最近のECサイトへの顧客誘導には、SNSやブランドアプリからの通知などいろんなチャネルが増えています。そんな中でも、メルマガ(メールマガジン)は、顧客に直接アプローチできる強力なツールです。
とはいえ、「メルマガの重要性はわかってるけど、運用に人的コスト負担が避けられない」「顧客ごとに適切なメールを送りたいけどうすれば良いかわからない」という悩みもよく聞かれるもの。ECサイトで効率的なメルマガ施策を実現するには仕組み化が必要ですが、Shopifyにはそれを実現する手段が豊富にあります。
そこで今回は、Shopifyでメルマガ施策を効率よく実施する方法や、効果を出すためのポイントについて、わかりやすくご紹介します!
高度なメルマガ施策も可能|Shopifyなら外部アプリで更に成果を高められる
既存顧客に対してブランドロイヤルティを高めたり、リピート施策に活用できるメルマガは、SNSや広告での新規顧客獲得と並び、効率的に売上を伸ばすために欠かせない手段です。ここでは、メルマガがECサイトの売上アップに効果的な理由を、Shopifyならではのメリットと合わせて改めて整理してみました。
Shopifyには標準で「Shopifyメール」という無料でインストールできるShopify公式のメルマガ配信アプリがあり、基本的なメールマーケティングなら、毎月最大10,000通まで追加コストなしで運用可能です。さらに、MAツールなどのサードパーティアプリを連携させることで、パーソナライズ配信や自動化、詳細な分析などの高度な施策にも対応できる柔軟性があります。
ただし、こうした機能を最大限に活かすには、運用体制や配信戦略に合わせたツール選定と、EC全体の仕組みづくりが欠かせません。ShopifyパートナーであるBiNDecでは、このあと紹介するDotdigitalをはじめとしたMAツール導入支援の実績を持ち、効率的に成果を上げるためのEC環境を構築することが可能です。そういったサポートを受けるのも近道でしょう。BiNDecについて、詳しくはこちらの資料をご覧ください。
効率的:Shopifyの機能やアプリの利用で手軽にメルマガ運用ができる
一見運用が面倒そうな「メルマガ」ですが、実はShopifyなら公式アプリやサードパーティアプリを使って、誰でも効率的にメルマガを運用することができます。
どちらのアプリもテンプレートが豊富に用意されており、ドラッグ&ドロップでサクッと作成ができる上、顧客リストの管理も直感的にできるので担当者に依存せず、属人化を防いで配信が可能です。もちろん中・上級者になれば、様々な工夫ができる機能も用意されています。
リーチ効果:既存顧客だけじゃない!見込み客へのアプローチで購入率UP
新しい顧客を獲得するのはなかなか大変なこと。でも、メルマガを使えば「見込み客とのつながり」を簡単に構築することができます。せっかく誰かがECサイトを訪れたとしても、何も買わずにそのまま離脱…ということは、よくあるもの。そのままでは、再訪してもらえる可能性はかなり低めです。
そこでおすすめなのが、「メルマガ登録でクーポンGET!」というように、キャンペーンバナーをECサイトに設置することです。ちょっとした特典があるだけで、登録してくれる人はぐっと増えます。登録してもらえれば、たとえすぐには購入されなくても、メルマガを通じて定期的にアプローチできるようになります。
商品紹介やキャンペーン情報を届けながら、少しずつ関係を深めていけば、いずれは購入につながったり、ファンになってくれたりするかもしれません。「今すぐ売る」だけでなく、「未来の顧客を育てる」ためにも、メルマガはかなり頼れる存在といえるでしょう。
ブランドのファンを育てる施策については、こちらの記事でも解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
プッシュ効果:カゴ落ちメールで再訪問と購入を促す
「カゴ落ち」とは、ECサイトの訪問者が商品をカートに入れたのに、何らかの理由で購入せずにそのまま離脱してしまう現象のことです。せっかく「買おうかな?」と思ってくれたのに、あと一歩で逃してしまう…というのは、大変もったいないことですよね。
どうしたらその一歩を踏み出してもらうことができるのでしょうか。そこで、カートに入れたまま購入されなかった商品について、リマインドメールを送りましょう。Shopifyには、カゴ落ちに対する自動メール送信機能が標準で搭載されています。「この商品、まだ気になってませんか?」とさりげなく背中を押してあげることで、再訪&購入につながる可能性がグッと高まります。
