注文のキャンセル対応は、ECサイト運営において避けて通れない業務のひとつです。
本記事では、Shopifyで構築したECサイトにおけるキャンセル対応を効率化する方法をはじめ、キャンセルが発生する背景や、未然に防ぐための工夫についてもご紹介します。
スムーズな注文キャンセル対応がEC運営にもたらす効果とは
ECサイトでは「誤って注文してしまった」「支払い方法を変更したい」などといった顧客の都合による注文のキャンセル希望が日常的に発生します。キャンセルを受け付ける手段としては、ECサイトの問い合わせフォームやメールを通じてカスタマーサポートが対応する方法もありますが、例えば営業時間外にキャンセルの連絡が入れば、対応の遅れが生じる場合もありますし、運営側への負担もかかります。
顧客が自分で注文を取り消せる仕組みがECサイト上にあれば、こうした負荷を軽減できますし、キャンセル対応の遅れの影響で起こる誤出荷やその先の返金対応といった余計な業務も未然に防げます。
キャンセルの手続きがスムーズであることで、顧客の不安やストレスを軽減でき、それがブランドへの信頼感の向上にもつながっていくでしょう。
Shopifyのマイページに注文キャンセル機能を導入する方法
顧客が自分の操作で注文をキャンセルできるようにするためには、機能面の整備だけでなく、画面上の案内や対応フローの工夫などの準備も必要です。ここでは、Shopifyで構築したECサイトにおいて、顧客からのキャンセル希望をスムーズに受け付けるための方法をご紹介します。
キャンセル機能を持つShopifyアプリを導入
Shopifyには顧客が自分の操作で注文キャンセルを行うための基本機能はありません。ゼロから機能を開発するにはコストが必要になるので、アプリを導入する方法がおすすめです。アプリを活用すれば、問い合わせフォームやメールを介さずにキャンセルを受け付けられるようになり、対応の自動化によってEC運営スタッフの業務負荷の軽減にもつながります。
キャンセルポリシーと対応ルールを明確にする
注文キャンセルに関するトラブルを防ぐためには、対応ルールや費用負担などを事前に明示し、ポリシーとして整備しておくことが欠かせません。たとえば「発送前までキャンセル可能」「注文から◯時間以内であれば無料対応」など、受付可能な期間を明確にしておくと、問い合わせ対応もスムーズになります。
あわせて、返金時の振込手数料や往復送料の扱い、複数商品の一部キャンセル時のルールなども整理しておくと安心です。また、ポイント機能を導入している場合は、付与済みポイントの取り消しや返還の可否といった取り扱いについても、あらかじめ記載しておく必要があります。
注文のキャンセルによって生じた在庫数の修正
注文がキャンセルされた際は、該当商品の在庫数を戻し、再び販売可能な状態にする必要があります。ECサイトによってはこの作業を手動で行っている場合もあるかと思いますが、対応のタイミングによっては本来販売できる商品が在庫切れのまま表示されてしまい、機会損失のリスクが発生するケースも考えられます。
こうしたミスを防ぐためには、在庫の戻入のフローを明確にしておくことが大切です。また、Shopifyアプリによってはキャンセル処理と連動して在庫の戻入まで自動で行えるものもあります。作業ミスの防止や負担軽減につながるため、アプリを選定する際にはこの機能の有無も一つの判断基準にするとよいでしょう。
Shopifyで顧客による注文キャンセルを可能にするアプリ
顧客からの注文キャンセルは、問い合わせフォームやメールなどを使って受け付けることも可能です。ただし、EC運営側で都度対応する手間や対応漏れのリスクを考えると、システム化して自動処理できる仕組みを整えておくことが望ましいでしょう。
そこでおすすめなのが、注文キャンセルを効率化できるShopifyアプリの導入です。ここでは、顧客のキャンセル希望に柔軟に対応できる「BiNDec|注文キャンセル」と「注文編集カスタマーサービス」の2つをご紹介します。
BiNDec|注文キャンセル
Shopify PremierパートナーのBiNDecが提供している「BiNDec|注文キャンセル」は、顧客がマイページ上で自ら注文をキャンセルできるようにするShopifyアプリです。キャンセル可能な注文の条件を柔軟に設定でき、ECサイトの運用に合わせた細やかな対応が可能になります。
設定項目としては、注文受付からの経過時間や支払い状況、発送状況、注文タグなどがあり、どの注文をキャンセル可能にするかを細かく制御できます。また、キャンセル可能な場合は、マイページの注文履歴に「キャンセル」ボタンが表示されるため、問い合わせ対応なしに顧客自身の操作のみで完了できます。
さらに、キャンセル完了時には自動で在庫を戻し、返金処理まで行われるため、ECサイト側の手間も大幅に削減できます。通知メールの送信や、ボタンの文言変更など、細かなカスタマイズにも対応しています。
主な機能 | 概要 | 業務効率化のポイント |
---|---|---|
キャンセル条件の設定 | 注文受付からの経過時間・支払い状況・発送状況・注文タグなどを条件に、キャンセル可否を細かく設定可能 | ルールベースで自動制御でき、個別対応や判断の手間を削減 |
