EC運営の業務の範囲は広く、サイト制作からコピー作成、集客や問い合わせなどの対応、商品発送など様々なことを同時に行っていかなければなりません。新しい商品をサイトに掲載するのも重要な仕事ですが、売上を積極的に上げていくには、マーケティングを行ない、販売促進にも取り組む必要があります。
ECサイトをリアル店舗にたとえると、サイトをローンチして商品ページを並べるまでは、店舗で商品を置いてお客さんが来るのを待っている状態です。リアルの店舗でも開店時は地域にチラシを撒いたり、SNSやローカル紙で宣伝してもらうなどの工夫をしています。ECサイトも小さいところから得意顧客のある知名度のあるサイトへと育てていくには、マーケティング活動が必須です。
一方、ECサイトの場合の顧客は、「リンク」をたどって訪問するケースがほとんどなので、ネット上で自社のリンクをクリックしてもらうための活動が集客活動のメインになります。
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EC事業者ならおさえておきたい基本のマーケティングツールとは?
では、ECマーケティングには具体的にどんなものがあるでしょうか? ざっくりまとめると、広告、メール、Web接客(接客ボット)からMAツールを使った上で、サイト分析や顧客分析を並行して行い施策を検討・改善していくのが主流と言えるでしょう。ここでは、それぞれの概要を紹介します。
広告
集客のもっとも基本と言えるのが広告です。ウェブ広告は、Googleなどで検索されたキーワードをもとに広告を表示する検索連動型や、商品に関連する内容やジャンルのサイトに表示されるディスプレイ広告(バナー広告)のほか、SNSのフィードで、投稿の合間に表示されるSNS広告が主流です。検索連動型広告とディスプレイ広告では、Google広告、ついでヤフー広告がよく使われます。SNSでは、FacebookとInstragramをはじめ、Twitter、TikTok、LINEなど様々なアプリで広告メニューが提供されています。
MAツール、メール、カゴ落ち対策
MAはマーケティングオートメーションの略で、顧客の状況に合わせてプッシュメールやコンテンツを提供することで、購買へと結びつけるように自動化したマーケティングシステムです。例えば、保険商品のように理解が難しかったり、自動車のように購入までに検討時間がかかるようなの商品では非常によく用いられおり、効果も期待できます。ただし、設計や前準備、成果物の準備なども大変になるので、ある程度の予算と人材の規模が必要になります。
MAツールまで行かなくても、メルマガや個別にユーザーをセグメントしてマーケティングメールを送ることも今でも重要です。開封されづらいとはいえ、顧客に直接繋がれるツールがメールを使ったマーケティングです。
また、ECで最近非常に注目されているのが、メールなどの通知が可能な場合に限られますが、カゴ落ちを防ぐ「お買い物の途中ではありませんか」メールです。下のメールでは、ユーザー登録済みのショップでカゴに商品を入れたまま決済しなかった翌日などに「お買い物かごに商品が入ったままですがいかがでしょうか」といった内容が送られている例です。
Web接客や接客ボット
接客を行うボットや、ウェブサイト上で閲覧者の状況に最適なメッセージや情報をポップアップさせるなどのツールが増えています。Webページを開くとブラウザの右下に出てくるボットをはじめ、ページのスクロールをとめていると表示されるオススメやメルマガ登録のメッセージなど、さまざまなものがあり、ユーザーに心地よいアプローチをするツールでは効率的に顧客の購買意欲を高めたり、最適な商品を見つけるのに役立つでしょう。
また、販売の促進だけでなくアフターフォローや問い合わせの手が足りないという場合もおすすめできます。導入するためにはサイトの修繕やAPIの導入などを行います。
Web分析や顧客分析
以上に紹介したマーケティングツールを適宜利用することと並行して必ず導入しておきたいのが、Web分析や顧客分析のツールです。ECサイトの場合は、GoogleアナリティクスやAdobe Audience ManagerなどのWeb分析ツールを導入し、サイト内に組み込んで分析をすることが多いかと思います。顧客分析にもツールがありますが、ECの場合はECサイトで保有する顧客データと連携ができるかなどを事前に確認しておく必要があるでしょう。
ECシステムでもWeb分析・顧客分析が使える場合がある
ECシステムやECプラットフォームには、広告連携がスムーズにできたり、Googleアナリティクスなどが簡単に組み込めるなど、マーケティングに役立つ機能を備えている場合があります。また、プラグインや追加アプリを使うことで接客ボットやカゴ落ち対策もできるようになってきています。
運用中のECサイトに基本的な機能は備えていても、マーケティングツールとの連携がまだ行えてないという場合は、上記のツールを個別に導入することを検討するのがよいでしょう。特にEC売上については、カゴ落ち対策や広告などの運用は短期間で効果が出ると注目されています。
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優れたECプラットフォームShopifyとは? 課題を発見するストア分析の使い方
