「ルミアグラス」(LUMIURGLAS)は、ECモールやリテールといった販売チャネルを活用しながらも、早い段階から自社ECを立ち上げ、ブランドと顧客の関係づくりに取り組んできたコスメブランドです。売上だけでなく、顧客理解やファンとの継続的な接点を重視してきた背景には、どのような考えがあったのか。
今回は株式会社カティグレイス ルミアグラス ブランドマネージャーの影山 千尋氏とディレクターの前木 裕香氏に、チャネル選択の理由と、ファン育成への向き合い方を伺いました。ECサイトの立ち上げ当初からシステム面を支えてきたWEBLIFE代表の山岡 義正を交え、少人数でのEC運営の秘訣や、顧客の「顔」が見えるコミュニティ戦略、そしてAI時代のShopify活用について紐解きます。
EC発コスメ「ルミアグラス」の誕生と自社ECを基盤としたブランドづくり

2020年に誕生したルミアグラスは、ブランドの立ち上げ当初からWEBLIFEのShopify構築・運用支援サービス「BiNDec」を採用し、自社ECサイトを構築しました。自社ECを基盤としながらECモール、バラエティショップでのリテール販売など、複数のチャネルを持つコスメブランドです。
ブランドを象徴するのは、高品質と手に取りやすい価格を両立させている、税込1,650円のリキッドアイライナー「スキルレスライナー」です。通常、低価格帯のコスメは、リテールやセール開催が頻繁なECモールでの購入が中心となりがちですが、ルミアグラスは自社ECサイトの利用も活発である点に特徴があります。
その土台にあるのは、低価格でありながら高品質という製品力であり、品質をシビアに見極める30代がメインユーザーとして定着している事実は、そのクオリティが本物であることの裏付けと言えます。そして、この製品満足度を入り口に、自社ECを基盤としたファンマーケティングへ繋げることで、価格や利便性を超えて、あえて公式サイトを選ぶロイヤル顧客が集まっているのです。
D2Cのスタート時からShopifyを選択。ブランドの成長を支えるシステム基盤
ECの始まりを支えたのは、自分たちの手で運用できるシステムと、それを裏で支えるパートナーの存在でした。日本でShopifyが広く普及する前からその可能性に着目していたルミアグラス。なぜ当時、まだ新しい選択肢だったShopifyを選んだのか、そして現在、ブランド運営4名、うちEC担当は1名という少数精鋭でどのように運用を回しているのか、その裏側に迫ります。
リソースが限られるEC立ち上げを成功に導く「Shopifyパートナー」の選び方
ルミアグラスがブランド構想を練り始めた2019年当時、Shopifyを選定した一番の理由は、世界観を伝えられるブランドサイトの側面と、商品を販売するEC機能が一つで完結できる点でした。
そして、社内にEC構築の専門的なリソースが限られる中でのスタートを支えたのが、BiNDecとのパートナーシップです。数あるShopifyパートナーの中で最終的な決め手となったのは、EC事業をどう成長させていくかという根本の部分から相談できる点でした。
初めてのECビジネスでは「何から手をつければいいかわからない」という状況に陥りがちですが、BiNDecの支援の特徴は、ECサイトを作るだけでなく、ロジスティクスの最適化や、立ち上げ後の日々の運用、裏側の業務フローに至るまで、売上を伸ばすために必要なすべての活動を一貫してサポートすることにあります。
「立ち上げ当時は社内にECのノウハウが全くなく、手探りの状態でした。そんな中で、BiNDecは物理的にも心理的にも近い距離でサポートしてくれました。その『相談のしやすさ』が、何より心強かったと聞いています」
そう話すのは、ルミアグラス ブランドマネージャーの影山氏。当時のルミアグラス担当者の選定理由には、システムの実装力以上に、不安の多い立ち上げ期を共に走り、ビジネスを軌道に乗せてくれるパートナーとしての安心感があったと言います。

