ChatGPTで売上分析!EC担当者が知っておきたい便利なAIツール

前回、Shopアプリでのショッピングコンシェルジュとしての利用や、Shopifyの出店者が商品説明を考えてもらうアシスタントという面から紹介したChatGPTですが、その後も短期間で大きな進化を遂げ、データを用意するだけで売上分析を行ったり販売戦略を考えてくれるまでになりました。
今回は、そうしたChatGPTの応用例と、ECビジネスで活用できる最新の画像・動画系の生成AIをご紹介します。

ECビジネスで活用できる最新の画像・動画系の生成AIをご紹介

頼もしいデータアナリストとしてのChatGPT

EC事業者に限らず、物販企業にとって大切なのは、売れ筋の商品を見極めて、短期的な仕入れの計画を見直したり、中・長期的な取り扱い商品の開拓や開発の指針とすることです。しかし、アイテム数が少なかったり、固定客中心のビジネスであれば、そのような分析も比較的簡単ですが、事業拡大に伴って扱い商品が増え、顧客層も広がってくると、一筋縄ではいかなくなってきます。

大企業では、専門のデータアナリストを雇ったり、外部のコンサルタントに依頼して、セールスの分析や商品戦略のアドバイスを受けることもできますが、スタートアップやスモールビジネスでは難しいところもあるでしょう。そこで、ChatGPTの出番です。

→データ活用で顧客化がスムーズになる、CRM戦略のキホンとは?

様々な角度からデータを分析するCode Interpriter

これまで、ChatGPTは単体でのデータ分析などを行うことはできませんでしたが、7月のアップデートでChatGPT PlusにCode Interpriterと呼ばれる機能が追加され、外部のExcelファイルなどを読み込んで、様々な角度から分析させることが可能となりました。ChatGPT Plusは、月額20ドルのサブスクリプションとなりますが、前回も触れたように、データ分析以外にも様々な活用ができますし、専門の担当者を置くことを思えば、破格のサービスといえるでしょう。

従来、同様の分析は、Excelのマクロ機能などを使って行う必要があり、しかも、分析の切り口をユーザー側で考え、着目点を変えるごとに、マクロも作り直すことが必要でした。しかし、Code Interpriter機能をオンにしたChatGPTでは、役割(たとえば、ブティックの店長)と目的(売上の最大化)を与えたうえで、「分析して」とプロンプトで指示することで、多面的な分析結果が得られるのです。以下に、その流れを示します。
※拡張機能やCode Interpriterの利用はWebブラウザからのみで、3時間ごとに50の質問まで可能

→データ活用で顧客化がスムーズになる、CRM戦略のキホンとは?

Code InterpriterでECサイトの売上を分析する手順

まず、分析したいデータを用意してください。ここでは、商品カテゴリーや価格、購入者の年齢や性別を盛り込んだダミーの売上データを使いましたが、実際の項目名や項目数は自社で用いているもので問題ありません。
売上データをExcel形式で用意し、プロンプトで指示するだけで様々な分析を行って洞察を与えてくれる

次にChatGPT PlusのCode Interpriter機能を、次の手順でオンにします。
Code Interpriterをオンにして、データファイルをアップロード
データ分析を行うには、ChatGPT Plusの設定(Setting & Beta)から”Beta features”を選んで”Code Interpreter”をオンにし、さらに新しいチャットで”GPT-4”の”Code Interpreter Beta”にチェックを入れます。次に、”+”アイコンをクリックしてデータファイルをアップロードします。

データファイルをアップロードできたら、プロンプトで指示を与えます。単に「分析して」でも、適宜、分析してくれますが、役割と目的を与えることで、より的確な分析が行われ、目的達成のためのアドバイスが追加されます。

分析の区切りで処理が止まったら、「続けて」と入力すれば続きの分析結果を見ることができる。

結果をグラフ化することもChatGPT内で可能です。ただし、現状ではグラフ内の項目名などを日本語フォントで表示しようとすると、少しややこしい処理が必要となります。そのため、英語で表示するようにプロンプトで指示を与えることをお勧めします。
グラフ内の日本語表示が文字化けするため、項目名を英語に翻訳するよう指示を追加している。

ECプラットフォームのShopifyにもサイトの売上を分析してくれるAIが搭載される予定です。最新情報は以下の記事をご覧ください。

→データ活用で顧客化がスムーズになる、CRM戦略のキホンとは?

イメージビジュアルも簡単に作成可能

次に、画像生成AIを利用して、ショップのイメージビジュアルを作ってみましょう。
画像AI生成の場合、プロンプトだけで構図や配置を正確に決めることが難しいため、扱い商品とまったく同じものを生成するのには適していません。しかし、イメージビジュアルのような雰囲気を作り出すことは得意であり、そういう目的であれば、十分実用になります。
Midjourney AIという画像生成AIが最も汎用性が高く、高品質の画像が得られますが、Discordというコミュニティサービスのチャットボットを介して利用するため、登録がやや面倒で、ベーシックプランでも月額10ドルの有料となるため、Microsoftのアカウントがあれば無料で使えるBing Image Creatorを使うことにします。
Bing Image Creator|Microsoftのアカウントでログインするだけで無料で使える画像生成AIサービス

利用法は簡単で、プロンプトの入力フィールドに、生成したいイメージの説明をテキストとして入力するだけです。このプロンプトは、日本語でも構いません。
ここでは、「焼きたての様々なパンが並ぶ、ベーカリーの店先」のイメージを生成させてみましたが、実にリアルなイメージが作られました。たとえば、パンの通販を手掛けているなら、自社のショップページのトップイメージとして利用するようなことが考えられます。自社の業種や扱い商品の分野に応じて、色々なプロンプトを試してみてください。
「焼きたての様々なパンが並ぶ、ベーカリーの店先」というプロンプトで画像を生成
結果は、このようにリアルなイメージが4つ生成されました。サムネイルをクリックすると拡大表示され、ダウンロードできるようになります。

