D2Cブランドをはじめ、アパレル業界でのEC化が加速しています。国内アパレル市場自体は長期的には伸び悩みが予想されていますが、EC化率は今後も進展が期待されるため、アパレル企業の成長においてはブランドの規模を問わずデジタルシフトへの取り組みが肝心です。
その際、実店舗で培われてきた対面での接客術をいかにオンラインに置き換えるかが、コンバージョン(CV)やLTVに大きく影響します。
消費者がオンラインで衣類やアクセサリーを気軽に購入することが当たり前になった一方で、「サイズ感が分からない」「生地の質感が気になる」「スタッフに相談したい」といった声も根強く存在します。そこで今回は、ECサイトにおけるオンライン接客の活用について考えていきましょう。
アパレルECで注目されるオンライン接客とは?
オンライン接客とは、ECサイトやアプリ上で、実店舗のスタッフが行うようなパーソナライズされたコミュニケーションをデジタル技術で再現する取り組みです。顧客が商品を選んでいる際や購入を迷っている際に、最適な情報提供やアドバイスを提供することでCV率を上げようとするものです。
例えば、以下のような例があります。
- 購入前の疑問・不安の解消:
チャットやライブ動画で詳細な製品説明をしたり、顧客の疑問に答え、不安な点を解消して購入を後押しします。 - ブランド体験の向上:
チャットや動画通話を通じて、ブランドらしいおもてなしや丁寧な対応を実現。心地よい接客体験がエンゲージメントを高め、顧客ロイヤルティの向上や長期的なファン化につながります。
購入前に試着ができないことの多いアパレルECにおいて、オンライン接客は特に重要ですが、それを実現するにはECプラットフォームと連携し、顧客体験を柔軟にデザインできる拡張性の高い環境が不可欠となります。
本記事では、アパレルの自社ECをスピーディに立ち上げ成長にともなって多様な機能を追加しやすいECプラットフォームの代表例としてShopifyにも触れながら、運用の考え方を解説します。
Shopifyとは?持続的に成長したいアパレルECにおすすめ
後ほど詳しく解説しますが、Shopifyは世界中で信頼されるECプラットフォームで、国内外の多くの企業に利用されています。高い拡張性を持つプラットフォームだけに、どの機能をどう選び、どの順番で導入していくべきかトータルで戦略を立てておくことが、その先の成功を左右します。
その戦略設計を支援するのが、Shopifyの公式パートナーの存在です。中でも、国内でも数社のみが認められたトップティアのShopify Platinumパートナーである「BiNDec」には、アパレルECに特化してShopifyを設計した「BiNDec MODEL アパレル」があります。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
オンライン接客の導入で得られる効果
オンライン接客を導入することで得られるメリットは次のようなものがあります。
売上とコンバージョン率(CVR)の向上
ECサイトの訪問者が商品に対して抱く不安には、さまざまなものがあります。「この服は自分に似合うか?」「普段のサイズで大丈夫か?」といった不安は、最終的な離脱(カゴ落ち)を誘発します。
実際に試着することができなくても、商品を熟知しているスタッフとリアルタイムにチャットでアドバイスを受けたり、スタッフが実際に身に着けて説明するライブ配信などがあると、迷っていた部分が解消されやすくなります。また、人に聞くまでもない細かい確認事項なども、AIによる接客があれば24時間気軽に質問できるので、夜間の対応も可能になります。
これらの施策がカゴ落ち率を下げ、最終的な購入につながりやすくし、CVRが向上するのです。
また、オンライン接客のサービスによっては、パーソナライズされたレコメンドを行い、顧客単価(AOV)向上やクロスセルの創出にもつなげられるものもあります。その代表例にチャネルトークがあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
顧客満足度とエンゲージメントの向上
顧客の購買履歴から好みや関心のある商品の情報を得て、パーソナライズされた接客を行うことで、顧客の購買モチベーションがアップします。画一的な対応ではなく自身にマッチした提案があることで、実店舗で体験するような特別感を顧客に提供します。
