実店舗とECを併営していると、POSレジが連携しておらず売り越しや品切れ表示による機会損失が起きがちです。顧客データも分断され、CRMやポイント運用にも支障が出ます。
この記事では、POSレジの基礎知識と種類を整理したうえで、Shopifyを使った実店舗とECのPOS連携方法を解説します。
POSレジとは?
POSレジとは、商品が売れた時点の情報を単品単位で記録し、売上・在庫管理に活用する仕組みです。従来のキャッシュレジスターとの違いや、POSシステムとの関係、業種ごとの活用ポイントを見ていきましょう。
販売時点の情報を単品単位で記録する
POSレジとは、商品が売れた時点で、何が・いつ・いくらで・何個売れたのかをリアルタイムにデータとして記録・管理できるレジのことです。そのために、POSシステムというものが使われています。
POSとは「Point of Sale」の略で、日本語では「販売時点情報管理」と訳されます。商品が売れた瞬間の情報を単品単位で収集・記録し、売上や在庫の管理に活用する仕組みになっています。
具体的な記録の流れは次のとおりです。
- 商品に付いたバーコード(JANコード)を、レジのスキャナーで読み取る
- 読み取ったコードをキーに、あらかじめ登録された商品マスタと照合し、商品名や価格を呼び出す
- 会計が完了すると、その取引が販売データとして記録され、サーバーへ送信・集計される
- 集計されたデータが、売上分析や在庫の自動更新に使われる
量り売りの生鮮食品や、店内で作る商品などのバーコードを貼れない商品については、レジのタッチパネルから商品を選ぶことで、同じように単品単位の記録ができます。
従来のレジ(キャッシュレジスター)との違い
レジとはもともと「キャッシュ レジスター」の略で、商品の売上額を印字し、また本体内部に記録するとともに、ドロワー(引き出し部)に現金を入れて保管する販売管理のために19世紀に発明された機器です。
そのため、ガチャレジとも呼ばれることのある従来のレジは、金額を計算し、現金を保管することができますが、POSのように、いつ、どの商品がいくつ売れたかといった詳細情報を蓄積することはできないため、売上の集計も、在庫管理も手作業で行う必要があります。
POSレジは、販売情報をデジタルデータとして蓄積できるため、在庫もサーバーと連動して数字として管理できるようになります。
多店舗展開していれば、その情報が統合されるので、すべての店舗の在庫状況、売上などを容易に把握できます。またPOSで蓄積したデータは、売上の傾向分析、仕入判断や、経営分析、他のITシステムへの接続(ERPなど)も可能にします。
| 従来のキャッシュレジスター | POSレジ | |
|---|---|---|
| 目的 | シンプルな会計業務に特化したレジ | データを活用して経営を協力にサポートするレジ |
| 主な機能 | 金額の計算や現金の管理 | 売上・在庫・顧客情報などを記録・管理 |
| データの蓄積 | レシートの控えが主な記録 | 各データベースにリアルタイムに蓄積 |
| 分析機能 | ほぼなし。確認は手作業が中心 | 売上・顧客・在庫などを多角的に分析 |
| 他システムとの連携 | 限定的 | 会計・在庫・ECなど様々なシステムと連携 |
| 端末の形態 | 主に据え置き型のレジスター | 専用端末・PC・タブレットなど多様 |
POSと連携されることの多いERPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
POSレジとPOSシステムの違い
POSレジとPOSシステムは同義として使われることもありますが、以下にそれぞれの用語の定義を確認しておきましょう。
POSシステムとは、販売時点情報管理を実現する仕組みです。 レジ端末だけでなく、取得情報をサーバーやストアコンピュータで集計・分析し、必要に応じて他システムへ連携する一連の流れを可能にするのがPOSシステムにあたります。そのPOSシステムのうち、店頭で販売データの登録を担うレジ端末がPOSレジといわれています。
仕組み全体がPOSシステム、それを動かす現場の機器がPOSレジと理解すると分かりやすいでしょう。
