個人や中小企業でも世界に向けた販路開拓ができるShopifyは、175カ国で事業展開され、日本からも出店が相次いでいるトップクラスのECプラットフォームです。そのShopifyが、顧客エンゲージメントを高め、よりスムーズな購入体験実現のために提供しているソフトウェアが、その名も「Shop」というストアフロントアプリ。ここでは、自社のみでは難しい集客や販路拡大の強い味方となる、Shopアプリの概要や活用方法と導入のメリットについて解説します。
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世界中のShopifyのECが一望できるShopアプリ
規模を問わず様々なECサイトにプラットフォームShopify
Shopifyは、カナダに本社を構え、20以上の言語をサポートして175カ国でECサイト運営を支援している、世界有数のEC構築プラットフォームです。
Nestle、Pepsi、Unileverといった多国籍企業に加えて、ライフスタイルアイテムやビューティーグッズなどを扱う中小ブランドも数多く出店し、起業間もない頃からビジネスの成長に合わせて、手頃なサブスクリプションプランが用意されていることが人気の秘密となっています。
インターネットのトレンド調査を行っているBuiltWithによれば、全世界のWebサイトをアクセス数でランキングした上位100万サイトのうち、27%弱にあたる26万7,943サイトがEC関連です。そして、その約10%に相当する2万6,127サイトがShopifyを利用しています。
購入から手元に届くまで、優れた顧客体験を提供するアプリ
Shopは、そんなShopifyにおけるオンラインショッピングを、よりパーソナルで便利なものとするために提供されているアプリです。その原点は、元々Shopifyがリリースしていた、配達状況を追跡するArriveと、ShopifyのECサイトにおける電子決済方法として2017年にローンチされたShop Pay(旧Shopify Pay)でした。Shopは、この2つを融合して機能を強化する形で開発され、アイテムの購入から注文の追跡までを1つのアプリ内でシームレスに行えるようになっています。
顧客にあたるショッパーにとって、Shopアプリは全世界で100万軒を超えるShopifyのECサイト(アクセス数が上位100万サイトに入らないECサイトも含む)に指先一つでアクセスして、必要なアイテムをスムーズに購入できるツールです。そして、優れた顧客体験によって、ショッピングに対する意欲を高め、リピート率を向上させる役割を果たしています。
ChatGPTによる商品提案機能も登場
さらに、Shopifyは、話題の会話型AIであるChatGPTの有料プランで利用できるプラグイン機能にも対応しました。要望を自然な言葉でプロンプトとして入力すると、それに適したアイテムをShopifyのラインアップから紹介してくれます。これによって、さらに消費者とのタッチポイントが増えていくことでしょう。
一般に小規模なEC事業者は、自店のみでの集客数に限界を感じたり、物理的にリーチできる商圏を超えて販路を拡大することに課題を抱えていることが少なくありません。しかし、ShopifyのようなECプラットフォームとShopアプリのようなワンストップショッピングアプリを活用することで、成長を阻む要素を可能な限り減らして、本来の商品開発・開拓や、サステナブルなビジネス戦略の策定に集中することができるのです。
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1億人以上が使っているShopアプリの魅力
Shopアプリの魅力は、次のような、おすすめの機能に集約されます。
- スムーズな購入体験を約束するShop Pay
- 的確な商品提案を行うレコメンド機能
- 透明で安心な配送状況の確認のための荷物追跡機能
- タッチポイントを増やす最寄り店舗検索機能(実店舗がある場合)
以下に、それぞれについて説明していきましょう。
Shop Pay
Shop Payは、ストレスフリーな決済によってコンバージョンを向上させるShopify独自の電子決済サービスです。主要なクレジットカードに対応しており、外部の決済サービスのアカウントがなくてもオンライン決済を行うことができます。加えて、初期費用や導入時の審査がなく、取引手数料が不要で海外通貨による決済にも対応しているといった点で、優れた電子決済サービスです。
ECサイトでは、いかに魅力的なアイテムが揃っていても最後の支払いのところで手順が複雑だったり、決済処理に時間がかかりすぎると、買い物客は購入をあきらめることが少なくありません。商品をショッピングカートに入れたにもかかわらず購入にいたらなかった状況は、業界用語で「カゴ落ち」と呼ばれますが、アメリカでは、このカゴ落ちがオンラインショッパーの1/4で発生しているとされ、せっかくの売上機会を逃す結果となっていました。
