ShopifyといえばBtoC向けのECプラットフォームというイメージを持つ方も少なくないですが、充実したBtoBのECサイト運営も可能です。本記事ではShopifyによるBtoB ECサイト運営のノウハウや事例を紹介します。
BtoBのビジネスモデルとは
BtoB(B2B, ビートゥービー)とは、Business to Businessの略語で、企業同士が行う商取引のことを言います。小売店などが、一般消費者に商品を販売するビジネスモデルをBtoC(Business to Consumer)と言いますが、これに対して企業が企業に対して販売するビジネスをBtoBと呼びます。
BtoBのビジネスモデルは、製造会社(メーカー)から卸売業者の売買、製造会社から小売店の売買、製造会社と製造会社(例えば部品など)間の取引など、さまざまな商材や状況があります。また、企業が企業向けに提供する無形サービスなどもBtoBビジネスになります。
国内におけるBtoB ECの成長と課題
日本国内の企業間商取引においては、長らく、電話・FAXを使用し発注を受け、紙ベースの注文書を使った取引が行われてきました。しかし、電子化も進み、2023年にはEC化率は40%まで進んでいます。

※経済産業省 令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書より
ただし、小規模な小売店などとは従来の取引方法を継続するなど、すべての取引を電子化することは難しい現状もあります。その要因としては、専用ツールの構築が難しいことや、発注側のIT化対応が難しいなどが考えられます。
BtoBの市場規模について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
BtoBのECサイトに求められる特徴
BtoBの商取引においては、企業別の販売価格に対応するなど、BtoCのECサイトとは異なるニーズがあります。主なものとして、次のような特徴があります。
ECサイトへのログイン制限
BtoBサイトには、一般消費者から商品やその販売価格が見られないようにする必要があります。そのためには、BtoBのECサイトは検索エンジンに表示されないようにしたり、特定の顧客のみが閲覧できるように制限をかけておくなどの対応を行いましょう。
取引開始の審査や手続き
取引を開始するにあたっては、販売先の企業と個別契約を交わすことが通常です。BtoBでは、相手企業の信用状況や取引条件、業界ルールなどを踏まえて「取引が可能かどうか」を事前に精査する必要があり、個人への販売とは異なり審査や確認のプロセスが多くなります。
契約ごとに異なる販売価格
BtoBのECサイトでは、同じ商品であっても販売価格が相手先によって異なることが珍しくありません。そのため、ECサイトに一様な価格で商品をリストすることができず、ログイン単位で価格を変更できるシステムが必要になります。
掛け払いや請求書払いなどの決済方法
BtoCのECサイトでは一般的にクレジットカード決済を中心にコンビニ後払いや代引きなどを用いますが、BtoBでは請求書払いなどによる掛け払いが主流です。そのため前払いではない決済方法を用意する必要があります。
後払い決済の仕組みやおすすめの決済代行サービスについてはこちらの記事をご覧ください。
契約ごとのサイトカスタマイズ
販売価格だけでなく、ECサイト内に表示する商品も契約ごとにカスタマイズすることが望ましいです。取引先の都合に合わせて商品をリスト化することで利便性が向上し、売上の増加にも貢献します。
Shopifyを導入してBtoBの受注業務を効率化
世界175以上の国と地域で利用されているECプラットフォームのShopifyは、BtoC向けプラットフォームとしてよく知られていますが、BtoB ECサイトの運営に必要な機能も充実しています。
Shopifyは年に2回の大型アップデートにより、常にEC業界のトレンドに合わせた最新の機能を利用することができるほか、16,000以上の機能拡張アプリ(Shopifyアプリ)から必要なものを選んで追加することができます。
ゼロから開発することなく、自社のビジネスに最適な機能を最適なタイミングで追加することが可能です。
BtoB業務のEC化で誤発注や対応コストが削減できる
BtoBの取引をEC化すれば、従来は、営業担当者が来訪したり、電話やFAXを使って対応していた注文業務を自動化できます。もちろん、ECサイトでの注文は365日24時間対応が可能です。取引先の顧客も事前にアポを取ったり電話をかける時間帯を気にする必要がなくなり、双方で業務の効率化が実現します。
さらに、発注商品番号の間違いや、住所の書き間違いなど、手書きや口頭で起こりがちな注文ミスも軽減できます。デジタル化による基本的な恩恵ですが、手戻りやミスが減ることは積み重ねれば大きな効率化となるほか、注文にかかる負担を軽減するため、購入を促進します。
