【最注目】ShopifyとMeta、NIKEが考えるAI活用とリアル体験が生むECの再発明

Enterprise Partner Summit 2023レポートの最後となる今回は、ゲストとして招かれた先端企業の重役や技術者とのコラボセッションの内容と、会期を通じて印象に残ったShopifyコミュニティの素晴らしさを中心にお伝えします。

Shopifyのコーポレートカルチャーには、ECプラットフォームであることから幅広い企業を受け入れるオープンさがあり、本イベントでも異業種の重鎮などがパネラーとなってディスカッションを行うセッションや、スポンサー企業が趣向を凝らして参加者の交流を促す夜のパーティーなどを通じて、興味深い体験を得ることができました。
本イベントのこれまでのレポート記事はこちらからご覧ください。

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Shopifyも期待するBiNDecの取り組み

今回のサミットの会期中には、WEBLIFE CEOの山岡と、アジア・パシフィック地域のパートナーセッションでも司会を務めたShopifyのパートナーシップディレクターのRhys Furner氏との個別の会談も行われました。
カジュアルなこの会談には、Shopify Japanスタッフでパートナーシップ事業開発部長の徳光 泰彰氏とシニアパートナーシップマネージャの田坂 佳子氏も同席し、以下のようなポイントについて、WEBLIFEが提供しているEC構築・運用サービス「BiNDec」の取り組みが順調に進んでいることを伝えました。
写真左から、山岡 義正、Rhys Furner氏、徳光 泰彰氏、田坂 佳子氏

Shopifyの機能性を活かした短納期構築

まず、新型コロナウイルス禍が落ち着いたことで市場に変化が生まれ、特に、中・高級市場向けの事業者が別のECプラットフォームからShopifyへの移行を望んでいるという実情があります。BiNDecでは、そうした事業者に対して移行を支援する短納期でのEC構築を推進しており、この取り組みが好評で、多くの事業者がShopifyへの移行を計画中です。
その際のポイントは、旧プラットフォームから製品や顧客の情報をShopifyに移すことにあり、そこにBiNDecのノウハウが生かされています。

また、グローバル企業でシェア率の高いMagento、日本でよく利用されているec-being、EC CUBEなどのECプラットフォームからShopifyへの移行を支援するプロジェクトも進行中です。

大規模なEC構築・運用のサポートも充実

さらに、BiNDecでは、Shopify Plusの対象となるエンタープライズ企業の拡大にも注力しており、チェックアウトUIの拡張や、日本特有の配送日時指定の対応やギフトラッピング機能の追加プロジェクトなどが進められてきました。そして、ウェビナーやリアルイベントを通じて、自社の製品普及を推進しており、日本のパートナー企業と協力して市場拡大を目指しています。
エンタープライズ市場へのアプローチでは、そうした企業が利用している既存のテクノロジーとの連携を模索中で、事業者を引き付けるためのデータ分析と戦略の検討を行っている状態です。

これに対して、Rhys氏からも、「他のECプラットフォームを利用している企業のShopifyへの移行は、非常に重視している領域」であることが告げられ、「意思決定に時間のかかるエンタープライズに対する働きかけは大変だが、ぜひ進めていって欲しい」と激励されました。
BiNDecの取り組みについてコメントするRhys氏

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Metaも登壇したAI関連のセッション

今年はChatGPTに代表される生成AIがさまざまな分野で普及段階に入った年でしたが、Shopifyもサービス内にShipify MagicやSidekickなどの生成AI機能を融合するだけでなく、その先も見つめて積極的に利用法を探っています。

今回のセッションでも、まさに”Building Al Based Solutions”(AI ベースのソリューション構築)と銘打たれたものがあり、AI研究に力を入れているMeta(旧Facebook)のシニアディレクター兼プラットフォームエンジニアのAmit Sangani氏が、ShopifyのプロダクトディレクターであるMiqdad Jaffer氏と語り合いました。
AIベースソリューションについて語るMiqdad Jaffer氏とMetaのAmit Sangani氏

広がり続けるAI技術のビジネス利用

まず話題となったのは、生成AIがビジネスの世界で果たす役割が急速に拡大しているということです。特に、顧客サポートのためのチャットボットなどの会話型AIは、最小限のコストで24時間365日のサポートを提供するうえで重要なツールになっているとの指摘がありました。

また、AIによるビジュアル検索やパーソナライズされた商品推薦を可能にする能力についても、ショッピング体験が向上することから注目が集まっているとのことです。さらに、企業を悩ませている詐欺被害や在庫管理の問題についても、AIによる監視や管理によって不審な情報を検出したり、需要予測などによって在庫を最適化できるという点が期待されています。

Amit氏は、Metaが自社の生成AIイニシアチブであるLlamaプロジェクトなどを通じて、AI技術の民主化を目指していることに言及し、「Llamaは、柔軟性があってライセンス制限がないオープンソースの大規模言語モデルとして公開されているので、商業的にも研究目的でも利用可能である」ことを強調しました。一方では、AIを応用したアプリケーションにおいては、プライバシーとセキュリティの確保が重要であるため、ユーザーデータを保護して悪用されないようにする仕組みの整備も行われています。

Llama

Llama|Metaが提供するオープンソースの大規模言語モデル

AIの生み出す優れたユーザー体験

AIが仕事に与える影響についても話し合われ、確かに一部の仕事がなくなる可能性がある一方で、新しい機会も生み出しているとの示唆もありました。そして、今後は、クラウドではなくスマートフォンのような低消費電力の高性能デバイスでAIモデルを実行することが、処理の遅延を大幅に減らして、優れたユーザー体験につながっていくとのことでした。
このセッションを通じて、今後のビジネスにおけるAIの応用がますます多様化し、よりユーザーフレンドリーでアクセスしやすい存在にするための努力が継続的に行われていくこと、そしてそこには倫理面での配慮も組み込まれていくことが明らかとなりました。今後のShopify MagicとSidekickも、さらに応用範囲が広がり、有用性が増していくでしょう。