ちなみに、カゴ落ちには意外といろいろ原因があります。送料が高い、決済方法が合わない、ちょっと考えたい…などなど。その対策については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
レコメンド効果:購買データから顧客にあった商品をおすすめできる
ECサイトの売上アップに欠かせないのが「効果的なレコメンド=おすすめ」です。そのためには、何をおすすめしたらいいのか、分析する必要があります。そこで、とても重要なヒントになるのが、顧客が過去に買った商品や、ECサイトで閲覧していた商品などです。
それらのデータをもとに、購入したものに関連する商品や、「これも一緒に使うといいかも!」というような補完アイテムを、メールで個別におすすめしましょう。グッと購入意欲を高めることができます。
たとえば、あるスキンケア商品を購入した人には、同じブランドの新作や、使い方を広げてくれるアイテムを紹介するとよいでしょう。「この人、私のことわかってる!」と感じてもらえれば、満足度もアップし、自然と売上にもつながっていきます。
なお、こうした個人に最適化(パーソナライズ)されたレコメンド配信を効率的に実施するには、Shopifyと連携できるMAツールの活用が有効です。たとえば「Dotdigital」では、顧客の購買履歴や閲覧傾向をもとに、最適なタイミングでおすすめ商品を自動配信する機能があり、メールだけでなくECサイト上でもレコメンドを表示できます。
こうした機能を活用することで、メルマガ担当者の負担を軽減しながら、注文単価やCVRの向上につなげる戦略的なアプローチが可能になります。
PDCA:メール分析で効果を可視化し、改善に活用できる
Shopifyなら、メルマガを配信した後の「効果測定」もしっかり把握できます。つまり、「誰がメールを開封したか」、「どのリンクをクリックしたか」、「どれくらい購入につながったか」など、具体的な数字でしっかりチェックできるというわけです。すると、なんとなく配信して終わり…じゃなくて、「次はこうしよう!」と戦略的に改善し続けることができます。
こうした機能を活用することで、なんとなく配信しているメルマガも、計画・実行・検証・改善という「PDCAサイクル」を回しながら、ちゃんと成果につながる“マーケティング施策”へと進化させられるはず。こうした便利な機能が標準で使えるのも、Shopifyの大きな魅力のひとつといえるでしょう。メルマガを通じて、ECサイトの成長をしっかりサポートしてくれますよ。
なお、開封率やクリック率などの基本的な分析はShopifyメールで確認可能ですが、高度な分析やパーソナライズ配信を行いたい場合は、AIの活用も可能なMAツールの連携が有効です。反応率が高い時間帯の予測配信や、顧客行動にもとづくセグメント作成、パーソナライズされたコンテンツ提案など、より戦略的なマーケティング施策に活用できます。サードパーティアプリの力を借りることで、分析と改善の精度を高め、メルマガからの成果をより一層引き上げることが可能です。
Shopifyのメルマガで効果を出すための改善ポイント8
メルマガで効果を出すには、効果測定をしながら細やかにチューニングしていくことが必須です。その際には、「何のためにどう改善したいのか」を意識することが重要。代表的な改善ポイントについてまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
①メルマガで会員特典(クーポンや先行セールなど)を配信
メルマガの効果を上げるには、「ちょっと特別」な何かを添付することが有効です。特典があることで「また買いたい」と思わせる動機づけとなり、売上につながるだけでなく、購入後のフォローや再来店のきっかけづくりなど、“特別感”をもたせることで顧客との関係性を深め、リピート購入やファン化を促します。
特典付きメールは「開ける理由」が明確なので、「使う理由」だけでなく「使わないと損」な印象を与えたり、件名に「先行セール」「限定クーポン」などを入れると反応率が上がります。
また、誕生日クーポンや会員限定セールなど、パーソナルな接点が好印象につながります。「自分だけが得している」感覚が、ブランドへの愛着を育てると心得ましょう。
