世界最前線のコマース戦略と分析テクノロジーをリアル体験|NRF APAC2024現地レポート

シンガポールで開催されたNRF 2024: Retail’s Big Show Asia Pacific(NRF APAC 2024)では、リテールに関わる最新ツールやソリューションの展示のほか、出展者・参加者と直接交流できることもメリットです。
Shopifyもブースやカンファレンスで出展しており、WEBLIFEの代表 山岡が情報収集や意見交換を行ってきました。その中から注目しておきたいトピックをご紹介します。

同イベントのカンファレンスプログラムのレポートについては下記の記事をご覧ください。

シンガポールにおけるShopifyの新サービスとパートナーのEC支援

アジア進出を目指すビジネスにとって、シンガポールは法律、税制、人材など様々な面でフレンドリーな環境です。Shopifyは、日本より4年早く2013年からシンガポールへ進出し、ローカライズされたECプラットフォームを提供しています。

アジア初。Android端末一体型のShopify POSを体験

Shopify POSは ECと実店舗の購買データを一括管理できる機能です。Shopifyは、アメリカ・カナダのみで利用できるAndroid端末一体型のShopify POSを、シンガポールでも提供することを発表しました。
NRF APAC 2024のShopifyブースでは、さっそく新しいShopify POSが展示されており、実際の操作フローや活用方法の説明を受けることができました。

Shopify POS

店舗にShopify POSを導入することで、ECとの在庫連携はもちろん顧客データも一括管理できます。店頭で商品を購入してもオンラインでフォローアップができるほか、試した商品を後からECで購入できるよう、顧客のカートに商品データを送信しておくことも可能です。
また、Shopifyは連携できるMAツールも多いため、店舗での接点に基づく顧客マーケティングも自動化して業務効率を高めることができる点もメリットの一つです。
Android端末一体型のShopify POS
Android端末のようなポータビリティ性の高いPOSなら、フードトラックやポップアップストア、イベントブースなどの簡易的な店舗形態でも利用しやすく、オフライン環境でのマーケティングが強化できます。
現在、日本で利用できるShopify POSには決済機能がありませんが、シンガポールを皮切りにしてアップデートされていくことが期待されます。

Shopify POSの機能について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

シンガポールのShopifyパートナーのビジョン

NRF APAC 2024に参加していたシンガポールのShopify PlusパートナーであるJumpstart CommerceのCEO Xavier Lee氏とも意見交換を行いました。
Jumpstart Commerceは、タイのDior Beautyをはじめ、東南アジア地域の各国にローカライズされた大手ブランドのECサイトを数多く構築・支援しています。

Jumpstart Commerceの支援メニューはとてもシンプルで、規模によって最適な支援プランが数種類用意されており、必要に応じて、タスクを自動化できるShopify Flowの設定方法やクーポンコードの使い方などの細かいメニューが別途用意されているそうです。
Xavier氏は、まずは小規模なECから始めて、将来的にShopify Plusのようなエンタープライズ規模にまでブランドを成長させていくことも重要視しているといいます。
写真左から、Jumpstart Commerce CEOのXavier Lee氏とWEBLIFE代表の山岡

WEBLIFE eye
シンガポールのEC市場では、日本に比べて構築の仕組み化が進んでいる印象でした。日本でも受託形態の独自開発から、システムに合わせて運用を変えるという考えに変わりつつあり、WEBLIFEもその変化を後押ししていきます。

グローバルにシェアを伸ばすECソリューションのエキスパートと意見交換

Shopifyは、様々な外部サービスと柔軟に連携して売上拡大や業務効率化ができるメリットがあります。BiNDecでも導入支援の実績があるGlobal-eとDotdigitalも出展していました。

越境ECの拡大を後押しするGlobal-e

Global-eは、世界の200以上の国と地域の言語、通貨、決済手段に対応していることに加えて、関税・税金込みの価格での決済を可能にするD2C越境EC向けサービスです。

Global-eのEMEA、APACパートナー担当ディレクターであるKevin Paiser氏は、日本でのGlobal-eのシェアをさらに伸ばすことにも意欲的で、エンタープライズのEC事業者向けに、Global-eのノウハウや分析データを基にした越境販売の施策をサポートするレベニューマーケティングのサービスもスタートするそうです。
写真左からGlobal-eのディレクターKevin Paiser氏とWEBLIFE代表の山岡

WEBLIFE eye
日本では、海外販売はまだ国内販売の次点として運用されるケースが多いですが、海外での売上を伸ばすには別軸で戦略建てる必要があります。Global-eは決済やサポート、マーケティングの代行に特化しているので、マーチャント単体ではできない部分をカバーしてくれます。

日本でも導入が広がるMAツールのDotdigital

Dotdigitalは、メールやLINEなど様々なマーケティングを自動化できるMAツールです。Shopifyのメタフィールドと連携でき、特定の商品を購入した顧客に、適切なタイミングでアフターフォローのメールを送ったり、優待サービスや関連商品などの案内ができます。
BiNDecも公式のエバンジェリストとして、EC運用のマーケティングの成果を高めるためにDotdigitalの導入を支援しています。

DotdigitalのブースではAPACゼネラルマネージャーのRohan Lock氏と、BiNDecが支援しているマーチャントがDotdigitalの導入検討を進めるにあたって課題となる点などを話し合いました。Dotdigitalはアップデートスピードが早く、日本のビジネスニーズを考えられた機能も開発されており、今後さらに日本での需要が広がることが期待されます。