マイページでのキャンセル操作 | 購入者のマイページ上に「キャンセル」ボタンを自動表示し、条件に応じて有効/無効を切替 | 問い合わせ対応が不要になり、サポート業務を軽減 |
自動通知メールの送信 | キャンセル完了時に、顧客に自動で通知メールを送信可能 | 手動連絡が不要になり、対応漏れの防止にも貢献 |
在庫の戻入の自動化 | キャンセル時に在庫数を自動で戻す | 在庫管理の手間やヒューマンエラーを防止 |
返金処理の自動実行 | 支払い状況に応じて、キャンセル時に返金処理を自動化 | 経理対応の簡素化と処理スピードの向上 |
ボタン文言のカスタマイズ | マイページ上の「キャンセル」ボタンの文言を任意に変更可能 | ブランドトーンに合わせたUI設計が可能 |
注文編集カスタマーサービス
「注文編集カスタマーサービス」は、顧客が自身で注文のキャンセル・編集・再注文を行えるShopifyアプリです。未発送の注文に対してのみですが、マイページや確認メールなどから顧客自身の操作で注文キャンセルの対応ができるため、カスタマーサポートの負担軽減が期待されます。
注文編集時には元の注文をキャンセルし、商品をカートに再読み込みする仕組みを採用。自動返金や在庫の戻入にも対応しており、運用面の効率化にもつながります。アプリは英語のみの提供のため、日本のECサイトでは利用にやや慣れが必要な場合があります。
在庫切れや不正注文対策にも使えるShopifyの注文キャンセル手順
顧客都合によるキャンセル対応は、アプリを使って効率化するのがおすすめですが、在庫切れや不正注文の可能性がある場合は、ECサイト側でフルフィルメントや発送処理を一時停止し、手動でキャンセル対応を行う必要があります。
こうしたケースでもスムーズに対応できるよう、Shopifyの管理画面から注文を手動でキャンセルする方法を知っておくことは重要です。運用上のトラブル回避や、アプリと併せた柔軟な対応手段として活用できます。
Shopify管理画面でのキャンセル操作方法
管理画面から「注文管理」を選択します。次に、キャンセルする注文のチェックボックスをクリックします。

次に「…」をクリックし、「注文をキャンセルする」をクリックします。

「注文#****をキャンセルしますか?」という画面が出るので、「注文をキャンセル」をクリックすれば完了です。

また、顧客が支払いを済ませていた場合は、「支払いを返金する」という項目から「今すぐ」か「後日」を選択し、「注文をキャンセル」をクリックすれば完了です。

なお、いずれの場合も在庫に戻すには、「在庫を補充」のチェックボックスにチェックを入れておきます。
注文キャンセル処理後に注意すべきポイント
顧客からの注文キャンセルを受け付けた後は、返金処理や在庫の調整、顧客へのご案内など、いくつかの対応が発生します。中でも、スムーズかつ丁寧な顧客対応は、満足度や信頼性の維持に直結します。ここでは、キャンセル対応後に忘れず行いたいポイントを整理してご紹介します。
費用負担の考え方を整理しておく
注文キャンセル時に最も注意が必要なのが返金処理です。Shopify Paymentsのほか、ほとんどの決済代行サービスでは返金を行っても決済手数料は戻ってこないため、その分はECサイトが負担するのか顧客が負担するかをあらかじめ定めておく必要があります。
出荷済みの注文では送料や振込手数料も含め、どこまで返金対象とするかをルール化し、キャンセルポリシーに明記しておくことがトラブル防止につながります。
顧客への連絡方法
注文キャンセル後のご案内は、顧客の不安を防ぐうえで重要な対応です。連絡がないままだと、「キャンセルされたのか?」「返金はどうなっているのか?」といった問い合わせにつながることもあります。
先ほど紹介した「BiNDec|注文キャンセル」のように、キャンセル時に自動で通知メールを送信できるアプリを導入していれば、手間なく迅速な対応が可能です。
また、手動対応の場面に備えて、下記のような基本のメールテンプレートを用意しておくと、万一のときにもスムーズに対応できます。
キャンセル完了メールの例
〇〇様
この度は当サイトをご利用いただき、誠にありがとうございました。
ご依頼いただきましたご注文(#12345)につきまして、キャンセル処理とご返金が完了いたしましたので、ご連絡申し上げます。
■ ご注文内容:○○商品
■ 返金額:¥○○○(クレジット決済手数料は対象外です)
■ 返金方法:クレジットカード
■ 返金までの目安:カード会社によって2〜7営業日かかる場合がございます
もし、ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
今後とも〇〇をどうぞよろしくお願いいたします。
〇〇
[店舗名・URL・お問い合わせ先]
【ケース別】注文キャンセルが発生する理由
ECサイトを運営していれば、注文キャンセルは避けて通れません。ですが、キャンセルがなぜ発生するのかを理解して対策を立てることができれば、キャンセルの数を減らすこともできるでしょう。「顧客都合」と「商品の不備」のケースについて、どのような理由があるかを紹介します。
