ShopifyでECサイトを構築・運営している担当者にとって、どの決済方法を利用するのが最適なのかは悩みのひとつです。しかし、越境ECなどを視野に入れた場合は、少なくても海外顧客からの需要が高いPayPal(ペイパル)の利用は欠かせません。
この記事では、Shopifyの決済方法にPayPalを使うメリットや連携する方法などについて解説します。PayPalには国内向けのECサイトにも役立つメリットもありますので、ぜひ参考にしてください。
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PayPal(ペイパル)とは安全な決済サービス
PayPalは、数ある決済方法の中でも人気の高いサービスです。すでにサービス開始から20年以上の実績を持ち、ユーザーは世界に4億人以上います。これは、PayPalの仕組みが安全な決済サービスとして認知されているからです。がここでは、PayPalについて、基本的な概要をおさらいしておきましょう。
Shopifyで利用できるそのほかの決済サービスについては下記の記事をご覧ください。
PayPalが世界で利用される理由
前述したように、PayPalのユーザーは世界に4億人です。また、企業が利用するビジネスアカウントも、世界で3000万社以上となっています。まさに、世界でトップレベルの決済サービスと言えるでしょう。では、これだけ世界で利用される理由は何でしょうか?
まず、大きな理由のひとつとして、100以上の通貨に対応していることが挙げられます。これにより、通貨が違う国同士でも、簡単に決済が可能です。例えば、PayPalに対応している日本のECサイトであれば、アメリカ人がアメリカにいながら日本円の商品を買うことができるのです。
そして、PayPalの決済に利用できる決済方法が多いことも、理由のひとつです。各種クレジットカードはもちろんのこと、デビットカードや銀行振込も利用できます。これにより、クレジットカードを持ってない人や、クレジットカードを作れない年齢の方でも、ECサイトで決済が可能なのです。このような背景がPayPalは世界中で利用されている理由と言えるでしょう。したがって、越境ECを視野に入れた場合、PayPalは欠かせない決済サービスなのです。
なお、PayPalで利用できる代表的なクレジットカードには、以下のとおりです。
<PayPalで利用できるクレジットカード例>
- JCB
- Visa
- Mastercard
- Discover
- American Express
安全な決済が可能なPayPalの仕組みとは?
PayPalの仕組みを知らない方、「PayPalでクレジットカードが利用できると聞いて、なぜ直接カード決済をしないのか疑問に思った方もいるでしょう。その理由のひとつには所有しているクレジットカードが対応してないという可能性もありますが、一番の理由はPayPalに安全な決済ができるエクスプレスチェックアウトという仕組みがあるからです。
では、その仕組みとはどのようなものでしょう。PayPalの決済フローとしては、まず顧客はECサイトの支払い画面でPayPalの決済を選択します。次にPayPalにログインし、クレジットカードなど登録されている支払い方法を選び、決済を完了します。決済が完了すると、PayPalからECサイトのアカウントに入金が行われるのです。
つまり、この仕組みであれば、顧客はECサイト側に自分のクレジットカードや銀行口座番号などを知らせる必要はありません。また、ECサイト側も顧客の支払いをPayPalが代行してくれるので安心です。結果的に、エクスプレスチェックアウトは双方が安心して決済できる仕組みといえるでしょう。
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PayPalをEC事業者が導入する4つのメリット
PayPalのメリットは、安全な決済や越境ECへの対応だけではありません。通常のECサイト運営において、事業者が導入するメリットは多数あります。ここでは、その中でも代表的なメリットを4つご紹介しましょう。
入金サイクルが早い
PayPalは入金サイクルが早いことがメリットです。商品がいくら売れても、支払われた代金を引き出せなければ、EC事業者としては仕入れ代金や運営資金などに問題が発生する可能性があります。PayPalの入金は、顧客が利用した支払い方法がクレジットカードでも銀行口座でも関係なく、即時行われます。また、入金されたアカウントから銀行口座への引き出しも、最短で3日しかかかりません。
もちろん、アカウントの制限や銀行口座によって条件は異なりますが、入金サイクルが早いことはECサイトの運営で、魅力的なメリットと言えるでしょう。
手数料など一部のコスト面が有利
