ECサイトにおけるメルマガ(メールマガジン)は、顧客に対して直接アプローチが可能なツールとして有力です。しかし、その重要性を理解しつつも、ECプラットフォームのシステム上メルマガ発行の難易度が高かったり、継続発行が難しかったりと、実施ハードルの高さが課題となっているケースもあります。
ここではShopifyでメルマガを発行する方法やメリット、メルマガで効果を出す方法などを解説します。
ECサイトがメルマガを配信するメリット
まずは、Shopifyで構築されたECサイトだけではなく、ECサイト全般としてメルマガ配信をすることで得られる具体的なメリットを説明しましょう。
リピート率のアップにつながる
メルマガを配信することで顧客のリピート率がアップする傾向があります。ECサイトで売上を伸ばしたい場合、既存顧客にリピート購入を促す施策も重要です。メルマガでキャンペーン告知やクーポン配布などを行い、アプローチしていきましょう。
なお、ECサイトのリピート率にお悩みでしたら、下記の記事も併せてご覧ください。
見込み客へのアプローチが可能
見込み客へのアプローチを可能にするのもメルマガのメリットです。せっかく見込み客がECサイトに訪れても、購入しないでそのままECサイトを離脱してしまえば再訪して貰えるチャンスは低くなります。そこで、ECサイト上にメルマガ登録でクーポンがもらえるキャンペーンバナーを設置するなどしてメルマガへの登録を促してみましょう。
それにより、即時の購入はなかったとしても、ECサイトと見込み客の接点が生まれます。そこから、メルマガの配信を通じてアプローチをかけ、いずれは顧客になるよう育成をしていくことができるのです。
購買データから顧客にあった商品をレコメンドできる
顧客が過去に購入した商品や閲覧履歴を分析し、そのデータに基づいた関連商品や補完商品を個別にメールで提案することで、購入意欲を高められます。
例えば、スキンケア商品の購入履歴がある顧客には、同じブランドの新製品や、既存の商品と組み合わせて使えるアイテムを紹介するのが効果的です。このようなパーソナライズされた提案は、顧客に「自分のニーズを理解してくれている」と感じさせ、満足度を向上させるだけでなく、売上アップにもつながります。
そんなパーソナライズされたメールマーケティングに有用なのがMAツールです。多様なチャネルでの顧客データを一元管理し、施策に落とし込むことができます。おすすめのMAツールも後で詳しく紹介していきます。
ECサイトとの接点が増えて顧客ロイヤルティが向上
メルマガを発行することでECサイトとの接点を増やすことで顧客ロイヤルティが向上を狙うことができます。
ECサイトの場合、リアル店舗と異なり、店側と顧客との間に対面など直接の接点はありません。そこでメルマガを使用します。
アパレルであればコーディネートの提案など、リアル店舗で行うような接客を再現したコンテンツを配信するのも良いでしょう。他にも、誕生月にお祝いのコメントを添えたクーポンを発行したりすることで、顧客に特別扱いをされていると認識してもらい、顧客ロイヤルティを向上させていきます。
なお、Shopifyでのクーポン発行についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
Shopifyでメルマガを配信するメリット
ここからはメルマガ配信を行いたいECサイトにとって、Shopifyをおすすめする理由を具体的なメリットとして紹介します。
配信機能やアプリの利用で簡単にメルマガを発行できる
Shopifyには「Shopifyメール」というShopifyが提供するメールマーケティングアプリがあります。Shopifyの管理画面の「マーケティング」の中に標準で組み込まれいるため、Shopifyで構築されたECサイトを持っていれば、初回の設定などの必要はなく、誰でもすぐに使用することができます。
Shopifyメール以外にも、MAの機能を持つものなど多くのメール配信アプリが存在するため、ECサイトの成長フェーズに合わせて必要な機能が揃ったアプリを選ぶことができます。
無料メルマガツールでコストをかけずに始めることができる
前述した「Shopifyメール」は、無料でも利用可能です。無料の利用範囲については後述しますが、従量課金制のメルマガ配信ツールを別契約せずに済むのはメリットのひとつでしょう。
メルマガのデザインテンプレートが豊富
Shopifyメールには様々なデザインのテンプレートが事前に用意されているため、ゼロからメルマガのデザインやHTMLの記述を行う必要がありません。メールのヘッダーに表示される色、フォント、ロゴまたはECサイト名はカスタマイズできるので、テンプレートを使用してもECサイトのブランドカラーに合わせることが可能です。
カゴ落ちメールで再訪問と購入を促す
カゴ落ちとは、ECサイトの訪問者が商品をカートに入れたにもかかわらず、何らかの理由で購入手続きを完了せずに離脱してしまう状況を指します。Shopifyメールでは、カゴ落ちした商品をリマインドするメールを自動で配信でき、離脱した顧客に再度購入を促すことができます。
なお、カゴ落ちの原因や対策について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
