越境ECの今後は?2025年の動向と成功への鍵| KOMOJU×WEBLIFE

越境ECの今後は?2025年の動向と成功への鍵| KOMOJU×WEBLIFE

国外の顧客へオンラインで商品を販売、配送する越境ECの市場は年々増加傾向にあり、D2Cビジネスの新たな販路として注目されています。
ECプラットフォームのShopifyにて、決済代行サービスのKOMOJUを提供している株式会社DEGICAのAccount Executive 松岡将史氏と、EC構築・運用サービスのBiNDecを提供している株式会社WEBLIFEの代表取締役 山岡義正による対談レポートの第2弾では、越境ECのトレンドや今後の動向について紹介します。

その他のKOMOJUとWEBLIFEの対談記事はこちらをご覧ください。

今とこれからの日本企業の越境EC

2023年の世界の越境EC市場は、6兆3,433億ドル、前年比109.1%増加を記録しています。2030年には、世界の越境EC市場は8兆USドル規模になると予想されており、今後もさらに伸びていくでしょう。
日本でも様々な企業が越境ECで売上を伸ばしており、資本力のある大企業だけでなく、海外の消費者にとって魅力のあるブランドであれば、スモールビジネスから大きく成長した事例も多くあります。

コロナ明けから増加する越境EC需要の背景

越境ECの対談を始めるにあたって、まずは山岡から、国外向けのECビジネスを「越境EC」と表現して特別にとらえるのは日本特有であることを挙げました。
日本は先進国の中では比較的人口規模が多いため、国内市場向けのビジネスでもある程度の需要は見込めていますが、大陸国では国内市場はそこまで大きくない上、他国と地続きでもあるため国外へビジネスを展開することは一般的な戦略となっています。
しかし、近年では日本も少子化による市場の母数が減っており、コロナ禍が過ぎたあたりから国内市場の限界がリアルになってきたことによって、海外へ販路を広げる必要性が高まっています。
越境ECの捉え方について話す山岡

日本のインバウンドとEC化率の変化

その他にも、短期的な背景要因として、円安によるインバウンドの増加も挙げられます。2024年の年間訪日外客数は36,869,900人で、前年比では47.1%増、年間過去最高の記録を更新しました。(*1)
日本へ旅行に訪れた際に気に入った商品を、帰国後もECサイトで継続購入してもらうために、越境ECを始めたいという企業も増えてきています。

インバウンド需要と越境ECについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

*1=JINTO訪日外客数(2024年12月および年間推計値)

越境ECの展開がもっと手軽に

越境ECを始めるには外国の言語や決済に対応させる必要がありますが、ここ数年で翻訳ツールの精度も上がり、海外通貨に対応した決済サービスも増えてきています。
また、とりあえず越境ECにトライしてみたいという場合でも、BuyeeやWorldShopping BIZといった海外販売を代行してくれるサービスを利用すれば手軽に始めることができます。
越境ECの市場が拡大するにつれて、さらに越境ECサービスが強化されていくことに期待できます。

越境ECのノウハウを持つパートナーの必要性

越境ECが国内で拡大し始めたのがコロナ禍以降になるため、まだ海外で商品を販売するスキルやノウハウを持っていない企業は多くありません。越境ECでもしっかりと売上を作っていくためには、現地に合わせた施策を打っていくことが必要です。
その地域の見込み客にリーチする方法や利用率の高い決済方法など、自社の商品を海外で売るにはどんなことが必要になるのか、越境ECの支援実績のあるパートナー企業をつけて支援してもらうことが売上への近道です。

2025年に伸びる、越境ECトレンド予測

2025年は越境EC市場がさらに進化し、新たなトレンドの登場が予想されます。消費者の購買行動が多様化する中で、昨今の消費傾向や新たなリテールテックからみるトレンドを予測しました。

円安の影響と日本製品への高い需要

2022年頃から慢性的な円安状態が続いており、海外の消費者が日本製品を安価で購入できるチャンスによって、インバウンドの需要も増えてきています。
さらに、日本製品は品質が高いというイメージが定着しているため、世界的に日本製品の需要を後押ししています。
「良いものを安く買える」ことは、顧客にとって非常に魅力的です。安全性や耐久性、製造過程のこだわりが伝わるようなプロモーションをすることによって品質の高い日本製品を買いたいというニーズを掴むことができるでしょう。