Shop Payによるコンバージョン率の変化
こうした問題を解決するために、Shopifyは独自の電子決済サービスのShop Payを用意したのです。Shop Payを有効化している10,000店舗を対象とした調査では、Shop PayによってECサイトのリピーターのコンバージョン率は最大1.91倍、チェックアウトのスピードも4倍に改善されました。
引用元:https://www.shopify.com/jp/blog/shop-pay-checkout
しかも、こうしたメリットは、Shopifyの管理画面からShop Payを有効化するだけで得られるため、ECサイト側に余計な負担がかかりません。ショッパーにとっても、Shop Payを利用した最初の購入時に保存された住所やクレジットカード情報を、2回目以降の買い物やShop Payを有効化している他のECサイトでもそのまま利用、あるいは編集して適用できるため、支払いをスムーズに行えるようになり、これも売上の向上に貢献します。
また、セキュリティの点でも万全を期しており、Shop Payの保存情報の利用にあたっては、スマートフォンにSMSで送信される6桁のShop Payコードの入力が必要です。しかし、その番号を入力すれば、配送方法を選ぶだけで決済を完了でき、安心して買い物を楽しめます。
なお、決済手数料は、クレジットカードの発行元やブランドによって異なり、国内発行のカードで2.9%~3.55%、海外発行のカードやアメリカン エキスプレスでは3.8%~3.9%です。
Shop Pay独自のポイントプログラムも登場
さらにアメリカでは、Shop Cashという新たなポイントプログラムも始まりました。これは、Shop Payオンラインチェックアウトサービスを使用して購入した場合、買い物客が1%のポイント還元を受けられるというもので、Shopアプリ内のShop Payウォレットに反映され、Shopアプリ内で次回以降のお買い物時に利用することが可能です。なお、Shop Cashは、付与されてから最大で30日間利用することができることになっており、それが次の買い物の動機にもなるように考えられています。
日本での運用開始時期は明らかになっていませんが、近い将来にShop Cashプログラムが利用できるようになるものと思われます。
レコメンド機能
レコメンド機能は、ShopアプリのShopsタブから利用でき、アプリ内でフォローしているECサイトやブランドの商品情報、そして過去の購入履歴に基づくおすすめ商品や新製品が表示されます。表示内容は、Shopアプリでの利用・購入状況によってショッパーごとに異なり、パーソナライズされたショッピング体験をもたらします。
この機能とShop Payの組み合わせによって、お気に入りのECサイトへの再注文も簡単かつ迅速に行えるため、リピート需要を取り逃がしにくくなり、また、魅力的な商品と新たに出会う機会も増加するのです。
荷物追跡機能
Shopアプリは、購入した商品の配送状況がわかる荷物追跡機能も備えています。
一般のECサイトでは、メールやメッセージで知らせてくれる場合もありますが、1日の受信数が多いユーザーは見過ごしがちだったり、配送業者が異なると通知方法や発信元も違ってくるなど、配送状況を統一的に知ることが難しいのが現実です。
Shopの荷物追跡機能は、注文されたすべての商品について、配送業者を問わず、最新の配送状況が同一の画面で把握できるようになっています。また、Shopアプリとメールアドレスを同期させれば、わざわざ受信箱から該当する商品の注文番号や荷物の追跡番号を探さなくても、Shop内で配送状況がわかります。そして、荷物の位置情報はアプリ内のライブマップ上で「見える化」され、ショッパーは安心して商品の到着を待つことができるというわけです。
このように、配送に関するショッパーの不安を取り除くことは、ECサイト側のサポートの手間を省くことにつながり、ひいては、より多くの売上達成にも貢献するといえるでしょう。
最寄り店舗検索機能
新型コロナウィルスの蔓延によって、人々の消費行動やECサイト側の対応は大きく変化しました。しかし、それが収束しつつある状況になり、再び、リアルなコミュニケーションでショッピングを楽しむ人も増えてきています。
Shopアプリの最寄り店舗検索機能は、こうした変化に対応するものです。もし、ECサイトが店舗を構えて、商品の店内での販売や店頭での受け取りを行なっているのであれば、ショッパーの最寄りの店舗の情報が表示されるので、実際にそこまで出向いてショッピングを楽しみやすくなります。そして、地域経済活性化への貢献も期待できるわけです。
これからは、OMOと呼ばれるECサイトとリアル店舗のハイブリッドでのビジネス展開も増えてくるものと思われますが、Shopアプリは、そのような状況にも対応できるように備えているといえるでしょう。
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日本からの出店状況は?
