AI時代のECで売上を伸ばせるかどうかは、発見・購入体験の設計で決まります。AIに発見してもらえているか、発見した顧客を購入まで導けているか。この2つの問いに答えることが出発点で、国内市場で手応えをつかんだ先には、グローバル展開という3つ目の問いも見えてきます。
この2点、そしてその先のグローバル対応を同時に満たすEC基盤として、いま多くのEC事業者が選ぶのがShopifyです。AIとの親和性・決済拡張の柔軟性・多言語多通貨のグローバル対応を標準で備えるShopifyは、AI時代のECに求められる条件を構造ごと整えられるプラットフォームです。
ただし、Shopifyを導入するだけで売上が伸びるわけではありません。どう設計し、どう運用し、どの専門家と組むか。その答えを、決済代行サービスKOMOJUとShopify構築・運用支援サービスBiNDec(WEBLIFE)がEC業界の注目カンファレンス「commerceNEXT」で語りました。この記事では、当日のセッションや、時間の関係でお伝えできなかった部分までお届けします。

AIが商品の「発見」を担う時代に、EC事業者がやるべきことは何か
AIが、我々の購買行動を変えつつあります。「発見はAIで、購入はECで、というのが今のAIにおけるコマースのトレンドです。EC事業者様としては、AIの役割と自分たちの役割をしっかり理解した上で、その掛け算をしていくことがすごく大事だと考えています」と松岡氏が語るその背景には、何があるのでしょうか。

消費者の55%がAIで商品を探す時代に、EC事業者はどう動くべきか
OpenAIは2026年3月、ChatGPT上での商品発見支援に注力する方針を発表しました。

そして、消費者の55%がすでに製品リサーチにAIを利用しており(※1)、AI検索経由の購買は15倍に増加し、平均注文額(AOV)は他チャネルと比較して30%高いというデータも出ています(※2)。
こうした数値が示すのは、AIが商品との出会いを作る役割を着実に担い始めているという現実です。
※1:Adobe 2025 Consumer Trends、※2:Shopify社、2025年1月以降のデータ
一方で、AIを活用できている事業者とそうでない事業者の格差はすでに広がり始めています。「EC事業者さん自身がAIを試行錯誤している状態で、使い方がわからないという声はまだ多い。ただ数年したら当たり前になる」と山岡も話すように、AIはまだ普及の途上にあります。

GEOとは?AIに「発見」してもらうためにEC事業者が取り組むべき対策
GEO(生成エンジン最適化)とは、GoogleなどのSEO対策が検索結果の上位に表示されるための対策であるのに対し、ChatGPTなどのAIの回答の中に自社の商品・サービスを登場させるための対策です。SEOに加えてGEOへの対応が、AI時代のEC事業者に求められる新しい取り組みです。
具体的には3つのアプローチが重要です。①AIに引用されやすい商品説明の整備、②レビューや実績など信頼の証拠を揃えること、③AIが読み取りやすい構造化データと商品スペックの整理です。

山岡が「ハイテクな話をしているように聞こえるかもしれませんが、結局アナログに自分たちの商品の強みを考えて、そういったところを磨くことが必要」と話すように、GEO対策の出発点は商品そのものの理解です。AIはその情報を正確に読み取ってユーザーにお勧めしてくれるので、まずは商品データの整備から始めることが、GEO対策の現実的な第一歩になるでしょう。
また、SEOとGEOは対立するものではなく、両方を同時に整備することで相乗効果が生まれます。構造化データや商品スペックの整理はSEOにも有効であるため、GEOへの取り組みがSEOの改善にもつながります。
さらに今後重要になる、ユニバーサルコマースプロトコル(UCP)とは