客層の母数が多い中国・韓国をターゲットに

東南アジア、欧米豪・中東からの訪日客も増えていますが、最も母数が多いのは中国・韓国といったアクセスしやすい近隣国からです。特に日本のサブカルチャーのファンが多く、アニメやゲームのグッズのビジネスは大きなチャンスがあります。
松岡氏によると、中国・韓国ともにQRコードやクレジットカードによるキャッシュレス決済が8割以上の高水準となっているそうです。逆に、マレーシアやドイツなど、銀行振込が主流となっている国もあります。
ECサイトには、ターゲットとするそれぞれの国にあった決済サービスを用意しておくことが必要でしょう。
中国・韓国の決済事情について話す松岡氏

越境ECのビジネスモデルや運用について、詳しくはこちらの資料をご覧ください。

AIが先導する海外市場のリテールテック

オンライン・オフラインの両軸で取得した顧客データを融合し、最適な顧客体験を作る「ユニファイドコマース」は小売業界のビッグトレンドです。
山岡が参加した世界最大級のリテールイベントであるNRF Retail’s Big Show2025でも、膨大なデータ処理や購買予測にAIを活用し、実店舗とECを融合するための新技術が多くラインナップされていました。

一例として、実店舗に来店した顧客をカメラからの画像認識で特定し、店内での行動や購入内容に基づいたマーケティング施策を行なっていく技術もこれから実用化されていきます。
越境ECで海外に販路が広がれば、取得できるデータの量も増え、顧客の属性も多様化するため、AIによるデータ分析やマーケティング業務の効率化が必要となってくるでしょう。
顧客の属性や手に取った商品などの店内行動がトラッキングできる、AI処理機能搭載のカメラ

越境ECに最適なプラットフォームのShopify

Shopifyは、越境ECに最適なプラットフォームとして注目されています。世界175以上の国と地域で利用されており、多言語・多通貨へ対応し、世界中の市場に簡単にアクセスできるため、国際的なビジネスを拡大しやすくなっています。さらに、エンタープライズ向けプランであるShopify Plusでは、高度なカスタマイズオプションが、大規模なビジネスに対しても柔軟に対応可能です。

Shopifyの越境ECの成功事例や効果的な施策について、海外のパートナーも登壇したイベントレポートも併せてご覧ください。

海外への展開がスタンダードな設計

Shopifyはカナダ発のECプラットフォームで、アメリカではNo.1のシェアを占めています。国内のECプラットフォームと比べて、国外の地域へ販売することがスタンダードであるシステム設計になっているため、言語・通貨・重量や関税の設定など越境ECに必要な機能が多く揃っています。
また、世界各国にShopifyでのEC構築・運用に知見を持つパートナーがいるため、それぞれの国特有の商習慣に対応するためのアプリが提供されています。

海外でも買いやすいECサイトにする決済方法

Shopifyでは、グローバルなクレジットカード、銀行振込、代金引換などが標準の決済方法として利用できますが、QRコードやコンビニ決済などターゲットに合わせた決済方法を拡充するには外部の決済代行サービスを導入する必要があります。
ローカルなクレジットカードやネットバンキング、デジタルウォレットが主要な地域も多いため、越境ECの対象地域でよく使われている決済サービスを導入しておくことで購入ハードルが下がります。

しかし、複数の国へ展開している場合、国ごとに個別の決済サービスを導入していると、締日や振込日が異なり、経理の処理が煩雑になることもあり得ます。 KOMOJUは、アジア・ヨーロッパ・ブラジルなどの各国で利用率の多い、65種類以上の決済方法に対応しています。決済方法が異なる場合でも、売上管理を一元化できるため経理業務の負担軽減につながります。

KOMOJUで導入できる決済手段について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

ストア分析でターゲットとするべきエリアがわかる

Shopifyには、独自の購買分析ツールを標準機能として利用できます。どの国・地域の顧客にどんな商品がいくら売れているかを直感的に視覚化し、マーケティング施策に役立てることが可能です。
さらに、低コストでスタートできるSNS広告の成果などと組み合わせて分析し、どんなプロモーションをすれば自社の商品が売れるかを調査していくことで、越境ECのマーケティングの精度が上がります。
居住地ごと購入データが閲覧できるShopifyのストア分析 ※画像はイメージ

Shopifyでの越境EC構築について、詳しくは下記の資料もご覧ください。

BiNDecとKOMOJUが勧める、越境ECを始める前に知っておくべきこと

確実に越境ECでニーズのある商品でも、単純に言語や通貨に対応させて広告を出すだけでは、売上を上げることは難しいでしょう。本格的に越境ECで売上を伸ばしたい時に、まずは何から始めるべきか、2人のアイディアを紹介します。

