ネットショップを開業するための代表的な方法には、ECモールの活用と自社EC(ASPカート)の利用の2種類があります。それぞれの特徴に、自社の事業の方向性や強みが合っているかを確認しながら選択しましょう。
本記事では、ECモールと自社EC(ASPカート)の違いや、それぞれのメリット・デメリット、向いている事業者について解説します。併せて、代表的なサービスの概要なども詳しく紹介します。新たにネットショップ開業を目指す事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
ECモールと自社EC(ASPカート)の違い
ECモールと自社ECは、どちらもネットショップを開業するための方法ですが、ショップの出店形態が異なります。
ECモールは、複数のネットショップが集まってできたインターネット上のショッピングモールに、自社のネットショップを出店するイメージです。楽天市場やAmazonなどは、日本で展開しているECモールの代表的な例で、これらのモールに出店することで手軽に自社のネットショップをオープンできます。
一方、自社EC(ASPカート)は、カートシステムを利用してインターネット上に自社のネットショップを開業・運営する方法です。ASPカートの中には有料のサービスと無料のサービスがありますが、有料のASPカートでも、ECモールより運営コストを抑えやすいでしょう。また、ECモールに比べて自社ECは、顧客と直接つながることができるため自由に販促できる、デザイン・機能などの自由度が高いという特徴があります。
近年、製造者と顧客が直接取り引きすることを意味するD2C(Direct to Consumer)の価値が高まっていますが、D2Cを実現できるのも自社ECのメリットです。
なお、ネットショップを開業する方法には、上記のほかに自分でソフトなどを使って作成する方法もあります。とはいえ、手軽さやセキュリティといった観点から、ECモールかASPカートを利用するのが一般的です。
ECモールのメリット
ECモールへの出店には、知名度や規模を背景にした下記3点のメリットがあります。これらのメリットがあるため、ECモールは多くのネットショップや消費者に利用されています。
集客力が高い
有名なECモールに出店することで、出店しているネットショップのブランド自体に知名度がなくても、ECモール自体の知名度を利用した集客が可能です。
例えば、「Aというメーカーのペンが欲しい」というユーザーが、ECモールにアクセスした場合について考えてみましょう。ユーザーは、ECモールに出店している個別の店舗の中から商品を探すのではなく、ECモール全体から商品を検索する場合がほとんどです。
ニーズに合った商品を取り扱っていて、価格やサービスがほかの出店者に勝っていれば、ネットショップ自体の知名度が低くても検索結果から売上につながる可能性は十分あります。
サイトへの信頼性が高く消費者の購入ハードルが低い
ネット通販が一般に広く利用されるようになった昨今でも、「詐欺サイトかもしれない」「クレジットカード情報を入力しても大丈夫だろうか」といった不安を抱くユーザーは少なくありません。
モール自体の信頼性が高い大手のECモールであれば、このような不安を感じさせることなく、顧客にショッピングを楽しんでもらうことが可能です。
物流面で強い
ECモールで販売した商品の発送方法はモールや出品者によって異なりますが、ECモール側が発送を代行してくれるケースや、ECモールが提供している当日配送システムなどを利用できるケースもあります。
このようなサービスを利用すれば、配送にかかる手間を減らせて、顧客満足度の向上も狙えます。
ECモールのデメリット
集客に大きなメリットのあるECモールですが、下記のようなデメリットがあることには注意しなければなりません。
集客力があるからといって安易にECモールでネットショップを開業してしまうと、「思ったほどうまくいかない」という結果になってしまうこともあります。
顧客データが蓄積できない
ECモールでは、顧客データを保有できるのはECモールのサービス提供者側で、出店者側が顧客情報にアクセスすることは基本的にはできません。顧客データを保有できないということは、顧客データをもとにした効果的なマーケティング施策を打てないということを意味します。
