発売前の新製品や季節の限定品など、予約販売は実店舗でもECサイトでも比較的よく見られる販売方法です。本記事では、Shopifyで作成したECサイトでの予約販売におすすめのアプリや、導入前に知っておきたいポイントなどを説明します。
予約販売とは?
予約販売は、発売日前または入荷前の商品を事前に予約して購入できる販売方法です。プレオーダーや予約注文と呼ばれることもあります。通常、限定商品や高い需要が見込まれる商品に対して行われることが多く、予約をすることで顧客は人気商品を確実に手に入れることができます。
また、EC事業者にとっては、予約販売の導入で、商品の発売前に需要を把握し、製造や在庫管理を効率化することが可能になるため、とりわけ新商品や季節限定商品を取り扱う際に有効な方法と言えます。
ShopifyのECサイトで予約販売販売を行う際の要件や制限
Shopifyで作成したECサイトで予約販売を設定する際には、いくつかの要件を理解しておく必要があります。その主な項目を以下に引用します(一部抜粋)。
- 商品が特定の時間内に配送されるといえる妥当な根拠があるべきです。
- 明確な日付が指定されていない場合は、購入から30日以内に商品が発送されるものと合理的に確信できる必要があります。
- 約束した日付までに配送できない場合、変更後の配送日を提示し、お客様にキャンセルまたは返金が可能であることを説明する必要があります。
- カスタマイズされたチェックアウトを使用しているストアは、予約注文に対応しません。
- お客様は、Shop Pay、Apple Pay、Google Pay、Meta Payの簡単なチェックアウトを使用して予約注文の購入を行うことはできません。
これらの要件と制限は、予約販売を利用する顧客とのトラブル回避のヒントにもなります。内容を理解し、準備を整えてスムーズな予約販売を始めましょう。
ShopifyのECサイトで予約販売におすすめのアプリ
Shopifyで作成されたECサイトで予約販売を実施するには、アプリを導入するのが近道です。ここでは予約販売におすすめのアプリを3つ紹介します。Shopifyアプリストアには、単機能のシンプルなものから、在庫管理に強いもの、予約販売以外のさまざまな機能がパッケージされたアプリなどが公開されているので、目的に合ったアプリを選びましょう。
なお、検索するときは、「予約販売」「予約注文」「プレオーダー」などのキーワードを使うとよいでしょう。
RuffRuff 予約販売|期間限定セールも会員限定販売も
「RuffRuff 予約販売」は、予約販売はもちろん、期間限定販売や個数制限、後払い対応など、1つのアプリにさまざまな機能が用意されています。これらの機能を組み合わせて使うもよし、必要に応じて単体で使うもよしの便利なアプリと言えるでしょう。日本語ネイティブのアプリなので、使い勝手のよさもポイントです。
タイムズアクト・プレオーダー
「タイムズアクト・プレオーダー(Timesact Preorder & Notify me for Shopify)」は、予約販売やバックオーダー(在庫切れの商品に注文が入った場合、入荷したタイミングで発送する注文販売)のほか、再入荷通知にも対応するなど多機能な予約販売アプリです。なお、アプリ自体は日本語にも対応していますが、サポートは英語のみとなっています。
シンプル予約販売|受注販売や在庫切れ商品販売で使える
「シンプル予約販売」は、予約販売や受注販売、在庫切れ商品の販売が行えるアプリです。シンプルなアプリですが、販売前、販売中、販売終了などボタンやメッセージが細かくカスタマイズできます。また、数少ない日本製予約販売アプリの一つで、日本語でのサポートも万全です。
ShopifyのECサイトで予約販売を実施する方法
Shopifyには、予約販売そのものの機能はありません。購入ボタンをカスタマイズして予約販売をすることもできますが、コードの編集が伴います。そこで、ノーコードで予約販売を始める方法を見ていきましょう。
アプリを利用する
上述の通り、Shopifyで予約販売を行う場合、アプリを利用するのが現実的です。そこで、ここでは「シンプル予約販売」を例に、インストールから予約販売の設定、アプリの埋め込みまでの流れをざっくり見ていきましょう。
なお、詳細な設定方法はアプリによって異なります。実際に設定する場合は、お使いのアプリの説明に従って行うようにしてください。
1.アプリをインストールする