ブランドの価値を明確にする

自社の販売する商品に対して、どんな魅力があり、どういった人に売っていきたいのかという、ブランドストーリーやプランニングは越境ECにとっても重要であることを松岡氏から挙げられました。
それらを基に、ターゲット層へのリーチする方法や購入までの導線づくりも変わっていきます。なんとなくのイメージではなく、これまでの販売実績や現地の調査データに基づいたエビデンスベースのストーリー、プランニングが越境EC成功の鍵となります。

現地に赴いて商習慣を調査する

山岡からは、上記のストア分析やSNS広告の成果を見て、どこの国に需要があるかを想定し、現地へ行ってみることを勧めました。
ECサイトのデータ上のみでは正確な顧客像は掴みづらいため、小規模なポップアップストアを出店するなどのフィールドマーケティングを通じて、ターゲット市場の文化や消費者行動を深く理解することで、越境ECにおいてもどんなサービスや機能を提供すればもっと売上を伸ばせるかが明確になっていきます。

台湾でのフィールドマーケティングを重ね、大きく成功したアパレルブランドについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

海外販売における不正取引対策

海外へ販売する過程で、国内では予想していなかったトラブルに遭う可能性もあり得ます。
不正取引のリスクを抑えるためのポイントとして、松岡氏は、国ごとに取引の傾向を見ながら、最適な閾値を認識して設定しておくことを対策方法の1つとしています。

Shopifyでは、配送先とIPアドレスの位置が離れていた場合などに不正取引のリスクがあることを検知して知らせてくれる不正解析機能が備わっています。リスクの高い注文が発生した場合には、商品を発送する前に本人確認を行うことをお勧めします。

そのほかにも、特定の国やIPアドレスをブロックしたり、注文の取消・無効を自動化するなど、不正取引のリスクを抑えるアプリが多く揃っています。

越境ECの成功事例

BiNDecとKOMOJUがこれまで手がけてきた越境ECの事例について、どのようなものがあるのかをご紹介します。

KINTO

KINTOは三重県に本社を置き、アメリカ、オランダにも拠点として子会社を持つテーブルウェアやライフスタイルグッズのブランドです。
日本のECサイトの他にもEU、アメリカ、カナダ、タイ、韓国といった越境展開をしています。また、卸売向けにKINTO BtoBも構築しています。
それぞれ決済や配送、売れ筋などは異なりますが、グローバル展開に対応しているERPをECのバックエンドシステムと連携させることで、国内ECの運用や設計を海外ECに転用できる面も多く、業務効率の向上に成功しています。

KINTO Japanでは、KOMOJUを導入しており、国内の主要なQRコード決済等を搭載しています。
KINTO|海外にも拠点を持つ食器やホームグッズのライフスタイルブランド

Daniel Wellington

KOMOJUでは様々な国における各決済方法の利用状況や特徴をデータとして保有しています。越境ECを検討している日本企業だけでなく、逆に日本に展開したい海外企業にも、どの決済手段を導入するべきかなどのサポートも行っています。
松岡氏によると、日本では、顧客に気に入られるまでは時間がかかりますが、一度気に入ってもらうと高いロイヤルティを保ちやすいという特徴があるそうです。

スウェーデンの時計・アクセサリーブランド「Daniel Wellington」が日本と韓国へECサイトを展開するにあたって、KOMOUでは、韓国で人気のNAVER Payでの決済に対応しました。韓国ではオンラインショッピングの際に、韓国特有の情報の入力が必要です。そういった複雑なルールに対応した決済システムも、KOMOJUを導入することで簡略化が可能です。

Daniel Wellington

Daniel Wellington|NAVER Payをはじめ、韓国で主要な決済方法に対応している

戦略的に成長する越境ECの構築・運用ならBiNDecとKOMOJUへ

Shopifyで数多くのECを構築しているBiNDecでは、決済代行サービスのKOMOJUと連携し、戦略的な越境ECの成長をサポートしています。海外に販路を広げたいけれどどの国で売れるのかわからない、今運用している越境ECの業務効率や売上を改善したいなど、課題を抱えている際はぜひお気軽にご相談ください。
ハイレベルな技術力・知識量を認められたShopify Premierパートナーとして、中小規模から大規模のビジネスに向けた最適な運用戦略の提案も可能です。

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POINT

  • 国内市場の縮小やインバウンド需要増加などが日本企業の越境ECを促進している
  • ターゲットの国や地域にどんなアプローチをするべきか、どの決済方法が最適か調査する
  • Shopifyは越境ECがスタンダードで、必要な機能が豊富にそろっている