2025年1月6日を以って、ECプラットフォームのShopifyで、Amazon Payによる決済が利用できなくなりました。Amazon Payは、Amazon.jpのアカウントを持っていれば、送付先や支払い情報を入力せずに決済完了できるエクスプレスチェックアウトが使えていたので、重宝しているマーチャントも多かったでしょう。
今回は、Amazon Payと同じようにエクスプレスチェックアウトに対応し、導入も簡単なShop Payについて、メリットや特徴を解説します。
Shop Payの基本情報
Shop PayはShopifyが公式で提供している決済サービスです。
Shop Payにメールアドレス・電話番号・配送先住所・名前・クレジットカード情報を保存できるため、次回購入時はもちろん、初めて訪れるECサイトでも情報を再入力する必要がありません。これによってワンクリックで購入完了し、チェックアウトプロセスが大幅に速くなります。
Shop Payによるチェックアウトは、ゲストチェックアウトと比較して、コンバージョン率が最大50%高くなるという調査結果(*1)も出ています。
*1=世界3大経営コンサルティング会社の1社が2023年4月に実施した外部調査に基づく
Shopify ペイメントとの違い
Shop PayとShopify ペイメントはどちらもShopifyのプラットフォームで提供されている決済関連のサービスですが、役割と機能が異なります。
Shopify ペイメントは、Shopifyプラットフォーム上で決済を処理するための決済ゲートウェイです。Shopify ペイメントを利用することで、マーチャントはクレジットカードやShop Pay、Apple Pay、Google Payから顧客が支払った代金を受け取ることができます。
Shop Payは、決済ゲートウェイではなく、チェックアウトプロセスを簡素化し、顧客体験を向上させるサービスです。
要するに、Shopify ペイメントは支払い処理の基盤を提供し、Shop Payはその基盤を利用して迅速なチェックアウト体験を提供するという違いがあります。
Shopify ペイメントについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
利用料金
Shop Payは、Shopify ペイメントを利用しているマーチャントなら、追加料金は不要でどのプランでも利用できます。Shopify ペイメントの決済手数料は、クレジットカードの種類とShopifyのプランに応じて決まります。
Shopify ペイメントのクレジットカード決済手数料一覧
日本のクレジットカード | 海外・AMEXのクレジットカード | |
5% | 5% | |
3.55% | 3.9% | |
3.4% | 3.85% | |
3.25% | 3.8% | |
2.9% | 3.75% |
安全性
Shop Payでは、顧客の支払い情報を安全に保護するために、業界標準のデータ暗号化技術を使用しています。
また、顧客の配送先や請求の情報を保管するShopifyのサーバーはPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)に準拠しています。注文が発生した際にのみマーチャントのECサイトと共有することで安全性を確保しています。
その他のShopifyのセキュリティについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
利用できる国・地域と通貨
Shop Payは、Shopify ペイメントが利用可能な国と地域でのみ利用できます。現在、Shopify ペイメントは以下の23の国と地域、13の通貨が利用可能です。
北米 | APAC | ヨーロッパ | |
国・地域 | アメリカ合衆国、カナダ | 日本、香港、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド | イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、アイルランド、オランダ、ポルトガル、ルーマニア、スウェーデン、スイス |
通貨 | 米ドル (USD)、カナダドル (CAD) | 日本円 (JPY)、香港ドル (HKD)、シンガポールドル (SGD)、オーストラリアドル (AUD)、ニュージーランドドル (NZD) | 英ポンド (GBP)、ユーロ (EUR)、カチェココルナ (CZK)、デンマーククローネ (DKK)、スウェーデンクローナ (SEK)、スイスフラン (CHF) |
Shop PayをECサイトに導入するメリット
Shop PayをECサイトに導入することによってCV率の向上のほかにも様々なメリットがあります。
エクスプレスチェックアウトで購入完了まで簡潔に
Shop Payで利用できるエクスプレスチェックアウトは、顧客が迅速かつ簡単に購入を完了できるように設計されています。この機能により、顧客は一度登録すれば次回から配送先や支払い情報の再入力が不要となり、ワンクリックで決済完了します。
このような迅速なチェックアウトは、特にモバイルユーザーにとっての離脱率を減少させ、CV率を向上させる効果があります。Shop Payを導入することで、ECサイトは顧客の利便性を大幅に高め、競合他社との差別化を図ることが可能です。
さらに、Shopアプリで注文した商品なら、顧客が購入後の追跡情報を簡単に確認できます。
Shopアプリについて、詳しくは下記の記事をご覧下さい。
SNSとの連携
現在はアメリカのマーチャントのみ利用できる機能ですが、Shopifyペイメントの要件を満たしている場合であれば、FacebookやInstagramでもShop Payが利用できます。
InstagramやFacebookのショッピング機能の決済手段としてShop Payが加わることで、商品を購入したいユーザーがSNSのアプリ内から決済が行えるということになります。
SNSのフォロワーを直接顧客にするチャンスが高まり、マーケティングキャンペーンの影響を直接的に売上につなげることが可能になります。