デザインの自由度が低く、ブランディングに向かない
ECモールは、サイトのデザインがある程度決まっているのが一般的です。自由なカスタマイズができないことから、ブランディングが難しい傾向があります。ECモールで購入する顧客は、出店者から購入したというよりは、Amazonや楽天市場で購入したというイメージを持ちやすいでしょう。
競争相手が多く価格競争に巻き込まれる
ECモールでは、競争相手が多く、価格競争に巻き込まれやすいという難点があります。自社の個性を出せない中で、多くのほかの出店者ではなく自社を選んでもらうためには、価格やサービスを見直して他社よりも優位に立たなければなりません。
しかし、価格を下げたりサービスを拡充したりすると、それだけ利益は目減りします。多くの出店者が取り扱っている商材を扱うショップでは、特に価格競争に注意が必要です。
コストが高い傾向がある
ECモールでは、ASPカートと比べて商品を販売した際に支払う手数料などのコストが高い傾向があります。価格競争の激化も相まって、「商品が売れても利益が少なく、手数料を支払ったらほとんど利益が残らなかった」といったことにもなりかねません。
代表的な3大ECモールの特徴と費用
日本で展開しているECモールの中でも、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの3つは、特に代表的なモールです。下記のように特徴が異なるため、自社の商材や特性に合ったECモール選びの参考にしてください。
楽天市場
1億件以上のアカウント数を誇る楽天市場は、国内顧客の集客力に強みのあるECモールです。楽天関連サービスを利用している人の多くが楽天市場も利用していることから、元々知名度の低かったネットショップや事業者でも、楽天市場への出店をきっかけに多くの顧客を獲得できる可能性があるでしょう。1店舗に1人のコンサルタントがついて充実したサポートを受けられるため、初めての出店でも安心です。楽天市場のノウハウを学べるeラーニング講座も利用できます。
なお、楽天市場で出店者側が取得できる顧客データは、その取引に必要な範囲に限られ、メールアドレスなどは取得することはできません。購入者とのやりとりでは、暗号化されたメールアドレスのみが出店者側に提供され、楽天市場のシステムを介してメールのやりとりが行われます。
楽天市場のプランは、下記のように3種類用意されていますので、目標とする月商や商品数に応じて選んでください。
楽天市場のプランの概要と費用
概要 | 月額出店料 | システム利用料 | |
・初めてネットショップを開設する事業者におすすめ ・登録商品数は5,000商品まで ・画像容量は500MBまで |
1万9,500円(年払い) | 月間売上高の3.5~7% | |
・月商140万円以上の事業者におすすめ ・登録商品数は2万商品まで ・画像容量は5GBまで |
5万円(半年ごとの2回分割払い) | 月間売上高の2~4.5% | |
・大規模なネットショップを構築したい事業者向け ・登録商品数の制限なし ・画像容量の制限なし |
10万円(半年ごとの2回分割払い) | 月間売上高の2~4.5% |
※すべて年単位での契約で、費用は税別。
楽天市場では、上記のプラン別費用のほか、下記の全プラン共通料金が発生します。プランごとに設定された料金以外にも費用が発生する点に注意しましょう。
全プラン共通の追加費用
- 初期登録費用:6万円
- システムサービス利用料金
(1)楽天ポイントの原資負担分:楽天会員による商品購入代金の1%(通常)
(2)モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料:月間売上高の0.1%
(3)楽天スーパーアフィリエイトの成果報酬・システム利用料:アフィリエイトを経由した売上の2.6%~
(4)R-Messe(*1)料金:月額固定費3,000円+会話数に応じた料金 - 楽天ペイ(楽天市場決済)利用料:楽天ペイを使った月間決済額の2.5~3.5%
*1=R-Messeは、楽天市場がネットショップに対して提供している顧客とのコミュニケーション機能。
