ECカートシステムは、商品の購入・決済のためのカート機能も含め、ECサイト構築のために必要な一通りの機能を備えたシステムです。ECサイトで商品の売買をするためには、サイト上に商品を表示して、購入する商品を消費者に選んでもらい、代金を受け取って、商品を受け渡す方法を検討しなければいけません。
このうち、商品の表示から代金の受け取りまでを担うのが、ECカートシステムです。ECカートシステムの活用によって、消費者は自宅で手軽に商品を選び、代金の決済を終えることができるのです。
本記事では、ECカートシステム選びの重要性や主な機能と種類について詳しく解説します。併せて、自社に合ったシステムを選ぶポイントについても見ていきましょう。
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ECサイトで商品販売の一連の流れを処理するECカートシステム
ECカートシステムとは、ECサイトで商品を販売する際の一連の流れを処理するシステムです。商品の登録、ユーザーによる購入希望商品の確保、決済手段の選択、支払いといった流れを、ECサイト上で実現します。
ECサイトを作成するときにECカートシステムを活用すれば、特にプログラムの知識がなくても、利便性の高い機能を簡単にECサイトに導入することが可能です。
ECカートシステムとECモールの違い
インターネット上で商品を販売する方法として、ECカートシステムなどを活用して自社のECサイトを立ち上げる方法のほかに、ECモールに出品・出店するという方法もあります。それぞれの違いや特徴を確認していきましょう。
ECカートシステム
ECカートシステムは、自社サイトでの商品販売を実現するためのサービスで、サイト構築の際に利用し、そのサービスの範囲内で自由に機能・デザインを選ぶことが可能です。ECカートシステムにもさまざまな種類があるため、それぞれの機能性・価格・使い勝手などを確認し、自社のオペレーションや顧客層の嗜好などに適したサービスを導入すれば、効率性や顧客満足度の向上につながります。機能・デザインの自由度の高さから、ブランディングを意識したECサイトを作成したい事業者に適しているのがECカートシステムだといえます。
ECカートシステムは、独自施策の実行や顧客分析などを行いやすい点も魅力ですが、ECモールのように出店先の知名度を利用できないため、集客が事業者自身の力にかかっているという点には注意が必要です。
ECモール
ECモールは、複数のオンラインショップが出店しているオンラインショッピングモールとでもいうべきサイトのことで、すべてのショップが同一の販売・決済システムを利用します。代表的なECモールには、楽天市場やAmazonなどが挙げられます。
ECモールが提供しているサービスを利用するため、自社でサイトを構築する必要がありません。手軽に始められますが、自社サイトとしてアピールすることは難しくなります。
また、ユーザーはECモール全体から商品を検索することが多いため、知名度が高くないEC事業者でも、検索結果の上位に表示されれば一定の集客を見込めます。その反面、ECモールへの出店は独立した自社サイトの構築とは異なるため、顧客との関係を構築しづらく、価格競争に巻き込まれやすいといった点がデメリットです。
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ECサイトでカートシステム選びが重要な理由
ECカートシステムには複数の種類があります。それぞれ機能性や得意分野が異なるため、自社に合ったサービスを選定することが重要です。自社に合わないカートシステムを選択してしまうと、顧客がスムーズに商品を購入できなかったり、希望の決済方法が選択できなかったりして、離脱の原因になります。
ECカートシステムの中には、分析機能や販促機能などを有するものもあります。顧客の属性や行動を分析して販促に役立てたい場合、このような機能を持った高性能のECカートシステムを選ぶ必要があるでしょう。反対に、取扱商品数がそれほど多くなく、とりあえずオンラインで商品販売・決済ができればいいという場合は、多彩な機能よりも、操作性・決済完了までのスピード・利用料金などを重視するのがおすすめです。商材や顧客属性、ECカートシステムに求める機能などに応じ、適切なシステムを選定する必要があります。
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無料ECカートシステムと有料ECカートシステムの違い