WEBLIFE eye
DotdigitalのようなMAツールを活用するポイントとして、全ての課題を一気に対策するのはハードルが高いため、カスタマージャーニーを策定し、優先順位を付けて少しずつ成果検証する方法がおすすめです。

Dotdigitalの国内での展開については、下記の記事も併せてご覧ください。

Googleの新たなAIソリューションと顧客体験分析

Googleのブースでは生成AIや分析サービスによってECサイトをより進化させるソリューションが展示されていました。

商品画像をアップグレードできるGoogleのAI技術

ShopifyのGoogle&YouTubeアプリで利用できる「Product Studio」は、生成AIによってブランドや商品コンセプトのイメージを高める商品画像を作成します。具体的には以下のようなことが可能です。

  • 商品画像の背景を除去
  • プロンプトに従って背景を生成
  • 画像の解像度をアップ

Product Studio
Product Studioによって、撮影スタジオや背景の小物を用意したり、CGを作成することなくハイクオリティな商品画像を作成できます。Product Studioのユーザーの80%が、商品画像作成の効率化を実感もしくは期待できると回答しています。
※Product Studioは、現在アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア限定で提供されています。

ユニファイドコマース戦略を加速する分析

Manhattan Associates Inc.は、WMSやTMSなどのサプライチェーンおよびオムニチャネルコマースを支援するサービスを提供しています。NRF APAC 2024では、Google Cloud、 Zebra Technologiesと共同で調査したincisiveの小売業向けユニファイドコマースの分析結果を発表しました。
シンガポールの33の小売業者を評価し、以下の4つのカテゴリーで、290以上の顧客体験機能を分析し、それぞれのカテゴリーで優れているブランドを紹介しています。

Manhattan Associates Inc.

Search and discovery

パーソナライズされた顧客体験によって、購入客の60%がブランドで繰り返し購入する可能性が高くなります。リアルタイムの在庫の可視性により、購入プロセスが簡素化することが顧客ロイヤルティの向上に繋がります。
Adidasは、商品詳細ページでリアルタイムの在庫情報を提供し、過去の購入に基づいたレコメンドを行っています。

Cart and checkout

消費者の43%は、オンラインショッピングの際は迅速で便利なチェックアウトを好みます。カゴ落ちの大半はチェックアウトのフローにおける不満が原因で発生するため、それに対処することは大きな収益のチャンスとなります。
Nikeは、配送関連の情報が自動入力され、支払い関連の情報を1ステップで入力できるため、煩雑なチェックアウトフローが解消され、CV率を高めています。

WEBLIFE eye
Shopifyのチェックアウトは1ページ内で完結するシンプルなフローになっており、競合他社のチェックアウトよりもCV率が平均で15%優れています。

Promising and fulfilment

消費者の33%は環境に配慮したパッケージを好みます。そのパッケージを選ぶことで積極的に環境に優しい取り組みに参加し、二酸化炭素排出量を削減できるというエンパワーメントが得られます。
Diorは、商品購入時に環境に配慮したパッケージのオプションを用意し、それを選ぶことで環境に与える影響を提示しています。

Service and support

消費者の66%は、サポートサービスに対して事前に回答が用意されたチャットbotではなく、メッセージアプリを使ってリアルタイムにコミュニケーションができることを好んでいます。
Hermesは、ライブチャットとWhatsAppを利用して、一人ひとりにカスタマイズされた、シームレスなサポートエクスペリエンスを実現しています。

WEBLIFE eye
O2O、OMO、ユニファイドなどキーワードは変化していますが、その本質はオンとオフの顧客体験の統一性、関連性を密に強化しようというものです。

ユニファイドコマースについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

BiNDecの導入企業ミキハウスを交えたミーティング

BiNDecでEC構築・運用を支援しているミキハウスも、今回のNRF APAC 2024に参加されており、海外店舗での展開も視野に入れて各サービスの担当者とのミーティングをアテンドしました。
写真左から、ミキハウスの平松氏、WEBLIFEの熊崎、山岡、Shopify Japanの徳満氏、香山氏

ファミリー向けのショッピング環境が整ったシンガポールの店舗

子ども服ブランドのミキハウスは、国内に直営店約100店、海外の店舗はヨーロッパ、アジアを中心に展開しています。シンガポールには、マリーナベイ・サンズのザ・ショップスにアジア初の旗艦店を構え、最高級ラインのミキハウスゴールドレーベルも取り扱っています。
マリーナベイ・サンズ ザ・ショップスのミキハウス
ザ・ショップスでは、子どもが体を動かして楽しめるチームラボのデジタルアートインスタレーションを取り囲むように、ラグジュアリーブランドの子ども服エリアが配置され、ファミリー客に向けたショッピング体験に最適な環境となっています。
これは、NRF APAC 2024のカンファレンスにて、イオングループのセッションで語られていた、アジア全域のショッピングセンターが、単なる「供給」から「体験型ライフスタイル ハブ」へと移行し、進化しているということに直結しています。

ミキハウスのEC事例について、詳しくは下記の記事をご覧ください。


トレンドに合わせてECビジネスを加速

短納期でECを構築できるShopifyは、NRF APAC 2024に出展していた様々なサービスとも柔軟に連携し、トレンドをスピーディに取り入れたEC運用が可能です。

株式会社ウェブライフでは、Shopifyを利用したECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」を提供しています。
豊富な導入実績とハイレベルな技術力・知識量を認められたShopify Plusパートナーとして、中小規模から大規模のストアに向けた最適な運用戦略の提案も可能です。
ShopifyでのEC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。

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