ShopifyとAmazonの特徴を比較|集客とブランディングで考える最適な販売チャネル戦略

ShopifyとAmazonの特徴を比較|集客とブランディングで考える最適な販売チャネル戦略

ECを始める際、「自社ECを構築するか」「ECモールに出店するか」で悩む事業者は少なくありません。本記事では、代表的な選択肢としてShopifyとAmazonを取り上げ、それぞれの特徴や費用、集客方法の違いを比較し、自社に適したECプラットフォームを検討するヒントをお届けします。

ShopifyとAmazonはどのようなECプラットフォームなのか

ECサイトの立ち上げにあたって重要なのは、スピード感やコスト、自社の販売スタイルに合ったプラットフォームを選ぶことです。

フルスクラッチでのEC構築も一つの方法ですが、膨大な初期投資や開発期間を考えると小規模からスタートしたい事業者にとって現実的ではないケースもあります。そこで活用されるのが、既に多くの機能を備えたECプラットフォームです。中でも、クラウド型ECで柔軟な拡張が可能な「Shopify」と、集客力に強みを持つECモールの「Amazon」は、それぞれのタイプでの代表的な選択肢になります。ShopifyとAmazonがどんな特徴を持つのかを解説します。

Shopifyとはクラウド型のECプラットフォーム

Shopifyの公式サイト
Shopifyは、世界175カ国で利用されているクラウド型(SaaS型)のECプラットフォームです。カート機能や商品登録、注文管理といったEC運営に必要な機能があらかじめ備わっています。自社でサーバーの用意やセキュリティ管理も不要で、インターネット環境さえあれば誰でもすぐにECサイトを開設・運用できます。
実店舗で考えると路面店のような状態です。そのため、集客や売上拡大のための施策は自社で企画・実施しなければなりません。一方で、顧客情報を自社で管理できるため、メールなどを通じた直接的なコミュニケーションやデータ分析に基づいた効果的なマーケティングが可能です。

デザイン面では、豊富に用意されたテンプレートの中から選んで自社の世界観に合うデザインを設定でき、柔軟なカスタマイズにも対応しています。さらに、16,000以上のShopifyアプリから必要な機能を選んで拡張できるため、売上規模や業種に応じて最適な形へ進化させていけます。料金プランも複数用意されており、個人から中小企業、大手のグローバル企業まで幅広いニーズに対応。多言語・多通貨にも対応しているので、海外市場への展開もスムーズに行うことができます。

Shopifyがなぜ多くのD2Cブランドに選ばれるのか、データと比較で解説したページもご用意していますので、併せてご覧ください。

Amazonとはモール型のECプラットフォーム

amazonサイトキャプチャ

ECモール大手のAmazon


Amazonはモール型のECプラットフォームです。ECモールとは、複数の事業者が出店し、商品を販売できるオンラインのショッピングサービスです。ECサイトの運営に必要な商品管理、決済、カートといった機能は、すべてECモールが提供するサービスを利用します。クラウド型と同様に自社でサーバーを用意したりセキュリティを管理したりする必要もありません。実店舗の「ショッピングモール」にテナントとして出店するイメージに近いと言えるでしょう。
ECモールは、集客力が高いのが特徴です。特にAmazonは世界最大級のモール型のECプラットフォームであり、セール企画などをきっかけに集客が期待できます。また、Amazonの場合、物流関係をAmazonに委託することもできるので、スタッフが少なくても安心です。

ただし、競合が多いため、価格競争に巻き込まれやすいデメリットもあります。また、顧客情報の管理はAmazonが行うため直接マーケティングすることは基本的に制限されています。例えば、顧客のメールアドレスにクーポン付きのメールを配信するといったリピート施策は行えません。

Amazonの物流代行サービス「フルフィルメント by Amazon」について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ShopifyとAmazonの特徴を比較

ShopifyとAmazonの概要を紹介しましたが、実際にどちらを選択するかを検討するには、料金体系やカスタマイズ性、集客・マーケティング施策の行いやすさなど、さまざまな観点から比較する必要があります。ここでは、ShopifyとAmazonの特徴を比較していきましょう。

