アイドルやアニメキャラクターなどにとどまらず、特別な誰か/何かを応援する「推し活」は、今やライフスタイルとして人々の間に浸透しています。
それと比例して、エンタメ関連グッズの需要も加速しており、国内外のファンダムを取り込み、継続的なコミュニケーションを築くためのプラットフォームとして、公式ECサイトを立ち上げるメーカーやクリエイターが増えています。本記事では、エンタメ系グッズ市場で起きている最新トレンドと、それらを支えるECプラットフォーム「Shopify」活用のヒントを解説します。
エンタメ系グッズ販売における3つの市場トレンド
推し活の “活動” にはさまざまな行動が含まれますが、その中でも公式グッズの購入やライブイベントへの参加、聖地巡礼などは、推し活の中でも大きな割合を占めると考えられます。コロナ禍やネット配信の拡大による世界的な興行収入の減少傾向が見られる中、ディズニーやマーベルのような大手スタジオでは、関連グッズを重要な収入源と捉えているという調査レポートも出ています。(*1)
このように、世界規模で注目されているエンタメ関連グッズ販売の最新の動向を見ていきましょう。
*1=「TV And Movie Merchandise Market: Offline retail is expected to lead the Application segment during 2024-2028」 | Technavio
応援消費が“当たり前”に。ファンの購買行動の価値観変化
従来グッズ購入は、「商品が欲しいから買う」という需要中心の購買行動でした。しかし現在の推し活における消費は、「推しを応援するために買う」行為へとシフトしています。また、アニメやゲーム、漫画など一部の界隈では、グッズ購入が作品やキャラクターの継続展開につながる投票行動として扱われることもあります。ファンは売上に貢献すること自体に価値を見出し、数量限定商品や記念アイテムなど「推しの活動を支援できる商品」を求める傾向が強まっています。
このような「応援消費」とも言える行動は、メーカーや版元にとって、ただ商品を販売するだけでは不十分であることを意味します。ファンの熱量を受け止める姿勢と、それに見合った購買体験の提供、そしてファンの「推しの未来へ投資したい」という思いをくみ取った商品企画・販売設計が求められています。
グローバルニッチ市場の急拡大。円安が後押しする海外需要
世界規模でファンコミュニティが拡大している日本発のエンタメコンテンツ。近年は円安が追い風となり、海外からの購買が増加傾向にあります。「日本から購入したほうが安く済む」「公式グッズを確実に手に入れたい」というニーズから、エンタメ業界にとって越境ECのニーズが一段と高まったと言えます。
また、海外ファン層は“少量でも確実に買いたい”傾向があると言われ、まさにグローバルニッチ市場としてのポテンシャルが急上昇。アニメの特定キャラクターだけ、あるいは特定の作品の一部グッズだけを求めるなど、細分化された需要が特徴です。こうしたニッチな需要に応えるには、柔軟な商品登録、多彩な決済方法、海外配送対応を標準で備えるECサイトが不可欠です。こうした背景から、エンタメ系企業にとって越境ECの構築が急務と考えられます。
確実に手に入れたい心理に応える、受注生産のニーズ
ブラインドパッケージなどに代表されるランダム商法は、コレクション性の高さから長年エンタメECを支えてきました。しかし近年、ファンの間では「欲しいものが当たらない」「不要なモノが増える」などの不満が増加し、ランダム施策への疲れが見え始めています。
その代わりとして台頭しているのが受注生産方式です。受注生産は「確実に欲しいものが手に入る」「必要な人に必要な分だけ届けられる」という買い手と売り手の双方にメリットがある仕組みとして支持され、環境配慮やロス削減の文脈でも評価が高まっています。受注生産の場合、注文から商品の到着まで時間がかかる問題がありますが、ファンは“待つこと”にも価値を見い出し、ブランドロイヤリティを強化する効果を生むケースも見られます。

上記3つのトレンドから見えてくるのは、ファンと直接つながる自社ECの重要性です。応援消費・越境需要・受注生産ニーズ――これらはいずれも、外部モール中心の販売では十分に満たせません。自社ECであれば、顧客のデータを収集・活用し、限定商品の販売や期間限定キャンペーンを始め、グローバル対応や受注生産など、柔軟な施策を展開できます。
