商品の販売期間をあらかじめ設定する「期間限定販売」は、ECサイトにおいても有効なマーケティング手法のひとつです。「今だけ」「期間限定」といった訴求によって、購入を迷う消費者の行動を後押しできます。
Shopifyでも、こうした販売手法を活用することで、売上の最大化や販売戦略の幅を広げることが可能です。本記事では、Shopifyで構築されたECサイトで期間限定販売を実施する設定方法と、成果を上げるための工夫をわかりやすく解説します。
Shopifyで販売期間の設定は可能なのか?
Shopifyで構築したECサイトでも、販売期間の設定は問題なく行えます。特定の商品に対して、販売の開始日や終了日をあらかじめ設定しておくことで、指定期間のみの販売が可能です。実現方法によってできることや管理のしやすさが異なるため、目的に応じて最適な手段を選ぶことが大切です。次の章では、設定する具体的な方法や活用例をご紹介します。
なお、Shopify Plusプランをご利用の場合は、「Launchpad(ローンチパッド)」というアプリを利用できます。Launchpadを活用すれば、商品の公開・非公開、価格の切り替え、テーマの変更、割引の適用などをあらかじめ設定し、完全に自動化できるので、セールや新商品リリースの際の人的ミスを防ぎ、効率的な販促が行えるでしょう。
Shopifyで販売期間を設定する具体的な方法
Shopifyで販売期間を設定する方法はいくつかあります。
方法 | 難易度 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
商品管理画面で公開日時を設定 | ★☆☆(易) | ・Shopify標準機能のみで対応可 ・初期設定が簡単ですぐ実施できる |
・公開の予約は可能だが非公開の予約はできない ・そのため人手に依存し運用ミスが起こりやすい |
表示切替を自動化するShopifyアプリ | ★★☆(中) | ・公開/非公開などの自動化が可能 ・カウントダウンや特設ページ作成など販促演出も簡単 |
・アプリ利用の費用が発生 ・アプリごとに操作性や機能差があるため選定が必要 |
メタフィールド+カスタム対応 (テーマ編集やShopify Flow) |
★★★(難) | ・公開/非公開などの自動化が可能 ・表示出し分けや販促表現の柔軟な設計が可能 |
・メタフィールドやその構造の理解が必要 ・テーマ編集やワークフロー設計など専門的な対応が必要 ・導入・保守に開発リソースが必要 |
商品管理画面での公開日時設定は簡単に始められる一方で、事前のティザー公開や自動切り替えには対応できず、販促施策との連動が難しいという課題があります。また、メタフィールドやShopify Flowを使えば自動化や柔軟な制御も可能ですが、ノーコードでは扱いが難しく、テーマ編集やワークフロー設計といった専門的な対応が必要になります。
販促施策を行う際には、そのスピードやPDCAのサイクルも重要です。効率よく期間限定販売を運用するには、自社のECサイトに合ったShopifyアプリを見つけ、導入する方法が実用的な選択肢といえます。ここでは、販売期間の設定ができるアプリや販促に効果的なおすすめのアプリを紹介しましょう。
なお、Shopifyのメタフィールドについて詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。
販売期間やボタンの切替も自動化「BiNDec|カートボタンの期間表示制御」
Shopify PremierパートナーのBiNDecが提供する「BiNDec|カートボタンの期間表示制御」は、指定した期間のみ商品を購入できるように制限するほか、販売前は「販売開始前」、販売中は「カートに入れる」、販売終了後は「販売終了」、在庫がない場合には「在庫切れ」など、ステータスごとに購入ボタンのラベルを任意の文言に変更できるアプリです。
購入ボタンの下には販売期間や注意点などの注釈テキストも入れられるので、顧客にも販売ルールをわかりやすく案内できます。販売期間の指定にはメタオブジェクトとメタフィールドを利用するため、指定のタイミングと同時に購入ボタンのラベルや案内文の切り替えが可能です。
セール告知や限定クーポンの表示期間を設定「BiNDec|タイマー表示」
「BiNDec|カートボタンの期間表示制御」と併せて利用するのもおすすめなアプリが「BiNDec|タイマー表示」です。期間限定のセールやキャンペーンを実施する際に、開始日時と終了日時を設定するだけで、特定のセクションやブロックを自動的に表示・非表示に切り替えることができます。