ShopifyのAI機能について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

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消費者トレンドに敏感なNIKEの示唆に富む洞察

2022年1月に設立されたばかりのNIKEの新規部門で、新しいデジタル技術のスポーツへの応用を担当しているバーチャルスタジオのゼネラルマネージャであるRon Faris氏を招き、Shopify社長のHarley Finkelstein氏が聞き手となって進行した「エンタープライズコマースの革新」がテーマのセッションも注目を集めました。
ここでは、マーケティングやリテールにおけるリアルとデジタルの統合に焦点を当てたディスカッションが行われ、消費者トレンドの進化やブランドストーリーテリングの重要性について語られました。

デジタルネイティブ世代に向けた、リアル体験とデジタル体験の融合

たとえば、Z世代(1995年から2012年の間に生まれたネット世代)やアルファ世代(Z世代以降の世代)のような若い世代は、従来のメディアよりもデジタルメディアやビデオゲームへの関心が高いといえます。この変化は、リアルスポーツを対象としてきたNIKEのようなブランドにも必然的に変化をもたらし、マーケティングや消費者エンゲージメントの方法を大きく変えてきたのです。
リアル体験とデジタル体験の融合について話すNIKEのRon Faris氏
RON氏は、リアル体験とデジタル体験の融合に関して、特にビデオゲームの世界観やゲーム内で利用するアイテムなどに着目することが求められるといいます。オンラインゲームのFORTNITEのようなデジタル世界での自己表現が、リアル世界でのそれと同じくらい重要であるというのです。
このことは、若年層の向けの消費者行動と、そこに向けたEコマースのあり方にも影響を与えており、特にそれらの世代に対しては、オンラインショップとリアル店舗の双方で、同様に優れたEコマース体験を提供しなくてはならないとのことでした。こうしたハイブリッドなアプローチは、既存ブランドが急速に変化するリテール環境に適応するうえで重要なポイントになると考えられます。
そのため、企業にはデジタル時代に相応しいブランドストーリーテリングが必要となってきました。複数のデジタルチャネルが存在する時代だからこそ、統一されたメッセージに基づいたブランドストーリーを構築しなければならないのです。

自らの再開発によるエンタープライズコマースの革新

その一方では、ブランドがトレンドを作るのではなく、消費者自身が自分たちの好みを発信して、ブランド製品にそれが反映されていくような、消費者主導によるリテールの大きなシフトが起こっていることも指摘されました。しかし、消費者トレンドに追従するだけでは、ブランドの差別化が十分に行えない可能性も出てきます。
そこでNIKEでは、先端技術的なイノベーションを加えることでスポーツの可能性を最大限に引き出し、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるようにするという企業理念にも忠実な製品作りをして成功につなげてきたのです。
聴衆に熱く語るShopifyのHarley Finkelstein社長
RON氏は、NIKEのように確立されたブランドイメージを持つ老舗企業でも、自らを積極的に「再発明」していくことが必要だといいます。また、これからのブランド開発のリーダーには、権威による組織のコントロールではなく、社内チームや従業員のニーズに寄り添い、彼らをサポートすることで成長を促すことを最優先に考えるサーバントリーダーシップがなければ、持続的な成功は望めないとも語りました。
結論として、オンラインかオフラインかに関わらず、消費者にとって意味のあるブランドとのつながりと、それに伴う優れた顧客体験を作り出すことが、エンタープライズコマースの革新へとつながっていくといえるのです。

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参加者の交流を促し楽しませる工夫の数々

最後に、イベント全体を通じて感じられた、Shopifyとスポンサー企業による参加者の交流を促し楽しませる工夫について触れておきましょう。
初日の前の晩には、市内中心部のビルの屋上で前夜祭的なパーティがあり、翌朝には、参加者同士を結びつけて親睦を深めることのできるパートナーコネクトが会場の屋外で開かれました。コミュニティを重視するShopifyらしい仕掛けです。

メインのセッションの合間には、カジュアルなスタイルで進行する、テーマ別の小ミーティング的な情報提供もあり、参加者はそれぞれの興味に応じてグループに分かれ、Shopifyの担当者のプレゼンテーションに耳を傾けていました。
テーマ別の小ミーティングの様子
最終日の夜にも、市内の数カ所でスポンサー企業によるアフターパーティがあり、中には、それぞれをハシゴしながらロスの夜を楽しむ参加者も居たようです。
すべてのセッションが英語で行われて同時通訳などがないため、日本人にはややハードルが高いところもありますが、こうしたイベントはShopifyのカルチャーを知るうえで良い機会といえます。機会があれば、より多くの日本のShopify事業者の方々に参加していただきたいと思えるイベントでした。

Shopify PlusパートナーによるEC構築サービスBiNDec

WEBLIFEでは、Shopifyを利用したECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」を提供しています。
豊富な導入実績とハイレベルな技術力・知識量を認められたShopify Plusパートナーとして、中小規模から大規模のストアに向けた最適な運用戦略の提案も可能です。
ShopifyでのEC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。
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POINT

  • 中・高級市場向けの事業者が別のECプラットフォームからShopifyへの移行を望んでおり、Shopifyもその傾向を重視している
  • AI技術の活用によって、コストを最小化し、優れたユーザー体験が生み出されている
  • 歴史あるブランドも積極的に「再発明」していくことが持続的な成功につながる

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