Shopify Marketsで越境BtoB ECを作るには?基本機能と活用のポイントを解説

Shopify Marketsで越境BtoB ECを作るには?基本機能と活用のポイントを解説

この記事でわかること

  • Shopify Marketsは一つのECサイトから複数の国・地域の販売を一元管理できる機能
  • ShopifyのBtoB機能と組み合わせることで法人取引に必要な設定が可能になる
  • 物流整備やShopify Paymentsの導入など、Markets以外の準備も並行して進める

海外の小売企業に向けて、BtoB ECで取引をするには、通貨や言語の違い、国ごとに異なる税制や関税などさまざまな課題が上がります。そうした課題を解決する手段として注目されているのが、Shopifyが提供する各マーケットの管理機能「Shopify Markets」です。この記事では、Shopify Marketsの基本的な仕組みから、BtoB取引における具体的な活用方法、導入時の注意点までをわかりやすく解説します。

Shopify Marketsとは?基本機能をわかりやすく解説

Shopify Marketsは、一つのECサイトから複数の国や地域への販売を一元管理できる機能です。多言語・多通貨への対応や関税の自動計算など、越境ECで必要になる設定をまとめて管理できる点が特徴です。

Shopify Markets

Shopify Marketsの概要と登場背景

Shopify Marketsは、一つのECサイトから複数の国や地域に向けて販売を管理できる機能です。2022年に正式リリースされ、それまで別々のECサイトを立ち上げる必要があった多地域展開を、単一の管理画面から行えるようになりました。

登場の背景には、越境ECの急速な拡大があります。Shopifyを利用する事業者が海外市場へ進出するケースが増える中、地域ごとにECサイトを分けて運用するのはコストや手間がかかるという課題がありました。Shopify Marketsはその問題を解消するために開発された機能であり、グローバル展開のハードルを大幅に下げることを目的として設計されています。

Shopify Marketsでできる4つのこと

Shopify Marketsが提供する主な機能は、以下の4つです。

1. 多通貨対応
バイヤーの所在地に応じた通貨での価格表示が可能で、Shopify Paymentsを利用することで現地通貨での決済にも対応できます。為替レートの自動換算だけでなく、地域ごとに固定価格を設定することもできます。

2. 多言語対応
ECサイトのテキストをバイヤーの言語に合わせて表示できます。Shopifyの自動翻訳機能を活用しつつ、必要に応じて手動で内容を調整することも可能です。

3. 関税・税率の自動計算
国や地域ごとに異なる関税や消費税をShopifyが自動で計算し、チェックアウト時にバイヤーへ明示できます。

4. ドメイン・サブドメインの分割管理
地域ごとに異なるURLを設定でき、SEO上の評価を地域別に最適化することができます。

通常のShopifyのECサイトとの違い

Shopify Marketsを使わない場合、海外市場向けに別のECサイトを新たに構築するか、一つのECサイトで全地域を同じ条件で対応するかのどちらかになります。前者はコストと運用負荷が高く、後者は顧客体験の質が下がりやすいという問題があります。

Shopify Marketsを導入すると、一つのECサイトのまま、地域ごとに異なる価格・言語・通貨・ドメインを使い分けることができます。商品情報や在庫の管理は共通の管理画面で完結するため、運用コストを抑えながら複数市場への対応が可能になります。すでにShopifyでECサイトを運営している事業者にとっては、既存のECを活かしたまま越境販売へ踏み出せる点が大きなメリットです。

BtoB ECとShopify Marketsの相性

BtoB ECで海外展開を進めるには、BtoCとは異なる商習慣や取引条件への対応が求められます。このセクションでは、越境BtoB特有の課題とShopify Marketsがその解決にどう機能するかを整理します。

BtoB取引でよくある越境の壁と、Shopify Marketsによる解決方法

海外の小売企業やバイヤーとBtoB ECで取引を進めようとすると、BtoCにはない複数の障壁が生じます。それぞれの課題に対して、Shopify Marketsがどう機能するかを整理します。

通貨・為替の問題

海外バイヤーへの価格提示は現地通貨で行うのが基本ですが、為替変動によって利益率が変わるリスクがあります。Shopify Marketsでは地域ごとに通貨と価格を個別に設定できるため、為替リスクを考慮した固定価格をバイヤー向けに提示することが可能です。

