日本で3万件ともいわれるEC事業者の中で“成功”を収めるためには「時流に乗っていること」も大切です。ターゲットとなる顧客の「今の」インサイトを見極め、適切なタイミングで適切な商品・サービスを提供することができれば、売上をアップさせることができるでしょう。
この記事では近年のECサイトのトレンドについて紹介し、14個の最新事例や実施施策を紹介します。ご自身の業界はもちろん、他の業界についてもぜひ参考にしてください。
今の時代にECサイトで成功するポイント
あらゆる世代にECが浸透しつつある中で、ECサイトへの期待値は一層高まり、新たな価値観やトレンドが生まれつつあります。当然ながら、そうした機運にフィットしている方が、顧客層へのアプローチが届きやすく、結果として「売上が上がる=成功する」と言っても過言ではないでしょう。すべてのトレンドを満たす必要はありませんが、ECサイトを魅力的にするためのヒントを得ることはできるでしょう。
トレンド1:モノよりコト?物語へのシンパシーが売上に貢献
2000年代以降に顕著になったと言われる消費行動として「モノよりコト」への価値観の変化が挙げられます。モノがあふれ、「良いものを作れば必ず売れる」とはいえない時代に、モノやサービスを利用してもらうためには、魅力的な体験価値を提供することが重要です。
それを使うことで「どのような体験ができるのか」、「どんな物語に参加できるのか」という視点が求められています。これを表現するためのものとして、販売するモノにまつわる物語を提供するオウンドメディアや、SNSで他のユーザーが使った感想などを共有するUGC(User Generated Contents)を活用した施策が広がっています。
UGCについては、こちらの記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
トレンド2:AIの活用で進化するパーソナライゼーション
AIの急速な進化により、様々な活用がなされるようになってきました。その一つが、顧客一人ひとりに合った情報やサービスなどを提供する「パーソナライゼーション」です。AIを使用することで、性別や年齢などの属性情報だけでなく、下記のような効果的なパーソナライゼーションが可能になります。かつて大規模なシステムが必要でしたが、現在はSaaSやアプリなどで手軽に活用できるようになっています。
◼︎AIを使用したパーソナライゼーションの例
- AIチャット:顧客の質問に的確な回答を提供し、欲しい商品へ誘導
- 顧客行動の分析:これまでの購入や閲覧の履歴などから、今後欲しくなるであろう商品を予測してリコメンド
2024年開催のNRF APAC 2024でパーソナライゼーションは大きなテーマでした。詳しくはこちらの現地レポートをご覧ください。
トレンド3:カスタマイズ商品で顧客へ「自分らしさ」を提供
技術の進化は、顧客とのコミュニケーションだけでなく、サプライチェーンにも様々な恩恵をもたらしています。その一つが、顧客一人ひとりの要望に応えたカスタマイズやオーダーメイドです。
たとえば、化粧品やサプリメントなどの商品の場合、いくつかの診断項目に対して顧客が好みや傾向などを入力すれば、自分だけに合った商品が好きなタイミングで購入できるサービスが挙げられます。アパレルや家具、雑貨など様々なジャンルにも広がっており、納期も短縮されています。「自分だけのもの」という付加価値に惹かれる人に強く訴求し、特定のECサイトでしか購入できないというオンリーワンの強みを獲得することができます。
トレンド4:サステナビリティや多様性などのエシカル消費
SDGsの広がりと同時に、「エシカル消費」がクローズアップされるようになりました。「エシカル」とは、直訳すると「倫理的な」「道徳上の」という意味で、法律などとは関係なく「良心に基づいた社会的規範」に基づいていることを指します。
たとえば、以前から「エコ」として注目されてきた環境配慮や持続可能性(サステナブル)だけでなく、貧困や福祉、食品ロスや地域課題、ジェンダー、児童労働、生物多様性の損失など、社会課題に対する解決策として商品やサービスを捉えているわけです。『トレンド1』で「物語が重視される」と紹介しましたが、まさに「エシカルな物語」を商品選択のポイントとして重視する人が増えており、若い世代を中心にSNSなどを通じて訴求する手法が有効とされています。
トレンド5:リアル店舗との連携など販売チャネルの多様化
オンライン販売のチャネルといえば、決済機能を持つECサイトが一般的でしたが、モールやSNS、アプリなど、様々な接点が増え多様化しています。これはマーケティングの施策において、顧客との接点が多様化し、「欲しくなったらすぐに購入する」というニーズに応えていった結果です。