こうした、将来ブランドが大きく成長した時にも対応できる技術的な引き出しで、立ち上げ期のスタートアップから大規模なD2Cブランドまで、どのようなフェーズであってもビジネスの成長を止めない最適なサポートを提供しています。
施策回転を加速させる、自走型EC構築とカスタマーサポート
ECサイト運営、SNS発信、広告、物流管理に至るまで、商品企画から多岐にわたる業務を少人数で回せている大きな要因は、Shopifyの使いやすさにあります。ECサイト担当のルミアグラス ディレクターの前木氏は、「自分たちの業務フローに合わせたサポートがあったので、そのレクチャーをベースに画像の差し替えなどが直感的に行えるようになった」と導入当時を振り返ります。
ShopifyでECサイトを構築して終わりではなく、自分たちの手で使いこなせるようになるまでの運用実務ラーニングの実施と、継続的なカスタマーサポートを提供している点も、BiNDecの支援の特徴です。
日常的な更新作業は社内で完結させ、より高度な機能実装やトラブル対応といったグロース支援・保守はBiNDecに任せる。この「攻めと守りの役割分担」が明確になっているからこそ、ECサイト運営で本来注力すべきマーケティング施策に集中できるのです。
モールと自社ECの役割を再定義—見えなかった顧客の“顔”を知る
多くのブランドが成長の過程で直面するのが、「商品は売れているのに、どんな人が買っているのか分からない」という課題です。モールや卸販売は、認知拡大や売上規模の拡大には欠かせませんが、そこには具体的な顧客の「顔」が見えにくいという側面があります。ルミアグラスもまた、販売チャネル拡大の過程でこの壁に直面し、だからこそ自社ECサイトの役割を再定義しました。
ここでは、ECモールと自社ECサイトの役割分担、そして「誰の声を大事にするのか」というブランドの決意が生んだコミュニティ戦略について掘り下げます。
「誰が買ったか」がわからない。モール・リテール販売の課題を解決するECデータ活用
ルミアグラスでは、楽天やAmazonなどのECモールや、バラエティショップ、ドラッグストアなどの実店舗を「ブランドを知ってもらうための入り口(認知・トライアル)」として、そしてShopifyで構築した自社ECサイトは、そこから一歩踏み込んで「お客様を知り、長く深い関係を築くためのホーム(本拠地)」と考えています。
ECモール販売だけに頼る最大のリスクは、顧客データが自社の資産にならないことです。どの年代の、どんな嗜好の人が、どれくらいの頻度でリピートしているのか。次の商品開発やマーケティング戦略を描くためにも、そんな生きたデータを蓄積できるのは、自社ECサイトならではの強みです。
山岡は「ただ売って終わりではなく、顧客データを自分たちで持ち、分析し、育てることこそが、未来のブランド戦略を練るための最大の武器になる」と語ります。手数料を払って場所を借りるのではなく、自分たちの資産となる場所を持つ。それが、長期的にブランドを存続させるための必須条件です。

ターゲット選定の迷いを解消する、自社ECのロイヤル顧客分析と商品開発
自社のECサイトで土台を作りつつ、さらに顧客の解像度を高めるためにルミアグラスが取り組んでいるのがファンコミュニティ「LUMIURGLAS+」の運営です。この取り組みが始まったきっかけは、商品ラインナップの拡大を検討したタイミングでした。

オフライン店舗への展開が進み、多くのお客様に商品を届けられるようになった一方で、チームは誰が商品を手に取ってくれているのか、具体的な顔が見えにくい、という課題を感じていました。 特に、新しい商品やカラーの追加を企画する際、より多くの方に届くようになった今だからこそ、誰の声を最も大切にしてものづくりを進めるべきかを改めて問い直す必要がありました。
その時、チームが目を向けたのが、自社のECサイトを長く利用し続けてくれているお客様の存在でした。
「この先を考えた時、誰の声を大事にするのか。改めて考えると、やっぱり自社ECにはブランドを長く信じてついてきてくれたお客様が確実にいらっしゃる。その人たちの声を一番に大事にしたい。そう気づいたんです」影山氏はそう振り返ります。

顔の見えないマスに向けて作るのではなく、ずっと応援してくれる「あの人」のために作る。その想いを実現するために、直接対話ができる場所としてファンコミュニティを立ち上げました。ここでは商品に対する意見だけでなく、美容やライフスタイルについて本音で語り合うことができ、ブランドとファンの垣根を超えた信頼関係が育まれています。
熱量を売上につなげるファンコミュニティとShopifyで定性・定量データを統合活用
コミュニティで醸成された「熱量(定性データ)」はブランドの宝ですが、それだけでは具体的なマーケティング施策に落とし込みにくいという側面があります。そこで重要になるのが、Shopifyが持つ強力な「定量データ」と「AIによる分析機能」の活用です。
ルミアグラスが目指すのは、コミュニティで見える「ファンの顔」と、Shopifyに蓄積される「購買データ」を統合し、より一人ひとりに寄り添った提案を行うことです。これを実現する具体的な機能として、山岡はShopifyの「顧客セグメント」とAIアシスタント「Sidekick(サイドキック)」の可能性を挙げます。
AI分析で優良顧客を自動抽出。Shopify Sidekickで実現する1to1施策
通常、膨大な顧客データの中から「特定の条件に合う人」を探し出すには、複雑なデータ分析スキルが必要です。しかし、Sidekickを使えば、管理画面で「この商品を買ったことのある、30代のロイヤルカスタマーをリストアップして」とチャットで指示するだけで、AIが瞬時に条件に合う顧客グループ(セグメント)を自動生成してくれます。

これにより、MAツールと連携をして、例えば「コミュニティで話題になっているマスカラの使い方」を、「過去にそのマスカラを購入したけれど、最近リピートがないお客様」だけにピンポイントでメール配信するなどといった、極めて精度の高いアプローチも可能になります。
画一的な一斉送信ではなく、一人ひとりの興味関心や熱量に合わせた1to1のコミュニケーションを行う。Shopifyのテクノロジーは、少人数の運営体制であっても、まるで対面接客のような「おもてなし」を可能にする基盤となっています。
化粧品・ヘルスケアブランドにおすすめのEC施策を知るならこの1冊!ぜひ併せてご覧ください。
ブランドリニューアルとEC刷新|施策を止めない成長基盤の再構築
今回のリニューアルでは、トップページのデザイン刷新に加え、ブランドの核となるフィロソフィーページを新設しました。しかし、重視したのは見た目を変えることだけではありません。それは、これからやりたい施策をスピーディーに実行できる環境を作ることです。