楽天市場では、目標月商と予想客単価に応じた費用の月額費用シミュレーションが用意されています。具体的な経費を確認できるため、事前に確認するのがおすすめです。
Amazon
Amazonは、世界各国で大きなシェアを持つ代表的なECモールです。日本の月間利用者数は2021年12月時点で4,000万人を超えており(*2)、多くの顧客との接点が期待できます。*2参考:ニールセン デジタル株式会社「ニールセン、デジタルコンテンツ視聴率のMonthly Totalレポートによる オンラインモールのサービス利用状況を発表」
Amazonは、月額の固定費が低めで小規模な事業者にも使いやすいというメリットがあります。また、出品点数が1点でも出店できるので、オンラインでの商品販売を試してみたいという人にも適しているでしょう。Amazonのプランには、「小口出品プラン」と「大口出品プラン」の2種類があり、下記の費用がかかります。
小口出品プランの費用
- 月間登録料:無料
- 基本成約料:100円/商品1点あたり
大口出品プランの費用
- 月間登録料:4,900円
- 基本成約料:無料
そのほか、プランに関係なく、商品カテゴリーによって異なる6~45%の手数料率が設定された販売手数料の負担が必要です(最低販売手数料30円が設定されているカテゴリーあり)。
また、Amazonに配送を委託する場合には、FBA手数料という費用が発生します。配送料およびFBA手数料について、詳しくはAmazonのウェブサイトを確認してください。
Amazonは基本の出店料が低い一方で、追加で発生する費用がカテゴリーによって大きく異なるという特徴を持っています。実際にかかる費用を調べる際は、販売を想定している商品カテゴリーに応じた販売手数料の額を確認しておくことをおすすめします。
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは、Yahoo! JAPANの検索結果や関連サービスからの集客、ソフトバンク・PayPay・LINEといったグループ企業との連携などで強みを発揮しているECモールです。初期費用や月額固定費が無料という点も、ほかのECモールとは一線を画します。ECでどのくらいの売上を上げられるかがわからず、とりあえず試してみたいといった事業者でも気軽に始められるでしょう。
また、顧客データの取り扱いに関しては、顧客から承諾を得たデータは、退店するまで出店者側でも保有することができます。
Yahoo!ショッピングには、プランの区分がありません。基本的にすべての事業者に対して、下記の費用がかかります。
Yahoo!ショッピングの費用
- 月額システム利用料:無料
- 売上ロイヤルティ:無料
- ストアポイント原資負担:1~15.0%
- キャンペーン原資負担:1.5%
- アフィリエイトパートナー報酬原資:1~50%
- アフィリエイト手数料:アフィリエイトパートナー報酬原資の30%
- ストア決済サービス手数料:決済方法によって異なる
売上ロイヤルティは無料ですが、ポイントやキャンペーンの原資を売上に応じて必ず負担しなければなりません。最低でも2.5%の負担があり、出店する事業者の判断で集客のために上乗せすることも可能です。
また、アフィリエイト経由で商品が販売された場合、アフィリエイトパートナーサイトに対して成功報酬と手数料を支払わなければいけません。Yahoo!ショッピングではサイト運営者に対するアフィリエイトプログラムを実施しているため、アフィリエイト経由で商品が販売された場合は手数料を支払う必要があります。
Yahoo!ショッピングも、月商や設定に応じた費用目安の月額費用シミュレーションを用意しています。ほかのサービスを利用した場合の費用と比較する際に活用しましょう。
その際は、サービスによって集客力に差があるため、サービス内容や自社のターゲット層の利用割合なども判断材料にして、総合的に検討してください。
ECモールに向いている事業者
ECモールは、集客力に優れているというメリットは大きいものの、価格競争などに巻き込まれるリスクもあるため、あらゆる事業者に活用をおすすめできるわけではありません。ECモールに適しているのは、下記のような事業者です。
- 価格競争に巻き込まれにくい独自の強みがある商品を持っている
- 資金力があり、コストがかかっても対応できる