ファンとつながり、ブランド体験を継続的に提供する――その中核となるのが、自社でコントロールできる公式グッズ販売サイトなのです。
エンタメ系グッズのECサイトに最適なShopifyの機能
アニメやゲーム、映画、音楽など、エンタメ関連グッズ市場はファンの熱量を原動力に拡大を続けています。一方、その販売現場では「短期集中アクセス」、「国内外に分散するファン」「複数チャネルでの販売管理」など、複雑化していることも否めません。
こうした課題に対応するために、単なる“ECカート”ではなく、成長や変化に柔軟に対応できる基盤としてのECが求められます。拡張性・安定性・グローバル対応を兼ね備えるShopifyは、エンタメ系グッズ販売の特性と非常に相性のよいプラットフォームと言えるでしょう。ここからは、その理由を具体的な視点で解説します。

SKU増加にも対応可能な柔軟な商品管理
毎週のように新商品が追加されるエンタメ系グッズ販売では、アイテムごとにキャラクターやサイズ、カラーなどのバリエーションがあり、SKUも膨大になりがちです。商品・在庫管理が煩雑になれば、欠品や過剰在庫、誤配送などのリスクが発生し、販売機会の損失につながりかねません。
Shopifyには、商品の登録画面にSKUのフィールドがあらかじめ用意されているため、新商品の追加の際にSKUを割り当てることはもちろん、CSVによる一括登録・更新にも対応しており、新シリーズの投入や再販対応もスムーズに行えます。また、SKUを設定することで、SKUを基にした細かな販売データの分析が可能なため、よりパーソナライズした顧客対応を可能にします。
SKUについて詳しくはこちらの記事をご覧ください
予約販売や個数制限などアプリで販売バリエーションを拡張
人気の高いグッズは、予約販売や期間や数量の限定販売、抽選販売といったイレギュラーな販売方式を採用するケースが少なくありません。Shopifyは、標準機能に加えて専用のShopifyアプリを組み合わせることで、こうした販売手法を柔軟に実現できます。
例えば、新商品発売日のアクセス集中を抑えるために事前予約を受付けることもあるでしょう。また、「お1人様1点限り」などの個数制限を設けることで、大量購入などによる転売を防ぐことにも繋がります。

キャンペーンや作品ごとの販売条件に合わせて機能を追加・変更できる点は、短期間でトレンドが切り替わるエンタメ業界にとって大きなメリットになります。ビジネスの成長や企画内容に応じて必要な分だけ機能を積み上げられる拡張性の高さがShopifyの強みです。
アクセス集中に耐える安定したインフラ
新作グッズ発売や、イベント連動キャンペーンでは、スタートした瞬間がアクセス集中しやすいタイミングです。その際にアクセス過多によるサイトダウンや購入エラーを受容していては、ファンの不満やブランド価値の低下につながります。
Shopifyは、世界規模で利用されているSaaS型プラットフォームとして、高トラフィックを前提に設計された堅牢なインフラを提供しています。アクセス集中時も自動的にスケールし、販売機会を逃しにくい環境を維持できるのが特長です。インフラ管理やサーバー増強に自社でコストをかける必要がないため、運営側は商品企画やファン施策といった本来注力すべき領域に集中できるのです。
Shopifyのサーバー性能について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
世界中のファンへ届けるための越境EC対応
エンタメコンテンツは国境を越えて愛される存在であり、グッズ販売においても越境ECはもはや前提条件です。Shopifyは、多言語表示・多通貨決済・海外配送設定など、越境ECに必要な機能を標準機能またはアプリで対応できます。
国・地域ごとの価格調整や税設定にも対応しており、「海外ファンにも公式ルートで安心して購入してもらう」環境を構築可能です。円安を背景に高まる海外需要を逃さず、グローバルなファンダムを収益につなげられる点は、エンタメ系グッズ販売において非常に大きな価値を持ちます。
【事例】日本コンテンツとのコラボで海外ファンに人気のアパレルブランド
アパレルブランド「火消魂(HiKESHi SPiRiT)」は、和をテーマにした半纏やTシャツなどを展開しており、日本のコンテンツとのコラボレーションアイテムも人気です。購入客の比率は、ECサイトだと6〜7割が海外顧客、浅草の実店舗だと9割がインバウンド客と、世界各国にファンを持っています。