多くのSNSでショッピングの機能が盛り込まれるようになりましたが、どれを選ぶか、どう連携させるかは商材や販売戦略に拠ります。もちろん、コミュニケーションチャネルとの連携も必須となります。また、リアル店舗との連携によるオムニチャネルなども、顧客との接点を多角化し、関係性を深めることに有効とされています。
InstagramとECサイトの連携方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
トレンド6:アフターコロナで「インバウンド&越境EC」が活性化
2024年は、外国人の観光客数がコロナ禍前の水準を超えました。日本で買い物をすることはもちろん、旅行中に見聞きして触れた商品について自国に帰ってから購入するという人も増えています。為替の変動はあるものの、円安による割安感や品質の高さから、以前よりさらに日本製品の人気が高まっています。そうしたニーズに応えて、ECサイトでも英語などの多言語化や海外発送対応などが標準になりつつあります。
こちらの記事でも、インバウンド需要と日本ファンに向けた海外へのECマーケティングについて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
トレンド7:動画を活用したマーケティング、コマースが浸透
短時間で多くの情報を伝えられる動画の特性を活かし、商品の魅力を視覚/聴覚にアピールする「動画マーケティング」が一般的になってきました。プロモーションとしてのイメージ動画の他にも、使い方を解説したり、大きさや色合い、用途などを紹介したり、コンテンツとして活用するだけでなく、動画を見せながら直接販売を行う「ライブコマース」を実施するところも登場しています。
業界別で見る成功事例14選!売れているECサイトはココが違う
それでは実際に、成功しているECサイトはこれらのトレンドをどのように捉え、施策として活かしているのでしょうか。Shopifyで制作されている事例から分析をしてみました。
アパレル・ファッション業界
急速にEC化が進みつつあるアパレル・ファッション業界では、リアル店舗をもちながら自社ECサイトを充実させているブランドもあれば、ZOZOTOWNなどのモールに出店しているブランドもあります。
他にも、SNSでの集客を軸にECサイトからスタートし、ポップアップストアや実店舗などリアル店舗で勢いがつくという例もあります。いずれも成功しているEC事業者は、オン&オフの複数のチャネルを通じてユーザーにアプローチする「オムニチャネル」を実践しているところが多いようです。
成功事例1:ミキハウス
モノよりコト | 専門家への子育ての悩み相談やママ同士のオンライン座談会など、子育てコンテンツをオンラインでも実施。 |
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AI活用 | AIを活用した自動応答システムや画像検索システムを導入し、快適な買い物体験を提供。 |
カスタマイズ | アウターとベストを色違いで選べるシリーズや、100枚限定のカスタムオーダーベースボールシャツなどを実施。 |
エシカル消費 | 企業理念の原点として「安心・安全なものをつくる」を改めて提示。サステナブルシリーズや修理などの紹介も。 |
販売チャネル | 国内外のリアル店舗に加え、ECサイト、楽天市場やAmazonなどのモール、オリジナルのアプリなどで販売。 |
越境EC | 自社ECは多言語対応だが国内配送のみ。各国モールでの展開を進めているが、将来的には各国の現地法人で運用できるECを予定している。 |
動画活用 | InstagramやLINE、Tiktokなどで動画コンテンツを配信。ECサイト、インスタライブなどでライブコマースも。 |
高品質な日本製の子ども服として、高いブランド力を誇る「ミキハウス」。百貨店を中心に実店舗を展開していますが、カタログによる通信販売や楽天などモールへの出店を実施した後に2004年にはフルスクラッチでの自社ECをスタート。さらに拡張性や越境ECを見据えて、Shopify Plusへリプレースし、オリジナルのスマホアプリも開発しました。
BiNDecの導入やECサイトの施策についてのインタビュー記事も併せてご覧ください。
成功事例2:HiKESHi SPiRiT(火消魂)
モノよりコト | ブランドコンセプトをしっかり物語として打ち出しつつ、動画や店舗スタッフのブログなどでも多面的に訴求。 |
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AI活用 | チャットボットは日本語のほか、英語や中国語に対応。スムーズな問い合わせ対応を実現。 |
カスタマイズ | 一般向けカスタマイズは実施していないが、自治体やアーティストのコラボ商品の開発を行っている。 |
販売チャネル | オンライン&リアル店舗に加え、楽天市場やAmazonなどのモールに展開。 |
