求できれば、一商品あたりの利益率は低くてもコンバージョン率や客単価が上がり、売り上げ全体が上がることで、短期的な利益を上げることができます。
また、キャンペーンに合わせて対応商品をまとめて仕入れておき、単価を下げるなどの工夫によって、利益を確保するという手もあります。
リピーターを増やせる
新規顧客来訪の機会が生まれるだけでなく、既存顧客にもアピールすることで、再訪問・再購買を促します。キャンペーンは「顧客とのコミュニケーション」のネタとして、賑やかし”や”きっかけ”になります。定期的に開催して広告や連絡をマメに行うことで、サイトの存在を意識してもらえるようになり、リピーター増につながります。継続すれば、売上や利益の拡大だけでなく、顧客満足度やロイヤルティの向上にも貢献します。
ECのスタートアップ〜成長期にやるべき、定番のマーケティング施策はこちらの資料をご覧ください。
成功するキャンペーンは戦略が大切!目的&目標を定めよう
ただ漠然とキャンペーンやセールを行うだけでは、中長期的に売り上げを伸ばすことはおろか、キャンペーン自体も失敗する可能性があります。キャンペーンの目的や効果を明確にし、KPIや投資額を設定して、効果測定や検証を行うことが重要です。サイト来訪前から購入、さらには次の来訪・購入に至るまでの導線がイメージできるよう、販促計画をしっかりと立てましょう。
マーケティング戦略から立てる「キャンペーンの目的」の考え方
まずは「キャンペーンの目的」を明らかにするために、マーケティング全体を見渡し、「どこに効かせたいか」を考えます。たとえば、目的にはマーケティングのフェーズごとに次のようなものがあります。
- 新規層への訴求とサイトへの来訪増
- メルマガやアカウント登録:直接リーチできる層の獲得
- 購入の促進(新規、二度目、リピート、定期など)
- 購入額の向上(まとめ買い、ついで買いなど)
- 休眠顧客の復活
- 競合サイトからの乗り換え
「キャンペーンの目的」から考える、ターゲットと訴求内容
目的に応じたターゲットを明確化し、そこに「刺さる」企画を考えてみましょう。アイデアが浮かばない場合は、ユーザーの気持ちになったり、いろんな切り口を掛け算してみたりすると、イメージが湧きます。試行錯誤しながら自身のECサイトにとって効果的なキャンペーンを組み立てましょう。
5W1Hで考えると具体的なキャンペーンのイメージを明確化しやすくなります。
- WHO(ターゲット):新規顧客か既存顧客、休眠顧客、以前◯◯を購入した人など
- WHERE(場所):ランディングページ、メルマガ、SNS、リアル店舗など
- WHEN(時期):クリスマスシーズン、母の日・父の日、誕生日1ヶ月前からなど
- WHY(理由):まとめ買い、ギフト購入、セール訴求、など
- WHAT(商材):限定商品、予約商品、新商品、季節商品、全商品、セット商品など
- HOW(訴求):送料無料、プレゼント、割引、特別パッケージ、期間限定など
キャンペーンを実現するための手法の選定
キャンペーンの企画を実行する際にネックになるのが、「仕掛けづくり」です。多くの場合、キャンペーンをイチから実装するには、機能の開発コストがかかります。しかし、Shopifyなら様々な種類のキャンペーンアプリが提供されており、追加するだけで開発費を抑えてユニークなキャンペーンを実施することができます。逆にアプリで「できること」をみながら、逆算的にキャンペーンのアイデアを考えてみてもよいでしょう。
達成しなくちゃ意味がない!キャンペーンの目標と効果検証
キャンペーンはどこかお祭り的な雰囲気があるために、「盛り上がったかどうか」という定性的な評価で終わってしまいがちです。しかし、あくまで目的は販促であり、売り上げや利益につなげることを忘れないようにしましょう。しっかりと目標を達成し、振り返りをした上で改善できるよう、事前からキャンペーンの目標を設定し、期間中も意識することが大切です。
たとえば、キャンペーンの目標には次のようなものがあります。
- 人数:リーチした人数やサイトに来訪した人数、購買人数、会員登録した人数など
- 対象商品数:キャンペーンの対象となった商品などの売り上げ数量・金額など
- 対象外商品数:キャンペーンの副産物的に売り上げが上がった商品、減った商品など
- 成約率・客単価:購入に至った人の割合、1人あたり客単価など
これらをキャンペーン前と後とで比較し、効果を総合的に見極めます。
たとえば、
というように見ていくと、施策の良し悪しや改善点などが見えてきます。
「具体的な目標なんて想像がつかない」という方は、まずは1回キャンペーンを実施し、その結果を目安にしてみるとよいでしょう。次からはキャンペーンの効果が想像できるようになり、年間計画や売上目標を立てやすくなります。また少しずつ改善することで、キャンペーンの効果も高まります。
ECのスタートアップ〜成長期にやるべき、定番のマーケティング施策はこちらの資料をご覧ください。
ECサイトだからこそ挑戦したい販促キャンペーン施策事例13選!