業種別のPOSレジ利用例と重視される機能
POSレジは業種を問わず使われていますが、重視される機能は業態によって大きく異なります。
小売業(アパレル・雑貨など)
在庫管理機能が中心になります。アパレルは色やサイズでSKUが増えやすく、在庫管理が複雑になりがちです。
SKUによる正確な販売登録と、リアルタイムの在庫更新、複数店舗間の在庫確認・取り寄せができるかどうかが要になります。
SKUについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
飲食業
レストランなどのイートインのある飲食では、注文から会計までの流れをスムーズに運用するための機能が求められます。
ハンディ端末やモバイルオーダーで受けた注文が厨房へ自動的に伝わるオーダーエントリーの仕組み、テーブルごとの会計管理、イートインとテイクアウトが混在する軽減税率への対応も必須です。
サービス業(美容室・サロンなど)
小売のように次々と会計処理を行うわけではありませんが、POSのようなシステムがあることで、高度な顧客管理機能が可能になります。
来店履歴や施術内容をカルテとして蓄積し、予約システムと連動させることで、担当者が変わっても同じ品質の接客ができるようになります。
POSレジの種類と価格相場
POSレジは、使用する端末の形態によって大きく3種類に分けられます。導入やリプレースの際は、まずどの種類をターゲットとしているかを確認しましょう。
据え置きのターミナル型
ターミナル型は、POS専用に開発された据え置き型の端末を使うタイプです。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、量販店などで見かける、レシートプリンターやキャッシュドロワーが一体化した大型のレジがこれにあたります。
処理能力と拡張性の高さが特徴
最大の特徴は、処理能力と耐久性の高さです。会計に特化して設計されているため動作が安定しており、自動釣銭機やセミセルフレジといった機能もフル装備されています。基幹システムとも連携しやすく、業種特有の要件に合わせた作り込みができる点も強みです。
一方で、専用ハードウェアであるため設置スペースが必要で、機能追加やシステム改修には時間とコストがかかります。ハードウェアの更新サイクル(おおむね5〜7年)も見込んでおく必要があります。
価格相場とその内訳
導入費用は1台あたり50万〜100万円以上と高額になりがちです。ここで押さえておきたいのは、ターミナル型は単体で完結する機器ではないということです。店舗のストアコンピュータや本部の基幹サーバーに接続され、そこへ販売データを集約する、POSシステムの末端に位置づけられる機器です。
価格が高くなるのは、レジという箱そのものの値段ではなく、その背後にあるシステムの構築・連携・保守までを含んだ費用だからです。逆にいえば、店舗数が多く、本部で在庫と売上を統合管理する必要がある事業者にとっては、この構成に投資する意味があるということでもあります。
POSソフトを導入するパソコン型
パソコン型は、小売店向けに販売されている比較的手軽なPOSレジです。タッチパネル付きの液晶ディスプレイを備えたものもあり、必要に応じてバーコードリーダーやレシートプリンター、キャッシュドロワーといった周辺機器を接続して、レジとして運用します。ターミナル型と違い、パソコンに買い切りのPOSソフトをインストールし、データも手元で管理するローカル運用が基本です。
費用の目安は、パソコン本体を含めた初期費用が20万〜40万円程度、POSソフトの月額利用料が5,000円〜3万円程度です。専用機として利用しやすい端末ですが、パソコンの老朽化によって買い換えが必要になりますし、OSがサポート切れになったり税制が変わるなどすればソフトのアップデートのコストやメンテナンスが必要になります。手元でデータを管理するため、データのバックアップや、法改正時のシステム更新を自社で管理する必要がある点に注意してください。
レガシーPOSからサブスクPOSへ
パソコン型POSも、最近ではデータをクラウドで管理できるタイプが増えています。ソフトの持ち方によって、非クラウドタイプを「レガシーPOS」、クラウドタイプを「サブスクPOS」と呼び分けることがあります。
