グローバルでのマーケティング支援の実績をもつ「Dotdigital」が2024年を統括するサミットを開催し、「Moments based marketing(モーメントベースドマーケティング)」と「未来志向のマーケティング」をテーマに様々なセッションが展開されました。
そして、Shopify構築とDotdigitalの導入支援も行っている「BiNDec」が、Dotdigitalの発展と拡大に向けての大きな功績を残したとして「Top Performer」を受賞。今回は、ECマーケターが注目すべきトレンドトピックと受賞の様子をお届けします。
Dotdigital Summit 2024:モーメントベースドマーケティングと未来展望
「Dotdigital」はマルチチャネル・多通貨・多言語対応のオールインワンMAツールを提供するCXDPです。
Shopifyなどの主要なECプラットフォームとも連携でき、ノーコードでメール、SMS、LINE、広告、ウェブ、ソーシャルメディア、アプリ通知など多様なチャネルで顧客との接点を構築し、データの一元管理を実現できます。
グローバル全体でDotdigitalを通じた流通総額は13億ドルを超えるなど、世界4500社以上の企業で採用されており、日本国内でもこの1年間で利用者は173%の成長率で多くの企業で導入が進んでいます。
そんな、20年以上にわたり世界各国でマーケティングを支援してきたDotdigitalの2024年を統括するサミットイベントが先日都内で開催され、CTOのスティーブ・ショー氏や、JAPACのGMであるローハン・ロック氏、オペレーションディレクターのマード・ウォレス氏、また、実際にDotdigitalを活用している国内のEC事業者など様々なスピーカーが登壇。2つのテーマに沿って、マーケティングトレンドやリアルな施策例に触れた多様なセッションが行われました。
急成長市場におけるAI活用戦略とマーケティングの新たな潮流
プロダクトテクノロジー最高責任者であるスティーブ・ショー氏のセッションでは、イギリス、アメリカ、オーストラリアの様々な業種・規模の企業に属する750人以上のマーケティング責任者へのDotdigital独自調査を元に、業界トレンドの世界的な洞察が語られました。
市場がかつてないほど速いスピードで進んでいく中で、「規制変更への適応」「AIの統合とトレーニング」「顧客体験とエンゲージメントへ焦点を当てる」「イノベーション」という4つのテーマに注目が集まっています。
AI活用における課題と正しいテクノロジーの選択
特に、日本でも耳にしない日はないと言うほど急速に広がっているAIは、世界各国でも既に生活の一部になっています。しかし、世界のCMOの3分の1ですら、AIを活用することに対して自信があまりないと回答している状況であり、利用しているECプラットフォームにAIをどう織り込み、正しくテクノロジーを活用できるかが今後の課題です。
JAPAC オペレーションディレクターのマード・ウォレス氏はそういった課題に対して、ピンポイントに解決できるAI機能選ぶこと、そしてAIを過信しすぎないことが重要であると伝えています。
例えば、ABテストでAIを使った場合と、そうでない場合と比較して、AIの効果を検証するなどがその手段のひとつであり、そういった施策が実現できるプラットフォームを選ぶことが、AI利用の効率化、強いては施策の回転数向上につながります。企業ごとでAIの活用法を検討し、トレーニングに投資することが、競争を勝ち抜く活路になるかもしれません。
Dotdigitalには独自のAIエンジンである「ウィンストンAI™」が搭載されており、メールマガジンのシナリオ設定や、コンテンツ内容、マーケティングオートメーション(MA)に役立つ情報などを提供してくれます。マーケティングを効率的に、より強化した施策の実現をサポートします。
Shopifyも独自のAIでEC事業者をサポートしています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
インフルエンサーとMAツールでZ世代をターゲティング
情報過多の環境で育ち、自身に関係のない情報を選別する力に長けているZ世代が広告への興味を失うのに要する時間はわずか1.34秒と言われています。2025年までに世界の労働力の27%はZ世代になると予想される中で、マーケティング担当者はZ世代が最も利用するデジタルチャネルに適用し、関わっていく必要があります。
