CPM分析で何がわかる?RFM分析との違いやECの顧客育成の具体策

EC事業の成長のために、顧客を深く理解したいと考える事業者は多いのではないでしょうか。CPM分析は、顧客を理解して事業の安定成長に役立てる分析手法のひとつです。顧客の行動をCPM分析でデータ化し、それぞれの状況に合わせたアプローチをとることで、リピート率を上げやすくなるでしょう。特にEC事業では、顧客データを入手しやすく、既存顧客へのアプローチがしやすいため、CPM分析を活用した経営戦略が効果的です。

本記事では、EC事業者に向けて、CPM分析とRFM分析の違いなどの基礎知識や重要性、CPM分析を活用した施策の具体例などを解説します。

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CPM分析とは、購入回数・購入金額・経過日数を基準にした顧客分析手法

CPM分析とは、購入回数・購入金額・経過日数を基準にした顧客分析手法

CPM(Customer Portfolio Management)分析は、顧客データの分析手法のひとつです。
CPM分析では、購入回数、購入金額、最終購入日からの経過日数を基準に、顧客を10段階に分類します。その上で、顧客の段階に応じたマーケティングを行い、各段階の顧客を最終的に優良顧客にステップアップするように促し、長期的な安定成長につなげることを目指します。

例えば、一定期間以内に初回の購入を行った顧客に対して、2回目に利用できる割引クーポンを付与したり、ほかの購入者が興味を持った別の関連商品を紹介したりするといった方法で、リピート購入につなげることが可能です。
一方、複数回購入経験があるものの、最終購入日からは日が開いている顧客に対しては、購入履歴をもとにした新商品の案内やキャンペーンの案内などを送ると、再購入につながりやすくなると考えられます。

このように、CPM分析は、顧客の段階に応じた適切な提案を行うために実施するものです。顧客を属性ごとにグループ分けするだけでなく、それぞれのグループの顧客がどのような性質を持っているのかも把握することが重要です。

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CPM分析とRFM分析との違い

CPM分析とRFM分析は、どちらも顧客分析手法ですが、分析の方法と活用法が異なります。それぞれ、下記のような内容を分析します。

休眠顧客の再購入を促すCPM分析とは

購入回数、購入金額、最終購入日からの経過日数をもとに顧客を10段階に分け、それぞれの顧客グループに最適なマーケティングを考える

短期集中で売上を伸ばすRFM分析とは

直近の購入日(Recency)、購入回数(Frequency)、購入金額(Monetary)の3つの軸で顧客をスコアリングし、次回購入の確率が高い顧客層を把握する

CPM分析とRFM分析との違い

CPM分析とRFM分析はどちらも3つの要素をもとに顧客をグループ化しますが、異なるのは、CPM分析が10段階に分けた顧客グループそれぞれへのアプローチを考える分析手法であるのに対し、RFM分析は分析時点で最も成果を出しやすい顧客層を導き出す手法だという点です。

RFM分析は、直近の購入日が近く、購入回数が多く、購入金額が高額な顧客を優良顧客に分類して積極的なアプローチをかけることを前提としているため、短期的な売上向上につながる顧客を見つけるのに適しています。しかし、「以前は購入回数が多かったが、しばらく購入が途絶えている」といった顧客を洗い出して効果的なアプローチをするには、RFM分析は適しません。

CPM分析を用いれば、顧客を10段階に分類してそれぞれの特性を検討するため、「一定期間継続購入していたが、現在は購入が途絶えている」といった顧客に対しても最適なアプローチを取りやすくなるでしょう。一度は購入が途絶えた顧客の再購入を促すことで、取りこぼしのないフォローと長期的な視点での売上アップを目指せます。

どちらにもそれぞれメリットがあるため、併用するのがおすすめです。

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EC事業者にとってCPM分析が重要な理由

EC事業者が安定成長を目指すには、CPM分析の活用が重要です。
実店舗を構える場合に比べ、EC事業では「通りがかりに目について買う」といった可能性が低くなります。また、近隣店舗だけがライバルになる実店舗に比べ、競合他社も多くなります。そのような中で新規顧客を獲得するためには、一定のコストや労力をかけて、Web広告の出稿やSNSの運用などの施策を行っていかなければいけません。

