ECサイトで顧客が商品の購入を完了した直後に表示される「サンクスページ」は、お礼を伝える以外にも様々な役割を持ちます。今回はそんなサンクスページについて、実施すべき施策や作成方法を解説していきます。
サンクスページとは?
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サンクスページとは、企業などのコーポレートサイトにおいては、資料ダウンロードやお問い合わせフォーム送信直後に表示されるページを指します。
ECサイトにおけるサンクスページといえば、決済後の確認画面であり、その名の通り「お買い上げありがとうございました」といったお礼のメッセージが表示されるのが標準的です。サンキューページ、購入完了ページと呼ぶ場合もあります。
元々の目的としては、お礼をすることよりは、決済(トランザクション)が無事に完了したという結果確認のために表示していたと言えるでしょう。
現在では、サンクスページの重要性はどんどん増しています。なぜなら、ECサイトで購入をしてくれた顧客に対して、様々なアプローチができる最初のチャンスがサンクスページだからです。サンクスページを活用することで、次のアクションの提示や、レビュー投稿の促進、配送状況の確認ページへの誘導、レコメンド表示による追加購買のアプローチなど、さまざまな施策を展開できます。
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Recustomer株式会社 Post Purchase 調査レポート~ アパレル・服装雑貨・化粧品~ より引用
Recustomer株式会社の調査によれば、調査対象のうち8割以上が、購入した「後」に追加で他の関連商品を買ったことがあると答えており、内53.4%は「よくある」と答えています。
「購入後にさらに購入はしないのではないか?」と思われがちですが、実際にはむしろチャンスとなり得るため、注意事項以外にも、サンクスページを充実させることは必要と言えるでしょう。
サンクスページの役割とメリット
サンクスページは、購入完了後の顧客に感謝を伝えるだけでなく、UXの向上や販売促進、問い合わせの軽減、購買データの計測など、ECサイト運営において重要な役割を果たします。効果的に活用することで、顧客満足度の向上や売上アップにつなげることが可能です。具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
購買体験の拡充で顧客満足度UPを促進
サンクスページは、顧客に購入のお礼を伝えることができるページです。リアル店舗で「ありがとうございました」と伝える代わりに、グラフィックスや文章を上手に使ってお礼を伝えましょう。
リアル店舗のPOS周りに設置してあるようなPOPのように、メルマガや公式SNSアカウント登録を促す案内をサンクスページに掲載するのも良いでしょう。「新しいセール情報はSNSでお知らせ」など具体的なメリットを伝えれば、このタイミングで登録・フォローしてもらえる可能性も上がります。
問い合わせを減らして個別対応の工数を削減
サンクスページで伝えられる情報は、お礼だけではありません。後日のメールだけではなく、サンクスページからすぐに配送状況を知らせたり、追跡リンクを表示することで顧客の利便性が向上し、ECサイト側としても、商品到着までの荷物についての問い合わせへの個別対応を削減することができます。
他にも、商品の組立方法やFAQへのリンク、問い合わせフォームや問い合わせ対応ができる営業時間などを記載するのもよいでしょう。場合によっては、キャンセルしたい・色を間違えたなどの緊急の困りごともあります。こういった問い合わせへ対応できるのもサンクスページです。
購入したら終わりではなく、顧客にとってはそこからがスタートになることがあります。たとえばデジタル商品では、購入後に行うことがいろいろあります。ソフトをインストールしたり、設定を行ったりとヘルプが必要になるケースがありますが、どのように操作を進めればいいかはサンクスページに指示を用意することで、無理なく操作を進めてもらうことができます。
関連製品を薦めるなどの販売促進
「この商品を購入した人はこんな商品も購入しています」という商品レコメンドが表示されるのは、Amazonなど大手ECモールでもおなじみです。商品を購入した直後は、うまく薦めれば、追加購入をしやすいタイミングと言えます。
レコメンド機能はAIなどを活用し、顧客分析から自動で導き出すことも可能です。同じ興味関心を持つ別の顧客が購入した商品などもお薦めに反応しやすいでしょう。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
購買完了の数値の計測でKPIの達成状況を把握・分析