- 集客に時間や手間をかけるのが難しい
例えば、「価格競争で勝負できるマス向けの商品を扱うアパレル店」などは、自社ECでネットショップを立ち上げる手間をかけられないような場合でも、ECモールに出店することで一定の集客を見込める可能性があるでしょう。コスト面の折り合いがつけば、大きな利益を上げられるかもしれません。
一方で、自社のブランディングを重視したい事業者や、すでに多くのファンを抱える実店舗を持つ事業者などは、あえて自由度が低くコストの高いECモールを選ぶ必要性は低くなります。ECモールは新規顧客の獲得には向いているため、近年では、自社ECと並行してECモールにも出店し、ECモールで獲得した顧客を自社ECに誘導してリピート購入を促すという方法も行われているようです。
ASPカートのメリット
ASPカートには、機能面やコスト面などで、ECモールにはない下記のようなメリットがあります。独自性のあるネットショップを運営したいなら、ASPカートを検討するのがおすすめです。
顧客データを取得できるため、リピート率やLTVを伸ばせる
ASPカートでは、顧客データを保有・管理する機能が備わっています。顧客データをもとにしたマーケティング施策を打てるため、リピート率やLTV(*3)を向上することが可能です。近年、飽和状態になりつつある市場では新規顧客の獲得コストは上昇しており、既存顧客のリピート率向上やファン化が重要になっているため、この点は大きなメリットです。
*3=顧客が自社と取引を開始してから終了するまでに自社にもたらす利益
デザインの自由度が高く、ブランディングしやすい
ASPカートは、ECモールに比べてデザインの自由度が高い傾向があります。デザインテンプレートが用意されていたり、自分で自由にデザインをカスタマイズできたりするため、自社のブランドイメージや商品イメージに合ったデザインのネットショップを作れるでしょう。そのため、ブランディングはASPカートのほうがやりやすいといえます。
デザインの自由度の高さは、商品の訴求にも役立ちます。商品を効果的にアピールできるデザインや、ターゲット層の好みに合ったデザインを採用することで、消費者に商品の魅力を感じてもらいやすくなるはずです。
費用が抑えられる
ASPカートには、無料で利用できるサービスや、月額費用がかからないサービスもあり、コストを抑えて運用できます。有料のASPカートでも、ECモールを利用する場合に比べると安価な場合が多いといえます。
まずはコストをかけずに自社独自のネットショップをオープンしたいという事業者には、自社EC(ASPカート)はおすすめの開業方法です。
機能をカスタマイズできる
ASPカートの多くは、サービスによってできる範囲は異なりますが、ある程度機能のカスタマイズができます。自社が使いたい機能をピックアップすることで、無駄なく、必要な機能をそろえたネットショップを開設できるでしょう。
ただし、機能のカスタマイズ性や具体的な機能は、ASPカートによって異なります。
ASPカートのデメリット
自由度の高さが魅力のASPカートですが、デメリットもあります。期待どおりの収益が上がらないといった問題を引き起こさないためにも、下記のようなデメリットがあることを理解しておかなければなりません。
集客を自力で行わなければならない
自社ECでは、集客を自力で行う必要があります。ECモールの高い知名度を活用した集客ができないため、ASPカートで作成した自社のネットショップに来てもらえるように、消費者への積極的な販促活動が必須です。
InstagramやTwitterといったSNSサイトや動画サイトなどを活用した宣伝ノウハウを持たない事業者の場合、集客に苦労するおそれもあります。
サービスによって機能が異なる
ASPカートには、無料・有料という区別だけでなく、越境ECがしやすいASPカートや、デザインテンプレートが多く機能の拡張性が高いASPカートなど、さまざまな種類があります。そのため、自社の事業の方向性とマッチしたサービスを選ばなければいけません。
ネットショップをどのように運用したいか、どのようなデザインにしたいのか、実店舗はあるかといったさまざまな要素を検討し、将来にわたって長く使えるサービスを選んでください。
ASPカートは有料と無料、どちらを選べばいい?