越境EC | 英語・中国語の言語対応や世界各国への配送だけでなく、送料の参考例も丁寧に紹介。また、海外のファンを公式アンバサダーとして起用したインフルエンサーマーケティングにも力を入れている。 |
動画活用 | Instagramのリールで積極的に動画コンテンツを配信。コラボコンテンツやUGCなども活用している。 |
「日本の粋」や「和の心」をテーマにしたアパレルブランド「HiKESHi SPiRiT(火消魂)」は、当初から国内だけでなくグローバルを意識したJAPANブランドとして立ち上げられました。現在はECサイトと浅草にリアル店舗を運営しており、オムニチャネル化を進めています。SNSについても意欲的に取り組み、それぞれのチャネルに応じた情報発信を実施。特にInstagramのライブ配信は人気が高く、ECサイトへの誘導にも成功しています。
成功事例3:HUMANMADE
カスタマイズ | 後ろ身頃にその日の日付をプリントした「当日しか購入できない」オーダーTシャツなどユニークな取り組みも。 |
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エシカル消費 | 2020年には「ブラック ライブス マター」のチャリティーTシャツを手掛けるなど、社会的活動も実施。 |
販売チャネル | 日本と中国に直営店を構えるほか、世界各国のセレクトショップなどでも展開している。 |
越境EC | 英語・中国語・韓国語に対応し、海外発送も可能。特に中国にはWeChatなどSNS発信にも力を入れている。 |
動画活用 | Instagramのリールをメインに動画を活用。中国の小紅書(RED)にも動画を配信し、反響を得ている。 |
「HUMANMADE(ヒューマンメイド)」は、「A BATHING APE(アベイシングエイプ)」の創業者としても知られる日本人デザイナーNIGO®(ニゴー)によるグローバルなブランド&プロジェクトであり、「過去と未来の融合」をテーマに2010年秋冬シーズンからスタートしました。ファッションアイテムだけでなく、ルームグッズやカレーなど様々なアイテムを展開し、音楽事業などにも着手しています。
美容・コスメ業界
日本におけるECではアパレルと同じくブランド数や利用者の多い「美容・コスメ」。コロナ禍の影響で対面販売ができなくなったことを機に、EC化が進みました。店頭で試すことができないというデメリットを補完するため、オンラインカウンセリングやライブコマース、パーソナライズ製品など、様々なテクノロジー活用や工夫がなされています。ECモールでの販売だけでなく、自社ECだけの限定品などECならではの強みを生かした取り組みも進んでいます。
成功事例1:John Masters Organics
モノよりコト | オーガニックコスメとして、コンセプトや行動指針などをイメージ及びコンテンツで訴求。オウンドメディアで活動も紹介。 |
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AI活用 | チャットにAIを活用し、Shopifyのデータと連携して個別化した対応を実施。オンライン接客に取り組んでいる。 |
カスタマイズ | リップカームやブラシにメッセージ、名前などを入れられるサービスを実施。ギフトならではのきめ細やかな対応も行っている。 |
エシカル消費 | オーガニック認証を取得していることに加え、天然由来成分へのこだわり、環境保護活動などをアピール。 |
販売チャネル | 国内約70店舗を有し、商品の販売だけでなく、体験型施設としてヘッドスパが受けられるサロンも青山に開設。 |
動画活用 | サイト上では商品の使い方について詳細な動画を用意。SNSなどでも様々な動画を配信している。 |
アメリカのオーガニックコスメブランドであるJohn Masters Organics。日本の顧客に向けた日本語の公式ECサイトを開設し、レビューや製品の再入荷を知らせるアプリを使用して、売上アップに繋げています。全国に約70店舗を展開しており、その店舗と同様のクオリティの接客をECサイトでも体験してもらえるよう、きめ細やかな情報提供やチャットを活用した接客などに力を入れています。
成功事例2:ルネ・フルトレール
モノよりコト | ベーシックなブランドストーリーをECサイトに掲載。さらにYouTubeやInstagramのリールなどで動画で紹介している。 |
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カスタマイズ | 顧客ごとのカウンセリングで15パターンの商品シリーズから最適なものを組み合わせて提供。ECサイトでは悩み別での選択が可能。 |
エシカル消費 | ブランドストーリーと合わせて、エシカルバターなど材料調達におけるサステナブルなエコシステムを構築していることを訴求。 |