ECカートシステムには、無料のものと有料のものがあり、それぞれ下記のような特徴があります。どのような事業者におすすめなのかという点も、併せてご紹介します。
無料ECカートシステムの特徴
無料ECカートシステムは、初期費用やランニングコストがかからないため、リスクを押さえて低コストでECサイトを構築できます。また、操作も比較的簡単な場合が多く、プログラミングの知識が少ない人でも手軽にECサイトを作れる点が特徴的です。
一方、カスタマイズ性や機能性が低い、決済手数料が高いといった問題もあります。一定以上の売上が期待できる事業者や、顧客情報や販売状況を分析して販促や集客に役立てられる機能を求める事業者には、物足りなく感じるかもしれません。
とりあえずECサイトで通販を始めてみたい事業者や、基本的な販売・決済機能だけで十分という事業者におすすめです。
有料ECカートシステムの特徴
有料ECカートシステムは、利用に初期費用や月額費用がかかりますが、その分カスタマイズ性が高く、機能性やサポート体制に優れるというメリットがあります。また、ランニングコストはかかるものの、決済手数料は無料ECカートシステムよりも安い場合もあり、売上によってはかえってコストを抑えることが可能です。
本格的にEC事業をスタートしたい事業者や、分析機能や顧客管理機能を活かして売上規模の拡大を目指したい事業者、一定の売上が見込める事業者などに最適です。
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ECカートシステムの主な機能
ECカートシステムは、商品をカートに入れて決済するだけにとどまらない、さまざまな機能を有しています。その機能は、大きくバックオフィス機能とフロント機能に分けることができます。
バックオフィス機能
ECカートシステムは、ECサイト運営・管理に役立つ多くのバックオフィス機能を持っており、標準的に搭載されているのは下記の5つの機能です。
ただし、具体的な機能性はECカートシステムによって異なるため、利用したいサービスの説明を確認しましょう。
ECカートシステムの代表的なバックオフィス機能
- 受注管理:商品を確保するカート機能や、受注した際の注文日時・注文者名・住所・注文内容などの記録・管理
- 商品管理:ECサイトへの商品の登録・表示、在庫状況の確認・サイト上での表示、在庫が切れそうな場合のアラートなど
- 顧客管理:購入者の氏名・住所・電話番号・メールアドレス・ログインID・パスワード・購入履歴・決済状況・ポイント付与の状況などの情報を収集・管理
- 決済管理:クレジットカード決済・キャリア決済・コンビニ決済など、豊富な決済方法の中からユーザーが選択した方法で決済を行い、問題なく完了したかどうかを管理
- 配送:配送先・配送方法・配達日・配達時間などを指定
フロント機能
フロント機能とは、売上の向上やリピーター獲得などにつながる機能のことです。ECカートシステムには、単純な決済手段にとどまらない、下記のような機能が搭載されているものもあります。
ECカートシステムの代表的なフロント機能
- 集客・販促機能:メール配信・SNS連携・広告配信などで集客・販売促進をサポート
- CRM機能:顧客の属性や行動パターンに応じた、ステップメールやクーポン発行といった施策の実行
- 分析機能:売上分析や広告の効果分析など、施策の実行・検証に役立つデータの分析
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ECカートシステムの種類・特徴
ECカートシステムは、その仕組みに応じて下記の4種類に大別できます。それぞれの特徴やメリットとデメリットを踏まえて、自社に適したECカートシステムを導入しましょう。
ASP型
ASPは、Application Service Providerの頭文字を取った言葉です。クラウド上に用意されたシステムを利用する方法で、自社でシステムをメンテナンスする必要がありません。機能の追加やアップデートは、ECカートシステムを提供している業者が行います。手軽に導入できて、費用もそれほどかからない場合が多いというメリットがあります。
デメリットは、ほかの3つの方法と比べてカスタマイズ性が高くない、決済手数料がかかる、機能性を高めようとすると追加費用が必要になることがある、といった点です。また、サービス自体にトラブルが発生すると、自社サイトも影響を受けてしまいます。
Shopify
世界でも人気の高いECプラットフォームであるShopifyは、ASP型でありながら8000種類以上のアプリによって機能を拡張することが可能です。
