Amazonの販売手数料は全部でいくら?出品前にチェックしておくべきトータルコスト

Amazonの販売手数料は全部でいくら?出品前にチェックしておくべきトータルコスト

小規模なブランドやECの専門知識が社内にいない企業は、自社でECサイトを立ち上げる代わりに、AmazonをECモールとして利用しようと考えるケースも多いのではないでしょうか。Amazonは集客力があり、配送のサポートも充実しているため、少ないスタッフでも楽にECサイトを運営できます。

ですが、Amazonにはサービスを利用するために、さまざまな手数料がかかるため、きちんと仕組みを理解していないと、当初の販売計画よりも少ない収益になりかねません。
この記事では、AmazonでECサイトの立ち上げを検討している方向けに、販売手数料の種類について解説します。ぜひ参考にしてください。

Amazonで必要な手数料の種類

Amazonで商品を販売するのであれば、手数料は出品時や販売時だけでなく、さまざま種類の手数料が必要になります。ここでは、Amazonで必要な手数料の種類を見ていきましょう。取り扱う商品のジャンルや数量などによっても変わってきますので、自社で取り扱う商品がどこに該当するのかを見極めてください。
Amazon

月間基本登録料と基本成約料(初期費用)

まず、AmazonをECモールとして利用し、商品を売るのであれば、「月間基本登録料」または「基本成約料」を支払う必要があります。これは、初期費用とも言える手数料で、出品形態が「大口出品」なのか「小口出品」なのかで、どちらを支払うのかが決まります。

大口出品を選択した場合は、月間基本登録料として月額「4,900円」の支払いが必要です。大口出品は出品する商品数に関わらずに毎月支払い続けることになります。これは、商品が売れなくても支払うことになりますが、逆に商品が売れても基本成約料を支払う必要はありません。
小口出品を選択した場合は、月間基本登録料を支払う必要はありませんが、基本成約料として商品が1点売れるごとに「100円」の支払いが必要です。

<月間基本登録料と基本成約料>

手数料の種類 大口出品 小口出品
月間基本登録料 4,900円固定 なし
基本成約料 なし 1点につき100円

販売手数料と成約手数料

Amazonでは、商品が売れるごとに前述した基本成約料以外に「販売手数料」が必要です。販売手数料は、販売する商品のカテゴリーによって決められており、商品代金に販売手数料率5%~15%かけた額を支払います。
なお、例外としてKindle用カバーなどAmazonが販売しているデバイス用のアクセサリに関しては販売手数料率が45%ですので注意してください。

また、カテゴリーによって最低販売手数料も定められており、販売手数料と比較して高い方を支払うことになるシステムです。
Amazonでは、本やDVDなどメディア関連の商品に関しては、販売手数料に加えて成約手数料も支払う必要があります。これらの商品を扱う場合には、注意が必要です。

<主なカテゴリーの販売手数料と最低販売手数料>

カテゴリー 販売手数料 最低販売手数料
メディア -(本、DVD、TVゲームなど) 15% なし
パソコン・周辺機器・TVゲーム機本体 5%~8% 30円
家電アクセサリ、楽器およびAV制作機器 5%~10% 30円
ドラッグストア・ビューティ 5%~10% 30円
スポーツ&アウトドア、カー&バイク用品 5%~10% 30円
おもちゃ&ホビー 5%~8% 30円
ペット用品 5%~15% 30円
文房具・オフィス用品 5%~15% 30円
ホーム&キッチン 5%~15% 30円
ホーム&キッチン家電 5%~10% 30円
小型家電、大型家電 5%~8% 30円
DIY・工具 5%~15% 30円
食品&飲料 5%~10% なし
ベビー&マタニティ 5%~15% 30円

FBA(Fulfillment by Amazon)の手数料

AmazonにはFBAと呼ばれる在庫保管から配送までを代行してくれるサービスがあります。これらを利用する場合、別途手数料が必要になります。
手数料は、出荷作業を行った際に発生する「配送代行手数料」と、Amazonの倉庫で商品を保管してもらう「在庫保管手数料」の2種類があります。配送代行手数料は商品のサイズや重量などによって変化します。在庫保管手数料は商品サイズによって変化するだけでなく、保管してもらう時期によっても変化します。

また、配送代行手数料は、販売した際にのみ発生しますが、在庫保管手数料は1日単位で発生するので注意が必要です。もし、預けてある商品が売れない場合、保管期間が365日を越えると「長期在庫保管手数料」がかかりますし、倉庫から返送してもらう場合には返送手数料がかかります。

FBAについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

その他の手数料

Amazonで必要になる主な手数料は上記でご紹介したとおりですが、これら以外にも多数の手数料があります。
例えば、クーポンを発行した場合には「Amazonクーポン償還手数料(60円)」、販売した商品が返品された場合の「返品処理手数料(500円または販売手数料の10%)」などです。

Amazonと国内モールの手数料比較

Amazonに出店する場合には、さまざまな手数料が必要になることがわかりました。では、同様の大型ECモールである、楽天市場やYahoo!ショッピングの手数料はどれくらいなのでしょう。ここでは、Amazonと国内モールの手数料を比較してみます。

利用料以外にかかるコストの比較は下記の記事をご覧ください。

楽天市場

楽天市場はAmazonと同レベルで認知度の高い国内ECモールです。ポイントとしては、Amazonのように商品だけを出品するのではなく、楽天市場というモールに自社のショップを開店できるメリットがあります。

楽天市場に出店する場合の手数料としては、まず初期費用として6万円が必要です。また、月額費用としてプランごとに1万9,500円~10万円、販売手数料として3.5~7%または2~4.5%、クレジット決済時には2.5~3.5%の決済手数料がかかります。
さらに、売上×1%が楽天ポイントの減資として徴収されるほか、モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料、アフィリエイト報酬負担なども必要です。

手数料のシステムが異なるので単純な比較はできませんが、Amazonのように月額費用が無料のプランがないことや、決済手数料がないことがデメリットといえるでしょう。
楽天市場
楽天市場について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

Yahoo!ショッピング

Yahoo!ショッピングも楽天市場と同様に国内のECモールとしては大手のひとつです。自社のECサイトページを持つことができるので、Amazonとの差別化できますし、Yahoo! JAPAN関連やPayPay、LINEなどからの集客が見込めます。

Yahoo!ショッピングに出店する場合の手数料としては、商品が売れた際に必要になる販売手数料と決済手数料がかかります。販売手数料は、2.5%(ポイント原資最低負担分である1%とキャンペーンの原資である1.5%の合計)が最低でも必要です。
また、決済手数料は通常のクレジットカードで3.24%と楽天市場よりも安く、PayPayカードであれば3%で済みます。なお、アフィリエイト経由で商品が売れるとアフィリエイト報酬と手数料を支払う必要が必要です。ですが、商品が売れなければ一切費用がかからないことなど、手数料の総額としてはAmazonよりも低い価格で運営できます。
Yahoo!ショッピング

Amazon出店のメリットとデメリット

他のECモールの特徴やAmazonとの比較をしたところで、実際に出店した場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリットとしては、手数料が比較的安価であること、海外からの購入を期待できること、FBAを利用すれば物流業務を委託できることなどが挙げられます。

デメリットとしては、商品単位での販売のため販売元を認識しにくいことや、同じページ内に他社の価格が表示されること、手数料が高い商品カテゴリーがあることなどです。ただし、1日に5000万人以上が商品を購入しているAmazonは、初めてECサイトを運営する方にはメリットかもしれません。

Amazonの手数料に関する注意点

ご紹介したように、Amazonの手数料は出品数やカテゴリーなどによって変化します。ですから、出店する前に自社の商品を販売した際に問題がないかを注意深く検討する必要があります。ここでは、Amazonの手数料に関する注意点をご紹介しましょう。

出品する際は大口出品か小口出品か慎重に判断する

Amazonの出店で一番注意すべきは、「大口出品」と「小口出品」のどちらを選ぶかです。検討基準として考えられるのが、毎月49個以上出品して売れるかどうかでしょう。例えば、大口出品で毎月100個出品して100個売れても、4,900円しかかかりません。

ですが、小口出品で毎月100個出品して100個売れれば、10,000円かかります。逆に、49個未満の出品であれば、全ての商品が売れても小口出品なら4,800円で済みますが、大口出品なら4,900円かかるのです。ですから、毎月49個以上売れる可能性が高いのであれば、大口出品のほうが安心と言えるでしょう。

売上金の振込金額を理解する

Amazonの売上金振込サイクルは原則2週間となっていて、比較的早いのが特徴です。ですが、ここで振込まれる売上金は、手数料を差し引かれた後の金額になります。売上金の振込内容を理解し、キャッシュフローなどで販売計画が狂わないようにしましょう。

カテゴリー別の手数料の違いに注意

Amazonに出店する際は、自社で取り扱う商品カテゴリーの手数料がいくらなのかを確認しておきましょう。大半のカテゴリーは8%~15%ですが、前述したようにAmazonデバイス用アクセサリ」に関しては45%もかかります。また、メディア関係も販売手数料と成約手数料の両方を支払う必要がありますので、利益を確保できるように価格設定時に意識すべきでしょう。
なお直接的な手数料ではありませんが、Amazonの出品手数料には消費税がかかりますので、ご注意ください。