Shopifyでできるクーポン施策について、こちらの記事でも解説しています。
②顧客の好みや購入履歴に合わせて配信先をセグメントする
クーポンや先行セールなどに加え、「おすすめ」商品を訴求することも有効です。ポイントは顧客の好みや“行動文脈”をしっかり把握すること。
「過去3ヶ月以内に購入した人」「VIP会員」「新規登録者」などの購入履歴や会員ランク、誕生日などでセグメントしてみると、「いったい何に価値を感じているか」が見えてきます。その人の思いやニーズに”刺さる”メルマガを配信することが大切です。登録時や購入時などに興味のあるカテゴリやテーマなどを聞いておくと、セグメントやパーソナライズの精度が上がります。
また、新規・リピーター・休眠顧客で分けるだけでなく、「初回購入から30日以内」「最後の購入から90日以上」などというように、時間軸でのセグメントが効果的なので試したいところ。Shopify公式のメールアプリでも、「過去の購入履歴」や「顧客タグ」を使った基本的なセグメント配信は可能ですが、時間軸を使った条件や、行動傾向まで加味したセグメント設計は難しくなります。MAツールを活用すれば、過去の開封・クリック・閲覧履歴をもとに、高精度なセグメントとタイミング最適化を組み合わせた配信が可能です。目的や施策に応じて、導入を検討すると良いでしょう。
③アフターフォローやブランド理解を深める「コンテンツ」を配信する
メルマガやECサイトでは、単なる情報提供ではなく、顧客との信頼関係を育てる“語りかけ”の設計が効果的です。たとえば、購入直後であれば、「使い方ガイド」や「おすすめの組み合わせ」など、購入から1ヶ月後なら、「お手入れ方法」や「長く使うためのコツ」、休眠顧客に対しては「最近の人気商品」や「購入者の声」などニーズを掘り起こすようなコンテンツを提供していきましょう。顧客のタイミングに合わせて、“今知りたいこと”を先回りして届けるのがコツです。
また商品の裏側にあるストーリーや、ブランドの理念や取り組みなど、ブランドの価値観を伝えることも「共感」を育むコンテンツとなり得ます。また、顧客のアクションを促すことも効果的です。たとえばクイズやアンケートなどで参加型にしたり、「LINE登録で特別に」「レビュー投稿はこちら」など次の行動を明示したり、読ませるだけでなく動かすことを意識しましょう。
BiNDecが構築を支援した、テーブルウェアなど生活道具を扱うKINTOも、メルマガを利用して購入した商品の活用シーンの提案や、ケア方法を届けています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
④メルマガの件名を工夫して魅力をアップする
メルマガは開いてもらわなければ、せっかくの情報も効果を出すことはできません。その意味で、メルマガの件名は、開封率を左右する“最初の勝負どころ”です。件名は「読む価値がある」と瞬時に伝える内容であることが必須です。たとえば、「4Uの原則」と呼ばれる、キャッチコピーの王道フレームを紹介しましょう。
- Useful(有益性) 例:「〇〇で、今なら20%増量中!」
- Urgent(緊急性) 例:「本日まで!先着100名にプレゼント」
- Ultra Specific(具体性) 例:「3ステップで簡単にできる◯◯」
- Unique(独自性) 例:「他では手に入らない!限定◯◯」
なお、多くのメーラーの受信トレイでは、件名の最初の15~20文字までしか表示されません。そこで、最も伝えたい価値やキーワードは冒頭に配置するようにしましょう。
◯:【会員限定クーポン】春の新作が10%割引
△:春の新作が登場しました!会員様はクーポンで10%割引に
他にも、下記のような工夫も有効です。
- 視認性の高い数字を入れて具体性を高める
- 「無料」「限定」などのパワーワードで目を引く
- 「あなたにぴったりの◯◯はどれ?」など疑問形で“自分ごと化”する
- 絵文字や記号で視認性を高める
ShopifyのAI機能「Shopify Magic」で自動生成できるメルマガの件名候補から選択するのもよいでしょう。また、下記でメールの効果を高める方法を詳しく紹介していますので、参考にしてください。
⑤適切な配信頻度を設定する