トップページや商品ページ、マイページなど、テーマ内のさまざまな場所に自由に設置できるため、「期間中だけ表示したいバナー」や「会員限定のクーポン告知」など、販促のタイミングに応じたコンテンツ出し分けが簡単に行えます。こうした演出は、「今だけ」「あなた限定」といった訴求によって購買行動を促すきっかけになりやすく、期間限定販売の効果を高めるのに役立ちます。
さらに、セールの開始・終了に合わせた表示設定を事前に済ませておけるため、手動切り替えの手間やミスを減らし、販促施策の運用負荷を軽減できるのもポイントです。テーマ編集やコーディングは不要で、直感的な操作だけで設定可能。スピード感が求められるキャンペーン運用にも対応しやすいアプリです。
商品ごとに販売期間を設定「シンプル販売期間設定|商品ごとに期間限定販売」
「シンプル販売期間設定|商品ごとに期間限定販売」は、Shopifyの商品ごとに販売期間を設定できる日本製のアプリです。販売開始日と終了日をあらかじめ指定しておくことで、期間外の購入を自動で防ぐことができます。
販売前・販売中・販売終了後のそれぞれで購入ボタンの文言やデザインを変更できるため、「まもなく販売」「販売終了しました」などの表示によって、顧客に販売状況を分かりやすく伝えられます。
料金は月額14.99ドルで、7日間の無料トライアルも用意されています。日本語サポートにも対応しており、国内のEC事業者でも安心して導入できるアプリです。
販売期間を限定することで自社商品やブランドの価値を高める
期間限定販売は設定や運用次第で多くのメリットを生み出せる施策です。では、実際にECサイトに取り入れることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。EC市場の競争が激しさを増すなか、自社サイトの魅力や選ばれる理由を強化するために、期間限定販売がもたらす5つの具体的な効果を理解しておくと良いでしょう。
商品の価値を高めて購入意欲を向上させる

期間限定販売は、「今だけ」「数量限定」といった要素により、商品に特別感をもたせやすい手法です。手に入る期間が限られていることで、顧客の関心や購入意欲を後押しするきっかけになります。「限定」という言葉は、商品の希少性や旬な印象を与え、通常販売時よりも魅力的に映る効果も期待できるでしょう。特にファッションやコスメなど、トレンドを重視するカテゴリでは、そうした傾向が見られることもあります。
顧客の心理を活用してUGCを生む
期間限定の商品は、「今だけ」という特別感が顧客の関心を引きやすく、購入体験を誰かと共有したいという心理を後押しすることがあります。その結果、SNSやブログでの投稿やレビューといったUGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれるきっかけになります。特に限定アイテムや希少性のある商品は、自然なかたちで話題にされやすく、販促施策と併せて活用することで、顧客との接点を広げる一助となる可能性があります。
UGCについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
売れ残りのリスクを低減させて在庫過剰を防ぐ
販売期間をあらかじめ設定しておくことで、需要が特定の期間に集中しやすくなります。たとえば「3日間限定」といった販売スケジュールが明確であれば、その期間内のアクセス数やCVR(コンバージョン率)をもとに販売数を予測できるので、供給量の計画を立てるのが容易になるでしょう。
さらに、先行予約と組み合わせることで、開始前に消費者の反応を把握できるため、事前に仕入数の微調整を行うことも可能です。売れ残りや過剰在庫を抑えられれば、不本意な値下げや処分セールに頼らずに済み、ブランド価値を維持したまま販売できます。
Shopifyの予約販売について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
新しい商品の反応を見るためのテスト販売に活用できる
期間限定販売は、新商品を本格展開する前の「テスト販売」としても非常に有効な手段です。一定期間だけ販売することで、ニーズや売れ行きをデータとして収集できます。実際に販売してみて、顧客の反応が良ければ再販や定番商品化を検討し、逆に反応が鈍ければ改善や撤退の判断が可能です。これにより、リスクを最小限に抑えた商品展開が可能になります。検証施策として活用しましょう。