ShopifyとAmazonの料金体系を比較

Shopifyは月額制で、プランごとに機能や決済手数料が異なります。一方Amazonは出品形態によって手数料が変動し、売上に応じた費用が発生します。 固定費と変動費、それぞれの仕組みを理解することが重要です。

Shopifyの料金体系

Shopifyは初期費用が不要で、月額プラン料金のみで始められます。ただし、ランニングコストとして決済手数料と取引手数料が発生します。
決済手数料は、クレジットカードのブランドとプランにより2.9〜3.9%かかります。取引手数料は、Shopifyの決済サービスShopifyペイメントを使えば無料ですが、他社の決済サービスを利用する場合は0.2〜2%が別途かかります。
さらに、有料アプリや有料テーマを導入する場合は、それぞれ追加費用が必要です。

Shopifyの料金プランについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

Amazonの料金体系

Amazonも初期費用は不要で、出品プランに応じて料金体系が異なります。
小口出品プランでは月間登録料がかかりませんが、商品が売れるごとに100円の基本成約料が発生します。一方、大口出品プランでは月額4,900円の月間登録料が必要となる代わりに、基本成約料はかかりません。
また、すべての出品者には、商品が売れた際に販売手数料(商品代金の5%〜15%程度)が課されます。この販売手数料には、商品カテゴリによって最低販売手数料が設定されている場合があり、通常の手数料を下回る場合には、そちらが適用されます。

さらに、在庫管理や配送を代行してくれるFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用する場合には追加の費用が発生しますが、その分、運営に関わるスタッフの負担を軽減できるというメリットもあります。
そのほかにも、カテゴリー成約料・大量出品手数料・返金手数料などが発生するケースもあり、出品内容に応じてコスト構成が変動します。

Amazonの販売手数料について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ShopifyとAmazonのランニングコストを比較

月額料金や手数料など、運営中にかかるコストは利益に直結します。Shopifyはコストが比較的安定しやすく、Amazonは売上に応じて手数料が増える仕組みです。どちらが自社に合っているか、日々のコストのかかり方も含めて考えることが大切です。

Shopifyのランニングコスト

プラン名 月額料金(年払いの月額) 決済手数料 取引手数料
(Shopifyペイメント利用で無料)
Basic 4,850円(3,650円) 3.55~3.9% 2%
Grow 13,500円(10,100円) 3.4~3.85% 1%
Advanced 58,500円(44,000円) 3.25~3.8% 0.6%
Plus $2,300 ※3年契約 2.9~3.75% 0.2%

Amazonのランニングコスト

プラン名 月額料金 基本成約料 販売手数料
小口出品 無料 1点につき100円 5〜15%
大口出品 4,900円 なし 5〜15%

ShopifyとAmazonの集客・マーケティング方法を比較

ECサイトでは、どれほど魅力的な商品を扱っていても、訪問者がいなければ売上にはつながりません。ShopifyとAmazonでは、集客やマーケティングのアプローチが異なり、それぞれの特性がEC運営にさまざまな影響を与えます。ここでは、両者の違いと活用ポイントについて見ていきましょう。

Shopifyで構築したECサイトへの集客とマーケティング戦略

Shopifyでは、SEOやSNS、広告などを活用して、自社で集客・マーケティング施策を展開することが求められます。キャンペーンページやLPの作成なども自由度が高く、ブランドイメージを反映したECサイト設計が可能です。

また、顧客データを自社で管理・活用できる点も大きな特長で、購買履歴や行動データをもとにしたマーケティング施策によって、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す運用が可能です。Shopifyはさまざまなツールと連携がしやすく、たとえば、DotdigitalのようなMAツールと連携すれば、バースデークーポンや、顧客の購入履歴に基づいたレコメンドコンテンツの配信、開封される可能性が高いタイミングに合わせたメール送信、A/Bテストなど、パーソナライズされた高度なメールマーケティングを展開することができます。

加えて、ShopifyはUI/UXの調整や導線設計の見直しがしやすく、ページ改善のPDCAをスピーディに回せる点も、事業成長を後押しする大きな要素です。
このように、顧客との関係性を深めながらブランドを育てていくスタイルがとりやすく、D2Cモデルとして成長を目指す企業には適した選択肢といえるでしょう。

