Shopify Editions2024夏の注目機能|CXの次なるステージを探る

ECプラットフォームのShopifyでは、年に2度の新機能発表会「Shopify Editions」が開催されます。今回のShopify Editions 2024 Summerでは、「ユニファイド」をテーマにして、150以上の機能アップデートがラインナップされていました。

マーケティング、購入体験、UIデザインなどの様々なトピックの中から、WEBLIFEの注目する新機能をピックアップしてご紹介します。

新たな顧客体験を作るトレンド機能

昨今のEC業界のトレンドキーワードとして「顧客体験」が重要視されています。テクノロジーの進化で、商品を購入するのに最低限必要な機能がある程度標準化していることもあり、次は購入行動自体に付加価値をつけることが求められているのです。

そういった顧客体験の向上のためには、様々なデータを元にしたマーケティング施策や顧客の満足度を上げるサービスが必要となります。今回のShopify Editionsでは、顧客体験を高めるための新機能が多く発表されました。

ストア分析を見やすくカスタマイズ

Shopifyのストア分析機能では、ECの売上や顧客ごとの購買データを細かく分析できます。指標となる項目はチャネル別の売上、セッション数、CV率、AOV、リピート率など様々ですが、その中で特に注視しておきたいものを見やすくレイアウトできるようになりました。
レイアウトをカスタマイズできるストア分析のダッシュボード
ストア分析は各指標がグラフ化されており、数値の動向を視覚的に把握できるため、マーケティング施策のデータソースとして有効に活用できます。

レポートでアプリの成果を検証

Shopifyでは、ECの機能を拡張する様々なアプリが用意されています。ストア分析のレポート機能では、アプリをインストールした後・アンインストールした後の各指標の動きをチェックできるようになりました。
アプリの成果率がわかりやすく視覚化されることで、効果のあったものはより活用できるような施策を立てる、効果の見込めないものは解約してコストを抑えるといった判断もしやすくなるでしょう。

リワードプログラムに活用できるストアクレジット

ストアクレジットは、1つのECサイトの決済に利用できる専用のクレジットです。商品の購入額に応じて付与するポイントプログラムとは違い、管理画面からクレジットを付与して商品購入に使用してもらう、いわゆる商品券のようなものです。
決済会社との手続きが必要になる返品の商品代金をクレジットで代替する、会員プログラムのリワードとしてクレジットを付与する、といった使い方ができます。
ECサイトの決済に利用できるストアクレジット
まだ使われていないストアクレジットの残高や、何の商品にどのように使われたかもレポートで把握できるようになるため、より戦略的な顧客育成に役立てることが可能です。

「最安」「最速」「商品ごとに指定」の分割配送オプション

チェックアウトの際に、商品の配送方法を3つのオプションから選べるようになります。
急な入り用ではない場合は最も安い配送方法、すぐに手に入れたい場合は最も早く届く配送方法、複数購入した商品の中から、一部の商品だけはすぐに手に入れたい場合は商品ごとに別々の配送方法を指定する、といった内容です。
ニーズに合わせて配送コストが最適化されることで、チェックアウト時のストレスやカゴ落ち防止につながります。
商品ごとに設定された配送料が反映される

店舗受け取りがスムーズ&スピーディに

ECサイトで注文した商品を店舗で受け取るサービスは、多くのECサイトでスタンダートになりつつあります。顧客にとっては配送料を節約し、都合の良いタイミングで商品を受け取ることができ、マーチャントにとっては実店舗に来店してもらうことで対面のサービスやクロスセルのチャンスも生まれます。

ECと実店舗のデータ連携ができるShopify POSを導入していれば、顧客が購入したい商品の在庫が受け取りたい店舗にない場合でも、リクエストを受け取って在庫のある店舗や倉庫からスムーズに移動を指示することができます。実店舗の状況によって商品移動のルート変更も可能なので、オペレーションの負担を軽減できます。
注文の管理画面から商品の移動を指示

エンタープライズECの業務効率を向上

Shopifyは、GMVが$10億以上にもなる大規模なECサイトにも利用されています。エンタープライズクラスのビジネスに向けた機能も幅広く揃っています。

Marketsで複数のECサイト管理がさらに便利に

Marketsは、今まで越境ECのための機能に特化していましたが、今回のアップデートでD2C、越境EC、B2B、実店舗の全てのデータが1つの管理画面に集約されます。これにより、在庫データを分割したり、複数の店舗間でのデータ同期も不必要となりました。
地域や顧客ごとにECサイトのデザイン、商品リストと価格、通貨、言語、コンテンツ、ドメインなどをカスタマイズできるため、それぞれの拠点で最適なプロモーションが可能です。多面的に展開しているマーチャントにとって、より円滑な管理体制が実現します。
すべてのチャネルが統合された管理画面

Shopify POSで店舗DXを促進

Shopify POSでは、チェックアウト時に顧客のデータと担当したスタッフを入力することで、スタッフの個人業績を記録・管理できます。また、顧客が返品を希望する場合も、事前に取り決められたポリシーと自動的に照らし合わせて公平に判断できます。

Shopify POSは購入時にデジタルレシートを発行し、Shop Payによる決済の場合、メールアドレスを自動取得してDMの受信希望を選択できるため、顧客マーケティングのハードルを下げることにも期待できます。
Shopify POSの機能について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

