Shopify Collectiveとは?フルフィルメントの手間をなくす注目のドロップシッピング

EC事業の拡大に伴ってストアの商材を充実させたい、あるいはセールの目玉商品を短期間で準備したいというような場合、これまではメーカーや卸会社のWebサイトやカタログを調べて在庫を確保するなどの面倒な作業が必要でした。
しかし、Shopifyの画期的なクロスセル施策である「Shopify Collective」を利用すると、煩雑な手続きや処理なしに、短時間で必要なものを揃えてビジネスを拡充できるようになります。今回は、まずアメリカからサービスがスタートしている、この「Shopify Collective」の概要を紹介しましょう。

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Shopify Collectiveとは?簡単にドロップシッピングを実現

170万社以上の事業者が参加し、約490万ものサイトで利用されているShopifyのコミュニティには、実に様々な業種から多様なアイテムが揃っています。この巨大なネットワークを利用して、事業者同士が商品の仕入れや卸を行えるようにするサービスが、Shopify Collectiveです。

在庫管理や配送をサプライヤーにおまかせできる販売スタイル

たとえば、化粧品を扱っているストアが、「もしクレンジングブラシを商材に加えれば、既存のクレンジングフォームとのセット販売や、顧客に対する追加セールスのプロモーションなどを通じて、売上を伸ばすことができる」と考えたとします。
このような場合、一般的な商取引では、クレンジングブラシのメーカーや卸業者を探して問い合わせ、取引口座を開いて発注するような手続きが必要です。しかも、決められた最低発注数をオーダーすることや仕入れ代金の前払いを求められるかもしれません。また、地域ごとの配送に時間がかかり、決まった曜日にしか入荷しない可能性もあります。

これに対して、Shopify Collectiveを利用すると、最小限の手間で希望する商材を自社のストアの扱い品目に加えることができ、在庫も抱える必要もありません。そして、顧客が購入した商品は、元のサプライヤーやストアがフルフィルメント(入荷・検品→棚入れ・商品保管→コール業務・受注処理→ピッキング→検品→梱包→発送の一連の処理)を担当しますから、扱い商品が増えても追加の業務負担が発生することはないのです。

このように、事前に仕入れをせずに商品を販売するECのビジネスモデルをドロップシッピングといいます。詳しくは下記の記事をご覧ください。

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商品探しから交渉までワンストップ。Shopify Collectiveの利用手順

では、先の化粧品ストアを例に、Shopify Collectiveの大まかな利用の流れを見ていきましょう。なお、事前にShopify Collectiveアプリ(以下、Collectiveアプリ)がインストールされていることが必要です(その方法については後述)。

取り扱いたい商品を探す

まず、求めている商品をCollectiveアプリで検索します。この例ではクレンジングブラシを探しているので、それを検索語として入力し、該当する製品のリストアップを行いました。
CollectiveアプリのDiscover機能を利用して検索を行う。ここでは、クレンジングブラシを検索している。

検索処理が終わると、該当する商品の候補がサムネイルや価格情報などとともに表示されます。これらのサムネイルを選択して、個々のアイテムのより詳しい情報を知ることが可能です。
ここでは、Opuleaというメーカーの電動クレンジングブラシであるSonic Action Facial Cleansing Brushを選んでみました。

商品の候補がサムネイルや価格情報などとともにリストアップされる

すると、商品の候補がサムネイルや価格情報などとともにリストアップされます。最初に表示されたOpulea Sonic Action Facial Cleansing Brushという電動のクレンジングブラシを選択してみると…

アイテムの詳細情報を確認

このように、そのアイテムの詳細情報を確認することができます。内容を確認して、これを扱いたいと希望する場合には、それを扱っているサプライヤーやストアの担当者に連絡を取り、卸価格などを確認します。

サプライヤーと販売条件を交渉

選択した商品を実際に自社のストアに組み込んで販売するには、アプリ内から提供元のサプライヤーやストアの担当者に連絡を取り、条件を決めて承諾を得ることが必要です。提供元が既存のサプライヤーであればShopify Collectiveで連携するための招待を送り、他のブランドストアであれば卸価格に相当するものを提示してもらうようにリクエストします。
基本的には、相手からディスカウント価格で購入した商材を、先方が指定する小売価格で販売することで、差額が自社のストアの利益になる仕組みです。マージンはケース・バイ・ケースですが、通常は20%から40%の範囲となっています。
先方の担当者に対するメッセージの例。これは、Regiment LabsのJoe Rinaldi JohnsonからメーカーであるOpuleaに対して自己紹介を行い、価格設定に関するポリシーを確認するものになっている。

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ウィン・ウィンの関係を生みだすShopify Collectiveのエコシステム

