会員だけが入れる限定セールや先行販売など会員限定ページの設置は、Shopifyサイトに会員登録してくれたユーザーのリピート率アップや売上増加に寄与する重要な施策の1つです。
本記事では、会員限定ページのメリット・デメリットや会員限定ページの設置に役立つShopifyアプリについてまとめて紹介します。
会員限定ページとは
ECサイトにおける “会員限定ページ” とは、会員登録した顧客だけがアクセスできる特別なページのことを指します。そこには、会員限定セールや限定先行予約などが含まれます。
通常、ECサイトでは一般公開されている商品ページがほとんどですが、会員限定ページを設置することで、ロイヤルカスタマーに向けた特別な販売戦略を展開することが可能になります。また、リピーターを増やしたいと考えているECサイトにとって有効な施策と言えるでしょう。
会員限定ページのメリット
会員限定ページを設置するメリットとしては、顧客ロイヤリティの向上、購買意欲の向上、競合との差別化などが挙げられます。これにより、売上の向上やリピーターの増加が期待できます。以下に、それぞれのメリットを説明します。
顧客ロイヤリティの向上
会員限定ページを提供することでユーザーに特別感を与え、顧客満足度を高めます。また、会員だけが享受できる特典があることで、ブランドへの愛着が生まれ、会員であることの価値を高めることにつながります。
顧客ロイヤリティの高め方について、こちらの記事も併せてご覧ください。
購買意欲の向上
「限定」という言葉がユーザー心理に影響を与え、購買意欲を高める効果があります。会員だけが購入できる商品や割引があると、ユーザーは特典を逃したくない心理が働き、購入を決断しやすくなります。
顧客データの活用
会員登録時に得られるデータを活用することで、購買傾向や嗜好を分析し、よりパーソナライズされたマーケティング施策を展開できます。これにより、効率的なプロモーションが可能になります。
競合との差別化
会員限定の特典や商品を提供することで、競合のオンラインストアとの差別化を図ります。他のサイトでは手に入らない特典を用意するなど独自性を強化し、ユーザーを引き付けることができます。
会員限定ページのデメリット
会員限定ページには、大きなメリットがある一方で、運用コストの増加や管理の複雑化といったデメリットも考えられます。これらの点を理解し、適切に対策を講じることで、効果的な会員限定ページの運用が可能になります。
追加の運用コストが発生する
会員限定ページの運用には、システム開発やアプリの導入、特設ページの制作などの追加コストが発生する場合があります。中小規模のECサイトでは、負担が大きくならないよう、費用対効果を試算して導入を決めるとよいでしょう。
一般ユーザー側の不公平感
会員限定特典を充実させすぎると非会員のユーザーは不公平と感じ、サイトの離脱につながる可能性があります。非会員にも一定のメリットを提供することで、バランスを取ることが重要です。
ShopifyのECサイトに会員限定ページを追加する方法
ShopifyのECサイトに登録会員だけが入れる限定ページを追加する方法は大きく分けて2つあります。
1つは、手動で作成する方法で、顧客タグを用いて限定ページに振り分けます。もう1つはShopifyアプリを利用する方法です。
いずれの場合も、ページ自体の作成は必要です。また、前者については、Shopifyの管理画面での設定に加え、コードの編集を伴います。ノーコードで気軽に設置したい場合は、アプリの導入を検討するとよいでしょう。
Shopifyのデフォルト機能を使って追加する
Shopifyのデフォルト機能で会員限定ページを作成するには、次の3つのステップが必要です。
- 顧客タグを付ける
- テンプレートおよび限定ページを作成する
- コードを編集する
このうち、Step 1と2については、アプリを使う場合でも必要になることがあります。それぞれの作業の概要を見ていきましょう。
Step 1:顧客タグを付ける
この方法では、顧客タグを使って分岐させるので、まずは顧客にタグを追加します。Shopifyの管理画面から「顧客管理」を選択し、顧客名簿一覧から任意の顧客の画面を表示して、タグ(図では「VIP」)を追加します。複数の顧客を選択して一括編集することも可能です。また、会員登録時に自動でタグを付けるように、Shopify flowでワークフローを作成することもできます。

Step 2:限定ページを作成する
次に会員限定ページに割り当てるテンプレートを作成します。管理画面で「オンラインストア」→「テーマ」の順に選択し、「カスタマイズ」をクリックします。テーマのカスタマイズ画面上部の「ホームページ」をクリックし、メニューから「ページ」→「テンプレートを作成する」を選択します。
表示されたポップアップウインドウでテンプレートの名前(ここでは「exclusive-store-page」)を入力して「テンプレートを作成する」をクリックします。

バナーやキャッチコピー、商品の配置など、テンプレートのレイアウトを整えて、保存します。
続いて、管理画面で「オンラインストア」→「ページ」→「ページを追加」をクリックして会員限定ページを作成します。作成画面右側の「テンプレート」で、先ほど作成した限定ページ用のテンプレート(ここでは「exclusive-store-page」)を選択します。
Step 3:コードを編集する
最後にコードを編集します。管理画面で「オンラインストア」→「テーマ」の順に選択し、テーマの右側の「…」をクリックし、メニューから「コードを編集」を選択します。
編集するファイル(ここでは、「theme.liquid」)を選択し、次のようなコードを入力します。
{% if template contains 'exclusive-store-page' %} {% if customer %} {% if customer.tags contains 'VIP' %} <h1>会員限定のセール会場です</h1> {% else %} <h1>会員限定のページです。閲覧するには会員登録が必要です。</h1> {% endif %} {% endif %} {% endif %}
実際にコードを編集する場合は、自社のECサイトの仕様や実行させたい動作に合わせて詳細をカスタマイズする必要があります。Shopifyプログラムに精通したパートナーに相談するとよいでしょう。

