エモーショナルな体験でLTVを1.5倍に。Shopifyが目指すECの在り方|NRF NY 2025レポート

エモーショナルな体験でLTVを1.5倍に。Shopifyが目指すECの在り方|NRF NY 2025レポート

WEBLIFEの代表取締役である山岡 義正が参加したNRF Retail’s Big Show 2025では、世界でシェアを伸ばすECプラットフォームのShopifyが登壇するセッションや展示ブースに、多くの来場者が注目していました。
Shopifyの考えている、昨今の消費者のトレンドやショッピングに求められるサービスがどのように変化しているのかをレポートします。

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過去のNRF Retail’s Big Showのレポートはこちらからご覧いただけます。

消費者のトレンドをテーマにしたShopifyのセッション

Shopifyは世界175以上の国と地域でシェアを広げているECプラットフォームです。SMBからエンタープライズまで、多くの企業がShopifyの導入によってECビジネスを成功しており、コマース全体におけるトレンドやイノベーションを多く生み出しています。
世界最大のリテールテック展示会であるNRF Retail’s Big Show 2025にもブースを出展しており、最新のECソリューションを体験できました。
多くの来場者で賑わうShopifyの展示ブース
また、メインステージのセッションではShopifyの社長Harley Finkelstein氏に加えて、レディスアパレルのFavorite Daughterの共同創業者Sara Foster氏、ウェルネスドリンクのAG1のCEO Kat Cole氏の3名が登壇し、進化する消費トレンドやそれらにリーチするための最適な顧客体験の作り方などについて話していました。

デジタルのつながりに強いハイパーコネクテッド

セッションでは、昨今のコマースを取り巻く環境として「ハイパーコネクテッド」というキーワードが挙げられました。ハイパーコネクテッドとは、デジタル技術の進化により、人々やデバイス、システムが常に繋がっている状態を指します。
そういった環境の中で育ったZ世代の消費者達はSNSネイティブであり、価値観や共感を重視しています。また、常に最新の情報を得られる状態にあるため、物事の判断スピードも速くなっています。

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情報がリアルタイムでやり取りされ、生活やビジネスがよりスムーズになり、新しい機会が生まれる一方で、プライバシーやセキュリティの課題も増えています。

情報収集に長け、購入は利便性を重視

ハイパーコネクテッドに影響される消費者の特徴として、商品ページ以外にも、SNSやオンラインメディア、ECモールなど様々なサービスを駆使して情報を得ることが得意です。
素材や価格はもちろん、レビュー、アフターサービス、ブランドの立ち位置など多くの情報から、時間をかけずとも十分な比較・検討を行い、購入するかどうかを決定します。

また、即時性や利便性を重視しているため、購入時のサービスに対して求めるアクションやレスポンスに不便があると、離脱しやすく忍耐力が低い特徴も挙げられていました。Shopifyが表示速度やチェックアウトの処理速度のアップデートを毎年欠かさず行っているのは、こういった特徴に対応するためでもあるのでしょう。

ユニファイドコマースの必要性とメリット

そういった消費者に対応していく考え方が「ユニファイドコマース」です。消費者は、ECサイト、実店舗、スマホアプリ、SNSなど、複数のチャネルの中で自身にとって最適なチャネルからショッピングを行うため、それらのサービスに一貫性を期待しています。

Shopifyは、マルチチャネルコマースプラットフォームと称して、EC以外の各チャネルともデータを連携するための機能やサービスが多く用意されています。すべてのタッチポイントで消費者の情報を収集し・共有できる体制ならば、どのチャネルでもシームレスで一貫性のあるサービスを提供することが可能になります。

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ユニファイドコマースの実現方法は、ERPの導入ほか、POSやスマホアプリによるマルチチャネルのデータ連携も効果的です。BiNDecでは、ビジネスの規模に合わせて最適な方法を提案しています。

ブース内のミニセミナーでも、消費者が複数のチャネルから情報収集をしていることが挙げられた

ターゲットの求める場所で売るポスト・オムニチャネル

ここで気をつけておきたいのが、「どこでも売れる状態にしておくことが正解ではない」ということです。
Finkelstein氏は、Favorite DaughterのPodcastやNetflixのドラマによるコンテンツマーケティング、AG1がコーヒーチェーンのスターバックスと提携して展開するポップアップストアのそれぞれの成功事例から、「消費者がどこで買いたいのか」に合わせてチャネルを展開する「ポスト・オムニチャネル」と題した新たな考え方を示しました。