越境ECを加速させるManaged Markets

世界175カ国で利用されているShopifyは、越境ECをサポートするGlobal-eと提携し、海外販売向けの機能が充実しています。今回のアップデートでは、それらがさらに強化されており、海外の顧客からのチェックアウトでは関税や消費税を商品価格に含めることができます。
また、購入者の居住地域で配送規制のある場合は、その商品と規制内容を表示します。

さらに、カナダとメキシコの事業者には、世界200か国以上の国と地域で一日1400万個以上の荷物を扱っているアメリカの大手物流サービス「UPS」もShopifyの提携配送業者として加わっています。

複雑なマーケティング業務を手助けするAI

Shopifyの生成AI機能であるShopify Magicはコマース向けに特化されており、複雑な作業をサポートしてくれます。

Sidekickなら顧客セグメントも素早く完了

Sidekickはチャット形式で日々の雑務からマーケティングまでサポートしてくれるAIアシスタントです。
特定条件を満たす顧客にキャンペーンを実施したい場合、Sidekickに指示するだけで、対象のセグメントを作成してクーポンコードを発行し、キャンペーンメールを配信するまでのフローがシンプルに完結します。
顧客リストのセグメンテーションには複雑なShopify QLコードを作成する必要がありましたが、そこにもShopify Magicが搭載されて、わかりやすい文言で自動作成してくれるようになります。

Sidekickは1年前に発表されていますが、まだ一部の早期アクセス登録者にのみ提供されているため、完全ローンチの待ち遠しい機能です。その他の機能については、下記の記事をご覧ください。

最適なコミュニケーションを作るShopify Inbox

Shopify Inboxでは、顧客からの問い合わせに対して、一般的な定型文ではなくECサイトのデータに基づいた返信内容を提案してくれます。
問い合わせの対応時間を削減するだけでなく、単純なチャットボットにはできないパーソナライズされたコミュニケーションによって、顧客の満足度を上げて購買の機会損失を防ぎます。

日本向けのアップデートもピックアップ

日本語のテーマや国内でシェアの高いコンビニ決済・QRコード決済の追加など、日本のマーチャント向けのアップデートも細かい機能ながらいくつかピックアップされていました。
Shopifyの機能やサービスは、まだアメリカ・カナダのみで提供しているものも多いですが、これから日本のEC市場が成長するにつれて徐々に国内でのサービスが拡張していくことが期待できます。

Rise

 Rise|日本向けのデザインテーマ

デザインでECサイトのUXをグレードアップ

ShopifyはECサイトをブランドイメージに合わせて細かくデザインできるほか、商品探しから購入に至るまでのフローもスムーズかつ戦略的に行えるように様々な機能が揃っています。

思い通りのデザインをノーコードで作成

セクションやブロックのスタイル設定に、コンテンツの配置、サイズ、余白を1px単位で細かく指定できるようになりました。Shopifyの独自言語であるliquidでコーディングする必要なく、ノーコードで直感的にカスタマイズできます。
もちろんモバイル表示も個別に設定できるため、理想的なデザインを誰でも簡単に実現できます。
1px単位でデザインを調整できる

商品バリエーションのUIを向上

Shopify Plusで利用できるShopify Combined Listingsアプリでは、一つの商品に対する複数のサイズ、色、オプションなどのバリエーションごとに商品画像、説明、URLを設定できます。
選択したバリエーションに対応して、商品画像や説明文が切り替わるため、視覚的にもわかりやすく、正確な商品情報を得られるようになります。
ブルー、60サイズ、複数クッションのシートを選択すると、すべての商品画像が対応して切り替わる

欲しい商品を見つけやすい画像付きのフィルター

商品の検索アプリSearch & Discoveryでは、絞り込みフィルターに画像やロゴを表示できるようになりました。テキストだけでは情報を伝えにくいカテゴリーもひと目でわかりやすくなります。
Search & Discoveryは、おすすめ表示した商品のCV率や人気の検索ワードも分析できる無料アプリなので、顧客が欲しい商品に辿り着くまでの精度を高めることができます。

CV率を高めるチェックアウト編集アプリ

チェックアウト画面に、レコメンド商品やキャンペーンの案内など任意のコンテンツを追加するには専用のアプリが必要となります。Checkout BlocksAIによるおすすめ商品の表示やギフトラッピング、定期購入のアップグレードなどが追加できるアプリで、一部の機能が無料で利用できるようになっています。ただし、現在のところ日本語対応はしていないようです。

BiNDecでは国内向けに開発したチェックアウト編集アプリを提供しています。詳しくは下記の記事をご覧ください。

最新機能を活用したEC構築・運用支援サービスBiNDec

今回のShopify Editionsでは、購入体験を向上するためのサービスやマルチチャネル展開でビジネス拡大するアップデートが多く発表されました。ShopifyでEC事業を成長させていていきたいマーチャントにとって、運用や管理など面で役立つでしょう。

株式会社ウェブライフでは、Shopifyを利用したECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」を提供しています。
豊富な導入実績とハイレベルな技術力・知識量を認められたShopify Plusパートナーとして、中小規模から大規模のストアに向けた最適な運用戦略の提案も可能です。
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