クラウド型のECプラットフォームとしてシェアを伸ばしているShopifyは、個人サイトから大規模サイトまで世界で400万サイトを以上で利用されているツールです。Shopifyはサイトデザインが簡単で、機能も豊富なためすばやくECサイトが立ち上げられることで有名ですが、実は、マーケティングの運用面でも使える機能や拡張性を備えています。
Shopifyには「ストア分析」が用意されており、集客情報が自動的に収集されてレポートが作成されています。集客や売上を改善したいなら、まず、使いこなしたい「ストア分析」や「マーケティングレポート」をチェックするようにするとよいでしょう。ここでは、Shopifyを使うならチェックしておきたい代表的なレポートの使い方を紹介します。
ストア分析ダッシュボードで売上や集客の状況を把握
Shopifyの管理画面の左のメニューで[ストア分析]を選ぶと、カード型の集計内容がダッシュボードに一覧されます。
ストア分析では、販売金額、ECサイトへのセッション数、注文数などの内容が表示されます。カードの右上のグラフのアイコンをクリックすると、それぞれの詳細レポートが表示できます。ただ、ダッシュボードはいまの状況を表すものなので、ずっと眺め続けてもあまり意味がありません。1週間単位で前週と比較する、1か月単位で前年同月と比較するなど、伸びているのか下がっているかなどを確認するのがよいでしょう。
タイトルすぐ下のボタンから、計測期間と、比較期間を選ぶことができます。
比較期間には「前期」を選ぶと同じ長さの直前の期間との比較が可能になります。
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流入元を把握してマーケティング先の決定に役立てる
[ストア分析]の中にある、[トラフィック別(参照元別)のセッション]や[トラフィックの参照元別売上]などのレポートを開くと、購買者がどこから流入したのかを確認できます。トラフィックは参照元とほぼ同じ(画面によってShopifyの日本語版には訳語のブレがあります)と考えて下さい。
参照元(referral)
Shopifyでは、最初の訪問のきっかけとなった参照元のリンクから、購入直前の参照元まで複数回記録されるため、どのような行動でショップに訪問し、購入にいたったのかが分析可能です。
参照元には、主に以下のような項目が表示されます。Googleアナリティクスを使っていればお馴染みの用語も多いかもしれません。
- Direct(ダイレクト):ストアのURLを直接入力して訪問した場合
- Search(検索):検索エンジンの結果ページからクリックして訪問した場合
- EMail(メール):メール内のリンクをクリックして訪問した場合
- Social(SNS):SNSのリンクをクリックして訪問した場合
- 不明(N/A):参照先が上記のいずれでもない訪問
また、「参照元の名前」は、サイト名が表示されます。例えば、Google、Facebook、Yahoo!などの参照元のサイトの名前が表示されます。確認できない場合は不明(N/A)になります。
参照元の「Search(検索)」に注目すれば、検索エンジンごとの訪問者数、セッション数が確認できます。同様に「Social(SNS)」に絞り込むと、FacebookやInstagramなどのSNSからの訪問者数、セッション数がわかります。セッション数が訪問者数を大きく上回っている場合は、1ユーザーが複数回サイトを訪れており、エンゲージメント(ショップのことが気になっている確率が)高いと考えられます。こういったところからキャンペーンをどこで増やすかのヒントを見つけることができるでしょう。
サイト全体のコンバージョンをチェックする
Shopifyでは、商品を購入注文した点を「コンバージョン(転換点)」とするコンバージョン率の計測も自動的に行われています。一般に理想的なコンバージョンは、1か月のアクセスが1,000以上ではコンバージョン率(購入率)が2%程度とも言われていますが、他の数値と比較するより、毎月順調に数値を上げていくことを目標とするのがよいでしょう。まずは、自社ECがどんなコンバージョンなのか、チェックするところから始めましょう。
コンバージョン率は、管理画面の[ストア分析]の中に表示されます。
カートに追加済みセッション
セッション全体のうち、商品をカートに入れた割合です。ここで離脱した場合は、ランディングページを見たり、商品をブラウズしたりしても購入しようとは思わなかった状態ということになります。この場合の対処としては、欲しいものが見つけられなかったと考えると、商品の並べ方やカテゴリを変更したり、広告からランディングさせるページが購買者の意図通りになるかを確認するなどの改善が考えられます。
チェックアウトに到達済みセッション
セッション全体のうち、チェックアウト(購入手続き)ページを開いた割合です。ここで離脱した場合は、カートに商品を入れたものの、一度も購入画面を開かなかった状態ということになります。
コンバージョンに結びついたセッション
セッション全体のうち、最終的に注文を完了した(決済を完了した)セッションの割合です。ここで離脱した場合は、決済方法の選択、住所の入力、送料確認、決済そのものの段階のどこかでつまずきがあり、購入が完了しなかった状態ということになります。決済のフローがスムーズに動作するのであれば、送料が思った以上に高かったなどの例も考えられます。