成果状況を計測するためにGoogle Analytics4をはじめとしたWeb解析ツールを導入しているECサイトは多いでしょう。サンクスページは、トランザクションの完了を計測するイベントを設定する際に使用できます(※)。
※Google Analyticsヘルプ
下記の資料では、ECサイトとGA4を組み合わせてカスタマイズの分析を行うポイントを解説しています。ぜひ、無料でダウンロードできますので活用してみてください。
サンクスページで実施できる具体的な売上向上施策
サンクスページの役割を確認したところで、ここからはECサイトでの売上アップやマーケティングに役立つ具体的な施策や活用方法を知っていきましょう。
クロスセルの促進施策
- 関連商品のレコメンド表示
- 顧客の興味関心に紐づいたレコメンド表示
- 期間限定のクーポン配布
前述の調査結果の通り、ある商品を購入したあとに、付属品や消耗品を買っておきたいと思う人は多いです。スマホを買ったらスマホケースやスタンドを買いたくなる人は多いですし、カメラ本体を購入したらレンズやストラップ、バッテリー、メモリカード、クリーナーなど関連商品を買いたい人もいるでしょう。
そんな時、サンクスページに関連商品として興味をひくラインナップが表示されていれば、ついで買いを検討したり、ジャンルトップへ移動してさらに商品を探し始める行動をとるケースがあります。
商品主体のレコメンド以外にも、顧客の興味関心や、過去の購入履歴をデータとして活用し、ニーズにあったものをうまく薦めることで、クロスセルを促します。
「今から24時間以内でのみ使えるクーポン」など制限時間を決めることで忘れる前に買ってもらえるようにする販促方法もあります。
アップセルの促進施策
- まとめ購入を促す案内
- 定期購買のお得情報
サンクスページでのアプローチによっては、アップセルも可能です。たとえば、美白化粧水Aを1本購入した人に、「さらにまとめて購入すると送料無料」などのメリットを提示し、購入額を増加させる方法が考えられます。
他にも、1つのブランドでより高価格帯の製品がある場合に「いまAを購入した人にのみ、Bの特別オファー」などを提示することなどで、次回購入時のアップセルを促進することもできますし、「今、次回の購入予約をすると通常より○%お得」などで、定期購買へアップグレードしてもらう提案も考えられます。
特集やセールページを表示して回遊促進
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期間限定の特集・セール会場へ誘導や、購入した商品と類似ジャンル内の人気の商品ランキングなどをサンクスページに表示することも効果的です。
購入を終えた直後は、付与されたポイントを確認したり、発送日時を確認したりと、ゆっくりページに目を通してから閉じようとする顧客も多く、ECサイトを回遊してもらうチャンスが生まれるタイミングと言えるでしょう。
クーポン配布で会員登録を促進
購入のハードルを下げ、コンバージョン率を向上させるために、ゲスト購入を用意するECサイトも少なくないですが、顧客育成が難しくなるのが現実です。
しかし、購入のタイミングは、会員登録の最大のチャンスであるため、ここを逃す手はないでしょう。そんな時、顧客目線では会員登録には手間がかかるため、インセンティブがあると効果的です。
「今、続けて会員登録をすると、本日の購入からポイントを付与」「会員登録をすると次回のセールをお知らせ」などといったインセンティブやメッセージを表示して、会員登録に進んでもらえるように工夫します。これも、サンクスページで実践できる施策の一つです。
SNSなどでシェアを促しUGC投稿を募る
購入を終えた直後に「コレ買った」「ここで買った」「セールでお得に買えた」など、SNSで購買体験をシェアしたい顧客もいます。身近な人の声を参考にしている人は多いので、その行動を促すことも大切です。
そこで、サンクスページには、投稿しやすいようシェアボタンを配置したり、公式SNSへのリンクを設置しておくなど、自然なかたちでSNSへのシェアを促進する機能も配置しておきましょう。
様々な年代・傾向のSNSニーズにマッチできるように、XやInstagramなどの定番のSNSに加えて、利用者の多いLINEやメッセージでもシェアできるようにするとよいでしょう。
単純に「SNSで広めよう」「友達に知らせよう」という呼びかけも有効ですし、「特定のリンクとともにクチコミすると、ポイントを付与」などといったインセンティブを与える場合もあります。
UGCについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
サンクスページ構築時の注意点
ここまで紹介してきたように活用方法が多数あるサンクスページですが、施策を実施をする際には、次のような点に注意して進めましょう。
必要な要素を決めてデザインする
顧客にアクションを起こさせるには、そのためのUIに注意する必要があります。要素を詰め込みすぎることなく、ページ内での重要度を整理してレイアウトを決定します。