販売チャネル | 公式ECの他、ポップアップストアなどリアル店舗、および約540店の導入サロンで販売。 |
動画活用 | 商品の使い方、ブランドメッセージ、原材料のストーリーなどをYouTubeやInstagramのリールで配信している。 |
1957年に、パリのサロンで美容師として活躍したルネ・フルトレール氏によって生み出された、植物の力でいきいきとした髪に仕上げるスカルプ&ヘアケアブランドです。あらゆる髪の悩みや好みに合わせて製品を展開し、ECサイトやSNS、ニュースレターなどで情報を発信。約540店の取り扱いサロンに加えて2017年からはブランド名を冠したサロンも開設。様々なチャネルを通じて顧客を増やしています。
成功事例3:kiiks
モノよりコト | ハマナスローズバームのコンセプトや開発ストーリーなどを様々な手法で訴求。 |
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エシカル消費 | 自然由来の成分と手作りにこだわり、制作活動を通して地域活性化にも貢献するというブランドフィロソフィー。 |
販売チャネル | ECサイトを基本に、各地でポップアップストアを開設。水原希子氏自らアピールに務めている。 |
越境EC | ECサイトは日本語のみだが、海外発送にも対応している。今後はパートナーを海外にも求めるとしている。 |
動画活用 | Instagramのリールで動画コンテンツを配信。UGCも自社アカウントで活用。 |
女優・モデルの水原希子氏がブランドディレクターを務める、ナチュラルなプロダクトを制作している「kiiks(キークス)」。古来より引き継がれてきた自然の恵みを活かしたモノづくりを地域に密着したパートナーに依頼し、ハマナスローズを使った自然由来100%のホイップマルチバームなどを開発・製造・販売しています。
雑貨・生活用品業界
雑貨・生活用品のコモディティ化が進む一方で、ライフスタイルの多様化も相まって、個性ある雑貨・生活が人気を集めています。その多くは、物質的な利便性や価値よりも、ライフスタイルや価値観なども含めた世界観が魅力になっており、サイトのデザインはもちろん、オウンドメディアやSNSなどでも積極的に情報発信がなされており、トータルなイメージを訴求しています。日本の繊細で魅力あふれるモノづくりは世界的にも注目されており、越境ECにも積極的に取り組むブランドが増えてきました。
成功事例1:KINTO
モノよりコト | 世界中のパートナーを紹介する「ジャーナル」などオウンドメディアが充実。KINTO本社の近くに一から畑をつくり、「自然を感じ、植物を育て、旬を愉しむ」ライフスタイルを見出していく「KINTO FARM」など新しい取り組みも開始。 |
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カスタマイズ | タンブラーやボトルへの刻印・プリントなどを行っている。データ入稿もでき、オリジナルデザインをプリントできる。 |
エシカル消費 | パーツの破損などにも対応。環境に配慮されたサステナブルな素材をKINTO LOOPと名づけて製品に採用。 |
販売チャネル | 自社ECサイトのほか、小売店やモールなどにも卸している。ブランドの世界観を感じられる直営店は国内外に4店舗。 |
越境EC | 国内向けに加え、エンタープライズ向けプランのShopify Plusで、韓国、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、タイ向けにECサイトを開設。 |
動画活用 | InstagramやFacebook、YouTube、Pintarestなどで動画を配信。レシピやライフスタイル提案など種類も豊富。 |
KINTOは1972年に滋賀県にて創業したテーブルウェア、キッチン・インテリア雑貨のブランドです。「心満たされる豊かな日常を生み出すために」をコンセプトとし、ECサイト自体も白をベースに、商品が引き立つデザインとなっています。近年は、植物とオリジナルの鉢をコーディネートして自社農園から提供する「MOLLIS」を立ち上げたり、世界中のレストランやカフェなどのパートナーを紹介する「ジャーナル」や使い方のアイデアなどをまとめた「スタイリング」などのオウンドメディアも充実しています。
成功事例2:グリーンパン
モノよりコト | PFASフリーの調理器具の有用性、価値について訴求。選び方や使い方などのほか、ユーザーレビューも掲載。 |
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エシカル消費 | 世界で初めてフッ素樹脂を使わない調理器具として人体や環境への安全性を訴求。工場や包装などにも配慮。 |
販売チャネル | 国内ECの他、各小売店やモールでも販売。不定期でポップアップストアやイベントを開催し、リアルな接点も設けている。 |
