越境ECで使いたいShopifyアプリ5選|翻訳や通貨にも幅広く対応

越境ECで使いたいShopifyアプリ5選|翻訳や通貨にも幅広く対応

新型コロナウィルスによる世界的なパンデミックが沈静化したことで、日本でも海外でも再び旅行者が増え、再び多くのインバウンド観光客が日本を訪れています。これに伴って、様々な日本製品を購入したり日本文化を体験して帰国した人たちが、リピーターとして母国でも同じものを入手して使ったり、味わいたいと思うようになってきました。
経産省の「令和4年度 デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」では、2023年の越境ECの市場規模は2021年と比べて10倍以上の870兆円に拡大すると予測されています。今は円安も追い風となり、越境ECを始める最適のタイミングだといえるでしょう。

ここでは、数あるECプラットフォームの中でも越境ECの評価が特に高いShopifyのメリットや注意点と、おすすめのShopifyアプリを紹介していきます。

その他のおすすめShopifyアプリについては下記の記事をご覧ください。

日本製品のクオリティの高さが海外での需要増加を加速

海外の国々において、リーズナブルな価格で高品質な日本製品が注目されています。それも、過去には大企業が手がける自動車や電化製品などが輸出の中心だったのに対し、最近では日本酒などの嗜好品の輸出も増加しており、意外なところでは、おにぎりなどの日本食需要の増加から、米の輸出量は過去8年間で6倍にもなっているのです。

これまで諸外国ではあまり知られていなかった商材に関しても、昨今のインバウンド観光客が日本での滞在中に触れた経験などがSNSなどで拡散することによって、人気が出ることもあります。有名な例では抹茶関連商品もそうですが、多機能ペンなどの文具や弁当箱なども同様のチャンネルを通じてポピュラーになっていきました。
Shopifyで越境ECを展開している事例は下記の記事をご覧ください。

海外へのビジネス展開を支援するJETOROのプログラム

こうした流れを受けて、ジェトロ(日本貿易振興機構)でも、「新規輸出1万者支援プログラム」を掲げて積極的に「はじめて輸出」を支援しており、商材ごとの輸出の可能性から、具体的な事業計画まで、様々な相談に乗ってくる体制を整えています。
ジェトロ(日本貿易振興機構)も積極的に「はじめて輸出」を支援している

また、越境ECでは、的確でリスクの少ないビジネスを行うために世界情勢の変化などの情報などにも気を配っておくことが求められますが、ジェトロはそうした地域ごとの分析レポートなども随時更新しているので、こちらも参照しておくと良いでしょう。
ジェトロの地域・分析レポートは、越境ECの対象地域の社会情勢や市場特性を理解するうえで参考になる

Shopifyが越境ECに選ばれる理由と運用のメリット

もちろん、いざ越境ECを始めようとすると国内対象の通販とは違って、言語や通貨、決済、配送などの問題が立ちはだかります。
しかし、世界規模のECプラットフォームであるShopifyを利用すれば、長年の進化に裏打ちされた機能や世界中の開発パートナーによる豊富なアプリによって、そうした壁を乗り越えていけるのです。Shopifyベースの越境ECのメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

言語や通貨の違いを克服

この点は、まさにShopifyを利用する最大の利点ともいえます。Shopify自体が標準で50もの言語や130を超える通貨に対応しており、ショップ側で個々に対応する必要がないためです。
サイト自体の翻訳に関しても、後述するサードパーティアプリを使って利用者が選択した言語に合わせて表示が変わるようにできるので、個別に作業する必要はなくなります。
もちろん、ショップ側の負担が減るだけでなく、最小限の作業で販売地域を広げられ、ビジネスの発展につなげられるわけですから、利用しない手はないといえるでしょう。

現地に合わせた決済方法

言語や通貨の問題と並んで厄介なのが、多様な決済方法への対応です。それこそ、顧客が使い慣れたシステムで決済できないと、せっかくの販売機会を逃すことになりかねません。しかし、これに関してもShopifyは、国際的な100種以上の決済システムをサポートしているうえ、自前のShopifyペイメントも利用することができます。
Shopifyペイメントの利点としては、取引手数料が無料になることや、セキュアに保存された個人情報を利用してユーザーによる2回目以降の購入が簡単に済ませられることが挙げられます。現時点では、中国をはじめ多くのアジアの国々ではShopifyペイメントを利用できないのですが、他の豊富な決済方法から現地の事情に合ったものを選択することで対応可能です。
Shopifyペイメントについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