これにより、顧客満足度が高まり、ブランドとのエンゲージメントが深まります。エンゲージメントが深まった顧客は、リピーターとなりやすく、また、クチコミを通じて新規顧客を連れてくるなど、ブランドの強力なファンベースを構築します。
顧客のファン化について、こちらの記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
返品率の低下やAI導入によるスタッフの負担の低減
アパレルECの大きなコスト要因の一つが返品です。返品には、検品・返金・やりとりなど多くの人的コストが発生します。 チャットや動画での接客、着用写真の拡充などを通じて顧客が自分に合ったサイズや着用イメージを確認できるようにすれば、「サイズ違い」や「イメージ違い」による返品を未然に防ぐことができます。
また、頻繁に寄せられる似たような質問や問い合わせには、チャットボットによる24時間対応を導入することで、購入前だけでなく、購入後の返品・交換や各種質問にも対応でき、EC運用スタッフの日々の負担を軽減します。
基本的な質問はAIにデータベースを読み込ませて対応し、スキルを持ったスタッフはより複雑で専門的な接客や、創造的な業務に集中できます。顧客対応の質を保ちながら、スタッフの対応工数や負担を大幅に削減することが可能です。
アパレルECにShopifyが人気の理由
アパレルEC市場で成功するためには、単に商品を販売できる仕組みを備えるだけでなく、ブランドの世界観を伝え、顧客と直接つながり、トレンドに柔軟に対応していくことが重要です。これらの条件を満たしながら、オンライン接客もしっかりと行えるECプラットフォームとして、Shopifyを利用するブランドが増えています。
Shopifyは、世界175以上の国と地域で利用されているECプラットフォームです。16,000を超える数のShopifyアプリがあり、様々な機能を自社で開発することなく追加できる拡張性の高さが最大の特徴です。これにより、前述したような最新のトレンドや課題への対策を、自社のECサイトに柔軟に取り入れることが可能です。
オンライン接客ツールをはじめ、CRM/MAツール、動画配信プラットフォームなど、必要な機能をShopifyアプリから柔軟に追加・連携できます。
また、拡張性の高さと並んで、「PCI DSSレベル1」に対応したセキュアで高速なサーバー性能はフラッシュセール実施時のアクセス増加にも強く、世界で信頼される理由のひとつになっています。
アパレルEC特化のトレンド機能を集約したのが、先ほども紹介した「BiNDec MODEL アパレル」です。多品種・多SKU・多チャネルを前提としたアパレルECの複雑な運用課題に対応する構築モデルで、在庫管理、スタイリング提案、スマホUI、店舗・SNS連携に加え、顧客ごとのパーソナライズにも対応。購買体験の質と継続率を高めながら、売上・業務効率の両面で成果を出す仕組みをスピーディに構築できます。
アパレルECでいま導入すべき、7つのオンライン接客の手法
ここからは、アパレルECにおけるオンライン接客の具体的な手法やその実現のために検討したいShopifyアプリ、連携ツールを紹介します。これらはBiNDec MODEL アパレルにもラインナップされており、スムーズに導入することができます。
1.オンラインチャットによる1to1の接客
チャットボットは、いまやECサイトに欠かせない機能になっています。電話やメールのような心理的なハードルがなく、顧客コミュニケーションのきっかけとしても優れています。
Shopifyには、無料のチャットアプリShopify Inboxがあります。機能には制限もあるものの、導入することで24時間の問い合わせ対応が実現します。
さらに、先ほど紹介したチャネルトークのような機能の豊富なチャットツールを導入すれば、パーソナライズドされたオンライン接客や、対応をAIから人に切り替えるなど、最適な形でのオンライン接客を行うことができます。
BiNDec MODEL アパレルにも搭載可能な、有人やAIチャットによるWeb接客。AIショッピングエージェントで対話型の購入フローを提供しています。
オンラインチャットにおけるAIの進化
近年は生成AIによってチャットの対応力も進化しており、自動で対応できる範囲が広がっています。Shopify InboxはShopifyのAI機能である「Shopify Magic」を活用し、顧客に対する返信をAIが短時間で作成してくれます。
