体験型店舗とECで実現する新しい購買体験とは?業種別・成功事例3選

体験型店舗とECで実現する新しい購買体験とは?業種別・成功事例3選

昨今、ECサイトやSNSのショッピング機能など買う場所の選択肢が増えて便利になっている中で、実店舗での購入体験にも変化が生じてきています。特に注目したいのが「体験型店舗」です。
この記事では、体験型店舗とはどのような店舗なのか、ECサイトと組み合わせることでどんなメリットがあるのかに加え、実際に成功しているブランドの事例を交えて紹介します。

体験型店舗とは体験を通じて顧客ロイヤリティを高める場

体験型店舗とは、商品を「買う」だけの場所ではなく、実際に見て・触れて・体験できる場所として店舗のことです。顧客に実際の商品を試してもらうことで、ブランドへの興味関心を自然に高めることができます。

実店舗での体験の例

・商品を実際に試す:化粧品を試せるコスメカウンター、家電のお試しができるコーナー、ドリンクの試飲、など
・商品の使い方提案やワークショップ開催:コーヒーの淹れ方レクチャー、インテリアのDIY講座、など
・ECサイトとの連動:ポップアップショップで実物に触れて、その後ECサイトで購入できる、など

体験型店舗のメリット

  • 商品やサービスの魅力を直接伝えられる
  • ブランドの世界観をリアルに体感できる場を提供することで、顧客のファン化や新規顧客の獲得に貢献できる
  • 直に顧客と接することで、リアルなフィードバックを得られマーケティングに利用できる
  • 購入後の満足度や信頼感が高まり、説明不足を軽減し返品やクレームの減少につながる

では、これらのメリットがなぜ体験型店舗で生まれるのか、ここからはその理由を見ていきましょう。

顧客ロイヤルティについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

体験型店舗で商品理解を深めて自然な購買につなげる

博報堂の調査(※1)からは、「オンライン購入はますます便利になる」と感じている人が85.1%にのぼる一方で、66.7%もの人が「店舗は今後ますます楽しい場所になっていく」と期待していることが明らかになっています。便利さを求めてECサイトで購入しつつも、消費者は実店舗に対して“楽しさ”や体験価値への期待を膨らませているのです。

このような傾向を受けて、企業側も実店舗の役割を見直し始めています。経産省の令和5年度報告書(※2)では、国内BtoC-EC市場のトレンドとして、実店舗を商品体験の場として位置付け、店頭で収集した顧客データを商品開発やECサイトの売上向上に活用するケースも見られているとまとめています。

体験型店舗で顧客の興味を引き、商品理解を深めてもらうことが購買行動につながるため、リテール業界では実店舗での体験提供に注力しているのが現状です。

※1:博報堂「ニューノーマル時代の購買行動調査」レポートより引用
※2:経産省 令和5年度電子商取引に関する市場調査より引用

OMOについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

一貫した顧客体験を提供|ユニファイドコマースが注目される背景

実店舗などさまざまな買い物シーンでの情報が一元化するイメージ写真

ECサイトと実店舗の融合が進む中で重要視されているのが、ユニファイドコマース(Unified Commerce)です。ユニファイドコマースとは、ECサイトや実店舗だけではなく、SNSなども含めたあらゆる販売チャネルを統合し、一貫した顧客体験を提供するマーケティング手法です。複数のチャネルから収集できる顧客データを一元管理し、顧客一人ひとりのニーズに合ったコンテンツや情報を届け、パーソナライズされたサービスを提供することで、顧客体験(CX)の向上を目指します。

従来であれば顧客はテレビや雑誌などから発信された情報を頼りに購入を判断していました。ところが近年では顧客自身が調査をし、その中で取得した情報を元に自分が求めているものかどうかを判断しています。顧客が自社の製品と出会う接点は年々拡大しているのです。
また、こうした情報取得の変化に加えて、もう一つ着目すべきなのが、顧客維持の重要性です。広告費の高騰により新規顧客を獲得するコストが上がっていることから、リピーター獲得の重要性が高まっています。

そのため、あらゆる顧客接点からデータを収集し、パーソナライズされたサービスを提供することでよりよい顧客体験を提供し、リピーター獲得やLTV向上を狙えるユニファイドコマースもリテール業界で広がっているのです。

ユニファイドコマースについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

顧客体験の好循環を生むECサイトと実店舗の融合

ここまでは、顧客体験を重視する流れの中で体験型店舗とECサイトを組み合わせたアプローチが注目されていることを解説してきました。
体験型店舗では、実際に商品に触れたり、スタッフから直接説明を受けることで、ECサイトだけでは得られない納得感や安心感を提供できます。その結果、購入後の満足度が高まり、顧客のブランドへの信頼や愛着が深まることで、ファン化を促すことができるでしょう。
さらには、体験を通じて生まれた好印象がSNSで共有されることで、UGCとして自然な口コミ効果が広がり、ブランド認知の拡大にもつながります。

次にご紹介する事例は、体験型店舗とECサイトを連携させた取り組みによって、このような好循環を生み出した一例です。

UGCについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

体験型店舗とECサイトを組み合わせた成功事例

では、実際に体験型店舗とECサイトを組み合わせることで、どのような成果を出せるのでしょうか。ここでは、体験型店舗とBiNDecで構築支援をしたECサイトを組み合わせた成功事例を紹介します。

KINTO

株式会社キントー

東京・中目黒にある、ライフスタイルアイテムの企画・製造を手がけるKINTOの「KINTO REC STORE Tokyo」は、”のびやかに、アクティブに”をテーマに、自然体で愉しむレクリエーションのあるライフスタイルを提案するコンセプトストアです。
ここでは、KINTOのステンレス製タンブラーや樹脂製ボトルにイニシャルや数字、自分だけのマークを入れてパーソナライズできるサービス「MARK IT BY KINTO」を専用の端末でオーダーできます。
BiNDecが構築サポートを行う、で構築されたKINTOのECサイト
ECサイトでもレーザー刻印を利用することができるため、その仕上がりや特別感を体験した顧客が、友人や家族へギフトや記念日の贈り物として再びECサイトを通じて利用する、といったリピート購入の可能性を生み出しています。

火消魂音組

火消魂音組の公式インスタグラム「@otogumi_hikeshi」より引用
浅草に実店舗を構えるファッションブランド「火消魂(HiKESHi SPiRiT)」は、新たなプロダクトライン「音組」を展開するカフェ形態の別店舗も構えています。
「音組」では、火消魂でも人気の刺繍を活かした体験型アパレル商品を販売。バッグや帽子、クッションなどに好みの刺繍ワッペンを貼り、自分だけのオリジナルアイテムとして仕立て、購入することができます。

火消魂のECサイトはBiNDecが構築・運用を支援しており、Shopifyアプリ「easyPoints」を導入しています。店頭のPOSシステム「スマレジ」と連携することで、本店とECサイトの両方で共通のポイントを利用できるようにしています。

火消魂の取り組みについて、詳しくはこちらのインタビュー記事をご覧ください。

一保堂茶舗

300年以上の歴史を持つ日本茶専門店「一保堂茶舗」は、伝統に根ざしながらも、多角的な取り組みを展開しています。そのひとつが、体験型店舗とECサイトを組み合わせた施策です。
(左)BiNDecが構築サポートを行う、Shopifyで構築された一保堂茶舗のECサイト/(右)昨年夏に期間限定オープンしたポップアップカフェ
実店舗では、定期的に「お茶の淹れ方教室」が開催されており、その参加チケットはECサイトから購入可能なので、オンライン上で来店の接点づくりや、新たなファンの獲得につながっています。

さらに、2024年4月から約5か月限定で、表参道に夏のポップアップカフェをオープン。ワークショップイベントも実施され、特製キンパ作りと冷茶の淹れ方体験が楽しめるなど、体験価値の高い施策を次々と展開し、これまで一保堂茶舗に触れる機会がなかった新規顧客はもちろん、長年親しんできたブランドファンにとっても、新たな発見のある場となりました。

一保堂茶舗の取り組みについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ECサイトと体験型店舗を融合させる4つのポイント

ECサイトと体験型店舗を融合することで、リアルとデジタルの垣根を超えたシームレスな購買体験が実現します。ここでは、融合を成功させるための具体的なポイントを解説しましょう。