各国のCMOが、継続的に投資しているマーケティングトレンドの1位がMAツールであるのに続いて、2位はインフルエンサーマーケティングになっている点からも、Z世代の集まるチャネルでインフルエンサーマーケティングに注目が集まっているのは明らかです。
そんなマーケティングトレンドの背景から、DotdigitalはZ世代が多くの時間を費やすTikTokに焦点を当て、連携機能を強化しました。TikTokへのリードフォームの統合や、セグメント化した連絡先グループをTikTokに直接同期できるなど、リターゲティングの精度が向上することで、よりパーソナライズされた広告配信を可能にしています。
Z世代の概要やその特徴の分析を行った記事もありますので、併せてご覧ください。
顧客接点の強化に向けた各社のマーケティング事例
Dotdigitalを実際に利用しているEC事業者を招き、モーメントベースドマーケティングをテーマにセッションが行われました。
モーメントベースドマーケティングとは、消費者が特定の瞬間や状況で感じるニーズに応じて、最適なタイミングでメッセージやコンテンツを提供する手法です。スマートフォンやSNSの普及により「マイクロモーメント」に着目できるようになり、リアルタイムでの情報提供やデータ活用を通じて消費者の関心を引き出し、ブランド認知や購買意欲を高めるために活用されています。
顧客接点の一貫性を保つためのアプローチ方法
EC事業者の間では、顧客との接点において一貫性を持たせることが大切で、実店舗とECの双方を通じて「一対一の関係」を築くことが求められているとの共通認識が広がっています。顧客ごとにアプローチのタイミングが異なるため、接触が早すぎると逆効果になる場合もあります。この点は実店舗だけでなく、ECサイト上のチャットボットを使った接客においても同様で、顧客に声をかける適切なタイミングを見極めることが重要です。
さらに、MAを用いて接客シナリオを設計する際、どうしても機械的な印象が出やすい課題があります。しかし、理想とするのは実店舗のような「人の温かみ」を感じられる接客です。顧客が自動化に気づかないように工夫し、ECサイトでも「温もりのある」接客体験を提供することが目指されるべきです。
加えて、顧客理解の重要性についても本セッションでは指摘されました。例えば、メールを送る場合でも、顧客がそのメールを開き読むタイミングやシチュエーション、そしてその時の心理状態は一人ひとり異なります。こうした多様な状況に対応するには、CRMシステムが役立ちます。顧客の行動や嗜好を把握し、それに基づいたパーソナライズを進めることで、自然な形で顧客との接触が実現し、押し売り感を排除できるのです。
また、ECでは顧客の顔が直接見えないため、従来の“ABテスト”ではなく、複数の要素を組み合わせ、さらなるパターンを増やした“ABCDテスト”を活用し、より効果的な施策を見つける方法も提案されました。そういった施策を多く実施しなくてはならない状況下でも、マーケティングチームの負担を軽減し、少人数のチームでも多様なパターンを短期間で試せるよう、MAにおけるAI利用が導入されています。
Shopify × Dotdigital 瞬間的なタッチポイントで顧客体験を向上させる工夫
このセッションでは、Shopifyで構築したECサイトを持つ各企業が顧客体験を最適化するため、どのように「瞬間的なタッチポイント」を工夫しているかが議論されました。顧客がブランドに関心を示し始める瞬間を逃さず、スムーズな体験を提供することで購入意欲を引き出すことが狙いです。
特に、AIや自動化技術を活用したタイムリーな対応が、顧客満足度やブランドロイヤルティの向上に繋がるといった共通認識が強調されました。顧客が求める情報を最適なタイミングで提供することが、結果的に収益にも直結するという考えです。
例えば、アルビオンの榊原氏は、ECサイトの夜間対応に課題を感じていたと述べました。同社のメインターゲットである女性顧客の訪問は夜10時から深夜1時に増える傾向にあり、その時間帯に問い合わせが集中している状況でした。これに対して、チャネルトークのAIを導入し、夜間の質問対応を自動化することで、顧客が自然に納得し、購入に至るケースが増えたと語ります。
また、フリューの小坂氏は、フィギュア販売においては、発注から到着までに1年近くかかるケースもあるため、顧客の興味を維持するためのコンテンツ配信に工夫を凝らしていると話しました。他にも、顧客のコメントを収集し、ECサイトのTOPページに「お客様の声」や「みんなの投稿写真」の掲載エリアを設け、UGC(ユーザー生成コンテンツ)として展開することで、新規顧客の獲得につなげる循環システムを構築しているといいます。