動画活用 | Instagramのリールにて使い方やお知らせの他、レシピなども動画で紹介。 |
2007年にベルギーで誕生したグリーンパンは、今年で17年目を迎えるセラミックコーティング調理器具のパイオニアブランドです。フッ素樹脂や、人体や環境に影響を及ぼす化学物質を使用していない点や、使い勝手や耐久性の高さが評価されています。国内向けECサイトでは、「ブランドジャーナル」や「レシピ」などのコンテンツも充実しており、エシカルな調理器具としての信頼性を高めています。
成功事例3:土屋鞄製造所
モノよりコト | OUR STORYとして、モノづくりに関する物語やブランドストーリーなどを紹介。 |
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AI活用 | LINEでの問い合わせにAIを導入。レンタルランドセルなどのサービス対応で24時間応答を実施。 |
カスタマイズ | 店舗限定で、カスタムオーダー企画を実施。またアフターサポートとして、色変えや持ち手の長さ調整などが可能。 |
エシカル消費 | 長く愛用できる製品づくりに加え、ヴィーガンレザーの採用や、使い古した革製バッグを引き取り、リユース・再販売するなどの取り組みを実施。 |
販売チャネル | 国内外のリアル店舗に加え、ECサイト、楽天市場などのモールでも販売。 |
越境EC | 越境EC用サイト「Global Website」を2020年に立ち上げ。多彩な通貨表記などにも対応している。 |
動画活用 | ECサイトトップページに動画を採用。コンテンツの他、InstagramやYouTubeなどにも魅力的な動画を配信。 |
皮革製品の企画・製造・販売などを行う土屋鞄製造所。1998年モールでEC事業を開始し、2000年に自社ECサイトを立ち上げ、2019年よりShopify Plusにて運用しています。リプレースの大きな目的は、APIによって実店舗のデータを統合したオムニチャネル化を図ること。また、日本のモノづくりのブランドとして2020年には海外向けの越境ECサイトをリリースしました。
食品・飲料業界
食文化が豊かな日本では、地域性や風土を生かした食品ブランドがECに力を入れつつあります。しかし、経済産業省が2023年に公開したデータによると、BtoCの食品・飲料酒類業界のEC化率はわずか4.16%と低い数字です。ただし、やや非日常的な高額商品、その地域や店でしか購入できない商品だけではなく、スーパーが運営するECサイトで生鮮食材や日用品を購入し、自宅へ配送されるサービスも増えてきており、まだまだ可能性がある業界であると予測されます。
成功事例1:一保堂茶舗
モノよりコト | ブランドの理解を深めるためのコンテンツ、体験型イベントも開催される店舗など、多方面で体験を重視。 |
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エシカル消費 | オーガニックな茶葉などの直接的な取り組みの他、「丁寧にお茶をいれる」という文化にも貢献している。 |
販売チャネル | 直営店および200を超える実店舗、ECサイト、モールなど幅広く展開。新コンセプトの、期間限定カフェ「ひやかしIPPODO TEA」も開設。 |
越境EC | 海外発送用の越境ECサイトの他、アメリカ・カナダ向けに独立した越境ECサイトを開設。 |
動画活用 | YouTubeではお茶の入れ方を丁寧にレクチャーする動画などを配信。Instagramでも豊富な動画コンテンツを掲載。 |
一保堂茶舗は京都で1717年に創業し、300年以上の歴史を誇る日本茶専門店です。抹茶や茶道具などに加え、日常的に楽しむ茶葉まで幅広く取り扱い、日本全国に多くのファンを擁します。ECサイトではより多くの人にお茶を楽しんでもらうために、お茶の基礎知識から楽しみ方、リアル店舗と連動したイベントなどを実施しており、さらに海外ファン向けの越境ECにも取り組んでいます。
そんな一保堂茶舗は2024年の夏、ポップアップストアの出店も実施しています。ブランドと伝統を守りながら、トレンドのアプローチを通じて顧客にどのような喜びと驚きを提供しているのでしょうか。レポート記事がありますので、ぜひ併せてご覧ください。
成功事例2:スギムラ水産
モノよりコト | 「浦村かき」のブランドストーリーを掲載。Instagramでも、地域や海のことなども含めてトータルな魅力を訴求。 |
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販売チャネル | 店舗での飲食に加え、ECサイトでのお取り寄せも展開。FAXにも対応し、幅広くリピーター獲得施策を実施している。 |
動画活用 | Instagramのリールで動画を配信。商品だけでなく、鳥羽の景色や漁の様子なども紹介している。 |