スマホページであれば、ページ上部ほどユーザーの目に付きやすくなります。PCページであれば、メインカラムがコンテンツとして目に付きやすいでしょう。また、バナーやCTAを入れ込む際には、どれがECサイトとしてのマーケティング情報なのか、顧客に必要なサポート情報なのか、がわかりにくくならないように気をつけて設計します。
オファーを提供するにしてもその後の動線が悪いとすぐに離脱されてしまいます。理想はワンクリックですぐに次の購入に進めるなど、面倒にならずクロスセル・アップセルができるようなUIの工夫も大切です。
顧客ごとに表示内容をパーソナライズする
サンクスページで商品やサービスをおすすめする場合には、1つからせいぜい2、3程度のお薦めを提示することが多いですが、この際に、特定の商品に対して関係性が高いもの、顧客の過去購入したジャンルの製品などをカスタマイズして表示できる必要があります。
まったく関連性のない商品をお薦めしても、そのままページを閉じることになりますし、サイトの印象も良くなりません。「このサイトは、良い品を薦めてくれる、私のことをよくわかってくれているな」というパーソナライズを目指します。
ページ下部には、回遊性を重視して多数のリンクを用意している場合もありますが、その場合も購入したジャンルや閲覧履歴などを活かして顧客の好みに合うであろうページへのリンクを用意しましょう。
サンクスページ以外にも、ECサイトにおけるパーソナライズ戦略は必須の時代です。下記の記事もぜひ併せてご覧ください。
購入後のユーザーのジャーニーや遷移を考慮する
ここまで紹介してきたように、サンクスページは購入の終わりではありますが、ある意味、次の購入への始まり地点のような位置づけです。
「お店で買って満足した人が口コミをすることで他の新規客が来店、そして本人もまた再来店する」というジャーニーもありますし、「会員登録特典のポイントがあるので、追加で商品を買い直すために、関連リンクをクリックしてサイトを回遊する」というジャーニーもあります。
こういったジャーニーを想定して設計を考えるものの、すべての顧客パターンにとって欠かせないジャーニーは「無事に商品を受け取る」ところへとスムーズに遷移することです。そのため、「商品はいつごろ届く」「荷物の問い合わせや追跡はここ」「ポイントがどれだけ貯まった」などと、購入後にありうる疑問やサポート情報は、しっかりとサンクスページでも押さえておく必要があります。
noindexタグを設置する
SEO上のノウハウになりますが、サンクスページは顧客に購買完了を伝えるためのページであり、一般ユーザーが閲覧したり、Google検索結果に表示させる必要はありません。
クロールバジェットを節約する上でもサンクスページや申込完了ページは、noindexタグを設置してインターネット検索クローラーにインデックスされないようにしましょう。
Shopifyのワンページチェックアウトとサンクスページの強み
サンクスページの重要性をお伝えしてきましたが、望む施策を実現するにはどのECプラットフォームでもいいわけではありません。
おすすめしたいのは、世界175か国で利用されているShopifyです。ランニングコストを最適化して、売上を伸ばすことができるECプラットフォームとして、国内のエンタープライズ企業や有名D2Cなどでも広く採用されています。
そして、幅広い機能の中でも今回注目したいのがチェックアウトです。チェックアウトの前後にあたるカート画面や、サンクスページにも、購買額アップに向けた機能が次々と搭載されています。
こちらの記事でも詳しく解説していますので併せてご覧ください。
スムーズな購買体験設計
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※ Shopify公式サイトより引用
一般的なチェックアウトは、購入完了に至るまで数ページの遷移が必要です。Shopifyは、1ページですべての情報入力を完了させ、短いステップで購入を完了させることができるワンページチェックアウトを導入しました。これにより、ECサイトでのコンバージョン率が他社競合との比較で平均15%、最高36%アップ(※)しています。
Shopifyのワンページチェックアウトはすべてのプランで採用されており、スピーディーでスムーズなインターフェースで、ゲストでも会員でもストレスなく購買できる設計です。
更に、Shop Payユーザーであれば、初めての購入であっても共通アカウントでログイン&決済できるので、より簡単な決済が可能になります。
Shop Payについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
すべてのプランでサンクスページをカスタマイズ可能