レガシーPOSはライセンスを買い切り、個別開発でカスタマイズする形式のため、機能追加のたびに費用と時間がかかり、法改正への対応も遅れがちです。一方のサブスクPOSは月額料金にバージョンアップが含まれ、機能が継続的に更新されます。
実際、飲食サービス業を対象としたNECの調査では、店舗DXを「推進できている」と答えた企業はサブスク型POS導入企業で45.4%、レガシーPOS導入企業では21.1%と、24.3ポイントの差がつきました。クレジットカード決済の導入率にも82.2%対52.9%の開きがあります。

レガシーPOSとサブスクPOSの導入サービス比較 出典:日本電気株式会社
クラウド連携が基本のタブレット・スマホ型
タブレット・スマホ型は、iPadなどの市販端末にPOSアプリをインストールして使うタイプです。販売データはクラウド上で管理され、利用料金はサブスクリプションが基本です。中小規模の事業者で新規導入されるPOSレジは、このタイプが主流になっています。
低コストで始められる
端末は市販品で済むため初期費用を抑えやすく、初期費用0円〜数十万円、月額数千円〜1万円台が目安です。周辺機器を含めても10万〜25万円程度で構成できるケースが多く、省スペースで持ち運びやすいため、ポップアップストアや催事にも展開できます。
EC連携のしやすさが最大の強み
実店舗とECを併営する事業者にとって最も重要なのが、データがクラウド上にあるため外部システムと連携させやすいサービスが多いという性質です。ECサイトとの在庫連携や会計ソフトとの連動をAPI経由で実現しやすく、軽減税率やインボイス制度といった法改正にも自動アップデートで対応できます。
国内では、スマレジやSquareをはじめとする国産のクラウドPOSサービスが多数提供されており、多様なキャッシュレス決済にも対応しています。また、Shopifyには、すべてのプランに無料で含まれるShopify POSという仕組みも用意されています。
留意点としては、インターネット環境への依存度が高いこと、月額費用が継続的に発生すること、ターミナル型ほど個別要件のカスタマイズはしにくいケースがあることが挙げられます。
3つのPOSの型の比較
3タイプの特徴を一覧で整理します。実店舗とECを併営する場合は、費用や機能に加え、ECと連携できるかに注目しましょう。
| 項目 | ターミナル型 | パソコン型 | タブレット・スマホ型 |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 50万〜100万円以上 | 20万〜40万円程度 | 0円〜数十万円 |
| 月額費用 | 無料の場合が多い(保守費は別) | 5,000円〜3万円程度 | 0円〜1万円台 |
| 処理能力・耐久性 | 非常に高い | 標準的 | 標準的 |
| 設置スペース | 広く必要 | ある程度必要 | ほとんど不要 |
| 操作性 | 習熟に時間がかかる | PC操作に準じる | 直感的で覚えやすい |
| カスタマイズ性 | 高い(ただし要開発) | 中程度 | アプリ・API連携で拡張 |
| EC連携のしやすさ | 基幹システム経由での連携が中心 | サービスにより異なる | 連携しやすい |
| 向いているケース | 会計が集中する/自動釣銭機や業種特化システムが必要/基幹システムに接続 | 既存PCを活かしたい/据え置きで使いたい | 初期費用を抑えたい/EC連携・多店舗展開を見据える |
自社に合うPOSの型の選び方
3タイプの境界は、実はそこまでクッキリ分かれているわけではありません。パソコン型にも据え置きのタッチパネル型がありますし、タブレット型も周辺機器を揃えれば固定運用ができます。選択の軸は型そのものより、自社がPOSに何を求めるかにあります。
ターミナル型は自動釣銭機や業種特化システムが必要な場合、パソコン型は既存PCを活かしつつ据え置きの操作性を保ちたい場合に向きます。そしてシェアを伸ばしているのがタブレット・スマホ型で、初期費用を抑えつつECサイトを含む外部システムと柔軟につなげたい場合に最適です。