Shopify Magicでメルマガの文章作成時間を短縮
Shopifyには、Shopify Magicという生成AIがあり、メルマガの件名や文章を自動生成することが可能です。キーワードや文体を指定し、簡単な指示を入力するだけで適切なテキストを提案してくれます。
詳しい作成方法はこちらの記事をご覧ください。
メール分析で効果を可視化し、改善に活用できる
Shopifyでは、メルマガ配信後にパフォーマンスレポートを通して効果を具体的に可視化できます。顧客ごとの開封やクリック状況、購入につながったメールの割合といった指標を確認できるため、メルマガの効果を把握し、今後の配信やマーケティング施策に反映することが可能です。
これらの機能を活用することで、試行錯誤に陥りがちなメルマガ配信を計画的なマーケティング施策へと進化させることが可能です。こうした便利な機能でECサイトの成長をサポートしてもらえる点も、Shopifyの大きな魅力のひとつと言えるでしょう。
Shopifyでメルマガを配信するときにおすすめのアプリ
Shopifyには、標準で用意されているShopifyメールのほか、メルマガの配信やそれに付随する機能が充実したShopifyアプリが揃っています。ここでは、Shopifyでメルマガを配信するときにおすすめのアプリをご紹介しましょう。
Shopifyメール
ここまででも説明してきましたが、ShopifyメールはShopify標準のアプリで、毎月10,000通まで無料で利用できます(以降は1,000通/月につき1米ドルから)。
様々なデザインテンプレートが用意されているのが特徴で、それらをShopifyの管理画面上で、ドラッグ&ドロップ操作することで簡単にメルマガを作成できます。また、既存の顧客リストをShopifyにインポートして配信することも可能です。さらに独自のドメインからメルマガを送れるのも特徴のひとつになります。
もちろん、送信先をセグメント化することもできますし、送信後のクリック率などを調査することも可能です。
Dotdigital
Dotdigitalは無料でインストールできるアプリですが、月額費用かかかります。費用については、顧客数と年間のメルマガ配信数で変わります。
Dotdigitalはメルマガ専門のツールではなく、マーケティングオートメーションを提供しているCXDPという顧客体験プラットフォームで、メルマガやSNSなどのデータを一元管理することが可能です。パーソナライズされた顧客別のメッセージを適切なタイミングで送信可能なため、1on1マーケティングなどに力を入れたいECサイトや越境ECや多くのチャネル展開予定しているECサイトにもおすすめです。
2024年11月に行われたイベントレポートでも、その魅力を紹介していますので併せてご覧ください。
Klaviyo
Klaviyoも無料でインストールできるアプリで、メルマガは250件まで無料で配信可能です。251件以上の配信は500件までの制限で、月額20米ドルが必要になります。
メールマーケティングの定番ツールとして人気が高く、用意されたテンプレートを使えば簡単にメルマガを発行可能で、カゴ落ち後のサポートメールや、セグメントに応じたカスタマイズメールの送信ができ、開封率やクリック率の測定にも対応しています。
さらに、メールマーケティングだけでなく、SMSマーケティングもカバーしているのが特徴です。
Privy
Privyも無料でインストールできるアプリですが、メルマガ機能を使うためには月額で13米ドルかかります。
ですが、Privyにはほかのメルマガ配信アプリにはない、ポップアップ機能があります。このポップアップ機能を使えば、画面上にメルマガ購読を促すメッセージを表示できるため、顧客に動的なアプローチが可能です。
もちろん、メルマガ配信アプリとしての標準的な機能も揃っており、A/Bテストやカゴ落ち対策機能などもあります。
下の表も参考に、紹介したアプリを比較して自社のECにあったものを検討してください。
価格 | 特徴 | |
---|---|---|
Shopifyメール | 10,000通まで無料/月 以降は1,000通/月につき1米ドル〜 |
・Shopify公式アプリ ・豊富なデザインテンプレート ・カゴ落ち対策機能 |
Dotdigital | インストール無料 顧客数と年間のメール配信数により価格変動 |
・チャネル毎の情報を一元管理 ・顧客別のデータ収集 ・大規模なEC展開計画におすすめ |
Klaviyo | 250件まで無料/月 251件〜500件までは20米ドル/月 |
・カゴ落ち対策機能 ・テンプレートで簡単にメルマガ制作 ・開封率、クリック率などの測定可能 |
Privy | インストール無料 メルマガ機能利用 13米ドル〜/月 |
・ポップアップ機能 ・A/Bテスト ・カゴ落ち対策機能 |
Shopifyのメルマガで効果を出すためのポイント
ご紹介したように、Shopifyで利用できるメルマガアプリには様々な機能があります。そこで、アプリの機能や通常のテクニックを使いShopifyのメルマガで効果を出すためのポイントをご紹介しましょう。
顧客の好みや購入履歴に合わせて配信先をセグメントする