ユニバーサルコマースプロトコル(UCP)とは、ShopifyやTikTok・Googleなど異なるプラットフォーム間で商品データの構造を統一し、AIからの発見・推薦がされやすくなる仕組みです。
ShopifyとGoogleらが共同で開発しており、Shopifyは開発側として参画しています。「Shopifyで商品をしっかり登録して構造を整えておくと、UCPを通じてAIにお勧めされやすくなる」と山岡も話しており、EC基盤としてShopifyを選ぶことがAI時代の発見力に直結しています。
ShopifyがAI時代の基盤として選ばれる理由。年間2,000億円の投資が意味すること
ShopifyがAI時代の基盤として選ばれる理由のひとつは、年間2,054億円のR&D投資と年間450以上の新機能リリースによる、継続的な進化速度にあります。
Shopifyは世界175カ国のECサイトに採用されているため、年間で9億以上の消費者の購入データがShopifyに集まります。そのデータを活用した「Shopify Network Intelligence」もそのひとつであり、精度の高い分析・提案を叶えます。
「Shopifyはここ2年でAIと共にめちゃめちゃ進化している状態です。9億人の購買データをベースにしたAI基盤は、なかなかShopify以外にはできない。その9億人の母数からの分析というところで、新しい開発とかにも繋がっているのかなと思ってます」と山岡は話します。

他にも、代表的なAI機能として下記の3つが挙げられます。
- Sidekick(Shopify独自のAIアシスタント)
- Shopify Magic(商品説明文・メルマガ原稿の自動生成・商品画像の背景置換)
- Shopify SimGym(ペルソナを持つAIショッパーが購買行動をシミュレーション)
中でも、よくEC事業者も使いこなしていると山岡が話すのがSidekickです。「管理画面の右サイドバーにSidekickが常駐していて、困ったら何でも聞けます。『先月売上が落ちたんだけど、なんでだろう』とか、『在庫が余っているものがあったらセールにかけたいんだけど』とか、そういった相談をすると、Shopifyの中を巡回して答えてくれます」。

ShopifyのAI機能について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
決済方法の不足で6割以上が離脱する。AIが連れてきた顧客をどう迎えるか
AIが新規顧客の流入を増やす時代に、購入直前の「決済体験」が売上のボトルネックになっています。希望する決済方法がない場合、63.4%のユーザーが離脱するというデータ(※)もあるのです。

「CVRって本当に0.5%を上げるかのせめぎ合い」と山岡も言うように、EC事業者の皆様は日々わずかな改善に全力を注いでいると思います。それだけに、決済手段の不備が原因で6割以上が離脱しているという現実は、見過ごせない機会損失です。
AIの普及によって、これまで接点のなかった新規顧客がECに流入する機会は増えていきます。購入機会が広がる一方で、使い慣れた決済手段が用意されていなければユーザーは離脱してしまいます。「決済をインフラとして捉えていただくことが重要だと考えています」と松岡氏が繰り返し強調するのは、この構造を踏まえてのことです。
日本国内での決済手段の傾向として、クレジットカード払いが最多(79.8%)であるほか、コンビニ払いが33.7%と依然高い水準を保っています。また近年ではQRコード決済(PayPay・楽天ペイ・au PAYなど)が躍進しています。
「AIがこれだけ進化しているのに、決済においては昔からの手段と新しい手段がミックスされている」と松岡氏が指摘するように、決済の世界はAIの進化とは別の軸で動いています。自社のユーザー属性をしっかり見た上で、どの決済が必要かを判断することが大切です。

EC設計と決済インフラ、なぜ両方を整えなければ売上は最大化しないのか
EC設計と決済インフラは、どちらか一方を整えるだけでは売上の最大化はできません。発見してもらう設計と購入を完結させる決済の両方が揃って初めて、AI時代のECは機能します。そこで、頼りにしていただきたいのが、BiNDecとKOMOJUです。