メルマガの配信頻度の調整は、読者との「ちょうどよい距離感」を保つために欠かせません。頻度が高すぎると煩わしく感じられたりすると思われがちですが、メールの送信頻度と購読解除率に相関がないというデータもあります。購読解除率を気にしすぎるあまり、配信頻度を下げすぎると顧客にブランドの存在を忘れられかねないので、上手にコントロールしましょう。
ただし、内容が伴わない過剰な配信はブランドイメージを損なうとともに、開封率が下がって購読解除が増える傾向にあります。適度な頻度は「役立つ情報をくれる存在」として信頼関係を育てることにつながり、タイミングよいセールや新商品の情報なども効果を高めることにつながります。
商品や情報の内容によっても異なりますが、一般に開封率が高いのは週1〜2回の配信で2割程度と言われています。
⑥メルマガの効果検証を行う
メルマガの効果検証は、ただ数字を追うだけでなく「読者との関係性がどう変化したか」を見極めるための重要なプロセスです。時系列を追って、次のようなKPIの“意味”を読み解く視点をもつことが大切です。
指標名 | 意味・目的 | 改善のヒント |
---|---|---|
開封率 平均:20〜30% |
件名や差出人名が読者の興味を引いたか | 件名のABテスト、配信時間の最適化 |
クリック率(CTR) 平均:1~2% |
コンテンツが読者の行動を促したか | CTAの配置、リンクの文言改善 |
コンバージョン率(CVR) 平均:0.1〜0.2% |
資料請求・購入など、目的行動に至った割合 | LPの内容改善、導線設計の見直し |
購読解除率 | コンテンツが期待外れだったか、頻度が多すぎたか | 配信頻度調整、読者アンケート |
直帰率 | クリック後すぐ離脱した割合 | 遷移先ページのUX改善 |
ROI(費用対効果) | メルマガ施策が売上に対してどれだけ貢献したか | 広告費・人件費とのバランス分析 |
ただ、効果検証が必要と言っても、なかなか意識的にはできないもの。そこで、Shopifyや、Google Analyticsなどのレポート機能を活用して、自動的に関係者に結果が届くように設定したり、KPIを定期的に振り返るミーティングを設けたり、定期的な社内共有・改善の機会を持つことが大切です。
Shopifyストア分析とGA4の使い分けや効果的な組み合わせ方について、こちらの資料で解説しています。無料でダウンロード可能なのでぜひ併せてご覧ください。
⑦メルマガ購読によるメリットを与える
メルマガ施策で一番怖いのは、役に立たないものとして購読解除をされてしまうこと。これを回避するには、メルマガを購読することでメリットがあると感じてもらう必要があります。
最も簡単なのは、クーポンやセールの情報などの「お得情報」を提供すること。直近で使う予定はなくても、少なくともメルマガの登録解除を思い留まる理由になります。また、誕生日などの特別感のあるタイミングで送られれば顧客ロイヤルティを高める効果もあります。
他にも「メリット」を感じさせるには様々な方法があります。いずれもメルマガを購読していてよかったと思わせることがポイント。商品やサービスによっても異なるので、どんなメリットが提供できるのか、考えてみましょう。
- 情報の価値:業界トレンドや豆知識、購入者のインタビュー、使い方事例など
- パーソナライズ:購入履歴などに応じたおすすめ商品、記念日クーポン、悩み解決型コンテンツなど
- 体験価値:モニター募集、タイムセール、アンケート結果、好きな世界観・デザインなど
また、お得情報として、期間限定ポイント付与率UPなどの施策も効果的です。顧客毎にポイント率を設定したキャンペーンの実施も可能な「BiNDec|ポイント」アプリについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。
⑧商品リンクを効果的に配置する
メルマガ最大の目的は「集客」です。開封率が良くて、登録解除されないメルマガであっても、ECサイトへ誘導できなければ意味がありません。メルマガの掲載する商品リンクの配置商品リンクの配置(位置・数・見せ方など)を工夫するだけで、メルマガの成果は驚くほど変わります。
- 位置:コンテンツや商品に合わせて配置することが原則ですが、冒頭と末尾の2箇所に代表的なリンクを設置するのもおすすめ。読者が最初に目にする位置と、読み終えた直後のタイミングでリンクを提示することで、行動喚起が自然に促されます。