Shopifyアプリストアで予約販売アプリ(ここでは「シンプル予約販売」)のページを表示し、「インストール」をクリックします。図のような「アプリをインストールする」のウインドウが表示されるので、内容を確認して右下の「インストール」をクリックします。
2.ストアでアプリを有効化する
アプリの画面で「初期設定をする」をクリックし、予約販売を適用するストアテーマを選択して「テーマに追加」をクリックします。
↓
3.予約販売のルールを作成する
図2-1の画面に戻り、右上部の「予約販売を作成する」をクリックして予約販売のルールを作成します。適用したい商品を選択して、予約販売の開始日やボタンのラベル、メッセージ等を設定します。
4.アプリの有効化とボタンの設定
アプリを埋め込んだテーマのカスタマイズ画面(2の手順のあとに開く画面)で、予約販売アプリのスイッチをクリックして有効にします。ボタンやメッセージのスタイルのカスタマイズもここで行えます。
5.プレビューで確認する
設定した商品のページで、購入ボタンが設定した文言(ここでは「先行予約販売」)に変わったことを確認します。なお、設定した予約販売の日程の前後にプレビューした場合、ボタンはデフォルトの購入ボタンのままなので注意が必要です。
予約販売機能が組み込まれたテーマを利用する
アプリを使う以外にも、あらかじめ予約販売機能が組み込まれたテーマを利用することで、手軽に予約販売を始めることが可能です。ただし、現状Shopifyが公式に配布している無料のテーマには、予約販売機能が組み込まれているものはありません。
テーマストアで探すときは、「カートとチェックアウト」の項目に「予約注文」や「Pre-Order」の記載があるものを選ぶようにしましょう。残念ながら「予約注文」「Pre-order」で検索しても正しく検索されないので注意が必要です。
予約販売を導入するメリット
予約販売には、販売する側にも購入する側にもメリットがあります。予約販売の導入で期待できるポイントをいくつか上げてみたいと思います。
顧客エンゲージメントを高めやすい
予約販売は、人気商品を確実に手に入れることができることから顧客に安心感を与え、購買意欲を高める効果があります。その結果、購入体験が向上し、リピート率の増加が期待できます。
また、予約販売を利用する顧客は、購入モチベーションも高いケースが多く、プロパー価格での受注が見込める点も大きなメリットと言えます。
機会損失を防ぐことができる
話題になっている人気商品は、予想以上に早期に売り切れてしまうこともあります。在庫切れのタイミングでECサイトに訪れた顧客は、商品が買えないことがわかれば離脱することになり、売上を損なうリスクが生じます。
在庫がなくなった商品でも、再入荷の目処が立っている場合は、予約注文を受け付けることで顧客の離脱を防ぎ、結果として企業側の売上につなげることができます。
売上や在庫の予測ができる
予約注文数をもとに商品の需要を事前に把握できるため、製造や仕入れの計画を立てやすくなります。これにより、商品が過剰在庫となるリスクを減らし、逆に品切れによる販売機会の損失も防ぐことができます。
また、事前に需要が予測できていれば、生産計画や仕入れ計画の最適化が進み、コスト削減にもつながります。新商品の発売時や、季節商品、トレンド商品など需要が不確定な場合に、予約販売は有効な手段と言えます。
業務の負担を分散できる
通常の販売方法では、新商品や季節商品の発売時に注文が集中し、倉庫作業や配送業務が一時的に急増することがあります。
一方、予約販売を行った場合、発売前に受注数が予測できるため、複数の作業に係る負担や配送業務のピークを分散して労働負担の軽減が見込めます。特に繁忙期やキャンペーン時など、注文が増加するシーズンに効果が期待できます。
予約販売で押さえておきたいポイント
予約販売で得られるメリットがある一方で、運用にあたって注意したい点もあります。顧客とのエンゲージメントにも関わる部分になるので、しっかり押さえておきましょう。
SNSなどで事前告知する
新製品や人気商品の予約販売を始めても、それが認知されなければ集客は見込めません。SNSやメールマガジンなどを活用して、見込み顧客に対して告知を行うことが肝心です。
また、SNSなどを通じてブランドや自社製品のファンコミュニティを築いておくことで、UGCによる拡散も期待できます。UGCについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
ノベルティなど予約特典を用意する