ASPカートには、月額使用料が有料のものと無料のものがあります。ただし、無料のカートも完全無料というわけではありません。月額の固定費用がかからないというだけで、販売した額に応じた手数料がかかります。また、有料カートであっても、月額費用のほかに別途決済手数料などの手数料は発生します。
有料カートと無料カートは、どちらが良いと一概にいえるものではありません。下記の特徴を踏まえて、自社のスタイルに合ったカートを選びましょう。
有料カートがおすすめの事業者
一般的に、拡張性は有料カートのほうが高く、充実した機能を利用できる場合が多くなっています。本格的にネットショップ運営を行いたい事業者は、有料カートがおすすめです。
無料カートがおすすめの事業者
一方、限定的な商品を臨時で販売したい、副業で小規模なネットショップを開業したい、といった場合は無料カートが適しています。機能が豊富すぎるとかえって使いにくいこともあるため、細かいカスタマイズは不要で、ネットショップの運営に必要な最低限の機能で事足りるようであれば、無料カートを検討してください。
有料ASPカートのおすすめサービス5選
続いては、有料ASPカートの中から、おすすめのサービスを紹介します。それぞれ手数料や容量、サービスなどが異なるため、目指すネットショップの方向性に応じて選びましょう。
なお、下記の情報は2023年6月現在の情報で、金額はすべて税込です。
Shopify
Shopifyは、世界各国で利用されているグローバルなサービスです。越境ECにも対応しているため、日本のみならず海外でも商品展開をしたいと考えている事業者にも適しています。
Shopifyには、豊富なデザインテンプレートと直感的な操作ができる管理画面、多種多様なアプリが用意されています。これらを活用することで、プログラミングの知識がなくても、簡単に自社のネットショップを開設可能です。アプリによる高度なカスタマイズという機能があることで、不要なカスタマイズに時間をかけてしまうことも抑えられ、適切な機能だけをスピーディーに取り入れることができます。
さらに、高度な機能やデザイン性を備えたネットショップを開設したい場合は、Shopifyパートナーにサポートを依頼することも可能です。
Shopifyのメリットや機能について詳しくは、下記の記事をご参照ください。
基本プランは、事業規模に合わせて、「ベーシック」「スタンダード」「プレミアム」の3種類が用意されており、基本的なサービスを網羅したサービスを低コストで導入したい事業者から、実店舗と連携をとりながら大規模なネットショップを構築したい事業者まで幅広く対応できます。
事業規模に応じたアップグレードもできるため、成長に合わせてプランを変更するといった対応も可能です。特に法人事業者がネットショップを開設する際のサービス選びでは、将来も見据えて、規模が拡大してもほかのサービスにリプレースする必要がないように慎重に検討することが重要ですが、その点でShopifyは自社にとって最適なタイミングで容易にスケールアップできます。さらに、上記の3種類の基本プラン以外にも、より高機能なサービスを利用できるエンタープライズ向けの上位プラン「Shopify Plus」というプランもあるため、大規模なネットショップの運営にも対応可能です。
Shopifyのプランについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。
Shopifyの主な費用と機能
無料 | |
25~299ドル(基本プランのみ、年払いの場合) | |
3.25~3.4% | |
無制限 | |
無制限 | |
140種類以上 |
※Shopifyは海外事業者であるため、消費税は非課税。
makeshop
makeshopは、カスタマイズに対応した「makeshopエンタープライズ」と、低コストの「プレミアムプラン」の2種類のプランが用意されたASPカートです。月額固定の料金のほかに必要なのが決済手数料のみで、販売手数料や注文手数料といった名目での手数料は基本的にはかかりません。販売量が増加しても、コストを抑えて運用しやすいでしょう。また、同一名義で複数の契約を締結した場合、2店舗目以降は初期費用(1万1,000円)が無料になります。
クレジットカードやAmazon Pay、PayPayなど、主要な決済手段にも対応可能で、クーポン機能、会員ランクの自動振り分け、在庫アラートといった一般的なネットショップに必要な機能は、プレミアムプランでも利用できます。
一方、専用サーバーの構築やシステムカスタマイズなどは、makeshopエンタープライズのみの機能です。一定以上の規模のネットショップを目指す場合は、makeshopエンタープライズがおすすめです。
makeshopの主な費用と機能
1万1,000円または11万円 | |
1万2,100円または6万500円 | |
3.14~3.49% | |
1万点または5万点(それ以上のプランあり) | |
100MB~20GB | |
100種類以上 |