一方、既存顧客へのアプローチは新規顧客獲得と比べて、コストをかけずに効率的に売上を向上させることが可能です。新規顧客に販売するためのコストは既存顧客の5倍かかるとする「1:5の法則」という考え方もあります。新規顧客獲得が難しいEC事業では、CPM分析を活用して既存顧客へのアプローチ法を考えたほうが効果的といえるのです。

加えて、少子高齢化が進む日本では、今後、市場規模が年々縮小していくと考えられます。新規顧客の獲得はどんどん困難になっていくため、リピートしてくれる顧客をいかに育成するかは事業安定のカギです。「パレートの法則」という、売上の8割は、顧客全体の2割でしかない優良顧客が生み出しているという考え方もあるため、CPM分析によって優良顧客を増やしていくことが売上につながるといえるでしょう。

パレートの法則について詳しくは、下記の記事をご参照ください。

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CPM分析の10種の顧客分類

CPM分析では、購入回数、購入金額、最終購入日からの経過日数を基準に、下記の10種類に顧客を分類します。

分類 顧客の特徴
初回現役客 一定期間中に初回の購入を行った
よちよち現役客 一定期間中に2回以上購入を行った
コツコツ現役客 一定期間中に継続してリピート購入があった
流行現役客 短期間で一定金額以上の購入があった
優良現役客 長期的に継続して一定金額以上の購入があった
初回離脱客 一定期間中に初回の購入があり、その後離脱した
よちよち離脱客 一定期間中に2回以上の購入があり、その後離脱した
コツコツ離脱客 一定期間中に継続してリピート購入があり、その後離脱した
流行離脱客 短期間で一定金額以上の購入があり、その後離脱した
優良離脱客 長期的に継続して一定金額以上の購入があり、その後離脱した

初回現役客から優良現役客までは、現在自社を利用中の顧客です。一方、初回離脱客から優良離脱客までは、現在は利用していない、かつての顧客です。これらのさまざまな顧客に対して働きかけを行って、離脱客を現役客に復帰させるとともに、現役客には継続的にリピートしてもらえるようにアプローチしていきます。

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グラフで課題を把握するCPM分析の方法

顧客を分類した後は、グループごとの状況の確認を行っていくことになります。専用のシステムを使うか、表計算ソフトなどにデータを入力してチェックしましょう。

①まず、10種類のグループそれぞれについて、人数と平均累計購入金額、平均在籍期間を求めてグラフ化します。平均累計購入金額とは、顧客一人あたりの累計購入金額の平均です。一方、平均在籍期間は、顧客が初めて商品を買ってから最後に買うまでの期間です。

②グループごとに、顧客の人数、累計購入金額、平均在籍期間をグラフ化し、経緯を見ることで、自社の顧客の分布や行動がどのように変化しているのかがわかります。

③現役顧客の各グラフが伸びていれば、事業は順調だといえるでしょう。反対に、離脱客の人数が増えている場合は、顧客離れが起きていると考えられます。また「顧客人数は増えているが、累計購入金額が低下している」ということであれば顧客単価の減少、「顧客人数は増えているが、平均在籍期間は短くなっている」ということであれば既存顧客の離脱といった可能性が考えられます。
それぞれのグループの持つ問題を明らかにして、適切な対策をとらなければなりません。

グループごとの状況の確認を行っていく

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CPM分析による施策の具体例

CRM分析の効果を上げるためには、分析結果を参考に適切な施策を行う必要があります。具体的にどのような対応をすべきなのか、顧客の属性別の施策例を3例紹介します。

離脱客へのDM・メルマガなどによるフォロー

離脱客は、何らかの理由で次の購入機会を失っている状態だと考えられるため、DMやメールマガジンで魅力を感じてもらいやすい最新商品を案内したり、クーポンを送って購入を促したりするのがおすすめです。

再度購入してもらうには、まずECサイトを訪問してもらう必要があるため、興味を惹きそうなタイトルや見出しを付けて、顧客へのメリットを伝えていきます。具体的なDMやメールマガジンの内容は、自社の初回離脱客や優良離脱客などがどのような状態にあり、何を求めていて、何に不満を感じているのかを別途分析して検討しましょう。
しつこくアピールをするのではなく、顧客側が興味を持ってくれる内容を検討して訪問を促していくことが大切です。