- 数:メルマガの内容に合わせて、あえて1つに絞ったり(セールやイベントのトップなど)、商品ごとに設置したり、導線を明確にすることが大切です。
- 見せ方:クリックしやすい商品リンクは、「目立つこと」と「わかりやすいこと」がポイント。直感的に理解してクリックできるよう、「購入はこちらから」「お問い合わせ先」など、短くてわかりやすい文言にしましょう。ボタン形式にすることも有効です。
なおリンクの位置もABテストの重要ポイント。どの位置が最も成果につながるか、定期的に検証しましょう。
アプリで実現する戦略的メールマーケティング
それでは、実際にShopifyでメルマガを発行するには、どうしたらよいのでしょうか。ここまででもお伝えしてきたようにShopify公式のメールアプリを使う方法と、サードパーティアプリを使う方法があります。まずは、それぞれの特徴について紹介します。
方法1|「Shopifyメール」でメルマガを配信する

Shopifyメール
Shopifyには「Shopifyメール」というメールアプリが搭載されています。Shopifyで集めた顧客データを使える上に、テンプレートが豊富で手軽に操作でき、できたメルマガはShopifyの管理画面から直接配信できます。カゴ落ちや初回購入後など、タイミングを設定しておけば自動送信もOK。
毎月10,000通まで無料で利用できるので、まずはメルマガをはじめたいという方は、まずは「Shopifyメール」ではじめてみるとよいでしょう。アプリの紹介後にその具体的な方法について記しましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
方法2|サードパーティアプリ・連携ツールを使ってメルマガを配信する
メルマガの配信先が増え、より高度なマーケティング施策を実施したいならば、サードパーティアプリを活用するのがおすすめです。公式のメールアプリよりも自動化できることが多く、顧客の状況に合わせて送れる「ステップメール」、「SMS連携」など機能が豊富で、顧客体験を細かく設計できるのが魅力です。
基本的には、配信対象者が多い中〜大規模なECサイトや、リピート率やLTVを本格的に高めたい、また、マーケティング施策を細かく設計したいというブランドなどに向いています。それぞれアプリによって強みが異なるので、自社のビジネスに合ったものを選ぶとよいでしょう。
メルマガアプリもしくは、メルマガ機能を持ったアプリは数多くありますが、使い勝手やサポートの良し悪しを意識して選ぶと良いでしょう。代表的なアプリに次のようなものがあります。
Dotdigital(ドットデジタル)
イギリス発のマーケティングオートメーション(MA)ツールで、4500社以上で採用されています。メール配信はもちろん、LINEやSMS、ポップアップなどにも対応し、顧客との関係づくりに役立つ機能が豊富に揃っています。
強みは、こうしたマルチチャネル配信が可能なことに加え、高いメール到達率(平均98.2%と発表)と柔軟なセグメント&シナリオ設計が可能で、「高い効果」が得られることです。たとえば、独自IPを保有しており、キャリアメール(@docomo、@softbankなど)にも届きやすいこと、SPF/DKIM/DMARCなどの認証対応で迷惑メールを回避できること、顧客属性や行動履歴、カゴ落ちなど細かく条件が設定でき、ステップメールやABテストも直感的に設定できるなど、使い込むほどしっかりと効果を実感できます。
他にもShopifyでの購入履歴・カート情報のほか、メタフィールドまでデータ連携ができるので、よりリッチなパーソナライズ配信ができるのも魅力。さらに双方向のデータ同期でShopify側にも情報を反映できるので、スムーズかつ効果的に情報設計を実施できます。
近年は、独自のAI機能「ウィンストンAI」が搭載され、キャンペーンの成果予測やコンテンツ提案なども行えるようになり、少人数でもスピーディに運営・改善ができるようになりました。
ただし、それだけに初期設定やシナリオ設計をしっかり行う必要があり、プラットフォームなどは日本語に対応しているとはいえ、UI解読やサポート対応に英語力が求められることもあります。できればShopifyとDotdigitalに精通したパートナーのサポートを受けることが望ましいでしょう。アプリ自体は無料でインストールできますが、費用は客数と年間のメルマガ配信数での見積もり対応となっています。
こんな方におすすめ!
