”スピード”と”学び”がキーポイント。ECを成功させるための賢い失敗とは?|しくじりECカンファレンスレポート

”スピード”と”学び”がキーポイント。ECを成功させるための賢い失敗とは?|しくじりECカンファレンスレポート

ECビジネスを運用させていく中で、思うような結果が出なかったり、新しい施策を始めるハードルが高かったりと、なかなか目標とする成功まで辿り着けない状態に陥ってしまうことも多いでしょう。
2025年6月に開催された「しくじりECカンファレンス」では、成功を掴んだビジネスがどんな経験をしてきたのか、あえて“上手くいかなかったこと”という点にフォーカスし、Shopifyパートナーや起業家の目線から語られました。

”失敗”はネガティブじゃない?バブソン大学の山川氏によるオープニングトーク

最初は起業家教育に特化したアメリカ マサチューセッツ州のバブソン大学アントレプレナーシップ准教授である山川 恭弘氏による基調講演からスタートしました。
山川氏の授業では「EMBRACING FAILURE(失敗のすすめ)」というテーマを掲げられています。学生が考えたビジネスアイディアを実践し、順調に難なく成功することよりも、失敗経験から学んだことが多いほど評価され、成績が上がると言います。
バブソン大学の山川氏
山川氏が指摘する日本企業の課題として、「失敗から学ぶことは必要だと思っているが、なかなかチャレンジにまで踏み切れていない」ことが挙げられました。しかし、チャレンジをしてみなければ成功することもありません。この後のShopifyパートナー達とのセッションにおいても、この課題がビジネスにおいてどんな影響を及ぼすのか、チャレンジするために何が必要なのかを紐解いていきます。
全国男女20〜50代のビジネスパーソン400名へのアンケート|新たな挑戦に対しては慎重だが、企業の成長には「挑戦が必要」という声も多い

変化が成功を呼ぶ。ShopifyだからチャレンジできるECビジネス

EC構築運用サービスのBiNDecでは、時代に合わせて変化したことでECビジネスを成功させているマーチャントを数多く支援しています。
WEBLIFEの代表取締役 山岡 義正による講演では、実際に課題にぶつかったマーチャントが、Shopifyにリプレースしたことによって様々なチャレンジが可能になり、今日の成長へつながっている事例を紹介しました。
山岡 義正によるShopifyで課題を乗り越えた事例とそのプロセスのセッション

Shopifyによる”変化への対応”で、販路拡大、コスト削減を実現

例えば、インバウンド需要の高いアパレルブランドの「HiKESHi SPiRiT」は、コロナ禍で訪日客が途絶え、実店舗の運営も難しかった時期があります。
そんな時でも越境ECによって世界へ商品を届けられるよう、各国のブランドファンの中からアンバサダーを選定し、そこからブランドの知名度を上げていきました。
さらに、需要の高い地域を売上データから分析し、現地でのマーケティングを重ねてポップアップショップを出店するまでに発展しています。
HiKESHi SPiRiTのEC戦略について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

また、ラグジュアリークラスのアパレルブランドでは、EC-CUBEからShopfiyにリプレースしたことで、人気商品の発売日などアクセスが集中するタイミングでも、トラブルなく運用できる環境を手に入れました。
Shopifyは様々なツールとスピーディに連携できるため、新しい施策も打ちやすいこともメリットです。オリジナルのスマホアプリやSNSと連動したキャンペーン施策などにより、顧客との接点を増やしながらファンコミュニティを拡大しています。

未来の変化に向けて、今やっておくべきシフトチェンジ

現在、小売や物流など領域を問わずECに関わる業務にAIを積極的に活用した技術が進化しています。その進化スピードは極めて早く、今からAIを活かした組織文化を作っておかなければ取り残されてしまうでしょう。

今後の日本のEC市場の変化で言えば、TikTok Shopの日本上陸により、中国・アメリカのようにライブコマースの市場はさらに高まる見込みです。物流においては、2030年にはドライバー不足がピークを迎えると言われています。そのような変化に対応するための手段として、AIの活用によるマーケティングや業務効率化は欠かせません。
山岡からは、NRF Retail Big Show 2025 NYで展示されていた倉庫の業務効率化を考えるAIや実店舗での顧客行動をデータ化するAIなども紹介しました。
セッションの締めとして、AIを最大限活用するには、とにかくチャレンジを積み重ね、小さな成功体験を多く得ることが大切だと強調しました。それには、先述の失敗から学ぶことも欠かせない要素になってくるでしょう。
NRF Retail Big Show 2025 NYで話題を読んだ画像解析AI
NRF Retail Big Show 2025 NYで展示されていたAIテクノロジーについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

Shopifyパートナーが語る、賢い失敗と継続的なチャレンジで得たもの

山岡の他にも、同じくShopifyパートナーであるNSW株式会社の大久保勝氏、株式会社RESORTの石川森生氏、TIS株式会社の渡辺啓之氏が登壇し、各パートナーセッションと山川氏がモデレーターを務めたクロストークを通じて、「賢い失敗」と「継続的なチャレンジで得たもの」が語られました。