一方、主婦と生活社の高木氏は、雑誌「LEON」の発売に合わせたタッチポイントを提供する戦略について紹介しました。ECサイト「買えるLEON」や会員制の「Club LEON」など、雑誌と連動したオンラインやイベントの施策を通じて、顧客が関心を持った瞬間に購入しやすい環境を整えていると述べました。
こうした各社の取り組みを通じて、自動化したメール配信におけるタイミングの重要性も共通の課題として浮き彫りになりました。顧客が商品に興味を示したタイミングで適切な情報を提供するために、デジタルツールを活用して購買意欲の維持と顧客満足度の向上を目指す工夫が求められています。
UGCの効果的な活用事例はこちらの記事をご覧ください。
ECの成長を促進するDotdigitalの効果的運用術
BiNDecはShopify Plusパートナーとして、Dotdigitalを組み合わせ、お客様のECサイトを効果的に成長させるサポートを提供しています。後述しますが、その取り組みが評価され、本サミットにて「Top Performer」を受賞しました。
ShopifyとDotdigitalを活用することで、パーソナライズされた多彩なタッチポイントを構築し、売上や顧客体験を向上させることが可能です。
ShopifyとDotdigitalで実現する多機能なマーケティング
DotdigitalはShopifyと連携することで、顧客情報や購入データの自動同期、注文情報の更新、さらには商品カタログの情報連携が可能です。また、Shopify Flowとの組み合わせにより、メタフィールドを活用した高度な自動化も実現可能。ROIトラッキングやクーポンコードの生成を含め、幅広い機能でEC成長を支援します。
AIと自動化による高度なマーケティング施策
DotdigitalにはAIを活用した高度な予測機能が搭載されており、次に購入される可能性が高い商品や顧客がメールを開封する時間帯の予測が可能です。さらに、メールのみならずSMS、LINE、Google、Facebook、Instagram、TikTokといった複数のチャネルでのアプローチが可能で、顧客に合わせた多様な施策を展開できます。他のツールでは別々に導入が必要なチャネルも、Dotdigitalなら一元管理できる点が大きなメリットです。
効果的なテストと売上改善を促すアプローチ
Dotdigitalは10種類もの分岐ABテストを実施可能で、条件に応じた最適なアプローチを検証し効果を最大化できます。また、ページ離脱やカート落ちに応じたアプローチを自動化し、売上改善につながる施策を提供します。カスタマージャーニーに沿った的確なアプローチにより、ECのパフォーマンス向上が期待できます。
「Top Performer」受賞!Dotdigitalとの更なる連携強化でEC運営を支援
BiNDecは、Shopifyの構築や運用を中心に、さまざまなサービスやツールとの連携を行っています。Dotdigitalもその一つであり、今回、Dotdigitalの成長に貢献した10社のパートナーの一つとして「Top Performer」を受賞しました。この賞は、Dotdigitalの発展に大きく貢献し、顕著な成果を上げた点が評価されたものです。
Dotdigitalは多機能で幅広い用途に活用できる優れたツールですが、その設定にはある程度の専門性が求められるため、導入のハードルが高くなりがちです。BiNDecは、MAツールにおいては迅速なPDCAの実行が鍵であると考えており、導入がもっとシンプルであるべきだと感じています。そのため今後は、BiNDecから事前設定済みのプリセットを提供し、即座に使用できる環境を整えることで、導入プロセスをよりスムーズにしていくことも検討しています。
まずはシンプルな構成で短期間のうちにローンチし、メール施策やSNSプロモーション、会員向けキャンペーンなどを試験的に展開しながら、各ブランドにとって最適な高成果の手法を確立していきましょう。
DotdigitalのようなMAツールを導入することで、マーケティングの幅を広げ、迅速にPDCAサイクルを回して成果の向上を目指すことが可能です。ECサイトを通して、マーケティングの強化や業務効率化にご関心のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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