- 様々なタイミングで多種多様なメルマガを配信したい
- SMSやLINEなどマルチチャネルで効果を高めたい
- 顧客データを活用してパーソナライズ配信をしたい
- 本気でメルマガ到達率やコンバージョンを改善したい
- 多言語で越境ECの顧客にも配信したい
こちらの記事でも、Dotdigitalの魅力や使い方を紹介していますので、ぜひご覧ください。
Klaviyo(クラビヨ)
米国では定番メルマガツールとして人気が高く、用意されたテンプレートを使って簡単にメルマガを発行できます。カゴ落ち後のサポートメールや、セグメントに応じたカスタマイズメールも簡単に作成でき、開封率やクリック率の測定にも対応しています。Shopifyとの親和性も高く、商品や注文・顧客データをリアルタイムで取得し、購入履歴・閲覧履歴などを使った高度なセグメントも可能で、カート放棄や誕生日、レビュー依頼などの自動化も得意としています。
米国で主に人気が出たこともあり、LINEに非対応、日本のキャリアメールへの対応力、UIやサポートがほぼ英語などが、弱点といえるかもしれません。送付先が250件まで無料で使えますが、それ以上になると顧客数に応じた従量課金制となります(例:配信先1,000件で約$30/月)。
こんな方におすすめ!
- まずは無料でメルマガ発行を体験したい
- 手間をかけずにおおまかにCRMを構築したい
- 国内よりもむしろ越境ECで効果を出したい
Privy(プリヴィ)
米国発のスタートアップとして誕生し、Shopifyにポップアップやクーポン施策を簡単に導入できる、無料のマーケティングツールとして広まりました。ポップアップでメール登録を促し、そのままメルマガ配信までというように、一気通貫で導線が引けるので、新規顧客のリスト獲得効果が高いと評価されています。
必ずしもメルマガに特化していないこともあり、高度なセグメント設計に弱く、キャリアメールが迷惑メール判定されるなど、到達力という意味ではDotdigitalやKlaviyoに比べると弱めです。また、メールデザインのカスタマイズやABテストなどの機能が限定的で、改善サイクルを回すには若干物足りなさを感じるかもしれません。
現在はメルマガ送付先1,500件まで、月額$30/月で利用できます。ポップアップ利用は10000ページビューで月額$24/月なので、導線を作成したいのなら両方を契約する必要があります。
こんな方におすすめ!
- ポップアップとメールを連携してリスト獲得をしたい
- クーポン施策と連携させてメルマガの効果を上げたい
Shopify公式メールアプリで始める、シンプルなメルマガ運用
それでは具体的にShopifyでメルマガを発行するための手順について紹介しましょう。既にメルマガ配信の経験がある、また、やってみたい施策がちょっと複雑などの要件がない場合、まずはShopifyから無料提供されているアプリ「Shopifyメール」からはじめてみることをおすすめします。想像以上にシンプルで、しかも効果的なので、ぜひトライしてみてください。
STEP① Shopifyメールを設定する
左メニュー「アプリ」をクリックして、「Email」を検索してインストールするだけで、簡単に設定ができます。設定すべきことはリスト化されているので、ブランドのロゴや色(ブランドアセット)、差出人のメールアドレス、自動メールなどを設定していくだけ。メールマーケティング戦略の設定に関する専門的なガイダンスもここから直接閲覧できます。

Shopifyメールを設定
STEP② メルマガを作成する
Shopify メールでメールマガジンを作成する場合、自分でコーディングすることも可能ですが、約75種類も用意されている「テンプレート」を利用すると手軽に魅力的なメルマガを作成できます。
左メニュー「Email」の「テンプレート」、または設定タスクの中の「キャンペーンを作成する」をクリックすれば、テンプレートの候補が出てきます。ブランドアセットを入力してあれば自動的に反映されるので、あとはキャンペーンの訴求内容に応じて商品写真やテキストなどを入れ、件名やプレビューテキストなどを入力すれば完成です。

豊富なテンプレート

メルマガ作成
Shopify Magicでメルマガの文章作成時間を短縮しよう
Shopifyの公式生成AI機能であるShopify Magicは、様々な場面に活用でき、メルマガに活用することで、作成時間を短縮することができます。たとえば、「件名」入力欄の星印をクリックすると生成AIのポップアップが開くので、メールの内容や目的をキーワードとして与えて、「説得力がある」など「トーン」を設定すると候補文が3つ生成されます。