Shopifyは、昨年9月にオンラインゲーミングプラットフォームであるRobloxとの連携を発表し、メタバース上でECサイトの商品を購入できるようになりました。RobloxはZ世代を中心に、1日あたり約8,000万人のアクティブユーザーを有しています。彼らが長い時間を費やすRobloxという場所で新たなチャネルを広げていくことができます。

ブランドに求められる特別な体験とパーソナライズ

一人ひとりに最適な購入体験を提供する、パーソナライズな顧客マーケティングが欠かせないものになっています。それに加え、同じ立場の消費者同士のつながりもブランドの成長を後押ししています。

LTVを1.5倍にする、特別な顧客体験

消費者は、自分が特別であると感じる体験に対して高い価値を感じ、LTV(顧客生涯価値)が1.5倍に増加すると言われています。誕生日や属性、好みなどのパーソナルな情報を基づいて、個々にカスタマイズされたアプローチを実施することが、顧客ロイヤリティに直結しています。

そのためには、詳細な顧客データを蓄積しておける管理システムはもちろん、自然に情報収集できるような仕組みづくりをしておくことが必要となります。Shopifyの顧客管理システムには、顧客メタフィールドという任意の属性を付与できる機能があり、Shopify POSを通じて実店舗でも追加・編集が可能です。

LTVについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

製品の背景にあるコミュニティとのつながり

他のセッションでも、体験型のショッピングスペースやプロモーションがトピックとして挙げられていました。消費者とブランドの接点がエモーショナルな体験であるかが、ブランドの成功を左右要因となっています。
商品そのものだけでなく、その背後にあるブランドの価値やコミュニティとのつながりを意識した体験づくりによって、顧客ロイヤリティはより強固なものとなります。

成功の鍵を握る、AIデータ分析とSNSマーケティング

AI活用やSNSマーケティングの重要性も同様に取り上げられていました。消費者の進化に応えるには、変化する市場や環境にも柔軟に対応していく必要があります。

AIを活用した需要予測とリアルタイムで応える即時性

Shopifyにはコマースに特化したAI機能が搭載されており、売上データの分析や作業の手助けをしてくれます。
そのほかにも、膨大な顧客行動のデータをAIで分析し需要を予測することで、マーケティングや商品づくりに活用できる専門的なサービスとも柔軟に連携できます。AI活用が普及していくにつれて、消費者のニーズに迅速に対応し、リアルタイムでの意思決定を可能にすることが重要となっています。
専門的なサービスと連携して創っていく次世代Eコマースの構想が発表された

Z世代へのアプローチにマストなSNS

ハイパーコネクテッドの象徴的な消費者像であるZ世代は、今後の消費市場の中心になりつつあります。
Z世代は、TikTokやInstagramなどのSNSを通じて情報を得たり、購入のインスピレーションを得ることが一般的なライフスタイルです。インフルエンサーやUGCを活用するSNS特有のマーケティングはこれまで以上に発展し、成果を上げることができるでしょう。

Z世代の特徴について、詳しくは下記の記事をご覧ください。


変化に対応することで成長し続けるECビジネス

企業にとってハイパーコネクテッドな環境において進化する消費者に対応することは、競争優位性を維持するために不可欠です。実務的なAI活用が様々なシーンにおいて始まっており、数年前から言われていたパーソナライズや顧客体験のクオリティも上がっています。

Shopifyを利用したECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」は、ハイレベルな技術力・知識量を認められたShopify Premierパートナーです。
トレンドに合わせたマーケティング戦略によって、成長し続けるECを支援しています。EC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。

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POINT

  • ハイパーコネクテッドな商環境によって消費者のトレンドが変化している
  • 消費者は情報収集に長けており、顧客体験を向上させるために一貫性のあるサービスを求めている
  • ポスト・オムニチャネルによって、効果的な顧客リーチとブランドの成長が可能になる