Shop PayのSNS連携について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
新機能で分割払いにも対応
Shop Payの新機能で、分割払いオプション「Shop Pay Installments」が搭載されたことで、商品代金を数回に分けて支払うことができるようになりました。分割払いは高価な商品の購入ハードルを下げたり、毎月の支出を計画的に管理したいという顧客に有効です。
越境ECでも導入できる
Shop Payは複数の国・地域の通貨に対応しているため、異なる国や地域の顧客に対してもシームレスなチェックアウト体験を提供できます。外国為替の変動リスクを抑えつつ、越境ECを拡大し、ブランドのグローバルな知名度向上に貢献します。
Shopifyでの越境ECについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
Shop Payの設定方法と利用方法
Shop Payを自社のECサイトに導入する際の設定方法と、顧客がShop Payを利用する際の手順を紹介します。顧客視点で、どういったフローでチェックアウトが完了するかも確認しておきましょう。
ECサイトにShop Payを導入する手順
Shop PayをECサイトに導入する手順は以下のようになります。これらのステップを通じて、ECサイトでShop Payを有効にし、顧客に対して迅速かつ安全な支払いオプションを提供できます。
1. Shopify ペイメントを設定する
Shop PayはShopify ペイメントと連携して機能します。まず、Shopify管理画面にログインし、「設定」に進みます。
サイドバーのメニューから「決済」を選択し、Shopify ペイメントをアクティブにします。これには、ビジネスの詳細や銀行口座情報の入力が必要になる場合があります。
Shopifyペイメントの詳しい設定方法については下記の記事をご覧ください。
Shop Payを有効にする
Shopifyペイメントがアクティブになったら、「管理」ボタンをクリックし、「Shop Pay」オプションのチェックボックスをオンにしてShop Payを有効にします。
すべての設定が正しく行われたら、「保存」ボタンをクリックして変更を適用します。
実際にテスト注文を行い、チェックアウトプロセスが正常に機能することも忘れず確認しておきましょう。
分割払いの設定(オプション)
Shop Pay Installmentsを利用する場合は、追加で「Shop Pay Installments」オプションを有効にする必要があります。これによって購入代金を分割払いにすることが可能になります。
顧客がShop Payで商品を購入する手順
顧客がShop Payを使って商品を購入する手順は非常にシンプルで直感的です。以下に基本的なステップを説明します
Shop Payでログインまたは情報入力
チェックアウト画面で「Shop Pay」のボタンを選択します。すでにShop Payアカウントを持っている場合は、メールアドレスを入力してログインします。初めて使用する場合は、名前、メールアドレス、配送先住所、支払い情報など、必要な情報を入力します。
情報の確認と購入の確定
入力された情報を確認し、すべて正しいことを確かめたら、「購入を確定する」または「今すぐ支払う」ボタンをクリックします。支払いが処理されると、注文確認のページが表示されます。また、登録したメールアドレス宛に注文確認のメールが送られます。
Shop Payは情報を安全に保存するため、次回からはさらにスピーディーにチェックアウトが可能です。
Shop Payと他のエクスプレスチェックアウトとの違い
Shop Payと同じように、エクスプレスチェックアウトが可能な決済方法は他にも複数あります。それらとShop Payの違いを紹介します。
Apple Pay
Apple Payは、iOSまたはMac OSでSafariを利用しているAppleユーザーにとって便利な支払い方法です。指紋認証や顔認証を使用して一瞬で決済を行うことができます。
対応しているクレジットカードブランドは、Mastercard、American Express、JCBで、決済手数料はShopify ペイメントと同額です。
Google Pay
Google Payは、AndroidユーザーやChromeなどのGoogleユーザーにとって便利な支払い方法です。Googleアカウントに保存されている支払い情報を使用して決済できます。
対応しているクレジットカードブランドは、Mastercard、American Express、Visaで、決済手数料はShopify ペイメントと同額です。
PayPal
PayPalは100以上の多様な通貨での取引をサポートしています。クレジットカードブランドは、JCB、Visa、Mastercard、Discover、American Expressに対応しており、分割払いも可能です。
顧客が購入する際の決済手数料は無料(通貨換金手数料を除く)ですが、EC事業者側の受取手数料は国内取引で3.6%+固定手数料、海外取引で4.1%+固定手数料がかります。
ShopifyでのPayPalの決済について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
CV率を高める最適な決済方法を導入しよう
Shop PayはAmazon Payに比べるとまだ日本での知名度は高くはありませんが、グローバル基準では平均43%の顧客が普段の決済方法として利用しています。
無料で導入できるうえに手間もかからず、すでにShop Payに情報が登録されていれば、初めてECサイトを利用する人でもワンクリックで決済が完了するため、Shop Payによる決済手段の幅を広げておくことをおすすめします。
なお、Shopifyでは他にも豊富な決済サービスに対応しております。最適な決済手段を搭載したECサイトの構築なら、BiNDecにご相談ください。豊富な知見と実績で、最適な提案をご用意いたします。