言語対応の負担

商品説明や取引条件を現地語で提供しなければ、バイヤーの信頼を得ることが難しくなります。Shopifyの自動翻訳機能を活用することで工数を削減しつつ、重要なコンテンツは手動で調整する効率的なローカライズ運用が可能です。
高精度の言語翻訳は専門アプリの導入がおすすめです。詳しくは下記の記事をご覧ください。

関税・税制への対応

国や地域によって関税率や消費税の扱いが異なり、チェックアウト時に正確な費用を提示できないと取引が成立しにくくなります。Shopify Marketsでは関税・輸入税の計算・徴収機能(Duties and Import Taxes)を利用でき、BtoBバイヤーが求める価格の透明性を確保できます。この機能はManaged Marketsとは独立しており、全プランで利用可能です。

与信・支払い条件の違い

BtoBでは後払いや請求書払いなど、BtoCとは異なる支払い条件が求められるケースが多くあります。Shopify MarketsとShopifyのBtoB機能を組み合わせることで、法人取引に必要な支払い条件をECサイト上で管理することができます。

現在、日本では一部機能に制限あり

関税計算の自動化や現地決済手段の包括的な管理を担うManaged Marketsは、現時点で日本マーチャントには非対応です。ただし、関税・輸入税の計算・徴収機能(Duties and Import Taxes)はManaged Marketsとは別の機能であり、通常のMarketsでも利用できます。

言語・カタログ・配送の出し分けといった基本的な機能は問題なく利用できます。また、現地通貨での決済についても、日本ではShopify Paymentsを利用することで多通貨決済に対応することが可能です。

なお、Managed MarketsはBtoB注文には非対応のため、BtoB取引では自社がMerchant of Recordとして対応する必要があります。将来的にManaged Marketsが日本でも利用可能になった場合も、BtoB注文での利用には制約が残る点を念頭に置いておきましょう。

BtoCとBtoBで使い方はどう違うのか

Shopify MarketsはBtoC向けでも利用されていますが、BtoB ECでも有効に活用できます。両者の使い方の違いを理解しておくと、自社の運用に合った設定がしやすくなります。

BtoCでは、不特定多数の消費者に対して地域ごとに最適化された購買体験を提供することが主な目的です。一方BtoBでは、特定のバイヤーや企業グループに対して、卸値・専用カタログ・支払い条件といった個別の取引条件を設定することがより重要になります。

Shopify Marketsの地域別設定はBtoBでもそのまま活用できますが、バイヤーごとの価格管理や請求書払いへの対応には、ShopifyのBtoB機能と組み合わせて使うことで、より実務に即した運用が可能になります。BtoBでShopify Marketsを活用する際は、Markets単体の機能と、BtoB機能との役割分担を整理しておくことが重要です。

Shopify MarketsのBtoB向け主要機能を詳しく見る

ここでは、BtoB ECの文脈で特に重要になるShopify Marketsの機能を一つずつ紹介していきます。それぞれの機能がどのような場面で役立つか知っておきましょう。

地域別の価格・通貨設定

Shopify Marketsでは、マーケットごとに異なる通貨と価格を設定できます。為替レートに連動した自動換算のほか、地域ごとに固定価格を手動で設定することも可能です。

BtoB取引では、バイヤーの所在地や取引量に応じて価格を変えるケースが多くあります。マーケット単位で価格を管理できるため、地域ごとの卸値設定や価格戦略を反映させることができます。為替変動の影響を受けたくない場合は固定価格を設定することで、利益率を安定させた状態でバイヤーへの価格提示が可能になります。

多言語対応とローカライズ

Shopify Marketsでは、マーケットごとに表示言語を設定できます。Shopifyが提供する自動翻訳機能を使えば、商品名や説明文などのコンテンツをまとめて翻訳することが可能です。

ただし、自動翻訳はあくまで補助的な手段として位置づけることが重要です。BtoB取引では、取引条件や商品仕様の説明に誤訳があるとバイヤーとのトラブルに発展するリスクがあります。自動翻訳で全体の工数を削減しつつ、重要なページや文言は人の手で確認・修正する運用が現実的です。また、翻訳の精度を高めたい場合は、専門の翻訳アプリとの連携も検討してみてください。

関税・税率の自動計算

国や地域ごとに異なる関税や消費税をShopifyが自動で計算し、チェックアウト時にバイヤーへ明示できます。バイヤーが購入前に総コストを把握できるため、価格の透明性が高まり、取引の意思決定をスムーズに進められます。