その他の手数料を意識する

その他、Amazonではさまざまな手数料が発生します。例えば、FBAを使うのであれば、ご紹介したさまざまな手数料がかかるので、採算が合うかどうかを慎重に検討してください。
そして、Amazonクーポン償還手数料や返品処理手数料もあります。Amazonクーポン償還手数料は、クーポンを発行しなければ必要ありませんが、返品処理手数料はいつ発生するかわからないのでコントロールができません。
ほかにも、配送料チャージバックや代引き手数料チャージバックがありますが、一時的にAmazonペイメントで計上されるだけでどちらも費用負担は必要ありません。

料金シミュレーターで費用を見積もっておく

Amazonの出品者向けのサイトでは、プランや商品カテゴリによって具体的にどのくらいの費用がかかるのか見積もりできる料金シミュレーターがあります。配送にかかるコストまで細かくチェックできるため、出品する商品の下代を照らし合わせて、最終利益がどのくらいになるかを把握することでスムーズに販売計画が立てられます。
Amazonの料金シミュレーター

Amazonの出店と自社ECサイトとのコストを比較

Amazonでの出店にはメリットもあればデメリットもあります。どこまでを許容できるかは企業によって異なりますが、自社ブランドとして立ちあげたい場合は、自社でECサイトを構築することになります。自社のECサイトを構築すれば、顧客データも自社で所有できますし、同じECサイト上での他社との価格競争などからも開放されます。
Amazonの出店と自社ECサイトとのコストを比較
では、Amazonで出店する場合と自社でECサイトを構築する場合、どれくらいコストが変わるのでしょうか。これは、自社のECサイトをどのプラットフォームで構築するかによって変わります。

例えば、ASPカートであれば初期費用は無料~100万円、月額利用料は10万円以内が目安となりますし、ECパッケージであれば初期費用は50万万円以上、月額費用は30万〜100万円が目安、クラウドECであれば初期費用は100万〜500万円、月額費用は5万〜50万円が目安になります。Amazonであれば初期費用と呼べるものは最大で4,900円で済ますことができますので、その差は歴然です。
ですが、自社のECサイトであれば、Amazonに比べて販売手数料を安く済ませることができます。したがって、コスト的にどちらが特かというのは、ECサイトの規模やカテゴリーなどによって変わってきてしまうのです。

ECモールとASPカートとの違い

Amazonと自社ECサイトの比較をご紹介しましたが、現実レベルとしてAmazonでの出品と競合するのは、Amazon以外のECモールやASPカートを用いた自社ECサイト構築でしょう。
ECモールとASPカートは、どちらも保守はベンダー側が行ってくれるので面倒はありません。ですが、ショップとしてのブランディングレベルは、大きく違います。

ECモールであれば、そのモールの名前が入った基本デザインを利用したショップしか構築できません。ですが、ASPカートであれば、Shopifyのような拡張性の高いサービスであればデザイン面でもある程度は自由にカスタマイズできますし、何より完全に独立した自社のECサイトを構築できるのです。
もちろんASPカートであれば初期費用は無料~100万円ですし、月額利用料も10万円以内が必要ですから、ECモールよりはコストがかかります。ですが、低コストで自社のECサイトを構築できるのは、かなりの魅力ではないでしょうか。
自社とECモールの違いについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。


Shopifyなら自社ECとAmazonと連携できる

集客力の高いAmazonとブランディングできる自社ECで商品や販売戦略を分けて、両輪で運用していく事業者も多いでしょう。
世界175カ国でシェアを広げているShopifyは、スモールビジネスからエンタープライズまで幅広い拡張性を持ったECプラットフォームですShopifyはAmazonとの親和性が高く、商品の情報や在庫状況を連携させることで、管理の手間を大幅に省ける機能拡張アプリが用意されています。
データの連携方法について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

Amazonでの出店は多角的に検討しよう

ご紹介したように、Amazonでの出店は運営するECサイトの規模や商品カテゴリーによってマッチしないケースもあります。ですが、マッチしないからといって、Amazonの集客力などを利用しない手はありません。
自社ECサイトを独自に運営するにせよ、Amazonにも出店しておけば強力な販売チャネルになります。また、Amazonの集客力を利用し、自社製品ブランドを知ってもらうこともできるでしょう。さらに、販売チャネルを複数持つことで、リスク分散にもなります。

自社のECサイトとECモールでの事業展開は、ぜひShopify PlusパートナーであるBiNDecにご相談ください。Shopifyを利用した自社ECとECモールの連携など、豊富な知見でご協力いたします。
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