また海外販売にも対応しやすいため、コストパフォーマンスのよさを求める人、海外販売を視野に入れている人なら非常におすすめです。規模の大小に合わせて様々なプランが用意されていて、途中でリプレースせずにスケールアップさせていくことが可能です。
BASE(ベイス)
BASEは、簡単にネットショップを始めやすいのが特徴です。運営にかかる費用は初期費用も月額費用も無料で、まずはお試し感覚でD2Cを始めたい人に向いています。
豊富な決済手段が利用できるなど、利便性が高いプラットフォームですが、取り引きが長期かつ高額になると、売上に応じた手数料が懸念のひとつになるでしょう。
オープンソース型
オープンソース型とは、無料で公開されているECカートシステムのソースコードを利用してECカートシステムを構築する方法です。無償のソースコードを使ってECカートシステムを作成するため、自社内で対応できれば初期費用・月額費用も抑えることができ、カスタマイズも行いやすいでしょう。低コストで自由度の高いECサイトを構築したい場合は、魅力的な方法です。
ただし、ソースコードをもとにECサイトを構築するためには、プログラミングのスキルが必要になります。また、ソースコードが公開されていることによるセキュリティ上の問題が発生する可能性もあり、トラブル発生時には自社で対応しなければいけません。
EC-CUBE
EC-CUBEはオープンソース型のECプラットフォームです。国産サービスのため日本語に対応しており、コストを抑えつつカスタマイズ性のあるECを構築したい人に向いています。ある程度の技術力は必要になりますが、無料で使えるダウンロード版なら自社サーバー内にECシステムを構築することもできます。
パッケージ型
ECカートシステムのソフトを購入して利用するのが、パッケージ型という方法です。完成形として提供されているソフトを利用するため、比較的手軽に導入できます。ソフトの機能に応じて、自社に合わせたカスタマイズも可能です。ベンダーやソフトの販売業者が、ECサイト構築までフォローする場合も多くあります。
なお、パッケージ型は、ソフトを購入するための初期費用と運用費用がかかる点が難点です。また、ゼロから自社に合ったシステムを構築するフルスクラッチ型に比べると、カスタマイズ性は劣ります。
ebisumart
ebisumartはクラウド型のECパッケージシステムです。システムが定期的にアップデートされるため、常に最新の状態で利用できます。はじめはコストを抑えた標準機能を使い、将来的にカスタマイズして機能を拡張することも可能です。
ecbeing
ecbeingは中堅〜大手企業を中心に1500サイト以上実績のあるECパッケージシステムです。制作会社でありながら専門のマーケティングチームもあり、構築後にも手厚い運用サポートも受けられることが特徴です。
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型は、自社サイトに合ったECカートシステムを新たに開発する方法です。自社で対応することは基本的にはできません。システム開発会社などに依頼して作成してもらうことになります。自社に合致したカスタマイズ性の高いECカートシステムを作れますが、コストと工期は非常に多くかかります。
また、運用後のメンテナンスやバージョンアップも、開発会社などに依頼しなければいけません。カスタマイズ性は高い反面、資金・労力ともに多くのコストがかかります。
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特定の商材や販売手法に特化したECカートシステムもある
ECカートシステムには、一般的なもののほかに、特定の商材や販売手法に特化したタイプもあります。顧客のニーズにマッチするECサイトを構築するために、下記のようなビジネスを展開している場合は、必要に応じて特化型ECカートシステムの導入を検討しましょう。
リピート通販向き
ECカートシステムには、定期購入で商品を販売するリピート通販に適したサービスがあります。健康食品や化粧品など、定期的に消費する商品を定期購入してもらうことで、消費者は毎回注文する手間が省け、EC事業者は売上が安定します。
リピート通販に特化したECカートシステムでは、初回購入時の割引やサンプル封入、定期購入用の注文フォーム、継続決済などの機能を利用可能です。
また、リピート通販では顧客との継続的な関係性の構築が重要になることから、クーポン発行、メルマガ・ステップメールの配信といった販促機能も充実しています。
