レガシーECから脱却。Shopify×BiNDecのイノベーション思考|Japan IT Week春 2025レポート

レガシーECから脱却。Shopify×BiNDecのイノベーション思考|Japan IT Week春 2025レポート

Japan IT Weekに出展したShopifyのブースにて、ECを成長させるためのイノベーション思考に関するセミナーを開催しました。実際のEC事業者によくあるレガシーな運用の課題やそれらを変えていくための具体的な解決策をレポートします。

Japan IT WeekのShopifyブースにWEBLIFEがゲスト登壇

毎年5万人以上が来場する、日本最大級のIT専門展示会「Japan IT Week」が、2025年4月23日から25日の3日間にわたって開催されました。
ECプラットフォームのShopifyのブース「Shopify Innovation Hub」では、ECにまつわる様々なセミナーがプログラムされており、Shopify PremierパートナーであるWEBLIFE CEOの山岡も登壇しました。
大盛況の中、45分間のセミナーを実施

数値で見るEC市場と消費者の今

山岡のセミナーでは、「ECの競争力を左右するイノベーション思考と業界別リアルプロセス」と題しており、これまで手がけてきたEC支援とマーチャントの現場課題、それらを解決する具体的なソリューションを紹介しました。まずは、EC市場の現状を数字で追って見ていきます。

EC市場の拡大と課題

国内のD2C EC化率はここ10年で4.37%から9.38%と2倍以上増加しており、2030年には10〜13%まで伸びることが予測されます。EC化率が10%台になるだけでもEC市場は年4000〜5000億円ずつ拡大する見込みですが、同業種の競合ECサイトが増えることで、ブランドロイヤルティは下がり、顧客獲得単価は高騰します。
そのほか、2030年問題と言われるドライバー不足や人口減少による国内需要の縮小など課題は様々です。

そういった中で売上を上げ続けるためには、クオリティの高い顧客体験の提供や、マイクロフルフィルメントなどの効率的な業務改善が必要となってきます。

マルチチャネル展開による成長率

GoogleとKANTARの調査によれば、日本の消費者の約72%が、購入前にオンライン・オフライン両方のチャネルで、商品のレビューや品質などの情報を収集していると回答し、特に「高額商品」「ファッション・家電・家具」などでその傾向が顕著です。
また、Aberdeen Groupの調査では、複数チャネルで展開しているビジネスの顧客維持率は89%ですが、シングルチャネルの企業は33%程度にとどまっていることがわかっています。
さらに、ハーバード・ビジネス・レビューによると、マルチチャネルを利用する顧客は30%以上LTV(生涯価値)が高くなり、実店舗とECの両方活用する場合は年間平均で23%多く支出しています。

WEBLIFE eye

Shopifyは様々なサービスと連携できる柔軟性を備えているため、マーチャントの90%以上がECサイトを他の販売チャネルと連携しています。
「チャネルを意識せずに情報を得て、最も便利な場所で購入する」という、ユニファイドな購買行動が一般化しつつあり、Shopifyがシェアを拡大していることと繋がってきます。

マルチチャネルで変わる顧客育成

複数のチャネルでの展開によって、顧客とのタッチポイントが増えることになります。各チャネルの情報を統合していれば取得できるデータの量も増え、エンゲージメント向上を狙うためのパーソナルなマーケティング施策に活用できるでしょう。
エンゲージメントが高いと、将来的に商品を購入したり、ロイヤル顧客になってくれる可能性も高くなるので、顧客育成の面においてもマルチチャネル展開は非常に有益です。

今すぐ変えるべきレガシーなEC運用

BiNDecでは、これまで370を超えるShopifyのECサイト構築を支援してきましたが、その中でも特に多い売上の障壁となっている以下の3つの現場課題を山岡が挙げました。

  1. 実店舗とECの部署が対立して売上の取り合いになっている
  2. 営業とシステムの部署の方針の違いで、双方やりたいことができない
  3. カスタマーサポートに寄せられる顧客の声をマーケティングに反映できていない

これらを解決するためには、ある程度トップダウンでルールを変えていく必要がありますが、現場での理解も伴っていかなければなりません。
BiNDecは、Shopifyで良いECを構築すれば売上が上がるわけではないと考えています。全社一体で収益を上げるための評価方法や指標づくりも支援し、ビジネスを加速させるためのEC環境構築を理想としています。
各部署の対立がざまざまな課題の要因となっている

「予算」「人手」「成果」はできるところから改善していく

Shopifyでは上記のような状態をレガシーなEC運用として捉えており、解消するための様々な機能やサービスを強化・提供しています。
解決方法が見えていても、人手や予算の不足、成果が検証しづらいと言った理由から、改善が進まない状況になっている企業は少なくないでしょう。