賢い失敗ができる企業になるための心理的安全性

ECビジネスを展開していく中で、「失敗」を「学び」に変えるためには、「賢い失敗」ができる企業であることが重要です。そのためには何が必要であるかという質問に対し、山川氏から以下のデータが示されました。
全国男女20〜50代のビジネスパーソン400名へのアンケート|失敗を学びの機会として共有しやすい社内環境が求められている
上記のような状態によって、「心理的安全性」が高まり、失敗をした時に、目標に対して達成率は何%か定量的に振り返ることができたり、その理由まで深ぼることができたりと、「学び」に変えていくプロセスが話し合われました。

本質的な目標である”北極星”を共通認識に

ECサイトの構築やリプレースは、マーチャントにとって大きなチャレンジとなります。経営層やEC担当者だけでなく、社内システムの管理担当、実店舗や倉庫の現場など複数の部署を横断してコミュニケーションをとっていく必要があります。
渡辺氏は、まずプロジェクトが始まる際にしっかりと目標を話し合っておくことが大切だと言います。それを“北極星”と呼び、目標の共通認識化を行うことで、コミュニケーションも円滑になり、もし失敗が起こった場合でも問題意識のズレを抑えて解決に向かいやすくなります。

チャレンジしやすい環境をつくる2つのコツ

新しいチャレンジへのハードルとして、「時間がない」ということも現場からよく聞かれることを大久保氏は言います。そういった「チャレンジできない理由」を深掘りすることも重要です。渡辺氏の話で、チャレンジには不確実性の不安はあるものの、しなければそもそも現状を維持できない(不作為=失敗)というリスクがある点に触れられていました。

経営者の目線で、どうすればメンバーが自然に新しいチャレンジを起こすことができるのか?というトピックに対して、石川氏は、「チャレンジをしよう」ではなく「スピードを上げていこう」、という言い方にする方が、失敗を恐れずやってくれるという経験談を語りました。

また、山岡からは、チャレンジに対する”恥ずかしさ”もハードルの一つではないかと考えを挙げました。山川氏も、それはアジア圏の人の特徴の一つであるといい、「今更聞いても大丈夫か」「今は十分な状態ではない」といった恥ずかしさを取り除いてあげることが、チャレンジへのスピードを上げていくことにもつながると話しました。
山川氏とShopifyパートナーたちによるクロストーク

Shopifyならアジャイル型で成長するECを作れる

大久保氏の話では、NSWは大規模EC向けの国産パッケージとCMSパッケージを組み合わせたカスタマイズ前提のウォーターフォール型でEC構築を提案していたそうです。
しかし、その方法では初期構築の見積もりが数億円、ランニングコストも1000万円を超えるほか、開発期間も1〜2年を要する仕様になってしまいます。Shopifyであれば、個別のカスタマイズは避け、アプリなどの既存機能を利用することによって、コストも期間も半分〜1/4以下に抑えることができます。

必要最低限からはじめて、試しながら改善し、クイックに稼働できる柔軟さがShopifyのメリットです。Shopifyの導入後を想像し、アジャイル型でチャレンジしながら売上を伸ばしていくことが顧客に本当に必要なものであるとお話しされました。

人気YouTubeチャンネル「ReHacQ」とのコラボ公開収録

最後のセッションは、経済動画メディア「ReHacQ」の公開収録を兼ねたプログラムでした。プロデューサーの高橋 弘樹氏と、「イモトのWiFi」や「にしたんクリニック」で知られる西村 誠司氏との対談企画で、西村氏がこれまで手がけた事業経営の中でどのような失敗や学びがあったのかを語られました。
西村氏の起業や経営の経験に迫るReHacQの公開収録
様々な事業を展開されてきた中で、西村氏は「失敗からしか学べないことがある。成功するかは運次第な面もあるが、失敗も多い分、チャレンジしている数も多い」と強調しました。
自分の考えたアイディアで社会をよくしていくために、思ったことをスピーディに行動する、考える習慣を身につけて最後まで諦めない我慢強さを持つことが成功へつながっていくとお話しされました。

多くの学びと経験から生まれた、BiNDec MODEL

ShopfiyでのEC構築・運用支援サービスであるBiNDecでは、370を超えるEC支援ノウハウと、数多くのPDCAから、業種や目的に合わせて最適な構築プランをBiNDec MODELとして提供しています。

事業のフェーズや課題に応じて、最適な機能や設計を組み合わせる柔軟さがあるからこそ、変化の激しい市場でもスピーディにチャレンジと改善を繰り返し、ECビジネスの成長し続けることができます。
ShopifyでのEC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。

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POINT

  • EC成功には失敗を恐れず挑戦し、そこから得た教訓を次の施策に活かす学習が不可欠
  • Shopifyはコストや期間を抑え、スピーディに改善できるECを構築できる
  • 変化の速いEC市場で競争力を保つには、継続的に挑戦し学び続ける姿勢が重要