Web集客の改善では、全体のトラフィックを増やすと同時に、コンバージョン率も上げていくのが理想です。上記に上げられている各段階では、改善するポイントも異なるため、まず最初に手を付けるならば、最終コンバージョンから脱落をなくせないか、考えてみましょう。
参考:Shopify ヘルプセンター 「行動レポート」
Shopify ヘルプセンター 「コンバージョントラッキング」
「コンバージョンの詳細」で購入者の傾向を掴む(コンバージョントラッキング)
コンバージョンの詳細については、購入者の注文管理から確認ができます。
購入者がどのようにして注文にいたったのか? Shopifyでは、注文管理から、購入者ごとのコンバージョンの詳細を表示させ、個々の購入者がどのような行動で購買につながったか確認することができます。
管理画面の左のメニューで[注文]を開き、注文番号をクリックして注文画面を開くと、[コンバージョンの概要]セクションが表示されます。ここから[コンバージョンの詳細を表示]をクリックすると、購入者の「ストア訪問数合計」「初回から直近お訪問までの日数」「初回から直近までのアクティビティ」が表示されます。
また、Shopifyのマーケティングアプリを使用している場合はその詳細、またキャンペーンのUTMパラメーターがある場合はそれも確認できます。これらの情報を見ることで、購入に影響したキャンペーンや、訪問のきっかけとなった流入元を確認することができます。
他にも、Shopifyにはコンバージョンに貢献したリンクを評価するアトリビューション機能もあり、直接のコンバージョン原因だけでなく、最初に接触するきっかけとなった参照元などを分析するのに役立ちます。
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Web計測では取れない顧客の行動分析
Googleアナリティクスを無料版でそのまま使うような場合など、一般的なWeb計測ツールでは、プライバシー保護の観点から、ユーザーを特定可能にする情報を削除した情報しか取得することができません。しかし、Shopify内のストア分析やマーケティング分析では、自ECサイトの顧客と結びつけた計測が可能なため、CRMデータの紐づけなどのプログラミングをしなくても、顧客の行動を推測することができます。
Shopifyの契約がスタンダード、プレミアム、またはShopify Plusプランの場合は、顧客の詳細レポートにアクセスできます。レポートを見るには、管理画面で[ストア分析]を開き、[レポート]を選択します。[カテゴリー]のプルダウンメニューで「顧客管理」を選択します。(ベーシックプランでは利用できません)。
顧客管理レポートでは、顧客の平均注文数や注文金額、新規顧客とリピーターの販売比較、顧客のコホート分析などを閲覧することができます。
ターゲット層を発見して広告やリスティング、メールマーケティングに活用
このようにShopifyの基本で利用できるレポーティング機能や分析機能からは、顧客の行動や、商品の購入している層の特徴、コンバージョンに貢献する参照元やキャンペーンなどを見つけ出すことができます。これらの情報をもとに仮説を立てて新しいキャンペーンを試したり、リスティング広告の出向先を検討しましょう。
また、顧客の情報からはどのくらい前の期間に購入したか、購入ジャンルはなにか、何回購入しているかなどの傾向も分析できるため、独自にセグメントを作ってメールマーケティングを行うこともできます。マーケティングに特化したShopifyアプリを導入することで、半自動化していくことも考えられます。
こういった際に利用できるのが、「マーケティング」のレポート機能です。Shopifyの管理画面の左のメニューで[マーケティング]を選ぶと、マーケティングサマリーが表示されます。画面の右上から「キャンペーンを作成」で新規作成して、その結果を連動したレポートを作成できるようになっています。
また、「自動化(オートメーション)」の項目からは、チェックアウト(購入完了前)に離脱したり、カゴ落ちしたなどの場合にお知らせをする機能も利用できます。
このように、マーケティングの分析からアクションの仕込みまで、Shopify内で管理することも可能になっています。
Shopify PlusパートナーによるEC構築サービスBiNDec
いかがでしたか? Shopifyには基本機能にサイト分析も組み込まれており、売上のレポートなどをEC担当者がプログラミングや外部ツールの連携をしなくても最初から閲覧することができます。また、アプリを使えばさらにツールを追加することも可能です。
EC売上をもっとアップしていきたいと考えているがマーケティングツールが組み込めない古いECパッケージをそのまま使っている場合や、拡張性が低いサービスを使っている場合、Shopifyのように拡張性が高く、かつ運用コストも低価格に抑えられるプラットフォームへの乗り換えを検討する選択肢もあるといえます。
ただし、ECサイトの乗り換えは、運用年数が長いほど不安要素や、心配ごとも増えるかもしれません。そんなときは、Shopify PlusパートナーのがサポートするShopifyのECサイト構築、運用サービス「BiNDec」をご検討ください。ハイレベルな技術力と知識量で乗り換えや運用をサポートし、中小規模から大規模のストアに向けた最適な運用戦略の提案も可能です。気軽にお問合せください。