AIを活用したShopifyの顧客分析について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

Amazonの集客とマーケティング戦略

一方でAmazonでは、モール自体が圧倒的な集客力を持っているため、出品するだけで一定の流入が見込める点が魅力です。

ただし、検索結果で上位表示を狙うには、商品タイトルやキーワードの最適化といったAmazon内でのSEO対策が不可欠で、レビュー評価の影響も非常に大きくなります。また、出品者は顧客情報を取得できないため、リピート施策や顧客育成は基本的に行えません。これは、LTVの最大化やブランドファンの形成において大きな制約となり得るでしょう。

広告面でのマーケティング施策としては、「Amazon Ads」を活用することで、購買意欲の高い客層にリーチでき、特にプライム会員向けの商品展開では高いコンバージョンが期待できます。

ECサイトの集客施策について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ShopifyとAmazonのカスタマイズ性を比較

ECサイトの成功に欠かせない要素のひとつが、訪問者へブランドの世界観を伝えファンになってもらうためのブランディングです。そのためには、同業他社との差別化ができるオリジナリティのあるECサイトを作ることが必要でしょう。
しかし、フルスクラッチやECパッケージのように、完全オリジナルのECサイトを構築するのは、膨大なコストや時間がかかる可能性もあります。そこで、ブランドの世界観を表現するために、ShopifyとAmazonがどこまでカスタマイズできるか紹介します。

Shopifyのカスタマイズ性

Shopifyはクラウド型(SaaS型)でありながら、高い自由度と拡張性を備えています。例えば、デザイン面で言えば、多数のテンプレート(テーマ)から最適なデザインを選べます。また、HTML・CSS・Liquidでカスタマイズも可能なため、よりオリジナリティの高いECサイトを構築したいという希望も叶えることができます。
機能面でも、Shopifyアプリを利用することでゼロから開発を行うことなく、必要なタイミングで必要な機能をECサイトに導入できます。

Shopifyのテーマについて、こちらで詳しく紹介しています。

Amazonのカスタマイズ性

Amazonでは、デザインや機能面でのカスタマイズはほとんどできません。あくまでAmazonのルールに従って運営する形となるため、独自の購入フローを設計したり、機能を追加したりすることはできず、ブランドの世界観や顧客体験を柔軟に構築するのは難しいと言えます。

ShopifyとAmazonが実現できるEC戦略の違い

ShopifyとAmazonは、それぞれ異なる強みを持つECプラットフォームです。どちらか一方を選ぶのではなく、目的に応じて両方を上手く組み合わせて活用することで、より戦略的なEC運営が可能になります。たとえば、Amazonを活用して幅広い層に商品を認知してもらいながら、Shopifyではブランドの世界観を体現し、リピーターやファンの育成につなげる――そんな使い分けが成果につながるケースも多く見られます。
ここでは、それぞれのサービスで実現しやすいEC戦略と、それに向いている事業者のタイプをご紹介します。

Shopifyが得意とする戦略と向いている事業者

ブランドイメージを確立し、独自のECサイトを運営したい

Shopifyは、サイトのデザインや構成を自由に設計できるため、ブランドの世界観をECサイトに反映させたい事業者に適しています。アパレル、コスメ、インテリア、食品など、商品価値とともにブランドイメージを届けることが売上に直結する業種では特に高い効果が期待できます。

ECサイトを成長させ、事業を拡大していきたい

Shopifyは、単なるECサイト構築ツールにとどまらず、実店舗・SNS・モール・ポップアップストアなど複数チャネルの販売管理が可能なマルチチャネル対応型のコマースプラットフォームです。売上規模や販売チャネルの変化に応じて運用コストや機能を柔軟に最適化できるため、段階的な成長を目指す事業者に適しています。事業全体の収益性や運営効率を高める観点でも、モール出店のみとは異なるメリットがあります。

海外展開を考えている

国内向けには十分なECシステムでも、海外に販路を広げたいと考えた時に柔軟に対応できないケースは少なくありません。その点、Shopifyは多言語・多通貨対応や海外向けの決済サービスとの連携がスムーズで、越境ECとの相性にも優れています。最初から販路を広げやすいShopifyで構築しておくことで、将来的な展開や成長フェーズでも無理なく対応が可能です。