何度も作成できるので、納得がいくまでトライしましょう。他にも商品紹介文などでも、同様に活用できます。

Shopify Magic

Shopify Magicによる候補文
Shopify Magicについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。
STEP③ 配信対象者を選定する
作成したメルマガは、Shopifyの顧客データを活用して配信できます。送信しようとしているメルマガの「受取人」をクリックすると、「過去に商品を購入した履歴がある顧客」や「メールマガジンを登録している顧客」、「購入したことがない顧客」などのセグメントが表示されるので、該当する配信者のリストを選びましょう。

配信者セグメント
購入者や登録者のメールアドレスの管理は、左メニューの「顧客管理」で行えます。Shopifyで購入した人はもちろん、他のリストをCSVファイルでインポートすることもできます。ただしメルマガ配信には「マーケティング受信に同意」している顧客のみが対象なので注意が必要です。
ECサイトでの個人情報入力時に必ず許諾を取ることを忘れずに、インポートするリストについても同様に許諾をとったものだけにしましょう。
まだ購入していない人についても、アドレスを集めるためにはポップアップや登録フォームを設置することも有効です。「アプリ」から「Form」をインストールすれば、フォーム作成も簡単にできます。

フォームの作成
なお、より高度なフォームをShopifyに導入したい場合にはサードパーティのShopifyアプリを活用するのも良いでしょう。「BiNDec|SmoothContact」は高セキュリティで効率的なWebフォームをECストアへ簡単に設置できます。こちらのページを併せてご覧ください。
STEP④ 配信設定を行う
配信前には、「プレビュー」を切り替えてデスクトップとモバイルでの見え方をそれぞれ確認し、「テスト送信」で、表示崩れやリンクミスなどの事前チェックを行いましょう。その後、即時か予約日か、配信日時を設定します。左メニューの「マーケティング」の「オートメーション」から設定しておくと、チェックアウトやカゴ落ちの回復などタイミングを狙って配信できます。

カゴ落ち防止の自動化
STEP⑤ 効果測定をする(分析と改善)
配信後は左メニューの「Email」の「設定」から、1ヶ月のメール送信数などを確認できます。また、「マーケティング」→「キャンペーン」から、メルマガの効果(開封率、クリック率、コンバージョン:購入)および、商品ブロックを使った場合は、どの商品がクリックされたかも把握ができます。それらの数値をもとに、次回配信の件名やタイミング・内容などを改善していきましょう。
たとえば、「開封率が低い」のであれば件名をもっと具体的にしたり、「クリック率が高いが購入に至らない」ならば、LPや商品ページの見直しが必要になります。

メール配信状況

メルマガのキャンペーン効果
Shopifyで戦略的にメルマガを配信するならBiNDecにご相談ください
ECサイトの売上アップを目指すなら、メルマガを活用したマーケティング施策は大いに効果が期待できます。特にShopifyなら、標準搭載の「Shopifyメール」をはじめ、事業規模や成長段階に応じて選べる多彩なアプリが揃っており、効率的に成果を出せる環境を構築できます。
ただし、こうした機能を最大限に活かすためには、最初の設計やツール選定が重要です。Shopify PremierパートナーであるBiNDecは、アパレル・コスメ・食品など幅広いEC事業者を支援してきた実績を持ち、ニーズに応じた最適なShopify構成やMAツールの導入をサポートしています。記事内で紹介した「Dotdigital」の導入支援では国内で高い成果を上げ、「Top Performer」の称号も受賞しました。
BiNDecは、自社で継続的に成果を出せる仕組みづくりを支援するパートナーです。効率よく、成果につながるメールマーケティング環境を整えたいとお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。
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