ロングテール戦略を成功には?ニッチな商品を揃えるメリットとEC事例

ロングテール戦略を成功には?ニッチな商品を揃えるメリットとEC事例

ロングテールは、直訳すれば「長い尾」という意味です。しかし、マーケティングにおけるロングテールとは、主にインターネット上での商品販売における特定の現象を指し、その現象を利用した販売戦略をロングテール戦略といいます。
本記事では、EC事業者が知っておきたい、ロングテール戦略の意味、メリット・デメリット、実践法、成功事例などを紹介します。

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ロングテールとは、ニッチな商品の売上合計が大きな割合を占める現象

ロングテールとは、ECサイトなどで商品を販売した際、売れ筋ではないニッチな商品の売上合計が、全体の売上の中で大きな割合を占める現象を指す言葉です。縦軸を売上、横軸を商品の種類でグラフを作った際、売上が多くない商品群が長く尾を引くような形になることから、ロングテールという名が付けられました。

あえてニッチな商品に注目したマーケティング戦略

ロングテールは、取り扱い商材が増えれば増えるほど発生しやすくなります。全体の取り扱い商材が10種類程度の事業者では、ニッチ商品の売上合計が、全体のうち大きな部分を占めるといった現象が起こる可能性は高くありません。しかし、取り扱い商材が100種類、1,000種類、1万種類と増えていけば、売上に占める割合の低い商品が大量に発生します。一つひとつが売上に占める割合は低くても、合計すればまとまった額になるでしょう。
そこで、この現象を意識してあえてニッチな商品を幅広く取り揃えて売上拡大を目指すマーケティング戦略があり、これをロングテール戦略と呼びます。

人気商品とのクロスセルを狙って客単価アップに繋げる

ロングテール戦略は、単純にニッチな商品を数多く取り揃えるだけでなく、人気アイテムの関連商品としてニッチな商品を売る方法も活用されています。関連商品として表示させることで、ニッチな商品の存在を顧客に伝えられる上に、人気商品との同時購入につながる可能性があるためです。
とはいえ、現実的には無限に商品在庫を抱えることはできないため、取り揃える商品は慎重に選定しなければなりません。年間で一定数売れている商品や、自社の顧客が興味を持ちそうな商品を分析し、根拠のある商品選定を行いましょう。

人気商品とのクロスセルを狙って客単価アップに繋げる

また、ロングテールとは真逆の、「パレートの法則」についても意識しておく必要があります。パレートの法則は「売上の8割は、全体の2割の商品によるものである」という考え方です。パレートの法則にもとづいた販売戦略では、2割の売れ筋商品に注力して、効率の良い販促を目指すことになります。ロングテール戦略とパレートの法則、どちらを採用するのかは、取り扱う商品や経営方針によって異なるため、自社のECサイトがどちらにマッチするかを検討してください。
パレートの法則について詳しくは、下記の記事をご参照ください。

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ECサイトならロングテール戦略で売上拡大を目指せる

ロングテール戦略で売上拡大を目指せるようになった背景には、ECサイトの普及があります。ECサイトでは、商品を登録しておくだけで、ニッチな商品でも消費者がみずから検索サイトなどを経由して商品ページを見つけて、購入に至る可能性があります。店頭の限られたスペースの中に商品を並べなければならない実店舗での販売とは、大きく条件が異なるのです。

ロングテール戦略で売上拡大を目指せるようになった背景

同時に、接客の問題もあります。実店舗では、「◯◯はありますか」と聞かれるたびにスタッフが商品を探す必要がありますが、EC事業では商品ページが商品説明を担うため、ニッチな商品についての知識を有するスタッフは不要です。
ロングテール戦略は、コミュニケーションコストをかけなくても自由に顧客自身が商品を検索して購入に至るECサイトで特に採用しやすい戦略だといえるでしょう。

ニッチな需要で売上を作るロングテール戦略のメリット

EC事業でロングテール戦略をとることには、さまざまなメリットがあります。ただし、メリットを享受できるかどうかは、取り扱い商材を分析して適切な商品ラインナップが実現できているかなど、事業の運営方法などによっても変わるため、注意しなければなりません。ロングテール戦略の代表的なメリットは、下記の3点です。

売上が安定する

ロングテール戦略のメリットは、売上が安定することです。ロングテール戦略では、多くの商品を取り揃えて少しずつ販売することで全体の売上を底上げするため、一部の売れ筋商品に売上を依存するリスクを軽減できます。売れ行きが鈍くなった商品があったとしても、それ以外の商品の売上によって、ある程度損失をカバーできます。
特にECサイトでロングテール戦略を実施すれば、実店舗に比べて商品の陳列スペースや従業員への商品説明の教育コストも不要で、必要な費用はECサイトの作成・運営コストや仕入れ費用などしかないため、コストパフォーマンスの高い安定した事業運営が可能です。