低コストで実店舗とECの在庫や顧客データを一元管理したいなら、クラウド型を軸に検討するのが現実的といえるでしょう。
POSレジを利用するメリット
POSレジを導入することで、売上・在庫・顧客データが自動的に蓄積され、経営判断や接客の質に活かせるようになります。ここでは代表的な4つのメリットを見ていきましょう。
売上データの自動集計・分析
POSレジを導入する最大のメリットは、販売データが自動的に蓄積され、多角的に分析できるようになることです。
日別・月別の売上はもちろん、商品別、カテゴリ別、時間帯別、曜日別、担当スタッフ別、店舗別といった切り口でデータを確認できます。これらのデータをもとに経営判断を行えますし、会計業務そのものも効率化されます。
在庫管理をリアルタイム化
商品が売れると同時に在庫数が自動的に更新されるため、常に最新の在庫状況を把握できます。在庫が一定数を下回った時点で通知を出す機能を使えば、欠品による販売機会の損失を防げますし、逆に過剰在庫を抱えるリスクも下げられます。
複数店舗を運営している場合は、他店舗の在庫を確認して取り寄せを提案するといった対応も可能になります。「この店舗にはないが、別の店舗にある」という情報が分かることで販売機会の損失を防ぐことができます。
多彩な決済に柔軟に対応できる(クラウドPOS/サブスクPOS)
クラウドPOSやサブスクPOSでは、決済端末をはじめとする周辺機器と接続することで機能を拡張できます。決済端末を連携させれば、クレジットカード、電子マネー、交通系IC、QRコード決済といった多様なキャッシュレス決済に対応できるようになります。同じPOSでもレガシーPOSの場合は拡張が難しいケースもあります。
キャッシュレス対応は、顧客が買うか買わないかの前提条件にもなりえます。経済産業省の発表によれば、2024年の日本のキャッシュレス決済比率は42.8%に達しました。(*1)支払い手段が限られていることが、そのまま販売機会の損失につながります。インバウンド需要を取り込むうえでも、多様な決済手段への対応は欠かせません。
*1=経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」
顧客情報を蓄積してCRMに活用できる
会計時に顧客情報を紐づけることで、来店回数、最終来店日、購入履歴、会員ランクといったデータを蓄積し、顧客関係管理(CRM)の運用が行えます。すでにPOSレジを使っていても、システムによっては十分にCRM施策が実施できていないケースも多いかもしれません。
データがあることで、お客さまの好みや購入履歴などを共有できるので、接客の質も安定します。サロンなどでは担当者が変わったり、新しいスタッフもデータを見ながら的確に接客が可能です。
これらのPOSレジの価値は、実店舗とECサイトで分断されていると半減します。その課題については、次に詳しく見ていきましょう。
CRMについて、詳しくは下記の資料をご覧ください。
実店舗とECのPOSデータを統合するには?
実店舗とECサイトを併せて運営する事業者は当たり前の存在になりました。経済産業省の調査によると、日本のBtoC-EC市場規模(物販系分野)は2024年時点で15.22兆円、EC化率は9.78%まで成長しています。(*2)
顧客にとって店舗とECは同じブランドの入口であり、両者を区別していません。それにもかかわらず、事業者側のシステムが分断されたままでは、顧客の期待に応えられず機会損失が増えていきます。
*2=出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」
ECと連動されていないと起きること
POSレジを導入して店舗の業務は効率化できても、ECサイトと別々のシステムで動いている限り、事業全体のデータは統合されません。その際のデメリットは、主に3つあります。
①在庫の分断による機会損失
店舗の在庫とECの在庫データが統合されていないと、実際の在庫とズレが生じやすくなります。
たとえばECで「在庫あり」と表示していた商品が、店頭で売れてすでに欠品していた、店頭で在庫切れと案内した商品がEC用の倉庫にあったなどといった、機会損失や顧客の不満を生む原因になります。