山岡はそう言った場合に対して、まずは少ない予算でも短期間で試して成果がわかりやすい施策からはじめ、事務的な作業は自動化できるシステムを導入するなどの方法を推奨しました。少しずつでも着手していくことで、レガシーなEC運用を変えていくことが可能です。

Shopifyで実現できる4つのEC運用イノベーション

次に、具体的なEC運用改善の手法を4つのEC運用イノベーションとして紹介しました。実際にどんな方法で解決することができるのか紹介していきます。

1. UI/UXと顧客ロイヤルティ

成果の出るマーケティング施策には、まずペルソナを決めてターゲットの理解度を深めることが第一歩です。これがなければ、自社のブランドの強みやターゲット像の認識が統一されず、今どんな施策をすべきかがブレてしまいます。
普段どのSNSを見ているのか、よく訪れている場所はどこか、などのリアルで詳細な情報が、最終的に購買に繋げるための施策の軸となります。

ブランドとの繋がりで顧客を育てる

見込み客が商品を購入し、リピート客となって優良顧客・ロイヤルカスタマーに成長していくためには、ブランドがより身近な存在となる体験を提供していかなければなりません。
BiNDecが支援しているブランドでは、オリジナルのスマホアプリで同じ属性のファン同士が交流できるコミュニティを形成したり、同じ消費者という目線で商品をレコメンドするUGCの促進キャンペーンによって、ロイヤルカスタマーの増加に成功しています。

ミキハウスのEC戦略について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

2. 業務とプロセスの再設計

ECサイトの事務作業は極力システム化できるような運用プロセスすることで、人的コストを大幅に削減することができます。
Shopifyには、顧客の行動をトリガーとして設定した条件に当てはまったらアクションを実行するShopify Flowという機能があります。BiNDecは、Shopify Flowをすぐに使えるよう、業種・業態ごとに定番のフローをあらかじめ用意しているため、多くの導入企業で業務負担の軽減に成功しています。
Shopify Flowを活用すれば、予約商品やギフトラッピングの注文に対応するための処理など煩雑な業務を自動化できる
また、最近ではBtoBのECニーズも増えてきており、FAXで注文して人が対応していた状態から、ECで発注〜請求書発行まで自動化できるようにすることで業務効率改善のほか人的ミスも防止しています。

Shopify Flowについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

3. データ基盤の整備と利活用

これまでも、パーソナルな情報に基づいたマーケティング施策が重要であることは強調してきましたが、それには大量のデータを収集・分析できる基盤が必要となります。
最近ではAIを活用して自然に情報を収集したり、顧客一人ひとりに最適なアプローチをすることができるツールやサービスが充実してきています。
ShopifyにMAツールを導入すれば、顧客の購入履歴や閲覧したページなどの行動データを読み、次に買いそうな商品をレコメンドするメールを、欲しくなるタイミングで読まれやすい時間帯に自動で配信することが可能になります。

AIで店舗のDXも進む

山岡が参加した世界最大のリテールテック展示会「NRF Retail’s Big Show」でも、AIによるデータ分析が数多く登場していました。
例えば、実店舗に設置するカメラの映像をAIが分析することで、顧客IDを割り出したり、店内でどんな商品を手に取って、どの商品と比較しているか、という行動も認識し、データ化するソリューションが話題を呼んでいました。
顧客IDや店内行動を把握するAI画像認識のソリューション
NRF Retail’s Big Showの現場レポートはこちら

4. システム統合とサプライチェーンの最適化

最後は、顧客・各販売チャネル・倉庫・工場といった物流の各セクションの連携ついてです。
Shopifyは、外部サービスと柔軟にAPI連携できるようになっており、そのためのアプリやサービスも豊富に用意されています。ECと実店舗をPOSで連携したり、OMSやWMSで受注〜出荷まで自動化したりすることはもちろん、ビジネス規模が大きくなれば、すべてのデータを一元管理できるERPも必要になってくるでしょう。
連携のためのサービス導入にコストはかかりますが、エラーやリソースの負担を大幅に減らすことができるため、費用対効果は十分にあります。
物流の各セクションの全体像について説明する山岡
ERP導入の成功事例については下記の記事をご覧ください。

Shopifyの強みを活かした、変化に強いBiNDec MODEL

以上のように、ShopifyはECビジネスを成長させるためのイノベーションと非常に相性の良いことが強みと言えます。
BiNDecでは、そのShopifyの強みを最大限活用するため、業種や課題ごとに必要な支援メニューをパッケージ化し、MODELとして提供しています。これまでのノウハウを基に、ECビジネスを成功させるためには今何が必要で、どこから改善していくべきかをスピーディにサポートしています。
ShopifyでのEC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。

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POINT

  • EC市場の競争が激化する中、マルチチャネル展開が成長の鍵となる
  • 部門間の対立やデータ活用不足など、旧態依然とした運用が成長を阻害している
  • ビジネスを成長させるイノベーションと相性の良いことがShopifyの強み

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