今回は、ECサイト構築サービス「Shopify(ショッピファイ)」をこれから導入したいと考えている方に向けて、導入前にしておくべきことについてまとめます。
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ECサイトの構築方法の分類と、Shopifyの位置づけ
まずは、ECサイト構築サービスの構築方法について見ていきます。
Shopifyはカナダで誕生したECサイト構築サービスです。世界175カ国以上で利用されており、日本語にも対応しています。執筆時現在、オンラインで作成できるECサイトのプラットフォームとしては世界最大のシェアとなっています。
ECサイト構築を自社開発以外で実現する場合の構築手段は複数に分かれます。具体的には以下のようなものがあります。
1. オンライン上で自分のショップを構築する
登録をすることで、売上ごとの課金、または月額課金でショップ構築の機能が利用できるサービスです。Shopifyや、日本で人気のBASEやSTORESといったサービスもここに含まれます。BASE、STORESとShopifyとの違いは以下になります。
サービス利用料
BASE、STORESは売上ごとにサービス利用料が発生しますが、売上がなければ手数料がかかりません。Shopifyはサービス利用料は原則月額課金になります。
拡張性
BASE、STORESは基本的に初心者向けに作られており、機能がわかりやすい分少なめなのであまり大きなECサイト構築に向いていません。Shopifyは拡張性が高く、ショップの状況や規模に応じてさまざまな機能の追加が可能です。
Shopifyが法人ECに選ばれる理由を数字でまとめました。
2. オンライン上のショッピングモールに自分のショップを出店する
楽天やアマゾンといった「ショッピングモール」のサイトに自分のショップを登録して運営する方法です。オンラインで自分のショップを作るのと比べて、モールを通じて集客がしやすい反面、維持費が割高であったり、機能や表示に関することがモールに縛られるというデメリットもあります。
Shopifyの費用や機能について詳しくは以下の記事でご紹介しています。
3. パッケージ(プログラム)をインストールしてショップを構築する
EC-CUBE、WooCommerceのようなオープンソース型や、ecbeingなどの有料で導入する形のパッケージがあり、自社で準備したサーバーにインストールする形で利用します。
インストールを行うため他の手段と比べて初期費用がかかる反面、カスタマイズの自由度が非常に高く、特に商品数が多く売上の大きいECサイトを運用する企業の利用が多くなっています。長い間運用していくとプログラムを改修するコストや期間がかかるところがデメリットと言えます。
Shopifyは、それぞれのメリットを生かした「いいとこ取り」のサービス
Shopifyは、オンラインでECサイトを構築できるサービスとしては拡張性が高く、拡張するためのコストも安く抑えられるため、大きなショップでも低コストで対応可能である点でコストパフォーマンスが高くなっています。また、集客に関する機能も多数揃っており、それぞれの構築方法のいいとこ取りのサービスと言えます。
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ショップを作る前に必要な準備13項目
ECサイトの構築は、8割以上準備で決まると言っても過言ではありません。ここでは、Shopifyでの構築を前提に、「情報」「しくみ」「運営」「構築・公開」に分類した以下の13項目のチェックリストについて一つ一つ見ていきます。
- 情報の準備
- 商品情報の整備
- ショップ内に掲載する情報の整備
- 特定商取引法に基づく表記、プライバシーポリシーの整備
- しくみの準備
- 決済方法、送料の検討
- 配送手段の検討
- 在庫管理方法の検討
- 運営の準備
- 運営体制の整備
- 配送に必要な資材などの検討
- 予算の検討
- ショップ構築・公開の準備
- ドメイン、メールアドレスの準備
- デザインの検討
- 公開タイミングの検討
- 集客方法の検討
情報の準備
ショップに掲載する情報は、最初に着手するものになるでしょう。ショップそのものの内容を決める重要なものになりますので、しっかり検討していきます。
1. 商品情報の準備
以下の情報を、それぞれの商品について準備する必要があります。
- 商品名や価格などの基本情報
- 各商品の説明文
- 商品写真の撮影