また、ECサイト内に商品を掲載することでカタログ化することができるため、印刷費・郵送費も不要となりコスト削減も可能です。当然、商品の仕様変更の案内や新商品の追加・更新も随時行えます。
顧客側も手書きの注文書では毎回カタログ番号を調べて正確に記入したり、注文個数を確認したりするために発注にも時間を取られますが、ECサイトのマイページから過去の注文履歴を確認できるため、再注文も迷わず行えるなど、双方にとってさまざまなメリットが生まれます。
BtoBのECサイトを成功させるポイントについて、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
ShopifyでBtoB向けECサイトを構築するには
ShopifyでBtoB向けECサイトを作る方法は大きく分けて、Shopify Plusプランを契約するか、Shopifyアプリを活用する方法の2つがあります。
1.Shopify PlusプランでBtoB ECサイトを構築する
ShopifyはBtoCビジネス向けのプラットフォームとしてスタートしましたが、年々BtoB向けの機能を充実させ、2022年6月に、「B2B on Shopify」をリリース。企業情報の登録、支払い方法や条件、企業ごとの価格表示や最低注文数などを個別に設定できるなど、BtoBで求められる機能を簡単に利用することができるようになりました
※それ以前から、ログインした顧客のみにサービスを提供するWholesale Channelという機能がありましたが、現在ではB2B on Shopifyの利用へ機能統合することが推奨されています。
Shopify Plusプランについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2.Shopifyアプリを活用してBtoB ECサイトを構築する
Shopify Plus以外のプランでも、Shopifyアプリから機能を追加してBtoBのニーズにあったECサイトを構築することが可能です。
導入アプリの種類や個数によってはShopify Plusプランを契約するより、コストを抑えて運用できる場合や、Shopify PlusプランのBtoB機能では自社の顧客や要件にマッチしきらない場合も、Shopifyアプリの利用で解決するケースがあります。
ただし、この場合は、自社のBtoB ECサイトに求める機能要件の見極め、どのアプリを導入するべきかなど選定にはノウハウも必要となります。Shopify認定のパートナーに相談や構築支援を依頼する方法も視野に入れて検討することがおすすめです。
BtoB ECサイト構築はShopify Plusプランとアプリどちらがおすすめ?
ECサイトの規模や年商が上がってきたら、さまざまな機能と拡張が用意されているShopify Plusプランもおすすめですが、ECサイト立ち上げから間もなかったり、BtoB ECをこれから始めたい場合には、Shopify Plusのプラン料金の負担はリスクが大きいでしょう。
その場合は、他のプランで適切なShopifyアプリを追加することで、コストを抑えながら、BtoB ECサイトを構築することをおすすめします。
Shopifyは事業の成長に合わせてプラン変更も簡単に行えるので、常に最適なコストで運営できる点も特徴です。Shopifyの導入で迷った際には、Shopify PremierパートナーであるBiNDecへお気軽にご相談ください。
ShopifyのBtoB ECサイト事例|国内外4つのBtoB ECサイトを展開「KINTO」
KINTOは、海外にも拠点を持つ、食器やホームグッズのライフスタイルブランドです。国内外に拠点を持ち、7つのECサイト運営や、オリジナルの刻印を選べるパーソナライズド商品の展開やその体験を実店舗と融合させるOMOへの取り組みなど、商品力やブランディングに加え、ECの強みを生かして成長を続けています。
KINTOには、卸先のショップやOEM提供先など多様なBtoBの取引先が存在しており、その一部をShopifyのECサイトを通して受注しています。BtoC向けに構築した国内のECサイトをベースに、デザインと構造を大きく変えることなくBtoB向けに転用することで、短期間での構築を実現しました。
国内外4拠点で直営のECを展開するKINTOがBtoBのECサイトもShopifyに決めた理由はこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
BtoBのECサイト構築におすすめのShopifyアプリ6選
BtoB ECサイトを実現するためには、便利なShopifyアプリから目的の機能をチョイスしていくことをおすすめします。ここから、BtoBのECサイトを構築する際によく利用されるアプリを以下に紹介します。