特別な体験で顧客ロイヤルティが高まる
限定販売によって「自分だけが手に入れた」という特別感が生まれると、ブランドへの愛着が強まり、顧客ロイヤルティの向上につながります。さらに、定期的に限定商品や期間限定のキャンペーンを展開すれば、「次はどんな商品が出るのか」という期待が生まれ、ブランドとの継続的な関係を育みやすくなります。
顧客ロイヤルティについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
販売期間の設定と併せて実施したい売上を最大化するための施策
これまで紹介したように、期間限定販売は「限定感」や「今すぐ買うべき理由」を生み出す強力な手法です。ただし、販売期間を設定するだけでは、期待する成果が十分に得られないケースもあります。ECサイトの売上を最大化するには、販売設計とともに戦略的な販促施策を組み合わせていくことが重要です。
ここでは、期間限定販売を行う際に実践したい具体的な施策をご紹介します。
販売期間を告知し、購買意欲を高める
期間限定商品を販売する際に重要なのが「販売開始前の告知」です。販売開始の直前になってから告知しても、顧客に認知されない可能性がありますので、注意が必要です。効果的な方法としては、前述した「BiNDec|タイマー表示」などを利用して販売開始までの日数を表示し、顧客の期待感と購入意欲を高めるといいでしょう。
限定販売の効果的なプロモーション施策
限定商品は、通常の商品以上にプロモーションの工夫次第で売上に大きく影響します。単に「限定」と記載するだけでなく、商品に込めた想いや開発背景などを伝えることで、顧客が「手に入れたい」と感じる理由をしっかり届けることが大切です。
たとえば、商品ページに「◯月◯日、限定アイテム登場!」といった告知を表示したり、「残り◯日で終了」といったカウントダウンタイマーを設置することで、購買意欲を後押しできます。また、YouTubeやInstagramなどのSNSでレビューや開発ストーリーを発信することも、効果的なプロモーション手段のひとつです。
メールマーケティングやLINE活用でリピーターを狙う
期間限定商品は、新規顧客の誘致だけでなく既存の顧客にも再購入を促すチャンスです。そこで、一度購入した顧客に、関連情報をタイムリーに届けたり、販売開始直後や終了直前にリマインドメールを配信したりすることでリピート率が高まります。
また、LINEなどで「限定クーポン配布中!」と通知するのも効果的です。Shopifyなら、メール配信アプリやLINE連携アプリを活用することで、これらの施策を簡単に行えます。
高度なメールマーケティングを自動化するMAツールならDotdigitalがおすすめです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
早期購入を促す価格設定やノベルティの配布
初動から売上を伸ばすには、顧客に「今すぐ買う理由」を提供することが重要です。なかでも効果的なのが、「早割価格」などの割引や、「先着特典」といったノベルティの配布です。
たとえば、先着100名限定でノベルティを同梱すれば、購入者にとっての特別感が高まり、購買意欲を後押しできます。こうした施策は、受け取ったノベルティをSNSに投稿するきっかけにもなり、自然な形でのUGC投稿の促進にもつながります。
BiNDecでは選べるノベルティにも対応できるアプリを提供しています。詳しくはこちらのページをご覧ください。
期間限定販売を成功させるために、仕組みと運用を整えよう
期間限定販売は、売上を高めるうえで効果的な販売手法のひとつです。Shopifyでは、販売期間の制御やプロモーション施策の展開が柔軟に行えるため、目的に応じた設計がしやすい点も大きな強みです。
ただし、販売期間を設定するだけでは十分な成果を得にくく、割引やノベルティの活用、在庫計画や販促設計など、複数の施策を組み合わせて実施することが求められます。
自社のECサイトにはどの方法が最適かわからない、アプリ選定に不安があるという方は、Shopify PremierパートナーであるBiNDecにぜひご相談ください。Shopifyの設計・構築から運用、施策の実行支援まで一貫してサポートいたします。
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