BiNDecはShopifyを活用したEC全体の戦略設計・構築・運用支援を担います。そして、KOMOJUはShopify日本参入当初から国内初の決済パートナーとして支援を続けており、現在は20,000ストア以上への導入実績を持ちます。双方の専門性を最大限に活かすよう、密に情報交換を行い連携を強化しています。
ShopifyとKOMOJUの親和性として特に評価されているのは3点です。
- ノーコード接続でアプリをインストールするだけで導入できる
- Shopifyの管理画面とKOMOJUの管理画面がリアルタイムで自動連携される
- 国内外の豊富な決済手段をひとつの契約でカバーできる
リアルタイム連携の実務的なメリットについて、「決済を増やした後に、経理部の方がデータの突き合わせをしないといけないケースは少なくないのですが、KOMOJUの場合はShopifyとデータが自動連携されるので、手作業で変更する必要がない。決済を増やしても業務負荷が増えない、というのがご評価いただいているポイントです」と松岡氏は補足します。
決済の導入ハードルを下げることも、KOMOJUが重視している点です。審査手続きはすべてオンラインで完結し、決済手段ごとに審査期間の目安も管理画面上で確認できます。社内稟議が必要な場面でも、コストとスケジュールを事前に可視化できる設計になっています。
攻めの不正対策で、承認率を上げて売上を伸ばす仕組み
2025年のクレジットカード不正利用被害額は510億円超(※)にのぼります。AIによって流入する新規顧客の中には、これまでそのECサイトと接点のなかったユーザーも多く含まれます。初めてアクセスするユーザーが増えるほど不正利用の試みも比例して増えやすくなるため、流入増加と不正検知の強化は一体で考える必要があります。

また、不正利用などを理由に消費者がカード会社に申請することで事業者が売上を取り消される仕組みであるチャージバック。そのチャージバックが多発すると、カード会社のリスク評価が下がり、正規の決済までブロックされる可能性があります。
そういった観点からも、不正対策を強化すると承認率が上がり、売上が増えます。理由は、不正が少ない加盟店はカード会社から安全と評価され、正規の決済が通りやすくなるからです。

「不正対策がしっかりしていると、不正検知のチューニングやチャージバック対応にリソースを割かなくていいので、攻めの戦略にリソースを割くことができます。それこそ、AIの使い方をBiNDecさんに相談して売上を伸ばす、というところにリソースを集中できます」と松岡氏が語るように、不正対策は守りの施策ではなく、事業のリソースを解放するための土台なのです。
世界で売れるECになるために押さえるべき設計と決済とは
グローバル展開で成果が出にくい理由のひとつは、国内で成功したEC設計と決済をそのまま海外に持ち込むことにあります。日本・韓国・北米では消費者特性も決済習慣もまったく異なります。ここでは、その背景を見ていきましょう。
世界各国と日本のEC環境の比較
近年の海外のEC化率を見ると、韓国が27%、アメリカ16%など、日本の10%以下のEC化率と比較するとその差は大きいです。
ですが、「裏を返せば90%の開拓余地があります。海外のノウハウとAIを組み合わせれば、グローバルで売上を伸ばせる環境は十分あります」と山岡は語ります。
消費者特性も大きく異なります。日本は高品質・安全性・詳細な商品説明を重視するのに対し、韓国はビジュアルや印象重視でSNS・ライブコマースが購買の入口です。北米ではAmazon基準である翌日〜2日以内の配送が消費者の最低期待値となっています(eMarketer 2024年調査)。
山岡は以前登壇した韓国企業の日本進出支援ウェビナー(K2J)でもこの違いを実感したと言います。「日本の方々はめちゃめちゃ調べて買う。SNS見たり友達に聞いたりして、商品ページに来ても機能性などを確認してから買う。韓国の方はイメージで買う。同じShopifyで構築しても、各国の文化に合わせてビジュアルから変えないといけない」。
日本と比較した韓国の決済習慣の違い
消費者特性の違いはUIやコンテンツ設計に影響しますが、購入の最終段階である決済習慣の違いも同様に重要です。
韓国では現金利用率が6%と世界的に低く、ネイバーペイ・カカオペイなど独自のデジタルウォレットが主流です。VISAやMastercardなど国際ブランドの市場シェアはわずか3%にとどまります(Worldpay Global Payments Report 2025)。
現地のチームメンバーへのヒアリングを通じて最適な決済手段を提供するKOMOJUのアプローチは、こうした国ごとの違いを踏まえたものです。日本の決済を入れるのと同じ感覚で、韓国・中国・東南アジア・欧米の決済手段も導入できる点が強みになっています。
BiNDecの支援事例|KINTOの28カ国展開に見るローカライズ設計の現実
同じShopifyで構築しても、国ごとにUI・コンテンツ・訴求軸を変えることが、グローバル展開で売上を伸ばす鍵です。
BiNDecが支援する「KINTO」は現在28カ国でグローバル展開しています。日本版は取扱いの注意などの重要情報をアイコンで表示し関連商品を提示する情報重視の設計。韓国版は利用シーン・見映えの良いイメージビジュアルを多用しています。
日本は情報重視、韓国はビジュアルや印象重視という消費者特性の違いが、EC設計の判断軸に反映されています。