カラーミーショップ
カラーミーショップは、月額4,950円という比較的手頃な価格でネットショップを作れるサービスです。本記事で紹介している有料カートの中では、Shopifyに次いで固定費が低く設定されています。
海外販売やBtoB向けの販売、デジタルコンテンツの販売、実店舗との在庫連携、予約販売など、さまざまな商材や販売手法に対応できます。店舗の運営は、PCがなくてもiOSとAndroidの公式アプリから行えるため、どこからでも手軽にネットショップ運営ができるでしょう。
一方で、月額料金が安価な「レギュラー」プランは利用可能なデータ容量が5GBと小さく、より多くの容量を使いたい事業者は「ラージ」「プレミアム」といった上位プランを利用する必要があります。
カラーミーショップの主な費用と機能
3,300円~ | |
4,950~3万9,600円 | |
3.14~4% | |
無制限 | |
5~100GB | |
80種類以上 |
futureshop
futureshopは、ノーコードでイメージどおりのネットショップが作れるASPカートです。自社にエンジニアがいなくても、ネットショップのUXやUI、導線の柔軟な設計が可能です。
また、開店前オンボーディングミーティングや無料コンサルティングなど、ネットショップを運営する上でのサポート体制も整っています。
一方で、クレジットカード決済の利用に月額1,650円の固定費がかかる点に注意が必要です。futureshopのプランは最も安いもので月額2万4,200円ですが、実際にはさらに高額なコストがかかる可能性があるでしょう。最上位プランの「futureshop omni-channel」でも、同様の追加費用が発生します。
futureshopの主な費用と機能
2万4,200円~ | |
2万4,200~16万7,200円(クレジットカード決済を利用する場合、別途1,650円必要) | |
3.2~3.5%+3円 | |
50~3万点 | |
2~80GB | |
不明 |
ショップサーブ
ショップサーブは、本記事で紹介するASPカートの中で最も月額費用が高額なサービスです。専任コンサルタントによるサポート、高品質で安定した回線とセキュリティ、24時間365日の有人監視システムなど、手厚いサービスを提供しています。
カスタマイズ性も高く、タグを用いたネットショップのカスタマイズも可能です。一定以上のレベルの高度なネットショップを構築したい事業者に適しているといえます。
最も安価な「プラン3S」のほか、「プラン3G」「プラン3P」という上位プランも用意されており、利用できる機能はどのプランも同一ですが、登録可能な顧客数が異なります。
ショップサーブの主な費用と機能
3万3,000円 | |
4万2,900~17万4,900円 | |
3.4~4.2% | |
3,000~50万点 | |
10GB~1TB | |
不明 |
無料ASPカートのおすすめサービス3選
無料ASPカートは、ネットショップの開設を無料で行えるサービスです。決済手数料とは別に、販売額に応じた販売手数料がかかるプランが設定されている場合が多く、商品が売れなかった際の費用をゼロに抑えるという運用もできます。「売れるか売れないかわからないからコストをかけたくない」という場合は、無料ASPカートの利用がおすすめです。
ここでは、おすすめの無料ASPカート3選の特徴と料金を紹介します。なお、有料ASPカートの解説と同様、下記の情報は2023年6月現在の情報で、金額はすべて税込です。
BASE
BASEは、サービス利用料(販売手数料)3%または月額5,980円のどちらかを選択して契約できるASPカートです。本記事で紹介する無料ASPカートの中でも手数料が低く、コストを抑えて利用したい事業者に適しています。
商品登録数は1日1,000点までですが、合計の点数制限はなく、容量も無制限、デザインテンプレート数も無料ASPカートの中では豊富で、魅力の多いサービスだといえるでしょう。英語対応やシークレット販売、年齢制限、配送日設定なども可能です。
BASEでは、無料のスタンダードプランから有料のグロースプランへのアップグレードもできます。月商17万円以上になったらグロースプランに切り替えるのがお得です。
グロースプランは、クレジットカード決済やコンビニ決済、キャリア決済などの決済手数料が2.9%と非常に低く設定されています。一方、機能性は、スタンダードプランでもグロースプランでも同じです。無料プランでも、すべての機能を利用できます。
BASEの主な費用と機能
無料または5,980円 | |
無料または3% | |
2.9%または3.6%+40円 | |
無制限(1,000点/日まで) | |
無制限 | |
86種+無料テンプレート |
STORES
STORESは、ネットショップと実店舗を両方構えたい事業者におすすめのサービスがそろったASPカートです。商品や在庫をネットショップと実店舗で連動できるPOSレジ機能、実店舗の予約をオンラインで受付可能な予約システム、来店状況などの顧客情報を管理できる店舗アプリなど、実店舗のサービスを充実させる機能を利用できます。
