【第2回】Google×Shopify提携考察!新機能ショッピンググラフでAmazonを牙城崩し?

5月18日、Googleは毎年開催されるI/Oカンファレンスの中でShopifyの提携を発表しました。今回の提携はGoogleが本格的にEC機能の強化に乗り出したことの証左だと言えるでしょう。

その一つとしてI/Oカンファレンスではユーザーにこれまで以上の買い物の選択肢を提供する新サービス「ショッピンググラフ」の発表も行われました。近年GoogleではこのようなEC機能の強化が目立ち、これら紐解くとGoogleがAmazonを意識していることが垣間見えます。

そこで第2回の今回はGoogleの新サービス「ショッピンググラフ」とはどんな機能なのか?なぜGoogleがEC機能の強化を行うのか?について考察していきましょう。

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Googleの新サービス「ショッピンググラフ」で買い物がもっと簡単に

Googleは5月18日に行ったキーノート「Google I/O’21」の中でShopifyの提携を発表しました。この連携でShopifyマーチャントはGoogleとのデータ統合をよりシームレスに行うことができ、Googleの各サービスを通じて商品やブランドを消費者にリーチしやすくなるとのことです。

キーノート内では提携の全ては明らかされませんでしたが、すでにわかっている情報だとShopifyのマーチャントは数クリックでGoogleの各サービスへの商品の掲載が簡素化されることやShopifyの決済システム「Shop Pay」とGoogleの連携、またShopify AudiencesというGoogleやFacebook広告場でターゲティングできるツールを準備中など、様々な情報がリークされています。

今回発表のあった新サービスにもShopifyを利用する170万のマーチャントが参加可能とのことです。では、Googleの新サービス「ショッピンググラフ」とは一体どのような機能なのでしょうか?

Googleの新サービス「ショッピンググラフ」とは?

人と物の情報を繋ぐGoogleの新サービス「Shopping Graph(ショッピンググラフ)」は、AIが画像や動画に写っている商品からもっとも関連性の高いショッピング情報を表示するサービスです。

関連するデータ同士を繋いで検索エンジンの結果を拡張する知識グラフ「Knowledge Graph」をベースに生み出され、ウェブサイト、値段、評価、動画、商品データといった情報を活用し、Googleと提携するShopifyを含むECプラットフォームの240億もの商品の中からリストアップします。

ユーザーが検索画像や雑誌やスマホで撮った写真など、気になる商品のスクリーンショットをGoogleレンズで検索するとそこに写った商品、またはその類似商品をタブで表示します。そこからさらに画像検索を使い、どこのストアにその商品があるかチェックできます。また検索の果てにたどり着いたYouTube動画からでも商品の検索が可能です。

ユーザーは検索に表示された商品をタップした次の瞬間には商品の購入をすぐに進めることができ、もしユーザーが商品を購入せずタブを閉じたとしてもChromeがその結果をカートに保存し、数週間経ってもその時の最安値のショップの提案を行います。

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GoogleがEC機能の強化する背景にはAmazonの存在

Amazonの急加速的な成長にGoogleが対抗か

今回のGoogleのEC機能の強化には、Shopify以外にもWooCommerce(ウーコマース)やGoDaddy(ゴーダディ)、Squere(スクエア)などのECサービスとの連携も発表されています。

そこで浮かび上がる一つの疑問が、ここにきてなぜGoogleがeコマースのサービスの充実に力を入れているのでしょうか?

以前から言われていることですが、その背景にはAmazonの急加速的な成長があると予測されます。新型コロナウイルスの蔓延し始めた2020年の春以降、eコマースは過去に類をみない成長を遂げていることは紛らうことなき事実です。Civic Scienceが行なった調査によると、コロナ渦にオンラインショッピングを使い始めた米国人2,200人に対し行われたアンケートの「あなたはどのプラットフォームでオンラインショッピングを始めましたか?」という問いの答えにAmazonと回答した人が47%、一方でGoogleと回答した人が24%とショッピングを起点とした入り口で大きく差がついていました。

約半数がAmazonを利用していると回答
出典元:https://civicscience.com

さらにAmazonは2020年の広告事業(Amazon Advertising)の収益が前年比で23.5%増を記録したと報告したのに対し、Googleの広告収益は-5.3%減少しました。2020年の広告収益はGoogleは395.5億ドル、Amazonは127.5億ドルと、売上こそGoogleの広告事業と比べるとまだ差が歴然としてますが、確実に成長を続け市場シェアを侵食するAmazonに対し数年成長が鈍化するGoogleが危機感を抱くことは当然です。

つまり経緯としてはこうです。Googleは、ECで独占的な地位にあるにも関わらずGoogleの本丸である広告収益の土壌で急成長するAmazonへの対抗策としてEC機能の強化に至ったのでしょう。

実は過去にもGoogleはAmazonに対抗すべくECアプリ「Google Express」などを立ち上げたこともありました。しかし、GoogleではこのアプリでのEC取引額や利用者数を明らかにしなかったことから1度目のeコマース参入は不発に終わったと想像できるでしょう。そして2019年、Googleが再びeコマースビジネスの門を叩くEC機能「Googleショッピング」を拡充する旨を表明しました。

しかし、EC後手のGoogleにはモール型ECで世界最大規模のAmazonが持つような膨大な購買データを持っていません。もちろん、Google analyticsやGoogle広告のコンバージョントラッキングを通したトランザクションデータは大量に持っており、情報量だけで言えばAmazonを遥かに凌ぎますが、それが同一システムで購買データと紐づくAmazonに対して、システム同士の疎結合で行なっているのがGoogleです。

ここで登場するのが、Shopifyなどのカート型ECプラットフォームです。これらのECサービスと連携し、自社の持つ大量の情報と購買データを紐づけることで足りていなかった繋がりを補い強化するという算段だと言えます。

ShopifyではすでにGoogleとShop Payの連携を開始すると発表していますし、その購買データはGoogleとShopifyで共有されるとされています。そのほかにも一例として「Sephora(ソフィア)」のロイヤリティプログラムとの連携など様々な購買データの取得に注力を注ぐ姿勢を見せています。

【第1回】Google×Shopify提携考察はこちらからどうぞ

つまり、GoogleがEC機能の強化に乗り出したのには、自社の本丸である広告収益に侵攻する最強のモール型ECのAmazonに対抗すべく、Google率いるEC同盟軍で戦略を仕掛けていくという構図が背景に見えると言えるでしょう。

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未来のショッピング体験はすぐそこに

私たち日本人であっても、欲しいものはまずAmazonや楽天で探すことが多いでしょう。しかし、その前段階はGoogleの検索から行う人がほとんどですよね。そこにGoogleが目を付けないわけがなく、EC機能の強化で消費者が検索結果からより少ないクリック数で欲しい商品に直結するよう連携をすることでAmazonに対抗しようとしていることが今回の発表から紐解くことができます。

ShopifyなどのECサービスとの連携やショッピンググラフで商品をリサーチする手間を省くことで消費者をよりシームレスに購買行動に繋げることができるようになれば、Amazonの成長を牽制しつつ、購買データの蓄積をすることができます。

ついにGoogle vs AmazonのEC争奪戦が本格化し、このせめぎ合いの先に全く新しい未来のショッピング体験が生まれることに期待が持てます。

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