それでは具体的にどのようなキャンペーンがあるのか、ECサイトで実際に行われた施策事例について、目標カテゴリ別に紹介しましょう。
おトク感で購買意欲を高める
やっぱり誰でも「おトク」なのはうれしいもの。しかし、値下げで魅力になるのは、商品も魅力的であることが必須です。たとえば、真冬に水着のセールを行なっても、購買意欲はわかないでしょう。季節感や流行など商品の魅力に直結する事項に考慮しながら、「”理由ある”おトク感」を演出しましょう。
1.送料無料キャンペーン
送料の負担は、意外と購入のハードルになりがち。一定額以上購入で送料無料とすることで、まとめ買いや”ついで買い”などにつながり、平均客単価を上げることができます。カート画面でなど、「あと◯◯円で送料無料」というように訴求したり、◯◯円以上の商品を検索できるようにしておくと、購入者が利用しやすくなります。
通常は合計購入金額1万円以上のご注文で送料無料のところ、5000円で送料無料!
2.クーポン・キャンペーン
クーポン番号などを入力するとおトクに購入できるキャンペーンです。クーポンは一律共通とする以外にも、メルマガ登録者だけ、年間購入の合計金額が高い人だけ、レビューを書いてくれた人だけ、新規購入者だけというようにターゲットを分けて、目的を明確化する方法もあります。「特別感」を演出できるのでおすすめです。
新規購入者限定「お試しクーポン」で500円引き!レビューを書くと次回使える500円クーポン付き!
3.セール・キャンペーン
全品を対象にする◯%割引はもちろん、季節モノや特定商品などに限定してセールを行います。特設ページを設けて訴求するのも効果的でしょう。少しずつ割引率を増やしていったり、2つ買うと10%引きなど、徐々に割引率を高めることでイベント感も出ます。
全品10%割引→冬物30%割引→冬物一部50%割引→セール商品2つ使うとさらに10%割引
ECのスタートアップ〜成長期にやるべき、定番のマーケティング施策はこちらの資料をご覧ください。
4.まとめ買いキャンペーン
複数購入することで割引や特典などを与えることで、まとめ買いにつなげます。個数や金額などで割引率やノベルティを変えるなど「あとちょっと感」を出すのがコツ。比較的低価格の商品に向いています。
5つ購入10%割引+新商品サンプル1つ付き、10つ購入で20%割引+新商品サンプル3つ付き
5.ポイントアップキャンペーン
買い物の際にポイントを意識する人が増えてきました。特にセールをしたくない時期や商品の場合、割引よりも手軽で、なおかつ常連さんにとっては割引よりも訴求力があるので利用しない手はありません。
月末3日間限定で通常ポイント率2%が2倍に!さらに期間中◯万円以上購入で100ポイントプラス!
顧客とのタッチポイントを広げる
新規顧客・既存顧客ともに定期的にアプローチをはかるには、タッチポイントを広げることが重要。ECの場合はオンラインでのコミュニケーションがメインになり、同じ内容でも媒体が変わることでタッチできる顧客が変わるので、チャネルを増やし、複数のチャネルで訴求することが大切です。
6.SNS連動キャンペーン
SNSを活用してキャンペーン訴求を行います。ハッシュタグやシェアで抽選、クーポン番号の配布、セールの告知など、様々なレベルで訴求が可能です。基本的にはECサイトへの誘導を前提としますが、ランディングページを用意したり、SNS内での購入ができるショッピング機能を利用したり様々な導線を貼ることができます。
「#サイト名」「#商品名」をつけて商品レビューを投稿すると、抽選で◯名様に◯◯をプレゼント!
7.メルマガ登録キャンペーン
「メルマガを登録してくれた人だけ、通常よりも安く購入できる」という仕立てで、メルマガ登録を促します。購入を促進するだけでなく、メルマガ登録者を増やすことでアプローチできるお客様を増やします。
メルマガ登録するだけで◯月末まで使える5%割引チケットをプレゼント!