この関税・輸入税の計算・徴収機能(Duties and Import Taxes)はManaged Marketsとは独立した機能であり、全プランで利用できます。BtoB取引では関税や税率の扱いが請求金額に直接影響するため、この機能を活用して正確なコストをバイヤーに提示することが重要です。より包括的な越境対応が必要な場合は、Global-eなどのサードパーティアプリとの組み合わせも選択肢の一つです。

ドメイン・サブドメインの分割管理

Shopify Marketsでは、マーケットごとに異なるドメインやサブドメインを設定できます。たとえば、日本向けはjp.example.com、北米向けはus.example.comといった形で、地域ごとにURLを分けて運用することが可能です。

この設定はSEO上のメリットにもつながります。地域ごとに独立したURLを持つことで、各マーケットの検索エンジンに対して適切にコンテンツを評価させることができ、現地での検索流入を獲得しやすくなります。BtoBの越境ECでは、バイヤーが取引先を検索で探すケースも多いため、地域ごとのSEO対策はブランドの信頼性向上にも寄与します。

Shopify MarketsをBtoB ECに活用する際の注意点と導入の流れ

Shopify Marketsは越境BtoB ECの展開を効率化できる一方、導入前に把握しておくべき制約や準備事項があります。ここでは、実際に活用する際に押さえておきたい注意点を整理します。

プランによって使える機能に差がある

より高度なB2B機能を活用するには、上位プランへのアップグレードが必要になるケースがあります。たとえば、数量ルールやボリュームディスカウント、支払い条件といったB2Bの基本機能はBasic・Grow・Advancedプランでも利用可能です。

一方、企業・拠点ごとへの個別カタログ直接割り当て(個社交渉価格)、カタログ数の無制限利用、デポジット要件・分割払い・フルフィルメントごとの支払いリクエストといった高度な支払い機能はShopify Plusプランでのみ利用できます。

また、マーケットごとのコンテキストストアフロントやコンテキストチェックアウトはAdvanced以上のプランで利用可能です。Shopify MarketsとShopify PlusのB2B機能を組み合わせることで、越境販売と法人取引の両方に対応した本格的なBtoB ECの運用が可能になります。導入前にどの機能が必要かを整理したうえで、適切なプランを選択することが重要です。
Shopfiyのプランについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

ローカライズは自動化だけでは限界がある

Shopifyの自動翻訳機能を使えば、コンテンツのローカライズにかかる工数を大幅に削減できます。しかし、自動翻訳の精度はすべての言語・文脈で均一ではなく、専門用語や商習慣に即した表現には対応しきれない場合があります。

自動翻訳はあくまで作業効率化の手段として活用しつつ、重要なページや文言はネイティブチェックを行う運用体制を整えることが望ましいです。ローカライズの品質にこだわる場合は、専門の翻訳アプリや越境ECを支援するShopifyパートナーへの依頼も視野に入れておきましょう。

物流・決済連携も合わせて検討が必要

Shopify Marketsはあくまでも販売チャネルの管理機能であり、物流と決済の整備を並行して進める必要があります。

物流面では、海外への発送に対応したフォワーダーや配送業者の選定、梱包・通関書類の準備が必要です。BtoB取引では大口の受注が発生するケースも多く、国内BtoCとは異なる物流体制の構築が求められます。

決済面では、現地通貨でのチェックアウト決済にはShopify PaymentsまたはAdyenが必要です。日本ではShopify Paymentsが利用可能なため、これを導入することで多通貨決済に対応できます。Shopify Marketsの機能だけで越境ECが完結するわけではない点を念頭に置き、全体の仕組みを整えることが重要です。

Shopify MarketsはBtoB越境ECの入口として有効

Shopify Marketsは、一つのECサイトから複数の国や地域への販売を効率的に管理できる機能です。多通貨・多言語対応、関税の自動計算、ドメインの分割管理など、越境BtoB ECで必要になる仕組みを一元的に整備できる点が大きな強みです。

一方で、日本マーチャントへのManaged Marketsの制限や、物流・決済の別途整備が必要な点など、Shopify Marketsだけで越境ECのすべてが完結するわけではありません。自社の取引条件や販売先に合わせて、標準機能と外部サービスを適切に組み合わせることが重要です。

越境BtoB ECの立ち上げや運用でお困りの際は、BtoB EC・越境ECともに支援実績が豊富なBiNDecにご相談ください。貴社の販売体制や取引条件に合わせた最適な構成をご提案します。

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