幅広い顧客ニーズに対応できる

ロングテール戦略は、幅広い顧客ニーズに対応できるという点もメリットです。例えば、特定分野に特化してさまざまな関連商品を取り揃えたECサイトを構築すれば、「◯◯関連で欲しいものがあるときは、あそこに探しに行けば見つかる」と思ってもらえる可能性が高くなります。
幅広い顧客ニーズに応えられる品揃えは、顧客の信頼や愛着を獲得するにも役立ちます。顧客と良い関係性を構築するためにも、ロングテール戦略は効果的です。

不良在庫という考え方が不要になる

不良在庫という考え方が不要になるという点も、ロングテール戦略のメリットです。ロングテール戦略では、年に数個しか売れない商品にも一定の価値を見出します。そのため、売れ行きのよくない商品を不良在庫として処分したり、どの商品が不良在庫にあたるか確認したりする必要がなくなります。

ただし、一切売れない商品を漠然と抱え続けていては保管コストばかりがかかってしまうため、とにかく取り扱う商品の種類を増やせばいいというわけではありません。ニーズがまったくない商品を除外するための、商品の選定と売れ行きの確認は必要です。

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時間と保管コストに注意。ロングテール戦略のデメリット

ロングテール戦略には、デメリットも存在します。下記4点のデメリットを踏まえた上で、自社のECサイトに適しているかどうか検討しましょう。

売上が大きくなるまでに時間がかかる

ロングテール戦略のデメリットとして、売上が大きくなるまでに時間がかかるという点が挙げられます。ロングテール戦略では、ニッチな商品を多数取り揃えて、年に数件ずつでも販売していくことで全体の売上を底上げします。また、ニッチ商品の売上が大きくなるまでには、「このECサイトに行けばあるかもしれない」という評判が広まることも必要です。商品ページを作成したとしても、すぐその商品を求めている顧客からの注文が入るとは限りません。
そのため、売上の拡大を感じられるまでには一定の時間がかかる点には注意してください。長い目で根気よく取り組んでいく必要があります。

在庫の保管コストはかかる

ロングテール戦略のデメリットは、在庫の保管コストがかかるという点です。ECサイトでのロングテール戦略では、商品を店舗に並べる必要はありませんが、商品の受注に備えた在庫の保管は必要です。
ニッチな商品一つひとつの在庫数は多くなくても、種類が多くなればそれだけ保管スペースも大きくなっていきます。また、保管期間が長くなれば、その分だけ保管コストがかさむという点には注意しなければなりません。

在庫の保管コストはかかる

Webマーケティングの知識が必要になる

ロングテール戦略では、ウェブマーケティングの知識が必要になるという点もデメリットです。多様な商品を取り揃えたECサイトを作成しても、その商品へのニーズを持った顧客が訪問してくれなければ意味がありません。

ニッチな商材を取り扱っていることを顧客に伝え、該当の商品名で検索されたときに上位表示されるようにするためには、SEOやSNSマーケティングといった、Webマーケティングに関する知識が必要になります。この点は、ECプラットフォームの機能によって、補うことができる場合もあります。例えばShopifyであれば、自社ECサイトでの売れ筋商品やロングテール商品を抽出して顧客のニーズを分析したり、分析結果をもとにSNSなどでマーケティング施策を展開したりすることも可能です。

商品登録の手間が大きくなる

商品登録の手間が大きくなるという点も、ロングテール戦略のデメリットです。実物を見られないECサイトでは、写真や商品説明が顧客の購入を左右します。興味を持ってもらえるクオリティの写真や商品データの収集・計測、説明文の作成などが必須となるため、ロングテール戦略のために多くの商品でこの作業を行うとなると、大きな時間とコストがかかります。

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ECでロングテール戦略を実践する方法

ECサイトでロングテール戦略を実践する際には、適切な手順で進めることが重要です。中小規模のECサイトでは、下記のようなステップを踏むと、成功を収めやすくなります。

1. ターゲット層と扱う商品の選定

最初のステップは、ターゲット層と扱う商品について検討することです。さまざまな商品を用意することで売上の底上げを狙うロングテール戦略ですが、Amazonのようにあらゆる分野のニッチな商品を網羅するECサイトを新たに構築するのは現実的ではありません。既存顧客のニーズや自社の得意とする分野などをもとに、どの顧客層を狙い、どのような商品をそろえるべきなのかを検討しましょう。

すでにECサイトを運営している事業者であれば、顧客のデータを分析して、興味を持ってもらえそうな商品を推測するのがおすすめです。ニーズがありそうと推測した商品が実際に想定したターゲットに売れるかを確かめるために、SNS広告で小規模なテストマーケティングを行うといった方法も考えられます。

2. 検索上位に表示されやすいサイトづくり

ターゲット層と商品の選定が終わったら、次の段階は検索結果の上位に表示されやすいサイトづくりです。ニッチな商品を求めるユーザーが、検索サイトで商品名などを検索した際、自社のECサイトが上位に表示されるようにSEOを実施することで、購入につながる可能性を高めます。
ECサイトのSEO対策については、下記の記事もご覧ください。