発送手続きの煩雑さの軽減

国内への発送であれば、馴染み深い宅配便などが使えますが、海外への発送となると船便や航空便、そして現地についてからの陸送業者に至るまで、まるで勝手が違ってきます。また、各国での通関手続きなどもあり、信頼できる企業に配送業務の委託をしたいものです。
Shopifyには、そうした海外発送のための送り状を最小限の手間で作成可能なアプリや、世界各国への配送業務を手掛ける運送会社のアプリも揃っているので、適切なものを選ぶことにより、安心して商品を託すことができます。

必要な機能をアプリで補完

ここまでの説明でもたびたび触れているように、Shopifyの強みは、標準機能にはない処理であっても、それらに対応する8000以上ものアプリが揃っていることです。そのカテゴリーも多岐に渡りますが、越境ECの観点から見ると、上の項目にもあるような他国の言語や通貨への対応、あるいは海外発送手続きに関するものなどが利用できます。その他の特殊なニーズに関しても、Shopifyアプリのラインアップは、強い味方になってくれるでしょう。
なお、一度に多くのアプリが追加された状態ではShopifyの動作が遅くなることもありますが、通常は多くても10アプリ程度あれば十分と思われるので、ほとんど影響を受けることはないものはずです。
8000以上の機能拡張アプリが揃う、Shopifyアプリストア

サイト閲覧がストレスフリー

もう1つ忘れてはならないことは、Shopifyが大量のデータを高速に配信するためのコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)を導入しているという点です。せっかく海外向けに立派なショップサイトを構築しても、データが重くて閲覧するのがストレスになるようでは、努力が無駄になります。しかし、CDNを導入していることで、美しく快適なサイト表示が可能となっているのです。

国別にサイトを分けて一元管理できる

エンタープライズ向けのShopify Plusプランでは、同一ブランドのECが最大10サイトまで作成できます。
地域によって気候やトレンドは異なるため、トップページやキャンペーンで訴求する商品を出し分けたり、国別コードトップレベルドメインにするなどで、対象の地域に合わせた戦略的なマーケティングができるようになります。

KINTO Europa

KINTO Europa|BiNDecを導入し、欧州各言語に対応したヨーロッパ向けのKINTOのECサイト。この他にもアメリカ、カナダ、韓国、タイ向けに独立したECを運用している


Shopifyでの越境ECの注意点と活用したいパートナー制度

一方で、以下のような注意点もありますが、逆にいえば自由度が高くてサイトの差別化がしやすく、サードパーティによるサポートの充実にもつながっているので、その点を踏まえて取り組めば、乗り越えていけるはずです。

プロモーションや集客は自前で行う

Shopifyは、いわゆるAmazonや楽天市場のようなマーケットプレイス(オンラインモール)ではなく、提供されるプラットフォーム上で自前のECサイトを構築するというスタイルを採っています。マーケットプレイスでは、それ自体のネームバリューによって消費者が流入してきますが、ShopifyのECサイトでは、自らプロモーションを行い、集客していくことが必要です。すでにブランドとして確立している場合は別ですが、SNSやコンテンツマーケティング手法を賢く使って認知度を上げていくなどの対応が求められます。

海外製のShopifyアプリは日本語サポートが弱い

機能が豊富で、しかも、その強化・更新・追加が頻繁に行われるためか、Shopifyには日本語のサポートが弱い面があります。生成AIのような新しい機能についても、まず英語のみで使える状態からスタートすることが少なくありません。サードパーティのアプリに関しても、日本語化されていないものが多かったり、数が多すぎて、どれを使うべきか迷うような状況も発生します。
しかし、こうした部分を補ってビジネスを成功に導くためにWEBLIFEのような公認のパートナーが存在します。BiNDecでは以下に紹介するShopifyアプリの導入やサポートに対応しているため、効果的にメリットを活かす方法を提案してもらえるでしょう。

この他、Shopifyに限らず越境EC全般にいえることですが、発送先の国が輸入品に課す関税についても考慮しておく必要があります。関税は通常、買い手の負担となりますが、トラブルにならないようにその旨を明記するなど、告知を徹底しておくことが大切です。
Shopifyでの越境ECの設定方法は下記の記事も併せてご覧ください。


送り状から多言語対応、配送までおすすめのアプリ

それでは、ここからは具体的におすすめのアプリを紹介していきます。必須となるアプリから始め、ニーズに応じて別のアプリも試していくと良いでしょう。

送り状の発行を支援するShip&co

Ship&coアプリは、実際にShopifyストアでもある会社が自社で利用するために開発したもの。出荷業務関連のアプリならば、これ一択で良いといえるほど評価も高い。
Ship&coは、商品の発送に不可欠な送り状の発行を自動化するアプリです。元々、Shopifyを活用して日本の弁当箱などを海外向けに越境ECしている会社が、自社における発送の課題解決のために開発したアプリなので、痒いところに手が届く内容になっています。
送り状・インボイスの発行はもちろん、出荷業務に関わるオーダーの一元管理や運送業者ごとの送料比較、受注状況の更新、荷物の追跡番号の同期、発送通知メールの送信などを一元的に管理・実行できる、Shopifyストアの心強い味方です。

