ECサイトのKGI、KPIとは?売上を伸ばすための設定や施策検討のポイント

ECサイトの目標達成のために、KGIとKPIを決めよう

ECサイトは、公開したらすぐ売れるということは非常にまれです。むしろ公開してからが勝負になります。特に公開直後の世の中に知られていない状態から売上を伸ばしていくためには、目標の設定と達成を繰り返していくことが重要です。
そのために設定するのが「KGI」と「KPI」です。今回はこの2つを中心に解説します。

KGIとは

Key Goal Indicatorの略称で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。簡単に言うと目指すべき目標を明示化したもののことです。ECサイトの場合、「売上◯◯%アップ」「売上◯◯万円達成」といったものにすることが多いと思います。

KPIとは

Key Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。KGI(目標)を達成するためのプロセスの中で見ていく数字のことを指します。KGI達成のためにKPIの変化を見て、施策を検討します。このため、KPIをどのように設定するかが非常に重要になります。

ECサイトの売上を伸ばすためにKPI設定が重要な4つの理由

KPIを設定することで、マーケティング施策がスムーズに進められます。KPIの4つメリットについて解説します。

ECサイトの売上を伸ばすためにKPI設定が重要な理由

判断基準ができる

たとえばキャンペーンやセールなどを行ったときにKPIの数字の変化を見て、その施策がうまくいったのかそうでないのかを判断することができます。見る数字を決めておくことで、判断基準が明確になり、感覚的な判断をしなくてすみます。

課題点が見やすくなる

ECサイトを運営していく中で売上に変化があったとき、KPIを設定しておくことで「なぜ売上が上がった(下がった)のか」を数字の変化で可視化できます。特に売上が落ちたときの要因を把握できると、どこに課題があるのかがはっきりします。

目標を共有しやすくなる

KPIを明示しておくことで、売上に関わる関係者や経営層にも、運営しているサイトが目指すべきところが共有しやすくなります。「運営担当者の経験とカン」に頼った運営ではなく、関係者みんなが同じ目線で目標に向かいやすくなります。

施策を具体化できる

KPIとして設定した指標に変化があったら、「その指標に対してどうするか」という視点で施策を検討できます。たとえばKPIがページビューだとしたら、増やすためにはどうしたらいいか?という視点で施策を具体的にすることができます。

ECサイトのKGIとKPIの考え方

ECサイトではどんなKGI、KPIを設定するとよいのかを見ていきます。実際にはサイトの運営状況や、扱っている商品、ターゲットユーザーなどによって設定内容は変わってきます。

ECサイトのKGIとKPIの考え方

重要となる指標の例

ECサイトは「売上を上げる」という最終目的で運営されるので、見る指標は比較的わかりやすいと言えます。以下のような指標をもとにKPIを設定していきます。

サイトの状況に関する指標

流入数

ECサイトへアクセスする=購入の可能性があるということなので、非常に重要な指標です。訪問されなければ購入はしてもらえませんので、流入数を上げることが重要です。各ページのページビュー数、ユーザー数、セッション数などが指標になります。

回遊状況

SEO対策や広告などでサイト自体のアクセス数が増えても、その先の商品詳細ページや購入ページへのアクセスが少なければ購入には繋がりませんので、サイト内を回遊してもらうことが重要です。1アクセス(または1ユーザー)あたりで見られているページ数などが指標になります。

売上・購入に関する指標

売上額

売上額は常に見るべき指標になります。サイト全体の売上だけではなく、商品ごとに売上額を見ていくと、課題が見えてくることがあります。

購入率(CVR)

サイトのアクセス数に対してどのくらい購入数があったかを見る指標です。ECサイトの場合、購入は「コンバージョン(CV:最終的な成果)」と表現されます。この発生率は「コンバージョンレート(CVR)」とよく言われます。
CVRは、そのサイトが「買いやすいか」「魅力的な商品の訴求をしているか」を見るための重要な指標です。商品ごとのCVRを見ていくとさらに課題がクリアになります。

客単価

1人あたりの購入額も、全体的な売上に影響する重要な指標です。商品単体の価格調整だけではなく、一回で複数の商品を購入してもらったり、ギフトオプションをつけたり、サブスクリプションの導入なども、客単価を上げるための施策として考えられます。