Shopifyアプリを使って会員限定ページを追加する
指定したページにアクセス制限を設け、特定の顧客タグや会員登録したアカウントだけが閲覧できるShopifyアプリを利用する方法もあります。手動で設定する際に必要なコードによる記述が不要になるため、手軽に設置できるメリットがあります。Shopifyアプリストアで目的に合ったアプリを見つけましょう。
会員限定ページを実装するおすすめShopifyアプリ
コードのカスタマイズに自信がない場合や、時間をかけずに会員限定ページを実装したい場合は、Shopifyアプリの利用をおすすめします。ここでは、特定の会員がけがアクセスできるページを実装するShopifyアプリを紹介します。
BiNDec|ページの閲覧制限
BiNDecのページの閲覧制限アプリは、顧客タグや登録アカウントでのログインなど、指定した条件を満たすことで特定のページの閲覧を可能にします。顧客タグやアカウントによるログインのほかに、ユニークパスワードやブラウザの言語設定によるアクセス制限にも対応しています。
ほかにも、
- ストア内の任意のページに閲覧制限を設定可能
- 閲覧制限を設定したページを検索対象から外すこともできる
- 条件を満たさない場合、ログイン用のモーダルウインドウの表示かリダイレクトの選択が可能
- モーダルのデザインは、ライト/ダークの選択ができるほか背景の透明度を調整して、コンテンツをチラ見せも可能
などの特徴があります。
顧客への特典やプレミアムアクセスを実現する機能を手軽に実装して、CXの向上や販売促進につなげるアプリの選択肢としてご検討いただけます。
Easy Wholesale Locks for B2B
「Easy Wholesale Locks for B2B(旧名:Easy Lockdown)」は、ログインやパスワードなどのほか、購入個数や金額、国や地域などの条件に応じた柔軟なアクセス制限を実現するShopifyアプリです。ただし、残念ながら日本語には未対応です。
アプリ名が示す通り、どちらかというとB2Bを意識した内容となっているため、国内外に向けた卸売を行っているメーカーや仲卸業者にとって使い勝手がよいアプリと言えます。
このアプリについての詳しい記事は、こちらでご覧いただけます。
Atelier | Private Sales
「Atelier | Private Sales」は、その名の通り、特定の顧客に限定したプライベートセールを実現するShopifyアプリですが、その仕様は上記の2つのアプリとは異なり、外部にサテライトのミニストアを作成します。
受注管理はShopifyで行うため、顧客限定の”特設会場”のような感覚で使用できます。なお、アプリそのものは無料ですが、売上ごとに0.89%をAtelierに収めるシステムになっています。こちらのアプリも日本語未対応です。
会員限定ページアプリ選びのポイント
Shopifyサイトに会員限定ページを設置する場合、コードを編集して手動で実装するよりも専用アプリを利用する方が効率がよいことがわかりました。適切なアプリを導入することで、スムーズに会員限定ページを運用できます。
最後にアプリを選ぶ際に気をつけるポイントを紹介します。
ブランドイメージや理想の購入体験に合っているか
まずは、必要な機能が備わっているか、自社サイトのデザインにマッチするかなどを見極めるために無料トライアルで実際に試してみましょう。
ページのデザインは基本的にShopifyサイト側で行いますが、アプリによっては表示するメッセージのデザインが固定されているケースがあるためです。デザインのカスタマイズ性が高いアプリを選ぶことで、ブランドイメージを損なうことなく運用できます。
運用後のコストやサポートは問題ないか
会員限定ページアプリに限らずどのアプリであっても言えることですが、アプリの料金は無料のものから月額課金制のものまでさまざまです。
初期コストだけでなく、継続的なコストも考慮し、ROI(投資対効果)を見極めながら検討するとよいでしょう。
また、海外製のアプリが多いため、問い合わせやトラブル対応時に日本語でサポートが受けられるかは重要なポイントです。サポートが充実しているアプリを選ぶことで、運用中の問題を迅速に解決できます。
会員限定ページの導入に迷ったらShopifyアプリ開発も行うBiNDecへ
会員限定ページは、既存ユーザーの顧客満足度やロイヤリティの向上に寄与するだけでなく、新規ユーザーに会員登録を促すきっかけにもなり得ます。その一方で、顧客管理の見直しや追加の運用コストが発生するなどの課題もあります。会員限定ページの運用や、アプリ選びに迷ったら、Shopifyパートナーの活用もご検討ください。
株式会社ウェブライフではShopifyを利用したECサイト構築・運用をサポートする「BiNDec」を提供しています。またBiNDecでは、今回紹介したページの閲覧制限アプリを始め、Shopifyに特化した独自開発のアプリも数多く用意しています。ShopifyでのEC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。