Shopアプリは、現時点ではインターフェースの表示が日本語にローカライズされていません。Shopify自体の管理画面は日本語でも利用できるので、Shopアプリも近い将来にローカライズされると考えられますが、現状でも操作は直感的に行えるため、実用上の問題はないでしょう。
また、Shopify Japanによると2020年のデータでは、日本市場におけるShopifyの流通総額は2019年比323%増と、他国に比べても高い成長率を示しています。日本国内では前年比の新規出店数が228%増となっており、この伸び率は、他のマーケットとの比較でも上位に入る数字です。
さまざまな規模、業種の会社や組織が出店していることからも、現時点でShopアプリが日本語されていないことは大きな障害とはなっていないことがわかるでしょう。
なお、Shopifyで自社のECサイトを開いていれば、Shop Payを有効化するだけで、自動的にECサイトのおすすめ商品が、既存顧客のShopアプリのフィードとして表示されるようになるため、他に特別な設定などは必要ありません。そうした部分も含めて、使いやすいプラットフォームになっているといえます。
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ShopがEC事業者にもたらす効果
最後に、EC事業者にとってのShopのメリットとデメリットを、改めてまとめておきましょう。
メリットとしては、以下のような事が挙げられます。
お目当ての商品が見つかりやすい、ユーザーフレンドリーな機能
Shopアプリは直感的なインターフェースを持っていて使いやすく、ユーザーフレンドリーです。ショッパーは目的の商品を探し出して、それに関する情報を見たり、好みに合う新しい商品のおすすめを受けることを簡単に行えるため、こうした特徴が集客や売上のアップにつながっていきます。
取引手数料がかからないShop Pay
電子決済システムのShop Payがアプリに統合されているため、EC事業者は追加の手間や費用をかけずに安全で迅速な支払いを受けることが可能です。また、Shop Payでは、ECサイト側の取引手数料負担もありません。
越境ECでグローバルに展開
Shopify自体が175カ国でサービスを提供していることから、日本のECサイトであっても海外に対する認知度や集客力を上げることができ、国内向けビジネスの延長で越境ECの展開を行えます。そして、自前でサービスを立ち上げるよりも、サポートの手間などが省け、本来の事業に集中することが可能です。
モバイル対応を念頭に置いたUI
「モバイルファースト」という言葉があるように、世界的に見ると、オンラインショッパーはPCよりもスマートフォンを使ってショッピングを行う傾向が強いといえます。Shopアプリは、スマートフォンでの利用を前提に開発され、モバイル状態での利用を念頭にしたインターフェースとなっているため、ショッパーの買いたいという気持ちをそぐことなくコンバージョンを高められるのです。
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Shopアプリを使う上でのデメリット
一方で、デメリットとしては、以下のようなものが考えられます。
Shopifyの利用は有償プランのみ
Shopifyでは初期費用はかからないものの、基本的にはベーシック、スタンダード、プレミアムの3つの料金プランから選択して利用することになり、無償プランはありません。プランの違いは、アカウントにアクセスできるスタッフの数や販売レポートの詳細さにあり、ビジネスの規模に見合ったサービスが提供されると考えてよいでしょう。
各プランの月額はそれぞれ、33ドル、92ドル、399ドルですが、3日間の無料体験や、登録後の最初の3ヶ月は月額1ドルとなる初心者向けの優遇措置、年契約の場合の25%割引の制度が用意されています。
また、SNSやメッセージングアプリ経由の商品販売に特化した月額5ドルのスタータープランや、取引量が多い業者向けのShopify Plusプラン(月額2500ドル〜)もあります。
Shopifyの各プランの詳細と選び方は下記の記事をご覧ください。
デザインは統一で、カスタマイズの制限がある
Shopアプリでは、ストア側がカスタマイズできる部分はあまりありません。これは、統一的なインターフェースを用いることで、ショッパーが迷うことなく、優れたショッピング体験を実現するために必要な制約なので、致し方ないといえます。その分、商品写真や説明文の工夫、価格設定などによって、自社の取り扱い商品を際立たせると良いでしょう。
Shop Pay以外は取引手数料がかかる
Shop Payを利用しない場合、Shopifyは各売上に対して取引手数料を課します。これは、使用しているプランによって異なり、ベーシックプランで2%、スタンダードで1%、プレミアムで0.5%となりますが、この点は、Shop Payを使うことで解消可能です。
Shopifyで利用できる各種決済サービスの特徴や手数料については下記の記事をご覧ください。
以上がShopifyのShopアプリの主なメリットとデメリットですが、すべてを自ら構築する場合の手間や費用、Shop Payの利便性などを考慮し、ビジネスの成長に応じたプランを使い分けることで、デメリットよりもメリットのほうが上回ると考えられます。ShopifyとShopアプリを活用することで、自社のEC事業の拡大と海外展開を視野に入れた成長戦略を描いてみてはいかがでしょうか?
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