国ごとのローカライズへのAI活用について、「国ごとの癖が分かれば、それぞれのビジュアルをAIに生成し分けてもらうとか、チェックしてもらうというのは、もう十分できるフェーズだと思っています。各国・地域でどういう見せ方がいいのかをAIと一緒に考えていくことを、今まさにやりつつあります」と山岡は展望を語ります。
KINTOのケースでは、BiNDecがご支援し、地域別ストアを効率的に立ち上げながら運営を一元管理できる体制を構築しました。グローバル展開に伴う管理工数の増加という懸念を、Shopifyの多言語・多通貨機能とBiNDecの設計ノウハウの組み合わせで解消しています。詳細は下記の記事をご覧ください。
BiNDecの支援事例|一保堂茶舗の日本・北米展開に見る訴求軸の違い
グローバル展開では、同じ商品でも国ごとに何を伝えるかの軸を変える必要があります。
BiNDecが支援する京都の老舗茶舗・一保堂茶舗では、国ごとの消費者特性に合わせたEC設計を行っています。日本版はギフトやお茶体験など利用シーンを提案し、購買だけでなく共感を作るコンテンツ重視の設計。北米版は海外でブームの抹茶をメインコンテンツに据え、好みのお茶診断など迷わず購買させるUXを優先した設計です。

日本のお客様には抹茶だけでなく番茶や煎茶も含めたお茶全体の世界観を伝えることが大事な一方、北米では抹茶ブームを背景にいかにスムーズに購入を完結させるかも重要です。同じShopifyで構築しながらも、国ごとに設計の軸をまったく変えることが各国での売上最大化につながるのです。
実店舗中心の老舗ブランドがECでの顧客体験向上と越境展開を同時に実現した取り組みの詳細は、下記の記事をご覧ください。
AI時代に売上を最大化するECの条件は、”3つの問い”に答えられているか
AI時代に売上を最大化するECに必要な条件は3つです。
- AIに発見してもらえるか(GEO・UCP対応)
- 発見した顧客を決済で逃がしていないか(決済整備・不正対策)
- グローバルの消費者特性に合わせた設計ができているか(ローカライズ)
KOMOJUが決済インフラを担い、ShopifyがECプラットフォームを担い、BiNDecが構築・運用支援を担う。この3者が揃うことで、AIに発見され、スムーズに購入され、グローバルにも展開できるECが実現します。
「AI時代はどんどんやることが変わっていきます。極力短納期でテストマーケティングでまず動かせて、かつクオリティを担保したストア作りが重要だと考えています。決済もShopifyもAIも、BiNDecの方でトータルでコーディネートしてご支援しています」と山岡はセッションを締めくくりました。
AI対応・購入体験・越境EC—自社のECに課題を感じているEC担当者へ
今回のセッションで語られたAI対応・購入体験の最適化・グローバル展開はいずれも、現場の担当者が単独で判断・実装するには専門性が求められるテーマです。
導入後平均成長率は166%、サービス継続率は96.9%(※)。Shopify年間表彰を3度受賞し、国内最上位ランクのPlatinumパートナーとして400ストア以上のEC事業者の成長を支援しているBiNDecでは、Shopify構築と運用支援をトータルでコーディネートするサービスとして、貴社の現状と課題を整理した上で最適な設計をご提案しています。
※年間売上1億円以上のストアの売上前年比、2024年1〜12月集計
AI対応・購入体験の最適化・グローバル展開、この3つのうちひとつでも自社のECで課題を感じているEC担当者の方は、まずはお気軽にご相談ください。
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