顧客の好みや購入履歴に合わせて配信先をセグメントするのも、メルマガで効果を出すためのポイントのひとつです。
顧客がメルマガを開封してくれても、自分に関係無いと思う内容が頻繁に続いていたら「読まなくてもいい」と感じてしまいかねません。そのため、顧客の興味に合わせてセグメントすることが必要です。Shopifyのメルマガアプリには配信先をセグメントできる機能が付いているものが多いので、ぜひ活用してください。
アフターフォローやブランド理解を深めるコンテンツを配信する
顧客とのコミュケーションを行えるのが、メルマガのメリットのひとつです。商品購入後のアフターフォローや、ブランド理解を深めるようなコンテンツを配信するのもメルマガで効果を出すポイントです。
例えば、メルマガ内に「効果的な使い方」を掲載してフォローしたり、「商品開発者のインタビュー」などでブランド理解を促したりすることで、よりファンになってもらうなどができます。
魅力的な件名のメルマガにする
Shopifyのメルマガアプリに限らず、メルマガを配信するのであれば魅力的な件名にすることは必須です。顧客にとってメルマガは必要な情報源とは限りません。そのため、興味を持って開封してくれるかどうかは、件名の魅力にかかっていると言っても過言ではありません。
そこで、顧客が興味を惹くような「読むメリット」を感じさせるワードに加え、「具体的な割引率」や「~限定」などのワードでアピールしましょう。なお、文字数が長すぎても画面上に表示されない恐れがありますので、最適な文字数(30文字前後)の冒頭部分にキーとなるワードを書き入れてください。
先述の通り「Shopify Magic」というAIを用いてメルマガの件名候補を自動生成することができます。
他にも、ECサイトにおけるメルマガのコツをまとめた記事もありますので、併せてご覧ください。
メルマガを読まれやすい配信時間に送る
配信時間を工夫することも、メルマガで効果を出すためには注意が必要です。例えばサラリーマンであれば、通勤中の電車であれば暇つぶしに読んでくれるかもしれませんが、業務中にプライベートなメルマガ読むタイミングは限られます。メルマガを配信するのであれば、顧客の行動パターンに合わせたタイミングで配信すべきです。
そのためには、ECサイトを訪れる顧客の情報や、これまでのメルマガ配信のデータや配信時間ごとの開封率を調べるなどの調査も必要になります。自社のECサイトの業種の平均メルマガ開封率などを調査し、問題があれば改善してください。
メルマガの効果検証を行う
メルマガ配信で効果を出すために一番必要ともいえるのが、効果検証を行うことです。
メルマガはただ配信すればいいというものではありません。件名が顧客の興味を惹いているのかどうか開封率をチェックしたり、メルマガの内容に興味を持って掲載した商品リンクをクリックしてくれているのかを確認したりすることも大切です。
もし、メルマガを配信する度に多くの顧客が登録解除しているのであれば、内容に興味を持たれないばかりか、マイナスのイメージを与えているのかもしれません。仮説を立てて、改善施策を実施しましょう。
メルマガ購読によるメリットを与える
クーポンなどで購読者にメリットを与えるのも、メルマガで効果を出すためのポイントのひとつでしょう。顧客にとってクーポンなどのメリットを貰えることにマイナス要素はありません。
直近で使う予定はなくても、少なくともメルマガの登録解除を思い留まる理由になります。また、誕生日などに特別なクーポンを発行すれば顧客ロイヤルティ向上にも期待できます。
商品リンクを効果的に配置する
メルマガ最大の目的は「集客」です。ですから、いくら開封率が良くて、登録解除されないメルマガであっても、ECサイトへ誘導できなければ意味がありません。そこで、商品へのリンクを効果的に配置していきましょう。
クリックしやすい商品リンクの条件としては「目立たせる」ことと「わかりやすさ」が必要です。直感的に理解し、行動に移しやすいように「購入はこちらから」「お問い合わせ先」など、短くてわかりやすい文言で誘導してください。
また、配置場所にも気を遣い、メルマガの冒頭部分、本文部分、メルマガの終わり部分の3ヵ所くらいに分散するのもおすすめです。もし、紹介している商品数が多いメルマガなどであれば、顧客がすぐにアクションをとれるように、商品単位でリンクを設置しましょう。
メルマガを配信するならShopifyが便利
ご紹介したように、ECサイトの売上向上を狙うなら、メルマガを利用したマーケティング施策が効果的です。特にShopifyであれば、標準の「Shopifyメール」を含め、効果的に配信可能なアプリが揃っています。ECサイトの成長に合わせて、必要な機能を搭載したアプリを選べるので、常にコスパの良い運営をすることが可能です。
効果的なメールマーケティングを効率的に実施したい場合には、Shopifyの構築やリプレース、アプリの選定など、Shopify Plusのパートナーであり、構築実績を多く持つBiNDecにご相談ください。途中で紹介したMAツール「Dotdigital」の導入支援も行っており、Dotdigitalの発展と拡大に向けての大きな功績を残したとして「Top Performer」を受賞しています。貴社の事業に合わせて最適な方法をご提案いたします。