D2Cとはどんなビジネスモデル?いま注目を浴びる理由とは
EC担当者やマーケティング担当者は、「D2C」や「D2Cマーケティング」といった言葉を聞くことが増えているかと思います。メーカー関係者にも注目を浴びています。D2Cマーケティングはなぜ現在注目を浴びているのでしょうか。
それは、D2Cのビジネスモデルが、マーケティング開拓や、売上アップに繋がっているケースが多数あるからです。D2Cマーケティングを始めたい方は、D2Cのビジネスモデルをまず理解しましょう。
D2Cの基本的なビジネスモデルを解説
D2C(ディー・ツー・シー)とは「Direct to Consumer」の略で、メーカーや企業が、卸や小売店、ディーラーを経由せずに、消費者(Consumer)に直接商品を販売するビジネスモデルです。
スナック菓子を例にとれば、通常、お菓子メーカーは「商品を企画し」「商品を工場で生産し」「卸業者に卸す」までを行います。そして、卸業者は小売り店に商品を卸し、小売り店で商品を消費者に販売する、という形になっています。
D2Cの場合は、ダイレクトに販売を行うため、中間業者がなくなり消費者と直接結びつきます。お菓子メーカーなら、企業のD2Cサイトから消費者が直接お菓子を買う、またはサブスクリプションなどで定期購入するようなイメージです。
ここで中間業者がなくなることだけにフォーカスすると、中抜きによるコスト削減が得られるだけと考えがちですが、D2Cモデルではそのようなこと以上にさまざまな変化とメリットをもたらしています。
下記の記事でも詳しく説明していますので、併せてご覧ください。
テック重視の新興企業がD2Cブームを牽引
そもそもD2Cの起源は10年以上前にさかのぼり、Apple Inc.やギャップのようなブランドは小売店の販売と並行して自社ECサイトの拡充をはかってきました。すべてをコントロール可能にすることでブランドを強め、より価格調整を柔軟にし、利益率を高めるための戦略がD2Cビジネスモデルとも言えます。
その一方で、「D2C」が日本でもよく聞かれるようになった2020年前後には、それを牽引するテック重視の新興D2C企業が多数が生まれブームを牽引してきました。アメリカ発ではベットマットレスを直販する「Casper」や環境に興味のあるミレニアル世代の心を掴んだシューズの「Allbirds」、メガネを試着販売する「Warby Parker」などが日本でも有名です。
これらのD2C企業のマーケティングは、明かに過去のメーカーや企業の売り方とは異なっていたため、既存の企業からもD2Cマーケティングが注目されるようになったと言えるでしょう。
D2Cについて体系的に理解するために役立つ書籍を下記の記事でご紹介していますので、併せてご覧ください。
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王道のD2Cのマーケティング手法を3つ紹介
D2Cマーケティングの基本はウェブサイトをベースにしたダイレクト販売のマーケティングですが、「ブランドストーリー」や「良い品を心を込めて」つくるだけではD2Cマーケティングは成功しません。王道のD2Cマーケティング手法は、以下の3つを必ず押さえています。順番に紹介しましょう。
1)SNS広告などを活用し最短工数でコンバージョンさせる
D2Cマーケティングでは、従来の4大マスメディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の広告は用いずにネット広告で宣伝を行っています。さらに、ネット広告の中でも単価が高い媒体広告や検索のリスティング広告はメインではなく、SNSでターゲティングしたユーザーに表示するSNS広告を活用しています。
SNS広告は単価が安いことをはじめ、ユーザープロファイルを細かくセグメントして出稿できるため、効率がよいからです。また、InstagramやFacebookの広告からは最短工数でコンバージョン可能なリンクも作成できるため、リスティング広告からランディングページを経由し…といった従来のウェブマーケティングよりもさらにスピーディに購買へ繋げることも可能です。
ただし、効率を上げるためにはデータ分析は必須であり、PDCAのサイクルを上げてコンバージョンを上げるためのアナリストを必ず社内に抱えていることも特徴です。
2)データドリブンなアプローチでCPAを最適化する
前述のデータ分析と関連しますが、D2Cマーケティングのメインパートは「中抜き」よりは「データの掌握」になります。またお菓子メーカーを例にあげると、従来のビジネスモデルでは、メーカーは
- 店頭で消費者がどのような棚からどれだけ商品を買ったかわからない(UXが不明)
- 消費者の購入単価も何度買ったかもわからない(LTVは不明)
- 卸任せになるためどの店舗でどれだけ売上が上がるかもリアルタイムでは不明(PDCAのデータがない)
など、不明なことだらけでした。さらに自社のカスタマーがどれだけどんな属性で存在するのかも、実際には把握できていません。
しかしD2Cマーケティングでは、上記のデータはすべて明確に取れるようになります。そのデータをファーストパーティで所有すれば、さらに広告マーケティングもセグメントを絞りやすくなり、消費者が購入にいたるまでのコスト(CPA)も最適化してゆくことが可能です。D2Cマーケティングでは「従来見えなかったデータをすべて見た上でPDCAを回す」ことが可能になるために成果が上がるのです。
3)CRMと顧客分析でLTVを最大化する
D2C企業はブランディング上は、ネット販売の購買層であるミレニアル世代に訴えかけるための「環境・地球に優しい」「デザイン性が高い」「精神性やストーリーに共感できる」ことを重視していますが、そこにはふんわりとしたミッションだけがあるのではありません。