とあるアニメとコラボした商品を発売した際、アニメファンであるアメリカのインフルエンサーがSNSで紹介し、海外でのブランド認知が拡大、商品は一時完売して追加生産になるほどの成功を納めました。現在もブランドアンバサダーとして海外在住のインフルエンサーを活用したマーケティングを積極的に行い、ファンの輪を広げています。

火消魂のインバウンド・越境EC戦略について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
OMOを実現する顧客管理の一元化と拡張性
エンタメ系グッズの販売接点は、ECサイトだけにとどまりません。実店舗、イベント会場での物販、SNSショッピングなど、ファンとの接点は多岐にわたります。重要なのは、それらを分断するのではなく、顧客をひとりのファンとして統合的に理解することです。
Shopifyでは、オンライン・オフラインを横断した顧客データの一元管理が可能で、購買履歴や行動データをもとに、ファンの嗜好や関心に合わせたアプローチが行えます。さらに、CRM系アプリや外部MAツールと連携することで、より高度なパーソナライズ施策も実現できます。OMO視点でファンとの関係性を深め、エンゲージメントを高めていく基盤として、Shopifyは非常に相性の良いプラットフォームと言えるでしょう。
ファンの熱量を高めるグッズ販売サイトの接点設計
エンタメ系グッズ販売において重要な点は、単に「商品を売る」ことではなく、ファンとの関係性をいかに深め、継続させていくかという視点です。推し活における購買行動は感情と強く結びついていることが多く、接点の設計次第でその熱量は大きく変化します。
SNS、EC、リアルイベントなど、ファンとの接点が多様化する今、それらを個別に扱うのではなく、ひとつの体験として設計することが求められています。Shopifyは、複数のチャネルを横断した接点設計を可能にし、ファンの行動データを活かしたエンゲージメント強化を支える基盤となり得ます。ここでは、ファンの熱量を高めるための具体的な接点設計のヒントを挙げます。
共感を購買につなげるSNSとUGC活用
ファンとの接点として大きな役割を果たすのがSNSです。InstagramやTikTokなどショッピング機能を有するSNSは、商品の発見から購入、UGCの創出までの動線を短縮することで、ファンの購買行動を後押しすることが期待できます。特に効果的なのが、ファンによる開封動画やレビュー投稿といったUGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用です。ほかのユーザーの投稿は、「自分も参加したい」「同じ体験をしたい」という共感を生み、そうした体験が顧客ロイヤルティを高める好循環につながります。
Shopifyは、InstagramショッピングやTikTok Shopとの連携が容易に行えるため、UGCを起点としたファン主導の拡散と販売をスムーズにつなげることが可能です。UGCについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
ロイヤルティを高める会員ランクと特別な体験
ファンの熱量を持続させるには、「応援し続ける理由」を用意することが肝要です。ファンクラブ会員限定の先行予約や購入金額や回数に応じた会員ランク制度、限定ノベルティやポイント付与などは、その代表例でしょう。
Shopifyでは顧客IDに基づいて購買履歴を管理できるため、ファンひとり一人に合わせた特典設計が可能になります。
たとえば、上位ランク会員が優先的に購入できる商品や、特定作品の購入者向けの限定オファーなど、“自分は特別扱いされている”という体験がロイヤルティを高めます。こうした仕組みをアプリで柔軟に拡張できる点も、エンタメECとの親和性が高い理由です。
デジタル×リアルで体験をつなぐ接点拡張
ポップアップショップやイベント会場など、リアルな接点はファンの熱量を最大化できる重要な場です。Shopify POSなどのPOSシステムと連携することで、リアルな店舗での顧客行動とECをシームレスにつなげることができます。
たとえば、会場で在庫切れの商品をその場でEC注文に誘導することで、機会損失を防ぎつつ購買体験を途切れさせません。さらに、リアルで得た顧客データをECと統合管理することで、イベント後のフォローアップや次回企画への参加促進にも活かせます。ブランドのスマホアプリや会員証アプリと連携すれば、デジタルとリアルを横断した“推し活体験”を設計することも可能です。