無料で多言語翻訳機能をサイトに付加するWOVN.io

無料ながらサポート言語が多く、導入実績も豊富なWOVN.ioアプリ。
越境ECでは、当然のことながらサイトの多言語化が必要です。そのため、サイト翻訳に特化したアプリも各種ありますが、このWOVN.ioは無料ながら、英語はもちろん、アラビア語、フランス語、オランダ語、中国語、インドネシア語、スペイン語、デンマーク語、イタリア語、ドイツ語、ヘブライ語、韓国語をサポートしており、300以上の日本企業や教育機関で利用されています。
また、画像内の文章をそのまま訳して置き換えることはできないものの、対訳の形で管理・表示できる点も、このアプリの特徴です。
ただし、AppleのSafariブラウザでは言語の切り替えが効かない症状が出ているようなので、顧客に対するGoogleのChromeブラウザやMicrosoftのEdgeブラウザでの利用推奨が必要となるでしょう。

HUMAN MADE

HUMAN MADE|BiNDecを導入し、WOVN.ioアプリによって多言語対応しているライフスタイルブランドのEC。言語を選択することで、瞬時にページ内の情報が翻訳された内容に置き換わる。

多言語翻訳+多通貨表示を可能にするTranscyアプリ

言語だけでなく、通貨も自動換算して表示することが可能なTranscyアプリ。
153種の言語に対応するTranscyは、サイト内情報の翻訳だけでなく、166種の通貨の換算表示機能も備えています。また、製品イメージ内の文言や他のアプリ内の要素も翻訳可能です。1言語・1通貨だけの翻訳で良ければ無料プランで利用できるので、まず、そこから試してみるのも1つの方法といえます。
ただし、無料プランではAIによる自動翻訳のみの適用となるため、場合によっては誤訳やニュアンスが伝わらないこともあるかもしれません。有料プランでは、レベルに応じて言語・通貨数が増え、翻訳結果の編集や専門家によるチェックが可能となるため、必要に応じて選択すると良いでしょう。

リーズナブルなプランとシンプルな使い勝手のLangifyアプリ

わかりやすさと使いやすさで高評価を得ている、サイトの多言語翻訳のためのLangifyアプリ
サードパーティアプリの翻訳にも対応したLangifyは、有料プランのみ(無料体験あり)ですが、月額$17.50の1プランだけというわかりやすさで、人間の担当者による翻訳(言語数無制限)や手厚いサポートが受けられるようになっています。
シンプルな使い勝手で評価も高く、顧客の使用言語に対応する翻訳ページに自動でリダイレクトされる機能も備わっていますが、サイト内を自動翻訳するのではなく、翻訳された文言(商品名や説明文)を管理画面から手動で設定することが必要な点に注意が必要です。

Office Kiko

Office Kiko|BiNDecを導入し、Langifyで翻訳機能を実装しているモデル・女優の水原希子氏がプロデュースするブランド。ポップアップメニューから選ばれた言語に応じてページ内の情報が翻訳されたものに置き換わる。

ワールドワイドで確実な配送を実現するDHL

商品の配送は、越境ECの最後の重要部分といえるものです。ここでつまずいてしまうと、それまでの周到な準備や対応もすべて帳消しになり、ブランドイメージを傷つけることにもなりかねません。国際的な配送業者として定評のあるDHLを利用することで、そのような心配を一掃することができるでしょう。
世界規模のネットワークで安全・確実な配送を行なっているDHL

越境ECの構築・運用を支援してくれるShopify公認のパートナー

このようにShopifyを利用することで、初めて越境ECを始める事業者にとってのハードルを、ほぼ取り除いていけるようにになります。しかし、その一方では、優れた機能やアプリの中にもまだ日本語化されていないものがあり、それらのポテンシャルを最大限に引き出すためのサポートも必要です。

株式会社ウェブライフでは、Shopifyを利用したECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」を提供しており、越境ECに関するノウハウ提供も含めて、ビジネスに最適な運用戦略をご提案しています。EC構築や運用に関してお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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POINT

  • 日本製品の海外需要は増加傾向で、新規輸出の増加を支援するプロジェクトもある
  • Shopifyは標準機能で多言語翻訳・多通貨決済に対応しており、アプリによってさらに対応範囲を拡大できる
  • 越境ECの構築やプロモーションは、Shopify公認のパートナー企業に委託することができる

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