D2Cマーケティングでは自社の顧客となる消費者は「お客よりは友人」と喩えることがあるように、友人として付き合いたい、企業精神に共感して次も買いたいと思わせるようにブランドを構築します。それはそのまま、LTVを最大化することにつながっています。
D2C企業のひとつのプロダクトに共感して購入しても、たとえばそれが家具であれば同じものを2回買うことはできませんが、企業ストーリーに共鳴していれば、テーブルの次にカーペットを、家具の次に食器を買うかもしれません。
D2C企業は自社が売りたいプロダクトを売るのではなく、自社のブランドに共感する「仲間」が買いたいものを開発していく、くらいの逆転の発想を持っています。究極を言えば、自社で作れなくても売れるものを外注するか仕入れて売るくらいの振り切った考え方です。
このようなサイクルが発生すると、自社の顧客は繰り返しD2Cの商品を買い続けることになり、一度購買した顧客をサイクルに取り込み、CRMを回し続けることになります。顧客を理解する上でも、CRMをうまく活用する意味でも、やはりデータを見ることは基本になります。LTVの概要や計算式についは、下記の記事をご覧ください。
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D2Cマーケティングを成功させる3つのポイント
データ活用
すでに紹介したとおり、D2Cマーケティングを成功させるには、1にも2にもデータの活用です。データを見ずに直販だけを始めてもうまくいくことはありません。
コミュニティ育成
また、マスメディアでの宣伝は行わないため、SNSのようなインターネット上のコミュニティを育てることも大切です。ファンを増やすには製品やブランドを気に入っているユーザーをコミュニティに取り込み、つながりを強めていく必要があります。
SNS運用というと「バズ」などによる瞬間的な宣伝力を問われることがありますが、コミュニティの形成ではバズは重要視されません。自社に共感する仲間とつながって、そこからさらにファンを増やすことが大切です。クチコミによる友達紹介がデジタル上で起こっているようなものだからです。
過剰なほどのストーリーと情報提供
D2Cのストーリーは、いわば雑誌に喩えられるとも言われます。プロダクトは必要なければ何度も買うことは出来ませんし、消費財は消費量以上は買うことができませんが、情報は毎日でも読み続けることができます。そこでブランドにCCO(Chief Content Officer)を据えて、ブランドからの情報発信を強化しているというケースが増えているのです。
コンテンツの強化はコミュニティの強化につながり、ファンの拡大を支えることになります。例えば、旧来からのApple Inc.の熱心なファンなら、自らお金を払って雑誌を購読し、インタビューを読み、商品やカリスマの秘話を知って、知らない友人のその話を広めてきました。結果、熱心なファンはさらにブランドを誇りに思い、話を聞いた周囲の人は新規に商品を買ったりファンになるということを続けてきました。
ただしCCOもコンテンツづくりや世界観づくりが得意なだけでなく、ブランドのデータ上の達成目標を共有できる人物とタッグを組まないと、高い広告費を払っているだけになりかねないことにも注意すべきです。
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顧客体験を中心に考えたD2Cの成功事例
EC構築・運用支援サービスの「BiNDec」では、D2CブランドECの初期構築からグロースまで数多く手掛けています。その中から、D2Cブランドの成功事例を紹介します。
InstagramのUGCでブランドへの共感と購入のきっかけを作る
グリーンパンは環境と健康に配慮したフライパンで話題のD2Cブランドです。ECサイトと連動したInstagramでの広告運用やキャンペーン、UGCを最大限に活かした戦略で急成長しています。
サブスクリプションやオンライン接客で買いやすい仕掛けを構築
John Masters Organicsは、オーガニックのコスメブランドです。都市部の大型小売店などで入手するイメージでしたが、D2Cでサブスクリプションも開始し利用者が増加しています。ストアサイトではチャットを導入するなどUI、UXを高める工夫をしています。
ターゲットのライフスタイルにマッチした商品提案でブランディング
KINTO(キントー)は、テーブルウェア、コーヒーウェア、タンブラー等を販売するD2Cです。OEMなどの経験から心機一転自社ブランドを起ち上げた滋賀県彦根市の企業で、ライフスタイルに寄り添った商品展開や独自のブランディングの成功により売上を文字通り倍増し経営モデルの転換に成功しました。
D2CのECを構築から運用まで支援するBiNDec
D2Cをこれから始めるなら、どんなツールでどのように運営していけばいいでしょうか。じつはD2C企業の多くは、ECプラットフォームのShopifyを利用しています。
前述のアメリカのスタートアップ企業などで必ずと行ってよいほど採用されており、D2Cの定番プラットフォームとして認識されています。Shopifyのよさには様々ありますが、小さくはじめてスピーディに成長させていくD2Cのビジネスに最適な機能、拡張性と柔軟性を持っています。
Shopifyの導入は個人でも可能ですが、大きく延ばしていきたい場合は、サイト構築・運用からD2C支援までを手がけるBiNDecにご相談ください。豊富な導入実績とハイレベルな技術力・知識量を認められたShopify Plusパートナーとして、中小規模から大規模のストアに向けた最適な運用戦略の提案も可能です。
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