エンタメECでは、購入後の体験こそが次の熱量を生みます。発送通知や梱包演出、到着後のフォローコンテンツなど、細かな接点の積み重ねがファンの満足度を左右します。そういった顧客マーケティングも、Shopifyを基盤にすることで、購入後コミュニケーションなどの体験設計を一貫して管理でき、ファンとの関係を“単発の購買”から“継続的な応援”へと進化させることができます。
グッズ販売サイトのターゲットとなるファンダムエコノミー
近年、エンタメ業界を語るうえで見逃せないキーワードが「ファンダムエコノミー」です。ファンが単なる消費者ではなく、作品やキャラクターを支え、広め、育てていく存在として経済活動に参加する――この動きは日本に限らず、世界中で加速しています。
音楽、アニメ、ゲーム、スポーツなど分野を問わず、グッズ購入は応援の意思表示であり、ファンとブランド、クリエイターを直接つなぐ重要な接点となりました。こうした市場環境の変化により、D2C型のグッズ販売サイトを通じてファンと向き合い関係性を深めていくことが、エンタメビジネスにおける重要な戦略として浮かび上がってきます。

世界のテレビ・映画のグッズ市場は、2025年から2029年の間に1,374億米ドル(約21兆円)の成長が見込まれ、予測期間中11.2%のCAGR(年平均成長率)で推移すると予測している。
拡大を続ける「推し活」とキャラクタービジネス市場
推し活を起点としたキャラクタービジネスは、堅調に成長を続ける市場のひとつです。アニメやゲームなどのIP(知的財産)はもちろん、VTuberやストリーマー、アーティストなど、個人または小規模IPでも爆発的な支持を集めるケースが増えています。ファンは“好きな存在を支えたい”という動機で継続的に消費し、限定グッズや記念商品には高い反応を示します。
こうした市場の特徴は、マス向けではなく「熱量の高いファン層」によって支えられている点です。一部の分野では短期間で大きな売上を生むなど、ファンダムを軸にした経済圏が確実に形成されつつあります。
プラットフォーム依存がもたらす構造的リスク
一方で、モール型ECに依存した販売には限界もあります。Amazonや楽天市場といったプラットフォームでは、「誰が、どの作品/キャラクターを、どれくらいの熱量で応援しているのか」といった詳細な顧客情報を十分に把握することが困難です。その結果、ファンとの関係性はプラットフォームに分断され、長期的なコミュニケーション設計が難しくなります。
さらに、不正転売や偽商品の流通といった問題もファン離れにつながる要因です。こうしたリスクを回避し、ファンと直接つながるためにも自社ECを軸にした販売体制の構築が不可欠となります。
LTVを高める視点がファンダムを育てる
ファンダムエコノミーにおいて重要なのは、単発の売上ではなくLTV(顧客生涯価値)です。グッズを一度購入して終わりではなく、長く応援してもらう関係性を築けるかどうかが、IPやブランドの持続性を左右します。
そのためには、購入体験の質を高めるだけでなく、情報発信や特典、コミュニケーションを通じて、ファンとの接点を継続的に設計する必要があります。ファンが「応援し続けたい」と感じられる環境を整えることこそが、ファンダムを経済圏として育てる基盤となっていくと考えられます。LTVについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
ファンと共に市場を育てる自社ECをサポート
ファンダムエコノミーが拡大する今、エンタメ関連グッズ販売における最大の価値は「ファンと直接つながること」にあります。誰がファンなのかを理解し、継続的なコミュニケーションを通じて関係性を深めていくことが、LTVを向上し、売上成長につながります。
その実現には、販売・顧客・データを一元管理し、柔軟に拡張できる自社ECサイトが必要不可欠です。Shopifyは、エンタメ系グッズ販売に必要な拡張性と安定性を備え、ファンとストアを共に育てていけるプラットフォームです。
BiNDecでは、Shopify Platinumパートナーとして、これまでのノウハウを集結した独自開発のアプリや最適なShopifyアプリで成果率の高いECを仕組み化し、エンタメ関連グッズに特化したECの立ち上げから運用までをサポートします。
Shopifyでの自社EC構築について関心がある場合は、お気軽にお問い合わせください。