スマホアプリを活用した購買データの連携

ECサイトと体験型店舗を融合や顧客情報の一元管理を実現させるなら、スマホで利用できる会員アプリの活用を視野に入れましょう。例えば、ECプラットフォームのShopifyと合わせて導入できる「Yappli」や「STORES ブランドアプリ」といったサービスを利用することで、複数のチャネルの購買データを集約し、実店舗とECサイトでポイントを共通化したり、来店回数や購入金額に応じたクーポンを付与したりすることができます。

STORES ブランドアプリについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

店舗での体験をUGC発生に活かす顧客参加型の戦略

顧客が体験型店舗で得た体験をSNSで発信することは、ブランドの認知度を高める重要なポイントの一つです。たとえば、店舗内にフォトブースを設けることで、自然な形でのシェアや口コミ効果が期待できます。
さらに、SNSでの投稿をスタッフがチェックし、引用した投稿内にECサイトへの導線を設けることで、興味を持ったユーザーにも商品の詳細情報を届けることができます。リアルな体験を起点に、オンライン上でのブランド接点を広げる仕掛けとして有効です。

店舗イベントやライブコマースの活用

実店舗で行うイベントやワークショップの様子をライブ配信したり、ライブコマースを活用することも、体験型店舗とECサイトを連携させる有効な手段です。リアルな体験とデジタルの利便性を組み合わせることで、より豊かな顧客体験を提供できます。

たとえば、新商品の体験会やワークショップ、ポップアップイベントなどを実施すれば、顧客とのリアルな接点を生み出すことができます。さらに、こうしたイベントをライブ配信することで、来店が難しい顧客にもその様子を届けることができ、商品紹介やデモンストレーションを通じてリアルタイムでの質問対応や反応の共有が可能になります。
ECサイトへの購入導線を設けておけば、視聴者が配信をきっかけにそのまま購入につながる可能性も高まります。

ライブコマースについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

店舗と連携を可能にするECプラットフォームを採用する|Shopify

Shopifyの公式サイト
ここまでご紹介してきた、スマホアプリとの連携やSNS連携、ライブ配信とECサイトの導線設計といった取り組みは、Shopifyの柔軟な拡張性によって実現することができます
Shopifyは、世界175カ国で採用されているECプラットフォームで、多くのD2Cビジネスで利用されています。豊富なShopify青売りでスピーディーに機能追加を行うことができ、変化の早いトレンドにも柔軟に対応できます。機能拡張は段階的に行うことができるため、初期導入時の負担を抑えつつ、運用フェーズに応じて施策を進化させることも可能です。

豊富なアプリ連携や外部ツールとの高い互換性により、体験型店舗とのスムーズな連動をはじめ、ブランドの世界観を一貫して届けるEC構築にも適したプラットフォームといえるでしょう。

ECサイトと連携した体験型店舗を実現したいならShopifyがおすすめ

これからのリテール業界では、リアルな体験を通じて顧客との関係を深める体験型店舗の価値が高まっています。商品を売るだけでなく、ブランドの世界観を顧客に理解してもらうことで、記憶に残る体験と信頼を築くことが可能になります。

重要なのは、体験型店舗やECサイト、SNS、ポップアップイベントなど、多様な顧客接点をどのように結び付け、一貫したブランド体験として提供していくかという点です。
とはいえ、体験型店舗の展開には時間やコスト、知識が求められるのも事実です。そこで、まずは現在のECサイトを起点に、体験との連携を強化していくことが現実的かつ効果がある一歩となるでしょう。
「リアルとデジタルをどうつなげるか」「今あるリソースでできることは何か」など、お悩みの方は、Shopify PremierパートナーであるBiNDecまでお気軽にご相談ください。豊富な実績とノウハウで、貴社のブランド体験づくりをサポートいたします。

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POINT

  • 体験型店舗とは商品体験によりブランド理解と信頼を深められる施策である
  • Shopifyを活用して店舗体験をSNSやECと連動することで体験価値を購買行動へ結びつけることが可能
  • Shopifyと実店舗連携の専門知識をが豊富な構築パートナーと進めるのが安心

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