ECのスタートアップ〜成長期にやるべき、定番のマーケティング施策はこちらの資料をご覧ください。
プレミアム感で「いま買う」理由をつくる
ECのメリットである「いつでも買える」は、時に買おうという気分を損ねることもあります。そこで、期間や数量などを限定し、あえてプレミアム感を作り出すことで「いま買わなくては」という気分にさせることが有効です。
8.限定キャンペーン
「◯月◯日0:00まで」「5のつく日だけ」など、期間を限定することで「その時しか買えない」という気分にさせます。割引きだけでなく、「予約分のみ」「数量500のみ」というように、商品を限定して「限定感」を出すのもおすすめです。
◯月◯日から人気商品の限定モデルを500のみ発売!数量に達し次第、販売終了!
9.コラボキャンペーン
他社や他ECと共同開発した商品などを「コラボ商品」として提案します。限定感を演出するだけでなく、両者でキャンペーンを共同告知することで、訴求力を高めます。漫画やアニメ、タレントをはじめ、自治体や地域、インフルエンサーなど特別有名な商品や会社でなくても、テーマやジャンルや重なっているとより効果が高まります。
アウトドアユーチューバー◯◯さん企画のアウトドアグッズ購入で、アウトドアイベント◯名様ご招待!
新規層にアプローチするチャンスを作る
ECが成長していくためには、リピーターの育成に加え、新規顧客の獲得が必須です。キャンペーンでおトク感を訴求することは、接点のない層にアプローチすることはもちろん、「気にはなっているけれどまだ購入に至らない」という層の背中を押すこともできるでしょう。
10.モニター募集キャンペーン
お試し価格で試せるキャンペーンは、新規購入のハードルを下げ、新規層に訴求します。アンケートを書いてもらうことなどを条件に割引率を高めたり、定期購入の初回割引を組み合わせたり、リピーターになってもらうことを意識して実施しましょう。
新商品候補3点を2点分の価格で購入できる!商品化してほしい商品をアンケートで回答するだけ!
11.返品無料キャンペーン
基本的には返品する際には購入側が送料を負担するのが一般的です。しかし、それが購入のハードルを上げているのも事実。そんな人に向けて、期間限定で返品の送料を負担するキャンペーンを実施します。赤字にならないよう、高額商品であることが前提となります。
返送料無料のフォーマルアイテム試着キャンペーン。サイズ別お試しのチャンスは2月末まで!
コンテンツでエンゲージメントを上げる
「ショッピングはエンターテイメント」とも言われます。何らのストーリーに共感がある時、モノを買ってしまうということはありませんか。お客様側にあるニーズをコンテンツ化して訴求することで、「ほしい」という気持ちを喚起します。
12.シーズナリーキャンペーン
買い物についてストーリーが生まれやすいのは、やはり季節やイベントがある時。ギフト需要はもちろん、自分自身にも買いたくなるようなストーリーでキャンペーンを実施しましょう。ユーザーの体験談などをUGCとして訴求するのもコンテンツ化のコツです。
お母さんのタイプ別にギフトを選びませんか?カーネーションの特別パッケージ&メッセージカード付き!
13.テーマ別キャンペーン
モノと共に、原料の背景や使い方などの「テーマに応じた情報」を一緒に訴求することで購買意欲を高めます。メルマガやオウンドメディアなどの施策がまさに該当しますが、そのままキャンペーンにつなげることでブランドとしての価値を訴求することができます。
安眠グッズなどを、詳しい使い方や眠りのタイプ別などにコンテンツ化して訴求。
ECのスタートアップ〜成長期にやるべき、定番のマーケティング施策はこちらの資料をご覧ください。
キャンペーン開催と効果検証はセット!計画的にチャレンジしよう
キャンペーンはECサイトの集客や売り上げに効果的な方法とはいえ、いわば一時的なものにすぎません。セールと同様に「時々」開催するからこそ価値があり、効果があるというもの。とはいえ、コミュニケーションの一環として目的やターゲットなどを変えてコンスタントに実施していくことで、持続的な効果も狙えます。SEOやサイトの設計、オウンドメディアやメルマガなど、EC施策全体の中にバランスよく配置しながら実施していきましょう。
そして、当然のことながら毎回の効果検証は必須です。その上で次のキャンペーンについて時期や訴求内容などを見直し、訴求力を高めていくことが大切です。もちろん売り上げが欲しい時や、売れ筋・在庫などの様子を見ながら、その時時に応じて突発的に行うものも「アリ」ですが、年間を通して予定と予算を立てておくと、慌てることなく効果的・効率的にキャンペーンを実施できます。
Shopify PlusパートナーのBiNDecでは、Shopifyで構築した多数のECサイトについて、様々なキャンペーン施策を提案し実施してきました。予算の立て方からPDCA、検証ポイントなどまでアドバイスしながら、自立的な売上アップに貢献します。EC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。