バックヤードでは、在庫管理を店舗とECでつねに二重に行うことになり、工数がふくらみます。
②顧客データの分断
店舗会員とECの会員が同一人物でも、別のIDで管理されているとシステム上は別人として扱われます。
その結果、顧客一人あたりのLTV(生涯価値)を正確に把握できず、ポイントを共通で使えるようにすることもできません。また、店舗で見た流れでECで商品を購入してもらう/ECの購入履歴から店舗での対応をするといったOMO施策も打てなくなります。ポイントがまとめられないことへの顧客の不満も生みます。
LTVについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
③売上データの分断
販売チャネルごとに別々に売上を集計していると、事業全体としてどの商品が売れているのか、どのチャネルが利益に貢献しているのかが見えず、実店舗のスタッフとEC運営チームの対立を招くほか、経営判断もしづらくなります。
また、売上の貢献は、顧客の行動がオンライン・オフラインを横断していることでどちらか一方に寄与するわけでもないケースが増えています。データが分断したままだと顧客の行動パターンも捉えられず、施策の効果測定が正確にできなくなります。
④現金レジとクラウドレジを二重打ちする手間
システムが分断を手動でクリアしようとするために行われるのが、二重打ちという運用です。
たとえば、店舗の会計はPOSレジもしくはPOSなしレジ(ガチャレジ)で行い、ECのシステムに同じ内容を二度打ちすることで、会計と在庫を管理します。
ほかにも、従来のレジ端末で会計処理をしたあと、メインの端末で対応していないQR決済やクレジットカードの決済の内容をPOSレジに改めて入力する二重打ちもあります。
こうした運用は、導入コストは抑えているようでいて、毎回の二重打ちにかかる手間とスタッフへの負担、レジ締めのたびに数字を突き合わせるという見えないコストを生み続けます。人手不足が続くなかで、本来は接客や商品企画に充てられるはずの時間が、データの転記に費やされるという悪循環になります。
EC連携対応のPOSレジの導入ステップ
では、店舗とECのデータを統合したPOSシステムを導入するには、何から手をつければよいのでしょうか。以下にまとめました。
導入までの5ステップ
1. 実現したい課題を見極める
POSシステムでは、商品の売上と在庫管理に限らず、顧客管理(ポイントや会員ランク)、予約管理、キャッシュレス対応、免税対応なども実現します。課題を見つけて、新しいPOS導入で解決できるか見極めましょう。
2. 要件を書き出す
店舗数・SKU数・必要な決済手段・在庫管理方法・他に使っている外部システムなどをリスト化し、POSシステムを使う要件に抜け漏れがないようにします。担当者がいる場合、現場や会計担当にもヒアリングして不具合や人的に対応している謎ルールがないかも洗い出します。
3. サービスを選ぶ
自社のECプラットフォームとの連携実績を確認し、デモで操作を試します。導入前に実現できること、できないことがはっきりするように詰めていきます。
4. データを移す
商品マスタ・顧客・在庫データを新システムへ移行します。データ形式が揃っておらず整理に時間がかかる部分です。専門家の手を借りるべきステップです。
5. テストして稼働する
1店舗で試すなど運用がうまくいくかを確認するテスト期間を経て、本格運用を開始します。
最初のステップが最も重要です。売り越しを止めたいなら在庫管理を改善、リピート施策やOMOを強化したいなら顧客データ活用というように、なにを解決したいのか、一番の目的を明確にしておきましょう。
クラウドPOSはいろいろなことができてしまうので、サービスを選び始めると大いに迷ってしまう可能性があります。ベースとなる目的がハッキリしていると、判断しやすくなります。
サービス選定時に押さえたいポイント
サービス選定にあたっては次のようなことも考慮に入れるとよいでしょう。
- 店舗数に対応している?
- 既存資産を活かせるか?
- 導入・運用コストは予算に見合っている?
- 実現したい課題解決・施策が実現する?