価格面での交渉が成立し、商品の供給元の担当者が承認すると、希望したアイテムを自社のストア内に表示できるようになります。在庫の把握なども既存の扱い商品と同じように確認できますが、前述のように通常の仕入れと異なるのは、在庫を自社で抱えることなく、供給元の会社がフルフィルメントしてくれるという点です。

マーチャントは在庫数や配送状況を管理画面で把握できる

卸価格の折り合いがつき、先方の担当者が承認すると、選択したアイテムを”Import Producta”ボタンによって自社のオンラインストアに取り込むことができるようになります。

自社のオンラインストアに取り込む

自社のストアの取り扱いリストにOpulea Sonic Action Facial Cleansing Brushが追加されました。3種のバリエーションを合計して286個の在庫があることがわかります。

Opulea Sonic Action Facial Cleansing Brushが追加

アイテムのステータスをDraftからActiveに切り替えることで、自社のオンラインストア上にクレンジングブラシを表示できます。

自社のオンラインストア上にクレンジングブラシを表示

Shopify Collectiveで得たアイテムも、配送状況の確認などはトラッキングナンバーを使って他の商品と同じようにできますから、顧客から見ると両者の区別はつかず、ストアのアイデンティティも保たれるというわけです。
他の商品と同様にトラッキングナンバーによる配送状況の追跡なども行える。

このようにして、Shopify Collectiveを利用するストアは、自社の扱い商品を煩雑な手続きなしに増やすことができ、売上アップの可能性が高まるというメリットが得られます。

リソースを割かずに販路を拡大できるサプライヤーのメリット

一方で、商品を提供するサプライヤーやストアは、本来であれば商材を自社で販売するほうが利益率が高くなるわけですが、Shopify Collectiveを利用することで販路を広げられるというメリットがあります。外販分は1つあたりの利益が多少減るとしても、自社の力ではリーチできない顧客に商品を届けることができ、また、自らのラインナップにない他の商品とのセット販売が提供先のストアでは可能になるといった目処が立つならば、販売数を増やしてトータルなビジネス拡大につなげられるので、魅力的であるといえるでしょう。

Shopify Collectiveは、商材の供給をする側と受ける側のどちらにとってもプラスの効果をもたらし、まさにウィン・ウィンの関係を生み出すことのできるエコシステムとして機能するのです。

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Shopify Collectiveの利用要件

最初に触れたように、Shopify Collectiveは今のところアメリカで運営されているストアのみが利用できるサービスです。もう少し詳しくいうと、ストア通貨が米ドルで、かつ、Shopifyペイメントが有効になっている必要があります。
さらに、過去12か月間に少なくとも50,000米ドル(約700万円)の売上を立てていることも必要であり、今後サービスが開始される国が増えた場合も同様の条件が課されるでしょう。
したがって、新規にオンラインストアを開業するための商材の確保には利用できませんが、商品を供給する側にとっては、相手にそれなりの実績があることが信用につながるので、致し方ないところです。ちなみに、条件に見合う業者であれば、以下の3つの方法によって、Shopify Collectiveの利用を開始することができます。

  • Shopify Collectiveのランディングページから小売業者向けのアプリを取得
  • Shopify Collectiveをすでに使用しているサプライヤーからの提携の招待を承諾
  • Shopifyによって直接送信された招待からShopify Collectiveアプリをインストール

※カナダで運営されているストアは、同じくカナダ拠点でストア通貨がカナダドルであるサプライヤーから直接招待された場合のみ、Shopify Collectiveが利用できます。

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品揃えの手間を最小限に抑えるShopify Collective

Shopify Collectiveを活用すると、最小限の手間と時間で取り扱いアイテムを充実させることができ、既存商材とのセット販売や、顧客に対する関連商品の案内などを通じて売上の拡大につなげやすくなります。
また、個人客をメインにビジネス展開していたストアも、他のストアが興味を持ちそうな商材を揃えることでサプライヤー的な役割を担うことができるようになるなど、業務の拡大につなげられます。

Shopifyは、この他にもアフィリエイトを管理できる「Shopify Collabs」や、Shopifyのストアをまとめたモール形式のアプリ「Shop」など、ECの新たな売り方を模索しサービス化することで、世界のEC市場を牽引しています。

WEBLIFEでは、Shopifyを利用したECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」を提供しており、効果的なクロスセルの活用法も含めて、ビジネスに最適な運用戦略をご提案しています。EC構築や運用に関してお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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POINT

  • Shopify Collectiveは仕入れや在庫管理、配送をサプライヤーに任せ、商品の販売だけできるドロップシッピング形式の新機能
  • マーチャントは在庫や配送状況を管理画面で確認でき、サプライヤーはリソースを割かずに販路拡大ができる
  • 現在はアメリカで運営されているストアのみ利用できるが、今後他国にも拡大していくことが予想される

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