特に、これから店舗にキャッシュレス決済を導入したいと考えている事業者は、STORESが便利です。STORESの機能には、実店舗でのレジ機能やキャッシュレス決済機能が含まれるため、キャッシュレス決済の導入とネットショップの開設をひとつのサービスでまとめて行えます。さらに、移動販売やイベント出店など、店舗の外での決済にも対応可能です。
ネットショップのフリープランは、決済手数料5%のみで行えるため、一部商品のみネットで臨時販売したいといった場合にも適しているでしょう。ただし、独自ドメインの取得や送り状のCSV出力といった機能は、月額料金のかかるスタンダードプランでないと利用できません。
STORESの主な費用と機能
無料または2,980円(年払い・クレジットカード払いの場合) | |
無料 | |
3.6%または5% | |
無制限 | |
写真枚数:1アイテムあたりフリープラン15枚、スタンダードプラン30枚まで | |
48種(無料) |
メルカリShops
メルカリShopsは、一般的なASPカートとは若干異なる性質を持つサービスです。出品した商品は「メルカリ」上の検索結果に表示されるため、ECモールに出店したときのように、商品を検索した多くの顧客に表示されることになります。反面、デザインの自由度がなく、写真枚数も限定的です。
通常のメルカリとの違いは、法人が出品できる点と、在庫登録や種類登録、CSVによる商品の一括登録、在庫連携といった機能が利用できる点です。販売手数料は、通常のメルカリと変わりません。
メルカリShopsの集客対象は、基本的にメルカリで商品を検索している人になります。商材やターゲット層とメルカリ利用者のニーズが合致しているかどうかは検討する必要があるでしょう。また、中古品と新品のどちらも販売できますが、中古品を販売する場合は古物商許可を取得しなければなりません。
メルカリShopsの主な費用と機能
無料 | |
10% | |
販売手数料に含まれる | |
不明 | |
写真枚数:1アイテムあたり10枚まで | |
なし |
ネットショップ開設に特にShopifyがおすすめな理由
ネットショップを開設する方法は、前述したとおり数多くあります。その中でも、最新の機能を兼ね備えた理想どおりのネットショップを実現するためには、下記のような特徴があるShopifyがおすすめです。
カスタマイズ性が高い
Shopifyには、豊富なデザインテンプレートと約8,000の拡張アプリがあります。デザインテンプレートやアプリは自由に導入と削除が可能で、必要に応じて機能を追加したり、デザインを見直したりしながらネットショップを構築できます。
拡張アプリは世界中のサードパーティーが開発をしており、新しいアプリのリリースやアップグレードも盛んです。ChatGPTを使った機能なども素早くリリースされており、最新の技術をスピーディーに取り入れられるでしょう。
事業が成長してもリプレースが不要
Shopifyでは、幅広い事業規模に対応できるプランが用意されているため、成長に応じたリプレースが不要です。手軽に始められる低コストのASPカートの中には、大規模な事業に対応できないものもあり、規模の拡大によってリプレースが必要になる場合もあります。しかし、小規模事業者が新たに事業を始める際に、最初から大規模事業者向けのASPカートを利用するのは、コストが高すぎる上に機能を十分に活用することもできません。
その点、Shopifyは月額5ドルという低コストのプランから月額2,000ドル以上のプランまで、幅広い料金体系がそろっていて、さまざまな事業者が自社の規模に応じたプランを活用できます。事業規模の拡大に応じて契約を見直していくことで、リプレースの手間をかけることなく同じサービスを使ったまま成長していくことが可能です。
Shopifyで本格的なネットショップを開業したいならプロへの相談がおすすめ
自社のブランディングを重視しつつ、豊富な機能性を兼ね備えた本格的なネットショップをオープンするには、Shopifyの利用がおすすめです。デザインテーマが豊富で、アプリによる高度な機能拡張ができるShopifyなら、それぞれの事業者のイメージにぴったり合致するネットショップを構築できるでしょう。
詳しいプログラミングの知識がなくても利用できるShopifyですが、より多くの機能を兼ね備えたネットショップを目指したい方は、Shopifyの公認パートナーを活用するのも有効です。
Shopifyでのネットショップ構築・運用支援サービスであるBiNDecを提供しているWEBLIFEは、Shopify公認パートナーの中でも最上位のShopify Plus Partnersで、豊富な実績とノウハウをもとに理想のネットショップ構築を完全サポートします。ネットショップ構築にお困りの際は、ぜひご相談ください。
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