POSレジの導入に関しては、DX関連の「デジタル化・AI導入補助金(中小企業庁) 」や「中小企業省力化投資補助金(中小企業基盤機構)」「業務改善助成金(厚生労働省)」「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」などが申請できる場合があります。補助金額は50万円程度から1億円程度まで様々で、補助の目的も異なりますが、あてはまるものがあれば導入にも勢いが付くでしょう。
ShopifyでECと実店舗のPOSレジを連携する方法
ECプラットフォームのShopifyは単なるECサイト構築ツールではなく、マルチチャネルで商品・注文・決済・顧客を一元管理できるコマースプラットフォームへと進化を遂げています。そのため、実店舗との連携を前提に設計されています。
Shopifyで店舗とECのPOSデータを統合する方法は、大きく3つあります。
ケース1. Shopify POSを使う
1つ目は、Shopifyが公式に提供するShopify POSを使う方法です。
この場合は、ECサイトと実店舗が同じデータベースを共有する構成になります。店頭で商品が売れればECサイトの在庫が即座に減り、店舗で獲得した顧客情報はECの顧客データと同じ場所に蓄積されます。連携アプリを介さない分、データのズレが起きにくいのが最大の利点です。
Shopify POSには、すべてのShopifyプランに無料で含まれる「POS Lite」と、有料の上位版「POS Pro」があります。POS Proでは、スタッフアカウントを無制限に作成し、業績を追跡したり、在庫不足時のアラート出し、お客様プロフィールの収集と管理、オムニチャネルによるBOPISやエンドレスアイルなどの機能を利用できます。
ただし、日本ではShopify POSの決済端末は日本未対応です。そのため、店舗での決済システムは別途準備し、二重打ちする必要があります。
Shopify POSでできることや設定方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
ケース2. Shopify対応のクラウド前提のタブレット・スマホ型POSと連携する
2つ目は、Shopifyと連携できるクラウド型のPOSサービスを使い、Shopifyアプリでデータをつなぐ方法です。
国内のクラウドPOSサービスの多くは、Shopifyとの連携アプリを提供しています。これらを使うと、店舗のPOSで記録した販売データ・在庫・顧客情報がShopifyへ自動的に反映され、管理画面上で一元的に確認できるようになります。
この方法の利点は、すでに使っているPOSレジをそのまま活かせる場合があり、店舗オペレーションを大きく変えずにEC側とのデータ連携だけを追加できることです。また国産のPOSサービスは、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済を1台でまとめて処理できる決済端末を用意しており、日本の決済事情に合わせやすい点もメリットです。
留意点としては、連携できるデータの範囲がサービスによって異なることです。選定時、自社が使いたいデータが共有できるのかを確認する必要があります。Shopifyと連携可能なクラウド型のPOSサービスについては、具体的なサービスを次の節で紹介します。
ケース3. 既存のPOSシステムの基幹システム経由で連携する
3つ目は、基幹システム(ERP)をハブにしてShopifyと連携する方法です。多店舗を展開する中堅・大手事業者向けのアプローチになります。
大手企業ほどレガシーPOSから離れられない
一定以上の規模の事業者では、在庫・受発注・会計・物流を統合的に管理する基幹システムがすでに稼働しており、店舗のPOSもそこにつながっていることが多いでしょう。この場合は、POSレジを個別にShopifyへつなぐのではなく、基幹システムを経由してShopifyとデータをやり取りする設計が現実的です。
大手企業ほど、長年運用してきたオンプレミス型のレガシーPOSから簡単には離れられません。既存の業務フローが完成されており、店舗数が多いほど切り替えのリスクや現場の反発、コストも大きくなるためです。
設計の難しさとパートナー選定の重要性
この方法は、要件定義から実装まで相応の開発が前提です。どのデータを、どの方向に、どの頻度で同期するのか。在庫の引き当てはどちらを正とするのか。こうした設計を誤ると、かえって混乱を招きます。
基幹システムとの連携実績が豊富なShopifyパートナーと組むことが、成功の条件といえるでしょう。
Shopify連携でのおすすめ導入ステップ
いま紹介した3つの方法のうち、中小規模の事業者にとっては、Shopify対応のPOSアプリと連携する方法を選ぶのが現実的でしょう。このケース2で導入を進める際は、次の順序で検討することをおすすめします。
- 現在使用しているPOSがShopiofy連携で使えるか、リプレイスかを確認する
- どちらの場合も「EC連携対応のPOSレジの導入ステップ」のように1と2を行い、EC連携で実現する目的を明確にする
- 連携のためのアプリのセッティングから運用開始までのシステム移行作業を行う