アイデアを即座に形に|BiNDecが叶えるマーケティングを加速させるためのEC基盤
多くのブランドが直面するのが、「この施策をやりたい」と思っても、システムの制約や開発コストが壁となり、実行に移せないというジレンマです。 特に、構築から時間が経過した環境では、最新の施策を試すための基盤が整わず、スピード感が損なわれるケースも少なくありません。
ルミアグラスでは、こうした「やりたいのにできない」時間をなくし、マーケティング判断を最速で実行するために、今回のリニューアルでECサイトの基盤となるテーマ(テンプレート)自体を刷新しました。
新しい環境では、コスメECで効果的な「お気に入り機能」や「レコメンド表示」、さらにファン育成のためのポイントやノベルティといった機能が、すぐに使える状態で備わっています。一時的な売上のためではなく、施策を重ねながらブランドを育て続けるために、最初から“試せる・変えられる・積み重ねられる”仕組みを用意しておくこの「止まらない設計」こそが、これから様々なチャレンジを仕掛けていくルミアグラスにとって、大きな武器になっていくのです。

Shopifyは拡張性が高い反面、数千以上あるアプリの中から「自社に最適で、干渉し合わないアプリ」を探し出し、検証する手間が発生します。これが施策実行のスピードを鈍らせる一因です。
BiNDec独自のShopifyテーマには、数多くの支援実績から導き出されたECに必要な機能があらかじめ標準実装されています。さらに、BiNDecが独自開発したアプリや、プロの目で厳選・検証されたShopifyアプリがセットになっているため、アプリ探しの手間はゼロ。システム調査や不具合のリスクに時間を取られることなく、ブランド担当者は本来のマーケティング業務に集中できる環境を提供しています。
市場競争の優位性を築く先進的な戦略。AIとプラットフォームの進化が味方に
Shopifyを利用する最大のメリットは、プラットフォーム自体が常に進化し、最新の技術が搭載されていく点です。中でも注目したいのが、日本対応も目前であるShopifyとOpenAIの「ChatGPT」の連携です。Shopifyに商品を登録しておけば、裏側でデータが整えられ「これは誰におすすめすべき商品か」をChatGPTが正しく理解してくれる。それにより、チャットの会話の中で商品が提案され、画面から移動することなくその場で購入まで完結するという、新しい購買体験が当たり前になる時代がすぐそこまで来ています。

「多くのコスメブランドがある中でお客様に選ばれ続けるためには、他社にはない新しい価値の提供が不可欠です。だからこそ、最新技術は積極的に取り入れたい。AIによる効率化など、ぜひ活用していきたいですね」
影山氏がそう語るように、進化するプラットフォームの機能の活用を推進することこそが、少人数で市場を勝ち抜くための重要な戦略となっていきます。
売上拡大と「長く愛されるブランド作り」を両立。LTVを高めるための自社EC戦略
ルミアグラスは、お客様の声から生まれたマスカラのリリースや、ブランドサイトのリニューアルなど、常に進化を続けています。その中心にあるのは、常に「自社ECサイト」というホームグラウンドと、そこに集まるファンの存在です。

影山氏は、自社ECを持つ意味をこう伝えます。
「ブランドごとの考え方だとは思うのですが、私は最終的に『自社のページで買ってもらうこと』がゴールだと思っています。モールはあくまで、新規のお客様との入り口として活用していく。そこから密にコミュニケーションを取りながら、長くお付き合いをしていく場所は、やはり自社サイトなんです。
長い目でブランドを育て、続けていくのであれば、自社サイトを持つことはマストになってきます。単に『買える状態』を作るだけでなく、その過程にあるコンテンツをどう作り上げていくか。そこを追求できる点がShopifyの魅力ですよ。」
共にブランドを育てるパートナーとして。コスメECの構築はBiNDecへご相談ください

たとえ少人数のチームであっても、ルミアグラスのように、Shopifyのような適切なプラットフォームと信頼できるパートナーがいれば、顧客と深くつながり、熱量の高いブランドを育てることができます。
BiNDecは、ブランドの成長フェーズに合わせて、日々の運用を効率化する独自アプリの提供、そしてAIなどの最新テクノロジーの実装まで、ビジネスの成長をトータルで支援する「戦略的パートナー」です。
- モール販売だけでなく、自社ECサイトで顧客データを資産化したい
- 少人数体制でも、売上規模を拡大できる効率的な運用フローを構築したい
- 「顔の見える」顧客関係を築き、LTV(顧客生涯価値)を高めたい
このような課題をお持ちのブランド担当者様は、ぜひBiNDecにご相談ください。貴社のブランドが持つ可能性を、テクノロジーとノウハウで最大化するお手伝いをいたします。
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