チャネルトークの「ALF」と言われるAI機能は顧客対応に特化しており、ボットのような一辺倒の回答ではなく、ブランドのデータベースから文脈にあった回答を提示してくれます。
2.データ活用でパーソナライズされた商品提案を提供
オンライン接客では、顧客に寄り添った提案ができるパーソナライズも重要です。
BiNDec MODEL アパレルには、顧客データに基づき、好みの商品や次回購入率の高い商品を予測して提案してくれるAIレコメンド機能があります。
他にも、CRMやマーケティングオートメーション(MA)を取り入れ、購買データや行動データを活用することで好みにあった商品をおすすめするなど、「馴染みのお客様」のようにパーソナライズした提案を行えます。
例えば「チャネルトーク」はCRMの機能も持っているので、顧客のチャット履歴のデータから、最適な商品提案を行うことも可能です。
また、Shopifyと連携するMAツールのDotdigitalなどを利用することで、購買データに基づいてパーソナライズされたメールやSMSを最適なタイミングで自動配信することも可能です。購入製品に紐づいたレコメンドによって、クロスセル、アップセルなども狙えます。

3.動画視聴者のCV率は約2.5倍!ライブコマースでの製品説明
より詳細な商品説明には、ライブコマースの活用が効果的です。知識を持ったスタッフがインスタライブやYouTubeなどで、商品のコンセプトや使い方、着こなしを紹介することで、顧客は商品をより深く理解できます。さらに、スタッフの発信に共感した顧客がファンとなり、定期的にECサイトを訪れたり、ブランドの想起頻度が高まるなど、ブランドとの結びつきを強める効果も期待できます。
ただし、インスタライブやYouTubeからはECサイトの商品ページのリンクを設けて遷移させるなど、即購入までにはワンクッション挟まなければならず、購買欲の高まりに対してやや障壁が出てしまいます。そこでおすすめなのが「Firework」です。

Shopifyで構築されたECサイト上で動画配信が行えるサービスです。ショート動画やライブ配信を通じて、オンラインでも店舗のような臨場感ある接客を可能にし、動画に「BUYボタン」を設置できるため、視聴者の熱量が高まったタイミングでの即時購入が叶います。
グローバル市場を中心に広がっていったサービスですが、日本でも大手企業を中心に採用が進んでおり、動画を軸に売れる仕組みを構築したいECブランドにとって有力な選択肢となるでしょう。
4.ビデオ通話による丁寧なカウンセリング
1対多数の配信に対して、個別の対応も人気があります。訪問者がカレンダーで日時を指定して、スタッフとのビデオ通話を予約できるサービスを導入するような仕組みです。顧客の自宅にある服と合ったコーディネート提案を行うなど、特別な購買体験を提供することができます。
先ほど紹介したFireworkにも1対1ビデオチャット機能があるので、ECサイト上でのライブコマース配信と併せて導入が可能です。
5.ECサイトと実店舗の共通で使えるアプリでロイヤルティ拡充
オンライン接客そのものではありませんが、顧客のロイヤルティ向上とエンゲージメント促進に役立つのが会員・ポイント制度です。実店舗とECサイトの区別なく使えるポイントを発行することで、顧客の利便性や購買意欲が上がります。BiNDecが提供するShopifyアプリに「BiNDec|ポイント」があります。購入額に応じて付与・利用ポイントシステムをECサイトに実装できるほか、商品、期間、顧客ごとにポイント率を設定してキャンペーンの実施も可能にします。
また、ブランド独自のスマホアプリを提供することで、顧客のスマホ画面という一等地にブランドを置いてもらうことも、持続的な顧客接点の創造に重要です。Shopifyでは、YappliやSTORES ブランドアプリなどと連携し、スマホアプリの構築を行うことができます。
BiNDec MODEL アパレルでは上記のYappliやSTORES ブランドアプリと提携し、ブランド独自のスマホアプリ化も支援しています。顧客接点の拡大や、複数チャネルの顧客データの一元管理、OMO・パーソナライズの強化に有効な施策です。
Yappliのサービスについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