PayPalでは、利用にかかるさまざまなコスト面でメリットがあります。例えば、アカウント開設や初期費用、月額手数料は無料です。また、アカウントに入金された売上金を銀行口座に引き出す場合、1回あたり50,000円以上の引き出しであれば基本的に無料(金融機関による)です。
なお、顧客が購入する際の決済手数料は無料(通貨換金手数料を除く)ですが、EC事業者側の受取手数料は国内取引で3.6%+固定手数料、海外取引で4.1%+固定手数料がかります。必ずしも、すべての手数料が無料ではないことにご注意ください。
しかし、何らかの理由で取引がキャンセルされて代金を返金した場合、他の決済サービスでは受取手数料は戻りませんが、PayPalの場合は返金されます。この仕組みも、メリットのひとつと言えるでしょう。
顧客の決済手段が増えるので機会損失が減る
PayPalを導入することで、顧客の決済手段が増えます。いくら良い商品を揃えたECサイトでも、顧客が持つ決済手段に対応していなければ、カゴ落ちなどの機会損失は免れません。しかし、PayPalを経由すれば銀行決済を希望する方や、クレジットカードを持てない若者にも購入して貰いやすくなります。もちろん、対応通貨の多さから、海外顧客も利用しやすくなります。つまり、PayPalを導入することで、より広い顧客層をターゲットにできるのです。
そのほかの各種決済サービスのユーザー層ごとの分類は、下記の記事もご覧ください。
売り手保護制度がある
PayPalには、ECサイト事業者に安心を提供する「売り手保護制度」があります。売り手保護制度とは、顧客から商品が届いていないなどのクレームが発生した際に、PayPalが対象金額の全額を保証してくれる制度です。もちろん、顧客のクレームに対して事業者側が問題なことを証明する必要などはありますが、PayPalが定める要件を満たしていれば売り手保護制度に適用件数の制限はありません。ECサイト事業者とってリスクを回避できる制度と言えます。
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ShopifyとPayPalを連携する4ステップ
ShopifyでPayPalを利用するのは簡単です。連携に必要なのは、主にPayPalビジネスアカウントの取得と、Shopifyでの設定変更です。ここでは、ShopifyとPayPalを連携する4ステップをご紹介しましょう。
PayPalビジネスアカウントの取得申請をする
最初にすべきことは、PayPalビジネスアカウントを取得することです。パーソナルアカウントを持っていても、はShopifyでは利用できません。ですが、これまで使用していたパーソナルアカウントをビジネスアカウントにアップグレードする方法はあります。
PayPalビジネスアカウントを取得するには、PayPalのアカウント作成ページから「ビジネスアカウント」を選択し、名称やメールアドレス、パスワードを入力してください。
続いて、画面の案内に沿って、事業所名(個人事業主は屋号)などを入力していきます。これでビジネスアカウントは開設されました。
PayPalに必要書類を提出する
次に、PayPalに必要書類を提出していきます。アカウントを開設すると、PayPalから登録したメールアドレスに確認メールが届きます。メールには「メールアドレスを確認する」リンクがありますので、クリックしてメールアドレスを認証させましょう。
次に、本人確認手続きを行います。個人の場合、PayPalから追加情報提出の案内メールが届きますので、必要な情報をオンラインで提出して本人確認を完了させましょう。法人の場合は、オンラインでの確認か、書類のアップロードによる確認が選択できます。
法人の場合も、本人確認書類は同じですが、追加で13桁の法人番号が必要です。また、書類のアップロードによる確認の場合、公共料金の明細あるいは住民票の写しなどの補助書類も必要です。アカウントを作成していても、本人確認を行わない場合、支払いの受け取りや残高の引出しができません。
<本人確認書類>
- 個人番号(マイナンバー)カード
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- 在留カード(外国籍の方のみ)
PayPalに銀行口座を登録する
本人確認が終了したら、PayPalに銀行口座を登録しましょう。登録の際に必要なものとしては、店番号や口座番号、通帳、キャッシュカードの暗証番号などです。登録する銀行によって、必要な情報はことなりますので、PayPalのサイトでご確認ください。
<登録可能な銀行>
- みずほ銀行
- 三井住友銀行
- 三菱UFJ銀行
- ゆうちょ銀行
- りそな銀行・埼玉りそな銀行
Shopifyの決済手段にPayPalを設定
PayPalビジネスアカウントが利用できるようになれば、Shopifyの決済手段に設定しましょう。まず、Shopifyのホーム画面から「設定」を選び、設定画面から「決済」を選択しましょう。