リピート購入率

購入数のうち、2回目以降の購入の割合です。新規購入とともに検討したい指標です。リピートする顧客はその先の売上も見込める可能性が高く、重視したい指標です。

ECの様々な指標をチェックできるShopifyのストア分析

ECプラットフォームのShopifyには、チャネル別の売上、セッション数、CV率、AOV、リピート率など様々な指標をチェックできる「ストア分析」が標準機能として備わっています。各指標がグラフ化されており、数値の動向を視覚的に把握できるため、マーケティング施策のデータソースとして有効に活用できます。
Shopifyのストア分析
ストア分析は、GA4と連携してさらに有益なデータを収集することも可能です。詳しくは下記の記事をご覧ください。

ECサイトのKPIツリー


KPIツリーとは、設定したKGI(目標)に対して、その要因はなにかを踏まえながら施策に落とし込むためのフレームワークです。イメージとしては上記のような形です。

たとえば、KGIとして「期限までに◯万円を達成したい」というものがあった場合、それを達成する直接的な要因としてまず「KSF(Key Success Factor:成功要因)」を設定して、それを実現するにはどういう数字を増やせばよいかを定めた指標がKPIになります。

そのKPIを達成するために具体的にどういった施策をすればよいか、最後の「施策」部分に記載することで、KGIから繋がる形での施策の検討や共有がしやすくなります。

ECサイトのKPI設定のポイント

KPIを設定する上で、現実性があり、きちんと成果の見込める根拠のある数値でないと意味がありません。以下のポイントを意識して設定するようにしましょう。

ECサイトのKPI設定のポイント

計測可能な指標を設定する

たとえばユーザーレビューの内容などの定性的なものではなく、Shopifyの「サイト分析」機能や、Googleアナリティクスなどで計測が可能な数字をベースにします。数字の変化がわからないと施策の成果などを数値で判断できなくなってしまうためです。

仮説を立てる

上記のKPIツリーで設定する「KSF(成功要因)」について考える際、どういう要素が売上向上につながるか、仮説を立てることが必要になります。これはどういったECサイトを運営しているかで変わってきますので、関係者と検討していく必要があります。
運営していくなかで仮説を検証して、KPIを調整していくことも重要です。

期間と数字を具体的にする

KPIの設定は「どの期間でどのくらいの数字を達成するか」を明確にしておくことが重要です。これにより、KPIとしている指標を「いつ、なにと比較するか」がわかりやすくなり、課題点の洗い出しや施策の成功度合いの判断がしやすくなります。

現実的に達成可能な設定をする

短い期間で非現実的なKPIを設定しても達成ができずに終わってしまいます。現状の運営状況を見て、施策を行った際に向上が見込める範囲で設定を行いましょう。
最初に設定する場合は「仮説」に近いものとなると思いますが、その後実際の計測値と見比べて設定が現実的だったかどうかを検証し、数字を調整していきます。

KPIを達成するためのマーケティング施策例

KPIで設定した数字を実現するために、期間や予算も踏まえながら施策を検討していきます。ここでは、具体的な施策の例を挙げます。

KPIを達成するための施策例

広告配信・SEO対策

サイトへの流入数を向上させる施策です。検索エンジンやSNSなどで関連するキーワードで検索したときに表示させて、見込み顧客自体の数を増やします。予算なども踏まえ検討していきましょう。
詳細については以下の記事も参考にしてください。

メルマガ配信

サイトで購入したことがある人に配信するメルマガは、リピート購入を増やすのに有効です。サイトや商品の存在を思い出してもらったり、クーポンなどのお得な情報を配信して購入につなげます。
具体的な施策内容は以下の記事を参考にしてください。

サイト改善

購入率や回遊率の向上を狙った施策です。たとえば購入ボタンの位置や色を変更したり、商品の説明文を調整したり、写真や動画を増やしたりしながら、サイトの使い勝手の向上や、商品の魅力がより伝わるような調整をしていきます。

KPIをしっかり設定して、適切なPDCAを回そう

KPIは設定して終わりではありませんし、そのKPIの設定が正しいかどうかも運用して初めてわかるところもあります。施策を行ったらきちんと検証し、施策の検討はもちろん、KPIの設定自体も見直して、適切なPDCAを回していくことが重要です。

ShopifyによるEC構築・運用をトータルサポートするBiNDecでは、KPIを踏まえた施策実行までサポートします。KPIの設定やその後の施策の立て方にお悩みの方は、相談してみてください。
KPI設定や検討に役立つ資料も配布していますので、ぜひお役立てください。
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