SEO・SNS・広告などを活用し集客できる事業者

Shopifyはモール型と異なり、SEOやSNS、広告などの外部施策による集客が必要です。一方で、顧客データを自社で保有できるため、メール配信やMAツールを活用したCRM施策でリピート購入や顧客ロイヤルティの向上に取り組みやすいのが大きな特徴です。
社内に専門人材がいない場合は、集客や顧客マーケティングの施策を支援してくれるパートナー企業に依頼するのも効果的です。

Amazonが得意とする戦略と向いている事業者

すぐに販売を開始したい事業者

Amazonは、アカウント登録と商品登録だけで出品できるため、初期の構築作業を最小限に抑えて販売を始めたい場合に適しています。Shopifyでもスピーディに立ち上げることは可能ですが、デザインや機能設定が不要な点では、Amazonがより手軽でしょう。

競争力のある価格設定ができる事業者

Amazonでは、同一商品を複数の出品者が扱うケースが多く、価格比較が前提となるため、メーカー直販や大量仕入れなどにより、原価を抑えて競争力のある価格を提示できる事業者は有利に展開できます。

ShopifyとAmazonの併用戦略

昨今のECサイト運営では、販売チャネルを多数持つという戦略が当たり前になっており、ShopifyでECを運用しているマーチャントの90%が2つ以上のチャネル展開をしています。前述の通り、ShopifyとAmazonには異なる特徴があるため、Shopifyで自社のブランドを確立しつつ、Amazonの集客力で新規顧客を獲得することが効果的です。

在庫・注文管理を効率化するShopifyとAmazonの連携方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

Shopify認定パートナーのサポートでチャネル連携を最短距離で実現

ShopifyとAmazonを併用するのであれば、運用の効率化が成功の鍵となります。そこで役立つのが、Shopify公認の支援企業である“Shopfiyパートナー“によるサポートです。
ShopifyパートナーはShopifyでECサイトを構築・運用するための豊富なノウハウを持っています。ShopifyとAmazonそれぞれの得意分野を理解した上で、最適な運用プランを提案できるでしょう。

例えば、ShopifyとAmazonの在庫をリアルタイムで同期し、販売機会の損失を防ぐための在庫管理、注文処理の一元化、EC戦略の最適化といった支援を受けられます。マーケティング戦略に合わせたShopifyのカスタマイズなども相談・依頼できる点もメリットです。
もちろん外部の企業からの支援には費用が発生しますが、最初の段階でプロにサポートを受けることで、遠回りをせず、早期に安定した運営を始められる可能性が高まります。
限られたリソースの中で成果を上げるためにも、パートナーの力をうまく活用する選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

Shopifyパートナーの種類や選び方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ShopifyとAmazonの併用や導入相談はBiNDecへ

ご紹介したように、ShopifyとAmazonはそれぞれ異なる強みを持ち、適した活用方法も異なります。Amazonは、モール自体に強い集客力があり、Amazon内の検索結果や広告機能を通じて新規顧客にリーチしやすいのが特徴です。特に、商品認知を広げたいフェーズや購買意欲の高い層に対して、効果的なチャネルとして活用できます。
一方で、Shopifyはデザインの自由度や顧客データの活用に優れており、ブランドの世界観を表現しながら、顧客との関係を深めて中長期的な事業成長を支えるコマースプラットフォームとして注目されています。そのため、どちらか一方を選ぶのではなく、両者を戦略的に組み合わせることで、新規獲得からLTV向上まで一貫性のあるEC戦略の構築が可能になります。

このような総合的な設計をサポートできるのが、Shopify PremierパートナーであるBiNDecです。
ECサイトの構築から運営、Amazonなどのモール連携、在庫や顧客情報の一元管理まで、事業フェーズに応じた最適なご提案を行います。
自社にとって最適なECプラットフォームや販売チャネル、運用体制についてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

BiNDecのオンライン相談に申込む

POINT

  • Shopifyは自由なデザインと顧客データ活用で、ブランド価値を高めやすい
  • Amazonは高い集客力と出品の手軽さで、新規ユーザーへのリーチが可能
  • 両者を戦略的に併用することで、集客からLTV向上まで一貫対応できる