顧客都合のキャンセル理由
注文キャンセルの多くは、購入者側の都合によって発生します。よくある例としては、以下のような理由があります。
<顧客都合の例>
- (サイズなど)間違えて注文してしまった
- 写真と実物の印象が違った
- 配送先や支払い方法を間違えた
- 希望日までに配送が間に合わない
- 不要になった
多くの注文キャンセルは、情報の見落としや操作ミスなど、購入時のちょっとした行き違いがきっかけとなることがあります。たとえば、商品ページでの説明不足や配送日数の記載がわかりづらいと、意図しない注文につながる可能性もあるため、確認画面や案内文の見直しによって、未然に防げるケースもあるでしょう。
一方で、すでに商品を発送している場合などは、返品対応も含めた判断が必要になります。たとえばアパレル商材では、サイズが合わないと気づくのは試着後というケースもあり、再販が難しくなることもあります。EC運営側の対応コストとのバランスも考慮しながら、どこまで注文キャンセルを受け付けるかのルールを定めておくことが大切です。
商品の不備や発送トラブル
注文後のキャンセル理由には、顧客都合だけでなく商品やサービスに起因するものもあります。よくある例としては、以下のような理由があります。
<商品不備の例>
- 異なる商品が届いた
- 初期不良があった
- 届いた商品が破損していた
- 納期が遅れていた
これらはキャンセルよりも返品や交換を求められることが多く、対応の遅れは信頼低下や悪評価につながりやすいため、迅速かつ丁寧な対応が欠かせません。再発防止のためには、出荷前の検品や梱包体制を強化するといった改善も有効です。また、不良の申告があった場合は、商品の状態を確認するフローを設けることで、適切な対応判断ができます。
キャンセルを未然に防ぐための4つの対策
注文キャンセルは、売上への影響だけでなく、在庫調整や顧客対応など、EC運営全体に負担を与えます。完全に防ぐことは難しくても、購入前の不安や行き違いを減らすことで、発生率を抑えることは可能です。ここでは、事前に取り組んでおきたい施策をご紹介します。
返品・キャンセルポリシーを明確にしておく
前述の通り、キャンセルや返金に関するルールを明示しておくことは、トラブルの防止に不可欠です。「いつまでキャンセルできるのか」「送料や手数料の扱いはどうなるのか」などの条件を明文化し、商品ページやカート画面、FAQなどからすぐに確認できるようにしておきましょう。
商品情報を充実させる
「思っていたものと違った」という理由でのキャンセルは、商品説明の不足や画像とのギャップに起因することが少なくありません。サイズ表や素材説明、使用感の記載、複数の画像や動画による視覚情報の補完など、購入前に十分な情報が得られるようにしましょう。特にアパレルや雑貨など、感覚に左右されやすい商材では有効です。
商品説明の書き方のコツについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
購入前の確認をしやすくする
配送先や支払い方法の誤入力、納期の見落としといった操作ミスも、キャンセルの原因になります。購入確定前の確認ステップで、入力内容や配送スケジュールを見直せるようにしておくことで、こうしたミスを防ぎやすくなります。前述のキャンセルポリシーとあわせて、注文内容を再確認するステップを導線上に設けておくと安心です。
Shopifyではチェックアウト画面で任意の注意文を表示することもできます。チェックアウト画面のカスタマイズについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
購入前の不安を解消できる体制を整える
購入前に不明点がある場合でも、気軽に相談できる環境が整っていれば、購入を前向きに検討してもらえる可能性が高まります。チャットボット、問い合わせフォームの整備に加え、前述のようによくある質問を明示しておくことで、問い合わせ件数の削減とキャンセルの抑制の両方に効果があります。
スムーズなキャンセル処理で信頼度UP
ここまでご紹介してきたように、キャンセルを未然に防ぐ工夫や、明確なポリシーの整備はとても重要です。ただし、どれだけ対策を講じても、実際の運用ではキャンセルが発生することもあります。だからこそ、いざという時にスムーズな対応ができるかどうかが、顧客からの信頼を左右します。
迅速かつ負担の少ない対応を実現する手段として、「BiNDec|注文キャンセル」アプリの導入がおすすめです。顧客がマイページ上で手続きできるため、発送前にキャンセル処理を完了し、問い合わせ対応の手間も大幅に削減されます。運営側・顧客側の双方にとって無理のない運用が可能になります。
BiNDecでは、こうしたShopifyアプリの提供だけでなく、ECサイトの構築や機能設計、運用改善まで含めたトータル支援を行っています。EC運営における課題にあわせた柔軟な提案が可能ですので、ご関心のある方はShopify PremierパートナーのBiNDecまでお気軽にご相談ください。
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