6.不安解消のためのサイズレコメンドツールの搭載
サイズが合わないことによる返品や、サイズが不明なために買い控えが起こるのは非常にネガティブな要素です。これを取り払うためのオンライン接客は有効ですが、問い合わせに飛ばす前に使えるサイズレコメンドアプリのような、サイズを選びやすくする機能提供もぜひ検討しましょう。
Shopifyでよく利用されているアプリに「MP Size Chart & Size Guide」や、外部サービスの「unisize」があります。顧客の情報を入れることで適切なサイズをレコメンドしたり、サイズチャートを商品ページに挿入できます。
7.コーディネート投稿やより詳しい商品コンテンツの提供
アパレルECでは、実際の着用イメージがわかるコンテンツを増やすことも重要です。オンライン接客の手法としては、多様な身長や体格のスタッフによるコーディネートの投稿や、下記のような詳しいコンテンツの提供を取り入れましょう。
スタッフコンテンツ(スタッフコーディネート)
ブランドの世界観を保ちつつも、身長別・体型別のリアルな着用感や着回し方を紹介することで、顧客が自分事として捉えられるようになります。BiNDec MODEL アパレルでは、SNSでスタッフやブランドファンが発信するスタイリングやレビューを流用し、ECサイトに掲載することも可能です。
LOOKBOOK(ルックブック)
ブランドの世界観を体現する、洗練されたビジュアルのコンセプトページです。ブランドでシーズンごとに発行するLOOKBOOK冊子のオンライン版のようなものをイメージするとわかりやすいでしょう。
BiNDec MODEL アパレルには、LOOKBOOKがあらかじめ仕組みで用意されているのですぐに活用することができます。
Shopifyで構築したECのオンライン接客成功事例
ミキハウス|スマホアプリで実現したOMO戦略

BiNDecがShopifyの導入を支援した、子供服ブランドとして人気の高いミキハウスでは、変化に強く堅牢なEC運用環境と、ECサイト上での上質な接客を両立しています。
オンライン接客では、実店舗でお客様に喜ばれているようなホスピタリティを同様に提供することを目的に、スマホアプリを展開。他にも、ライブコマースを実施するだけでなく、アーカイブ配信や視聴方法の丁寧な説明など、幅広い顧客層へ配慮したホスピタリティが喜ばれています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
Her lip to|業務を約8割削減!顧客エンゲージメント向上と業務効率化
ファッションブランドのHer lip toは、Shopifyで運用するECサイトにチャネルトークを導入し、顧客の疑問や不安をその場で解消できるようオンライン接客に力を入れました。
その成果は大きく、1か月あたり約1,200件の問い合わせのうち約750件がチャット経由となり、気軽に相談できる導線として定着しました。さらにAIチャットボット「ALF」を活用し、営業時間外の対応を自動化。配送先変更や注文キャンセルを顧客自身で完結できるようにしたことで、休日明けの業務を約8割削減しました。
人的リソースを最適化しながら、よりパーソナルで満足度の高い接客を実現。オンライン接客が、効率化と顧客体験向上の両立を支える仕組みとなっています。
ShopifyをアパレルECのために最適化できるBiNDec MODEL アパレル

アパレルECの成長に向けては、オンライン接客を含め、多様な機能を組み合わせ、最新の動向にも対応できる仕組みづくりが不可欠です。しかし、これら全てをゼロから構築し、運用していくのは、EC担当者にとって大きな負担です。
BiNDec MODEL アパレルは、その複雑な課題に応えることができる業種分野に特化したソリューションです。
OMO、在庫管理はもちろん、LOOKBOOKやスタッフコンテンツをはじめとするオンライン接客機能、外部ツールとのスムーズな連携まで、Shopifyで可能にするのがBiNDec MODEL アパレルです。開発や運用の工数を最小限に抑えながら、最高の顧客体験と効率化された業務体制を手に入れましょう。
D2C事業を次のステージへと導くBiNDec MODEL アパレルにご興味をお持ちの方は、ぜひBiNDecへお問い合わせください。
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