スギムラ水産は三重県の牡蠣専門店で、食べ放題が人気の飲食店予約サイトと直売用のECサイトをShopifyで運営しています。サイトのトップページにはカレンダー式で店舗の予約状況が表示されており、混み具合をひと目で確認できます。ECサイトでは、季節に応じて商品の取り寄せができ、FAXでの購入にも対応しています。
成功事例3:SAKE+
モノよりコト | 日本酒を始め、造り手を紹介する「蔵元紹介」や楽しみ方など、お酒にまつわるストーリーやコンテンツを紹介。 |
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カスタマイズ | SAKE+限定 オリジナル貴醸にごり酒「華恋」などを販売。 |
エシカル消費 | 日本三大酒処「西条」の魅力を通じて地域を活性化。地元の「お酒のおとも」も紹介し相乗効果を狙う。 |
販売チャネル | 各蔵元のECサイトでも商品は購入可能だが、併せ買いやまとめ買いなどの消費者メリットを提供。 |
お酒にプラスしての楽しみ方を提案する「SAKE+(サケプラス)」。地方色豊かなグルメやスイーツ、個性あふれる酒器など、多面的にお酒を楽しむコンテンツを掲載しています。日本三大酒処の西条のお酒を中心に、魅力的で個性的な広島のお酒(旭鳳酒造・亀齢酒造・今田酒造本店・榎酒造・広島北ビールなど)を販売しています。
エンターテインメント業界など
コロナ禍による在宅時間の増加に伴い、動画や音楽配信サービス、ECの利用は急拡大しました。それに伴い、エンターテイメント領域のDX化が進み、オフラインとオンラインのサービスの融合が加速しています。たとえば、イベントチケットなどの無形物のECや、推し活グッズなどエンターテイメント関連の物販ECも進化し、様々な活用が期待されています。
成功事例1:MUUU
モノよりコト | YouTuberなどインフルエンサー、クリエイターの公式グッズという物語のあるレア商品を販売。 |
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カスタマイズ | ファンクラブ会員限定やイベント来場者限定など、細やかな公開設定で、ファン心を刺激。 |
販売チャネル | 人気クリエイターは別サイトでの商品販売も行っているが、MUUUオリジナルは当サイトのみでの販売。 |
動画活用 | 事業母体であるUUUMのアカウントでXやYouTubeなどで動画を配信。 |
大手YouTuber事務所のUUUM株式会社が運営する、インフルエンサー、クリエイター向けの公式グッズ作成・販売サービス「MUUU(ムー)」では、クリエイターは、アイテムを選んでデザイン素材をアップロードするだけで、簡単にオリジナルアイテムを制作・販売することができます。かつてフルスクラッチで構築していたものの、人気商品を販売する際のアクセス集中によるサーバーダウンなどに課題があり、Shopify Plusを選択しました。サーバーの安定性が向上し、インフラエンジニアの工数削減も実現しています。
成功事例2:信濃おおまちみずのわプロジェクト
モノよりコト | 「住んでみる」「買ってみる」「行ってみる」のテーマごとに情報を整理し、外部サイトも含めて情報提供。 |
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動画活用 | トップの「水」を感じさせるビジュアルや動画で「水がきれいな町」としての魅力を訴求。Instagramにも配信。 |
「信濃おおまちみずのわプロジェクト」は、長野県大町市で実施されている地域振興プロジェクト。「住んでみる」「買ってみる」「行ってみる」のアクションを誘発するような、大町の観光スポットや見所、移住希望者への案内などの情報を外部サイトと連携して提供しています。町の魅力を伝えるサイトになっており、地場の名産品や北アルプス国際芸術祭の限定アイテムなどを販売しています。
トレンドに合わせたEC最適化のためには、パートナー選びが重要!
ECサイトは「作って終わり」では成功は難しく、トレンドに合わせつつ、しっかりと最新テクノロジーや施策に対処していくことが必要です。その意味で、最新のトレンドに対応し、フレキシブルに更新が叶うShopifyはECサイト構築の最適解といえるでしょう。
とはいえ、ECのトレンド情報をキャッチし、顧客のニーズにきめ細やかに対応していくことは難しいもの。そこで、ECのトレンドに精通し、さらに対応策も提案・実装できるパートナー選びが大切です。WEBLIFEが提供するBiNDecでは、初期構築はもちろん、最新トレンドにもキャッチアップできる伴走型の運用支援も可能です。
「作っておしまい」にせず、ShopifyでのECサイトで自社のECを成功に導くために、ぜひBiNDecにお気軽にご相談ください。
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