3. 定期的なコンテンツの充実

ターゲット・商品の選定とECサイトの構築が終わった後は、定期的にECサイト内のコンテンツの更新を行いましょう。検索上位に自社のECサイトを表示させて、訪問を促し、購入につなげるためには、ECサイトの定期的なアップデートが不可欠です。
顧客の興味を惹きそうな記事コンテンツや、動画などによる商品の使い方の説明、ユーザーレビューなどを充実させることで、集客や売上向上を狙いやすくなります。

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ロングテール戦略の成功事例

EC事業におけるロングテール戦略の成功事例として、Amazon™とNetflix™の例を紹介します。ただし、これらの事例はいずれも大規模なEC事業での成功例です。一般的な規模のD2Cを行うEC事業者が、そのまま参考にするのは難しいという点には注意しなければなりません。
EC事業では店舗を構えることがない分、多種多様な在庫を持ちやすい業態です。とはいえ、在庫が増えれば保管コストも増大し、商品管理の手間も増えます。

受注生産やドロップシッピングのように在庫を抱えずに済むビジネスモデルを採用したり、どの程度の需要があるのかをあらかじめ分析したりするといった対策が必要です。闇雲に多くの商品を仕入れるのではなく、自社の事業規模に応じた取り入れ方を検討してみましょう。AmazonとNetflixが実施した施策の内容は、下記のとおりです。

なお、ドロップシッピングについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

Amazon

Amazonは、ニッチな商品を多く取り扱うことで、事業規模の大幅な拡大に成功しています。Amazonで扱われている商品数は、日本で販売している商品だけでも約2億種類に及びます。その中に販売件数が少ない商品が数多く含まれていても、一つひとつの売上が積み重なっていけば大きな利益につながります。
ニッチなニーズに応え続けることで、ニッチなニーズを持った顧客にAmazonを頼ってもらうという循環を実現しており、「欲しいものがあるときは、Amazonを探せばいい」というブランディングに成功しているのです。
Amazon

Netflix

Netflixは、動画配信サービスを運営するEC事業者です。動画配信というサービスの特性から、元々在庫を抱えるリスクがありません。この強みを活かし、ニッチな作品を積極的に取り扱うことで会員数を増加させていきました。
ニッチなニーズを満たすオリジナルコンテンツや独占配信作品などによって、そのニーズを持つユーザーはほかの動画配信サービスではなくNetflixを利用したいと考えるようになります。
Netflix

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ロングテール戦略がうまくいかない場合の戦略

成功例も多いロングテール戦略ですが、ビジネスモデルや取り扱う商品の分野によっては、必ずしもうまくいかない場合もあります。ロングテール戦略が自社のEC事業とマッチしない場合は、ロングテール戦略とは反対に、ヒット商品にコストを集中的に投入する「ブロックバスター戦略」や、商品の上位2割に注力する「パレートの法則」をヒントにした施策を採用してみるのもおすすめです。
ビッグデータの活用によるヒット商品の予測精度も高まってきているため、注力した商品が思うように売れなかった場合のリスクは大きいものの、売上改善のための有効な選択肢になる可能性があります。

まとめ:ロングテール戦略を正しく理解して、利益アップに役立てよう

実際に成功例も複数あるロングテール戦略ですが、自社のECサイトに有効かどうかは、販売データや市場分析などをもとに検討する必要があります。目指すべきビジネスモデルや商材の特徴、顧客のニーズなどを分析した上で、慎重に検討してください。

ロングテール戦略を行う場合は、ECプラットフォームのShopifyを利用するのがおすすめです。Shopifyなら、すべてのプランで商品登録数が無制限であるため、上限を気にせずに数多くの商品を登録できます。商品の特徴を詳しく伝えられるページも簡単に作成できて、ロングテール戦略に適した商品を選定するための分析機能やタイトルタグ・メタディスクリプション編集などのSEOの機能も充実しているため、効果の高いマーケティング施策を実施できるでしょう。

Shopifyについて詳しく知りたい場合は、ShopifyでのECサイト構築や運用、マーケティングなどの支援サービスであるBiNDecにお問い合わせください。ご希望や置かれている状況に合わせて、お悩みを解決する方法をご提案します。
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POINT

  • ロングテールとは、ニッチな商品の売上合計が大きな割合を占める現象のことで、ニッチな商品を数多く取り揃えて売上拡大を目指す戦略をロングテール戦略という
  • ロングテール戦略には、売上の安定や幅広い顧客ニーズへの対応などのメリットがあるが、在庫の保管コストや商品登録の手間などには注意しなければならない
  • ロングテール戦略の実施には、適切な商品ラインナップの選定と、SEOなどによって顧客に自社サイトに訪問してもらう工夫が必要になる

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