- バリエーションの検討(色、サイズなど)
- カテゴリー分けの検討
Shopifyでは、商品情報が入ったCSVデータを一括で登録できます。 データのフォーマットが決まっているため、フォーマットに合わせて一覧で準備をしておくと、登録のときに楽になります。データの登録についてはこちらの記事も参考にしてください。
2. ショップ内に掲載する情報の整備
ショップ自体の紹介コンテンツも、あらかじめ準備をしておく必要があります。
- ショップのプロフィール
- コンセプトやポリシーなどの記載
- ブログの設定
Shopifyでは、商品以外の情報を掲載するための「ページ」を作ることが可能です。ここにプロフィールや会社概要、コンセプトなどの情報を掲載することができます。ブログ機能もあるため、頻繁に情報を発信したい場合に利用できます。
3. 法律に基づいた表記、ポリシー、利用規約の整備
法律に基づいた表記については、ECサイトで必須になりますので必ず準備が必要です。法律で義務化されているものも含め、購入する人の安心につながる情報ですので、準備しておきましょう。
Shopifyでは以下の内容を管理画面から設定できます。取り扱う商品によっては以下以外にも掲載が必要なものもありますので、調べておきます。
- 返金ポリシー
- プライバシーポリシー
- 利用規約
- 配送ポリシー
- 特定商取引法に基づく表記
しくみの準備
売上やコストに影響が出やすい部分なので、慎重な検討が必要です。
1. 決済方法の検討
Shopifyでは、公式のShopify ペイメントを始め、コンビニ決済、携帯キャリア決済、後払いなど、多数の決済方法が選択できます。取り扱う商品の性質や、想定される購入者の状況に応じて、決済方法を決定しましょう。
決済方法についての解説は以下の記事をご覧ください。
2. 配送手段、送料の検討
商品の重さや大きさ、配送する距離によってコストが変わってきますので、コストとのバランスを考えて配送会社や送料を検討する必要があります。
戦略として、「一定の配送料を自社で設定する」「無料配送する」「自動計算」といった方法が考えられますが、それぞれメリット・デメリットがあります。配送業務を代行してくれるアプリもありますので、そういったものを利用するのも一つの方法です。
3. 在庫管理方法の検討
商品の在庫をどこに持ち、誰が管理するかといったことも重要な検討事項です。取り扱う商品の点数や大きさによっても変わってきます。倉庫を借りて配送までアウトソーシングするといった形もとることができます。
倉庫選びについての解説は以下の記事をご覧ください。
運営の準備
ショップは開設したあとからが本番です。ショップ運営についての準備も確実にしておきましょう。
1. 運営体制の整備
ショップの運営がスタートしたら誰がどのような動きをするのかを決めておく必要があります。以下のようなものが考えられます。
- 商品の仕入れ、企画
- ショップの更新、改修などの作業
- 売上の管理・分析
- 在庫の管理
- 商品の梱包、発送
- 返品・トラブル・問い合わせなどの対応
- アフターケア
2. 配送に必要な資材などの検討
商品を発送する際に必要なものには以下のものが考えられます。こちらもショップ開設前に検討が必須になります。
- 配送するダンボールなどの大きさ、素材などの選定
- 梱包材の種類、素材等の選定
- 包装材の種類、デザイン等の選定
- 同梱するチラシやショップカードなどの作成
- 同梱する納品書のフォーマットの作成
3. 予算の検討
上記の検討事項を踏まえ、売上予測とコストとのバランスを見て予算を想定します。以下のような想定されるコストを洗い出し、費用を見積もります。
- 人件費
- 配送費
- 資材などの材料費
- デザイン作成費
- 集客のための広告費
- 各種利用料(Shopify利用料、ドメイン管理費、アウトソーシング費など)
ショップ構築・公開の準備
ここまで準備ができたら、いよいよ構築の準備に入ることができます。
1. ドメイン、メールアドレスの準備
ショップのURLを検討します。Shopifyに登録すると「(自分で決めた文字列).myshopify.com」というURLが作られますが、自社のブランド力強化や、URLを多くの人に覚えてもらいたいという場合は「独自ドメイン」を準備するとよいでしょう。
独自ドメインは、Shopifyで購入して設定をすることも可能ですが、他のドメイン販売会社からの購入、契約したものを設定することも可能です。