限定のノベルティグッズなど特典を設けることで、予約してでも購入しようという動機付けになるでしょう。ノベルティが難しい場合は、次回の買い物で使えるクーポンの付与など、次につながる特典を用意するなど、予約販売の”特別感”を醸成する策を検討してみましょう。
BiNDecが提供するShopifyアプリ「BiNDec|ノベルティ」では、特定の商品に対してノベルティを付与することができます。金額によってノベルティのバリエーションを設けたり、期間の設定が行えるので早期予約特典として活用することも可能です。
BiNDecアプリについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。
商品がよくわかる画像や映像を掲載する
新製品など、店頭で事前に確認できない商品の予約を受け付ける場合は、その商品の詳細がよくわかる画像や映像を掲載することを心掛けましょう。全体像がイメージしやすいように前後左右さまざまな角度から撮影したり、サイズ感を比較できるように、ほかのオブジェクトと並べるなどで、顧客が製品を手にしたときに感じるギャップを最小限に押さえたいです。
発売日や発送時期を厳守する
予約販売では、注文した日から実際に発送するまでにどうしてもタイムラグが生じてしまいます。そのため顧客が購入したことを忘れたり、なかなか商品が届かず不安になったりすることは容易に想像できます。そこで、発売日や再入荷後の発送時期を商品ページやチェックアウトページに明示し、その日程を厳守することが重要です。
万一入荷が遅れるようなときは、必ずメールなどで通知しましょう。また、在庫切れ商品を予約販売する場合は、発送予定日を守るためにも、再入荷の見込みが立ってから予約を開始するなど、事前に予約販売のワークフローをしっかり決めておくこともポイントです。
「BiNDec|再入荷通知」アプリでは、在庫切れの商品を補充すると、登録した顧客へメールやLINEで自動的に通知を送ることが可能です。顧客にとっては欲しい商品の情報を逃さずに済むことが、またECサイトからは需要がある商品の販売機会を逃さずに販売できるので双方にメリットの大きい機能です。
支払い方法を明記する
Shopifyで予約販売を行う場合、Shop PayやAmazon Payなど簡単なチェックアウト方法が利用できないなどの制限があります。また、一般的なクレジットカード決済の場合でも、即払い式と後払い式(一部の予約販売アプリで対応)があるなど、顧客にとってわかりづらい部分です。支払い方法や決済のタイミングは、「よくある質問」ページなども活用して、わかりやすく案内するようにしましょう。
予約受付時や発送の案内のメールなどに記載するのも一つの方法です。なお、Shopifyで使える決済システムについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
なお、クレジットカードの場合、購入ボタンを押してから決済を行うまでのオーソリ(与信)期間が定められており(カード会社によって期限は異なります)、その期間内に支払いを確定する必要があります。そんな中で、支払いの確定の設定を「注文のフルフィルメント時に自動確定」にしているようなケースでは、予約注文から商品発送まで日数があるため、オーソリ期限を超えてしまう可能性があります。その場合は支払いが確定できず、顧客へ改めて購入手続きをしてもらわなければなりません。
このとき、顧客がすでに興味を失っていれば購入をキャンセルされる可能性がないとは言えません。このような問題を回避する対策として、「BiNDec|ペイメント表示」があります。このアプリを使うことで顧客へ表示する決済方法をEC事業者が任意の条件で設定することが可能です。
ShopifyのECサイトで予約販売を始めるなら準備は慎重に
予約販売は、販売機会の損失を防いだり、顧客エンゲージメントを高めやすい効果的な手法である一方で、受発注や在庫管理の業務と密接に関わる販売方法です。予約を受け付けたものの入荷の目処が立てられないケースや、発送漏れなどのミスが発生すれば信頼問題に発展しかねないので、導入は慎重に行いたいところです。
そんな予約販売の導入に少しでも不安や疑問がある場合は、ECサイトの運営から構築まで豊富な経験を持つShopify PlusパートナーのBiNDecにお気軽にご相談ください。ShopifyでのECサイトの立ち上げやリプレースはもちろん、予約機能の付帯もしっかりとサポートします。
BiNDecのオンライン相談に申込む