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プロモーションビデオはAIアバターにお任せ

さらに、生成AIを利用すると、商品説明のナレーションや、プロモーションビデオなども、プロの声優や俳優を起用したかのような出来栄えにすることができます。説明のシナリオもChatGPTで作れますが、それを実際に滑らかに読み上げるのは、なかなか難しいものです。しかし、HeyGenのような音声合成やリップシンクするAIアバターに特化した生成Aiサービスを利用すれば、性別や声質、言語を選べるだけでなく、画面にナレーター役のキャラクターを登場させて説明させることもできるようになります。
HeyGen|リアルな音声のみのナレーションを生成したり、リップシンクしたアバターを使ってプロモーションビデオなどを作れる

HeyGenの場合、テキストから音声だけを生成することもできますし、アバターの選択から始めることも、あるいは、公開されているパブリックテンプレートを選んで編集していくことも可能です。
ここでは、30%セールのテンプレートをセレクトして、ナレーションを日本語に置き換え、内容に合わせて、途中で自然をイメージしたビーチの動画を重ねて表示してみました。

HeyGenのEC用のパブリックテンプレートを使用して生成した「ブティック・ウェブライフ」のサンプルビデオ。ナレーションに合わせてアバターの口が動き、ジェスチャーを交えて説明してくれる。

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さらに進化が期待される生成AIの世界

日々進歩する生成AIには、まだ完全ではないものの、今後の発展に期待させるサービスもあります。そこで、最後に、服のイメージからモデルが着たときの写真を生成させたり、プロンプトだけで動画を生成できるものを紹介しておきましょう。
グラフィックデザインの世界でよく知られたAdobeは、自社のアプリ内に生成AI機能を取り入れることに熱心に取り組んでいますが、基本的にすべてサブスクリプションベースなので、デザインや出版関係のプロでないと手を出しにくところがあります。ところが、Adobe Fireflyというサービスだけは、無料で公開されているのです。
Adobe Fireflyの機能の中で特に興味深いのは、「生成塗りつぶし」というもので、これは本来、指定した範囲の被写体の色を変えたり、写真で写っている範囲の外にあるイメージをAIが推測して補ってくれるというものです。写っている範囲外をAdobe Firefly単体で生成させるには、あらかじめ写真の周囲に空白を付加しておき、Adobe Firefly上で、その部分をブラシで塗るように範囲選択する必要があります。
Adobe Fireflyの生成塗りつぶし機能

これを応用すると、たとえばTシャツの写真があれば、背景をワンタッチで選択し、「このTシャツを着たモデルの写真を生成」のようなプロンプトを与えることで、モデル着用時のイメージを作ることができるようになります。ここでは、Shopifyの商品説明のテンプレートページにあるTシャツをモデルに着用させてみました。現段階では、精度の点で今一つではあるものの、このような処理が普通に行えるようになるのも時間の問題といえるでしょう。

Tシャツのみの写真から、モデルが着用したときの画像を生成するような使い方も可能

 テキストから動画を生成するサービスで、今のところ業界トップクラスと考えられるのがRunway MLのGen-2です。
クラウド側の処理の負荷が大きいため、現状では動画生成は1回あたり4秒までという制約があり、顔や指などの表現に改良の余地があるものの、プロンプトだけでここまで生成できるのは驚異的といえます。
アカウント登録すると与えられるクレジットの範囲内で、実際に動画生成をして確かめられるので、有用と思えれば有料プランに移行するとよいでしょう。
4つの静止画のプレビューが提示されるので、イメージに合うものを選び”Select Preview”を押して実際の動画を生成

オリジナルのスポーツウェアを販売するフィットネスクラブを想定して、イメージビデオを作ってみました。各シーンは、「The back figure of a young girl running through urban street in a casual sport ware(カジュアルなスポーツウェアを着た若い女性が、都会の道を走り抜けていく後ろ姿」のようにシンプルなプロンプトから生成されたものです。後ろ姿としたのは、Gen-2はまだ顔の表現が苦手なので、それを回避するためですが、それなりにまとまったものになっているかと思います。

フィットネススタジオをイメージして、街中や公園をジョギングする女性の動画を5つ生成し、同じくAI生成のロゴマークと組み合わせて編集したプロモーションビデオの例

まとめ

このように生成AIは、無料で利用、あるいは試すことのできるサービスが数多く登場してきており、ECビジネスにとっても有用なツールとして無視できない存在となりつつあります。専用サービスも色々と出ていますが、それらはメジャーな生成AIのコア技術をベースに、特定の目的に適したユーザーインターフェースを設けたものであることも少なくありません。その分、使いやすい面もあるものの、まずはより汎用的なChatGPTや画像生成AIを使って感覚を掴み、必要に応じて、かけられる予算に見合うサービスに切り替えても良いでしょう。
生成AIは、もう後戻りすることはありえない技術です。今から少しずつでも利用し始めて、自社ビジネスの拡大に役立ててください。

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POINT

  • ChatGPT Plusの新機能「Code Interpriter」は多方面の視点からデータを分析してくれる
  • Adobe Fireflyの生成塗りつぶし機能を応用して商品を着用したモデルの写真を生成ができる
  • Gen-2では、最大14秒までのプロモーション映像を作成することができる

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