また、ショップ運営専用のメールアドレスも決めておきましょう。Shopifyには以下の設定があります。
- 連絡先メールアドレス:Shopifyからストア管理者に連絡するためのアドレス
- 送信元メールアドレス:お客様が注文をしたときの「送信元」として表示されるアドレス(=お客様が返信したときの送信先)
- 通知先メールアドレス:注文があったときなどに運営スタッフに通知されるメールアドレス(複数設定可能)
2. デザインの検討
商品パッケージや、ブランドの方向性などに応じて、デザインを検討します。 Shopifyには150種類近くの「テーマ」が用意されており、クオリティも高いものが揃っています。ショップの状況に応じて、どのテーマを使ってどのようにカスタマイズしていくかを検討する必要があります。構築を専門とする業者に任せるという方法もとれます。
3. 公開タイミングの検討
ショップの公開スケジュールを決定します。以下のようなことをポイントとして決めていきます。公開するタイミングがその後の売上に影響することもありますので、慎重に検討しましょう。
- 商品の製造/仕入れ完了時期
- 季節性のあるものは季節を考慮
- ショップの構築スケジュール
4. 集客方法の検討
Shopifyで構築したショップは、そのままではどこからも見られませんので、なんらかの形でショップを見てもらう施策を打つ必要があります。以下のような方法が考えられます。
- 実店舗がある場合は店舗での紹介
- チラシやショップカードなどを制作してイベントなどで配る
- SNSとの連携
- Web広告などで認知を促す
- ブログ記事でショップ流入のきっかけをつくる
- 集客機能を持つShopify Appの導入
Shopifyでは、SNSを使った集客に関連する機能も充実しています。InstagramやFacebookなどと連携して、ショップへの流入を増やす施策をとることができます。
Instagramでの集客についての記事は以下の記事をご覧ください。
また、Shopifyでは標準でブログ機能がついているため、これを利用してページを増やし、検索での流入を増やすという方法もとることができます。
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自社での対応が難しいところはアウトソーシングも活用
以上、ここまで13項目のチェックリストを紹介してきましたが、商品点数が多くショップの規模が大きい場合、自社だけでこれだけの判断や作業を行うのはかなり厳しいと思います。 以下のような自社だけでは判断や作業がし辛いものについては、外部に相談したりアウトソーシングを行うことで負担が軽減し、中長期的なコスト削減や集客力アップにも繋がります。
決済方法の決定
Shopifyには多数の決済手段があり、それぞれの決済手段の特徴やかかるコストなどをすべて調査するのは時間がかかります。こういった部分を外部に相談して判断を仰ぐことで、準備の時間を抑えることができます。
デザインやショップ構築
Shopifyはテーマを選んで構築できるとはいえ、Webデザインの知識や経験がない場合、オリジナリティのあるショップ構築の難易度は高いものになります。専門業者に任せることで、期間も短く、質の高いものを作ることができます。
在庫や顧客データの管理
商品点数が多い場合、自社の担当者で在庫を管理していくのはかなり労力がかかります。在庫管理を専門業者に委託することで、自社スタッフの負担を大きく抑えることが可能です。
物流との連携、配送資材の手配
梱包、発送を代行する業者に委託をすると、資材の選定や配送業者も含め、最適なものを選択し、配送を行ってもらえます。ECサイト運用ではもっとも時間的なコストがかかる部分を外部委託することで、ショップ運営の効率が上がります。
SNSでの発信、Web広告の運用
SNSでの発信やWeb広告の運用に関する知識がない状態で集客をするのは困難な場合があります。設定やチューニングも難しいので、こういったことも専門業者に任せることで、効率の良い集客が期待できます。
BiNDecでは、構築や運用に関する総合的なアドバイスが可能です
Shopify公認「Shopify Plusパートナー」のBiNDecでは、準備段階での判断に迷う部分についてのご相談も承っています。戦略に基づいたデザインや構築、Shopify Appの導入支援はもちろん、最適なアウトソーシング先のご紹介など、総合的なアドバイスが可能です。
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