コツコツ現役客へのクロスセル・アップセル方法の見直し

リピート購入をしてくれているコツコツ現役客は、これから優良現役客に育ってくれる可能性のある顧客です。購入回数や1回あたりの購入金額の上昇につながる施策を実施しましょう。

これまでの購入履歴をもとに、上位商品の魅力を伝えたり、未購入の商品の中から興味を持ってもらえそうな商品を提案したりして、より高額の商品や、より多くの商品を手に取ってもらえるよう後押しします。該当の顧客が興味を持ちそうなサンプルを用意したり、多く買うとお得につながるキャンペーンを実施したりするのも効果的です。
クロスセルについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

よちよち現役客の購入商品の分析

よちよち現役客は、一定期間以内に2回目の商品を購入している顧客です。この段階に属する顧客が、初回と2回目に何を購入したのかデータを蓄積していくことで、初回現役客に対してどんな商品をおすすめするのが適切なのかが見えてきます。

よちよち現役客に対してもセールの案内や関連商品の提案を行う必要はありますが、それと同時に、よちよち現役客の購入商品を分析して、ほかの段階にいる顧客へのアプローチに活用しましょう。

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CPM分析に必要な顧客データ収集・分析の方法

CPM分析を行うためには、顧客データを収集しなければなりません。顧客全員の購入回数、購入金額、最終購入日からの経過日数を手動で算出するのは非常に手間がかかり、間違いのもとです。顧客データの収集・分析には、下記の2種類の方法があります。

CRMツールを活用する

CPM分析には、有料のCRMツールを導入するか、ECサイトのプラットフォームで利用できる機能を活用しましょう。CRMツールとは、顧客データの収集・管理・分析を行うためのツールで、CRM(Customer Relationship Management)とは、「顧客関係管理」を意味します。

利用しているECプラットフォームにCRMツールの機能があれば、ECサイトの管理画面でCRMツールの情報も一体的に管理することが可能です。
例えば、ECプラットフォームのShopifyには、サードパーティー製のさまざまなアプリが用意されています。CPM分析機能を追加できるアプリや、CPM分析の後の顧客フォローに役立つ機能を持つアプリも多くあり、これらのアプリを活用することで、効率の良いECサイト運営が可能です。

Shopify アプリストア

CRMツールをはじめとしたマーケティングアプリが多数揃えられたShopify アプリストア


Shopifyについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

ツールの選定・導入が難しい場合は専門業者を活用する

CPM分析に利用するツールは、自社に合ったものを選定する必要があります。事業内容に合わせて、必要な情報を蓄積、分析できるツールを選ばなければなりませんが、選定方法や導入方法に不安がある場合は、ツール導入を支援する専門業者に相談するのもおすすめです。Shopifyのツール選びなら、Shopifyの公認パートナーの支援を受けられます。

公認パートナーの中でも、特に高い専門スキルを持つ企業のみが認定される「Shopify Plus Partners」であるWEBLIFEでは、BiNDecというShopifyのECサイト構築・運用を支援するサービスを提供しています。ShopifyでのECサイト構築やCPM分析の活用方法については、BiNDecにご相談ください。

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まとめ:CPM分析を活用してマーケティングを最適化しよう

CPM分析は、顧客の属性に応じた的確なアプローチを行うことで長期的な売上の安定と向上を目指すための、顧客データの分析手法です。ECサイトの成長には、長期的な顧客育成が不可欠であるため、積極的に活用していきましょう。

ただし、CPM分析を行うためには顧客データの蓄積と集計が必要になります。CRMツール機能を利用できるECプラットフォームを利用するのがおすすめです。
Shopifyなら、CRM機能を含むさまざまな機能をサードパーティー製の機能拡張アプリで追加でき、自由度と拡張性の高い運営ができるようになります。ShopifyのECサイト構築やアプリの選定に迷ったら、数多くの支援実績を持つBiNDecにお気軽にご相談ください。
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POINT

  • CPM分析は、購入回数、購入金額、最終購入日からの経過日数を基準に、顧客を10段階に分類する顧客分析の手法
  • CPM分析によって、顧客の属性に応じたマーケティングで長期的な売上の安定・向上を目指す施策立案が可能になる
  • CPM分析の導入には、顧客データの収集・分析に適したECサイトの機能やツールの導入が必要

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