続いて決済画面の「別の決済方法」にある「PayPal」で「PayPalを有効にする」をクリックし、さらに「PayPalエクスプレスチェックアウトを有効にする」をクリック、最後にPayPalアカウントに接続すれば完了です。
すべてか完了したら、決済が正しくできるかどうか、「テスト決済」をして確認をしてください。
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ShopifyでPayPalを利用にする際にかかる費用
PayPalはほかの決済サービスに比べてコスト面で有利な部分もありますが、すべてが無料というわけではありません。ここでは、ShopifyでPayPalを利用にする際にかかる費用について、ご紹介しましょう。
決済手数料
まず、顧客がPayPalを使って決済を行った場合に、PayPalに支払う決済手数料です。決済手数料は、月額売上の合計金額や、利用が国内か海外かで異なります。詳細は、以下の表をご確認ください。
売上(月間) | 国内 | 海外 |
---|---|---|
30万円以下 | 3.6%+40円 | 4.1%+40円 |
30〜100万円以下 | 3.4%+40円 | 3.9%+40円 |
100〜1,000万円以下 | 3.2%+40円 | 3.7%+40円 |
1,000万円以上 | 2.9%+40円 | 3.4%+40円 |
外部サービス取引手数料
次に、顧客がPayPalを使って決済を行った場合に、Shopifyに支払う取引手数料です。こちらは、取引額に応じて0.15〜2%の取引手数料が発生します。ですが、Shopifyペイメントを有効にしている場合、取引手数料は無料になります。まだ、Shopifyペイメントを導入されていない場合は、PayPalの導入に合わせてご検討ください。
Shopifyペイメントについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
出金手数料(振込手数料)
最後に、EC事業者がPayPalアカウントから、売上金を銀行口座に引き出す場合の出金手数料です。前述したように、金額が50,000円以上であれば、出金手数料は無料ですが、50,000円未満の場合は1回あたり250円かかります。売上金は、PayPalアカウントに累積していきますので、50,000円以上になってから出金するのがおすすめです。
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PayPalを利用する場合の注意点
PayPalには多数のメリットがありますが、海外での利用もあることから、必ずしも日本と同じ仕組みでありません。ここでは、PayPalを利用する場合の注意点をご紹介しましょう。
買い手保護制度による返金対応が必要
PayPalには売り手保護制度だけでなく、買い手保護制度もあります。買い手保護制度では、支払日から180日以内であれば顧客は返金や返品の申請が可能です。売り手と買い手のどちらに非があるかは、PayPalで管理されることになりますが、最終的に返品などが行われることになれば、返金対応が必要になります。また、結論が出るまで、売上金は保留になることも覚えておきましょう。
なお、このようなケースでは、PayPalは「異議解決手数料」を請求する場合もあります。異議解決手数料は取引の現地通貨で行われ、日本円では標準で1630円、大口で3260円かかります。
通貨換算手数料が必要
PayPalでは自国通貨を使って海外サイトの支払いが可能です。そのため、取引ではアメリカドルの売上げを日本円で受け取るケースもあるでしょう。この場合、PayPalが設定した取引為替レートで通貨換算され、そこには通貨換算手数料も含まれています。国内だけの取引では意識しないことですので、注意してください。
手数料は、「支払いまたは返金の受取り時の換算」の場合は「基本為替レートに4.00%を上乗せしたレート」、「残高、振替、受け取った支払いを別の通貨に換算」の場合は「基本為替レートに3.00%を上乗せしたレート」となります。
まとめ
ご紹介したように、PayPalは「決済方法を手間なく増やしたい」「越境ECに参入したい」「顧客とのトラブルを解決したい」などの課題を抱えるEC事業者にとって魅力的な決済サービスと言えるでしょう。
Shopifyでの設定も簡単にできますので、ShopifyでのECサイトを構築予定であれば、ぜひ導入の検討をしてください。
なお、Shopifyでは今回ご紹介したPayPalだけでなく、豊富な決済サービスに対応しております。自社のECサイトにどの決済サービスを利用すべきかをお悩みでしたら、Shopify PlusパートナーであるWEBLIFEのEC構築・運用支援サービスBiNDecにご相談ください。豊富な知見と実績で、最適な提案をご用意いたします。
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