BtoB向け
BtoB(企業間)の取引では、取引条件が一律でない場合も多いため、特化型のECカートシステムを利用する必要が出てきます。取引先ごとに、掛け売りの条件設定や割引設定などができるECカートシステムを活用しましょう。また、見積書の発行や掛け取引など、BtoBならではの業務にも対応できる必要があります。
従来、BtoBの取引では、電話・FAX・メールなどで受発注が行われるケースが多くありました。しかし、BtoB向けのECサイトを用意しておけば、より簡単に、スピーディーで正確性の高い取引ができます。卸売業者やメーカー、商社などに多く利用されているECカートシステムです。
越境EC向け
越境ECとは、海外ユーザーをターゲットにしたECサイトのことです。越境ECでは、ユーザーが住んでいる国の言語への対応や、現地通貨での決済ができるECサイトが必須となるため、そのようなニーズに対応したECカートシステムも存在します。
管理画面が多言語化されているECカートシステムなら、現地スタッフが利用する際にも便利です。
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自社に合ったECカートシステム選びのポイント
自社に合ったECカートシステムを選ぶために、留意しておきたいポイントを4つにまとめました。機能性や、長く使い続けられるかどうかといった点に着目しましょう。
事業規模で選ぶ
自社にとって適切なECカートシステムは、事業規模に応じて変わります。大規模なECサイトを目指していくのであれば、コストがかかっても、自社に適した機能性を持たせられるフルスクラッチ型が選択肢に入ります。また、パッケージ型やASP型の中にも、カスタマイズ性が高く多量の取引に対応できるエンタープライズ向けのサービスもあるため、さまざまな選択肢を比較するのがおすすめです。
一方、新規立ち上げでどの程度顧客を獲得できるかわからない場合は、小規模事業者向けのASP型のECカートシステムが適しています。高い専門性を持つスタッフがいるのであれば、オープンソース型も選択肢に入ります。
扱う商材や顧客などに適した機能の有無で選ぶ
自社の商材や顧客に特徴がある場合は、それにマッチした機能を持つECカートシステムを選ぶことで、ユーザーの利便性や売上の向上が可能です。
定期購入サービスを行っているECサイトや、BtoBのビジネスを行うECサイトでは、それらのビジネスモデルに特化した機能を持つECカートシステムを選択しましょう。また、アパレルならデザインカスタマイズ性が高いシステムを選ぶと、ユーザーに商品をアピールしやすくなります。
対応している決済方式で選ぶ
ECカートシステムは、サービスごとに対応している決済方法が異なります。クレジットカードなどは多くのECカートシステムで利用できますが、後払いやAmazon Payといった特殊な決済システムについては、対応しているシステムとしていないシステムがあるため、注意しなければなりません。
顧客となるユーザーが利用したい決済方法に対応しているECカートシステムを選択することで、決済画面で購入を中断してしまうユーザーを減らせるでしょう。
ただし、決済手段によっては、商品代金を回収できないケースが出てくる、手数料が高いといった問題が発生する可能性もあります。決済手段は多いほうがユーザーの利便性につながりますが、闇雲に増やすとトラブルの原因になりかねません。各決済手段の特徴を知り、リスクについても併せて検討するのがおすすめです。
カスタマイズ性が高いかで選ぶ
ECカートシステムの選択では、長期的な視点も重要です。将来的なユーザーのニーズの変化や、運用方針の変化などに対応できるECカートシステムを選んでおけば、長く同じシステムを使い続けられます。
カスタマイズ性が高く、時代に応じたアップデートが適宜行われているECカートシステムが有力な選択肢になります。
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ECカートシステムの導入に悩む場合は、専門業者に相談しよう
ある程度の事業規模を目指すのであれば、最初から高機能なカートシステムを選んで自社に合わせてカスタマイズするのがおすすめです。とはいえ、ECカートシステムのカスタマイズやECサイト構築には、一定の知識が必要になります。自社で対応するのが難しいこともあるでしょう。
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