1や3の段階では、Shopifyに詳しいの専門の開発者やShopifyパートナーと協業することが望ましいでしょう。
Shopify連携できるPOSレジサービス
ここでは、Shopifyと連携できる代表的なクラウド型POSサービスを4つ紹介します。いずれも多様なキャッシュレス決済に対応しており、実店舗とECの併営に適したサービスです。
スマレジ
スマレジは、株式会社スマレジが提供する国産のクラウドPOSレジです。iPadやiPhoneを使うスマホ・タブレット型で、小売・飲食・サービス業まで幅広い業種に対応しています。基本機能は0円から利用でき、業種別のプランや豊富な外部連携が特徴です。
Shopifyとの連携は、スマレジ連携アプリ V3を通じて商品情報と在庫をリアルタイムに同期できます。加えて、会員情報やポイントを統合するアプリのOmni Hubなどを組み合わせることで、店舗とECの顧客データを一元化することも可能です。
クレジットカード・電子マネー・QRコード決済に1台で対応でき決済手数料は1.98%〜と低めに設定されています。導入実績が豊富で情報も多いため、初めてクラウドPOSを導入する事業者にとって選びやすい選択肢といえます。
スマレジを導入してShopifyのECサイトと連携している事例は下記をご覧ください。
STORES レジ
STORES レジは、STORES株式会社が提供するクラウドPOSレジです。iPad・iPhoneを使うスマホ・タブレット型で、フリープランなら月額0円、スタンダードプランは月額3,300円(税込・年間契約)で利用できます。初期費用はかかりません。
STORES決済と連携すれば、クレジットカード(手数料1.98%〜)、交通系IC、QUICPay、iD、QRコード決済まで幅広くカバーできます。スタンダードプランでは決済端末が1台無償で貸し出されるため、初期投資を抑えて始められます。ネットショップや予約システムとの連携も同社サービス内で完結します。
Shopifyとの連携には、STORESが提供する公式アプリ「会員プログラム・ポイント・POSレジ連携・モバイルアプリ」を利用します。このアプリを使うと、POS上の注文情報をShopifyへ連携し、顧客の購入履歴や会員情報をShopify上で一元管理できるようになります。店舗とECをまたいだポイント・会員ランクの運用や、オムニチャネル対応のデータ分析にも対応しています。
STORESとShopifyの連携について、詳しくは下記の記事をご覧下さい。
ReCORE
ReCOREは、株式会社NOVASTOが提供する小売・リユース業に特化したクラウドPOSシステムです。買取管理や在庫の個体管理など、リユース事業特有の業務に対応した機能を備えています。
Shopifyとの連携では、店舗・EC・ECモールの在庫をリアルタイムに同期できるほか、会員情報とポイントの連携機能を標準で実装している点が大きな特徴です。店舗とオンラインの購買履歴・会員ランク・ポイントを統合して管理できるため、チャネルをまたいだ顧客体験を設計しやすくなっています。
キャッシュレス決済や免税販売にも対応しており、インバウンド需要のある店舗にも向いています。業種が合致する事業者にとっては、標準機能でカバーできる範囲が広い選択肢です。
Square POS
Square POSは、Block, Inc.が提供するクラウド型・モバイル型のPOSレジです。POSソフト自体は無料で使え、Square端末1台でクレジットカード・電子マネー・QRコード決済まで対応できます。決済とPOSが一体で提供されるシンプルさが特徴で、小規模店舗やポップアップ、催事での販売にも適しています。
現在、Square POSをShopifyの公式連携アプリはないので、通常は個別開発が必要になりますが、Shopify PlatinumパートナーであるBiNDecが開発・提供しているiPaaSの連携アプリを利用すれば、Square POSで運用している実店舗とShopifyのECサイトをつなぎ、データを統合できます。
POS導入による実店舗×ECの一元管理はBiNDecにご相談を
ここまで、POSレジの基礎からShopifyとの連携方法までを見てきました。どのPOSを導入するのが正解かは、店舗数、既存のPOS資産、扱う商材、現場のオペレーションなどによって事業者ごとに異なります。
だからこそ、判断に迷ったり、要件が固まらなかったりする段階で、一度プロに相談してみることをおすすめします。連携方法を決めてから相談するより、現状の課題を整理する段階から入ってもらうほうが、結果的に手戻りが少なく済むのです。
BiNDecは、日本国内では数社しかいないShopify Platinumパートナーとして、ECサイトの構築から運用までをトータルでサポートしています。ビジネスモデルや規模感に合わせて最適なPOSを選定し、導入から連携までを一貫してご支援します。POS以外にも、基幹システムとの連携にも豊富な実績があります。ShopifyでのEC構築や実店舗との連携に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。