BiNDec|チェックアウトカスタマイズ

BiNDecが提供する「BiNDec|チェックアウトカスタマイズ」は、チェックアウトページと購入完了ページにコンテンツブロックの追加ができます。
ブロックの表示は購入内容や顧客情報、アトリビュートを使った指定など細かい条件にも対応でき、スクリプトを設定することで注文メタフィールドやカートアトリビュートに情報を追加するといったより高度な設定も行えます。
例えば、下記の機能を持たせることができるので、BtoBにおけるさまざまな商品等に対してチェックアウト画面でも柔軟に案内をすることが可能です。
- チェックアウト画面で数量やバリエーションを変更
- 注文に自由入力のメモを追加
- 商品の特性に合わせて任意の案内文を表示
ブロックの追加以外にもチェックアウト画面のデザインカスタマイズや、カート内の商品編集を拡張できる点も特徴。また、翻訳設定で言語ごとにテキストを編集できるので、多言語にも対応できます。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
Minmaxify Order Limits
「Minmaxify Order Limits」は、個々の商品、またはカート全体の最低注文数量と金額を設定できるアプリです。卸売注文を効率的に管理する上で、最低注文数が決まっている場合に導入が必須の機能となります。また、取引先毎のグループに対して異なる制限を設定することもできます。
利用料は3つのプランで分かれており、月額10ドル〜50ドルです。
Easy Wholesale Locks for B2B

「Easy Wholesale Locks for B2B」はECサイトへのアクセスを制限するアプリです。ECサイト自体だけでなく、ページや商品、コレクション、ブログ、カートなど、ECサイト内のあらゆるコンテンツに対してアクセスの制限をかけることができるため、一般消費者とBtoBの取引先で公開する商品を分けることも可能です。BtoBの取引先の中でもさらに特定の顧客だけに特別価格や予約商品を表示させるといった使い方もできます。
開発中のECサイトに導入できる無料のDevelopment Storesプランと月額9ドルのPREMIUM PLANがあります。
なお、こちらのアプリ画面は日本語化されていないため、導入や設定には多少の慣れが必要ですが、法人取引に適した環境を整えられます。
Locksmith
「Locksmith」も、アクセス制御のアプリとして定評があります。顧客タグに基づいてECサイト全体、特定の商品、コレクション、ページのアクセスを制限できます。例えば、Shopifyで構築した既存のBtoC向けECサイトがあれば、こちらのアプリで機能を拡張してBtoBの取引先専用のエリアを作ることもできます。
利用料はShopify自体のプランに合わせて選択するようになっており、月額12〜199ドルです。
B2B Wholesale Hub

「B2B Wholesale Hub」はBtoBとBtoCを1つのECサイトで並行運用できる卸売価格設定アプリです。タグ付けされた顧客にのみ卸売価格を表示し、顧客グループごとに割引率や個別価格を細かく設定できます。
購入した数に応じて価格を変えられる数量割引や、最低注文条件の設定も可能。商品のアクセス制限などBtoB向けの標準機能も搭載されています。
料金は開発プランを除き3つに分かれており、月額39〜99ドルまでの幅があります。
B2B Wholesale solution
「B2B Wholesale solution」はオールインワンでBtoB向けの卸売対応を可能にするアプリです。顧客登録、カスタム価格、卸売機能、税制管理など必要とされるさまざまな機能がまとめて提供されます。
無料プラン含め4つのプランがあり、利用料は月額25ドル〜100ドルです。
BtoBのECサイト構築、運用を支援するBiNDec
業務システムの基盤となるBtoB ECサイトの構築は、Shopify Plusプランを契約する場合も、Shopifyアプリを組み合わせる場合も、ナレッジ豊富なShopifyパートナーと協業して構築するのが良いでしょう。
WEBLIFEでは、Shopifyを利用したECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」を提供しています。豊富な導入実績とハイレベルな技術力・知識量を認められたShopify Premierパートナーとして、規模や業種を問わず、BtoB向けのECサイトの構築をサポートしています。
ぜひお気軽にBiNDecへお問合せください。
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