以前は一部のバージョンではカスタマイズができない仕様になっていましたが、現在ではもっとも低価格なBasicプランから、サンクスページのカスタマイズが可能になりました。
Shopifyのチェックアウトエディタを利用して、簡単なものであればコーディングの知識不要でカスタマイズすることができます。

Shopify管理画面>ストア設定>チェックアウト を選んだ状態。チェックアウトのプレビューが表示され、左側のカラムではデザイン変更などのオプションが表示される
カスタマイズ画面の中央上にあるプルダウンを、「チェックアウト」から「ありがとうございます」に切り替えれば、サンクスページのカスタマイズ画面に切り替えられます。

サンクスページのカスタマイズ画面。画面中央にはサンクスページのエディタが表示され、左側のカラムには設定のカスタマイズ要素が表示される
左のカラムにあるメニューボタンからブロックエディターに切り替えると、アプリブロックを追加していくなど各ブロックにカスタマイズが可能です。
Shopify Plusプランで更に多様なカスタマイズ
Shopifyの最上位プランであるShopify Plusプランでは、さらに多様なチェックアウトのカスタマイズが可能です。
BasicプランからまでAdvancedプランまでは、注文状況ページ、サンクスページのアプリによるカスタマイズが可能ですが、Shopify Plusプランでは加えて情報ページ、配送状況ページ、購入履歴ページなどもカスタマイズできます。デザインをカスタマイズするcheckout Branding APIの利用も提供されます。
2025年冬バージョンのアップデート機能では、カートの読み込み速度が50%向上し、さらにスピーディーな決済が可能になりました。また、サンクスページにカスタマー対応のチャットボットを配置できるようになるなど(Shopify Plusのみ)、さらにリッチなサービスも提供可能になっています。
アップデートについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
Shopifyアプリ利用でさらに機能を充実
Shopifyは、13,000以上のShopifyアプリによって様々な機能をECサイトに追加できます。各国の企業がさまざまなShopifyアプリを提供しており、その中にはサンクスページをカスタマイズできるものがあります。
デフォルトのままでは利用できないクーポン表示や商品おすすめなどをアプリで追加できます。以下におすすめのアプリの概要をいくつか紹介します。
BiNDec|チェックアウトカスタマイズ
BiNDecの提供するチェックアウト画面のカスタマイズアプリです。チェックアウト時に様々なレコメンドを表示するなどのほか、サンクスページへ任意の案内文を表示するなど、チェックアウトまわりの課題改善機能が多数利用できます。
国産アプリなので日本語UIで利用しやすいのも特徴です。
詳しい機能は下記のページからご覧ください。
ReConvert Upsell
サンクスページからアップセルに繋げるためのブロックを追加できるアプリです。ワンクリックアップセル、カート内アップセル、割引アップセルなどを追加して、AOVを高めることが期待できます。
月額料金は4.99ドルから。インターフェース・サポートは英語ですが、人気が高いアプリです。
AfterSell Post Purchase Upsell
リテールメディアカンパニーのRoktの提供するアップセルアプリ。購入確認画面上に最適化広告を表示するソリューションで有名です。
AfterSellでは、リテールメディアの強みとなる様々な洞察を踏まえたアップセル・ダウンセルのオプションを表示したり、サンクスページのカスタマイズで顧客体験の向上を実現します。無料プランは開発者向けで、商用利用は月額34.99ドル〜となるので、ある程度の月商規模がエンタープライズにおすすめです。
Shopifyでのサンクスページ改善を検討しよう
Shopifyで提供されるチェックアウトカスタマイズ機能やサンクスページカスタマイズは、上手に活用することで追加購入や再購入などをもたらし、AOVを向上させます。また、適切な情報を提供することで問い合わせを減らし購買体験を向上させることも可能です。
ただし、多数のアプリから自社に必要な機能があるアプリを探すのも大変ですし、カスタマイズによってデザインの一貫性やブランディングに影響を与えてしまうかもしれません。
チェックアウトページに関わる改変は、ECサイトではもっとも重要な箇所となります。どのようなカスタマイズを行うべきか迷ったら、プロに相談してみるのもよいでしょう。日本有数のShopify PremierパートナーのWEBLIFEが提供するBiNDecでは、Shopifyの導入・運用のご相談を承っています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。