makeshopからShopify|移行で失敗しない方法&押さえたい3つの注意点

小規模からEC事業をスタートして、顧客も増えて本格稼働にのってくると、利用しているECシステムの機能不足が見えてくるかと思います。さらなる事業拡大を目指してEC環境の強化や移行を検討する段階が訪れるでしょう。
今回は、クラウド型ECであり、機能がパッケージ化されているmakeshopから、マルチチャネルコマースプラットフォームと謳われているShopifyへの移行について考えていきましょう。

Shopifyへの詳しいリプレース手順については下記の資料をご覧ください。

移行準備の前に、Shopifyとmakeshopのスペックとコストを比較

makeshopもShopifyも小規模から大規模ECまで対応できるECクラウドプラットフォームです。クラウド型のプラットフォームということで機能面での共通点も多いですが、違う点もあります。

Shopifyとmakeshopの比較表

まず、Shopifyとmakeshopの概要を比較してみましょう。

Shopify makeshop
日本での運営会社 Shopify Japan GMOメイクショップ
概要 世界175か国で利用されるカナダ発のECプラットフォーム。アメリカにおけるEC市場シェアNo.1。日本での利用も増加している 日本でのASPカードで流通額No.1を誇る。makeshopの1店舗当たりの月商は、平均200万円程度。
初期費用 無料 プレミアムプラン:1万1,000円
makeshopエンタープライズ:11万円〜
月額費用 ベーシック:3,650円
スタンダード:1万100円
プレミアム:4万4,000円
Plus:2,300ドル
※年払いの場合
プレミアムプラン:1万2,100円
makeshopエンタープライズ:6万500円〜
最短契約期間 1か月〜(Plusは1年、または3年) 1か月
商品登録数上限 無制限 プレミアムプラン:1万商品
makeshopエンタープライズ:5万商品(それ以上のプランあり)
利用可能なデータ容量 無制限 100MB~20GB
問い合わせ チャットサポート(Plusは24時間電話サポート有) メール、掲示板(プレミアム以上では電話サポート有)

では、それぞれの特徴について説明していきます。

Shopifyの特徴

Shopify公式サイト
本社をカナダに置くShopifyは、世界175か国で使われているECプラットフォームです。世界中のECシェア全体の16.36%を占め、2024年に最大のECプラットフォームの1つになりました。
特に、世界のアクセス上位100万サイトのうち、23%がShopify、6%がShopify Plusを利用しており、グローバル基準でも大変人気があることがわかります。

Shopifyは、その世界規模の基盤を活かし、セキュリティの堅牢性も高いEC機能を小規模から大規模なビジネスまで提供するのが強みです。
基本機能はあえてシンプルに、必要なアプリを必要なタイミングで追加することで、常にコストを最適化し、開発コストを要さずに高度な機能をECに追加できます

中堅〜大企業向けにはShopify Plusという上位プランがあり、ECの構築や運用の専門知識を有するパートナー企業と契約することで、より事業の成長を見込むことができます。Shopifyのパートナー企業の選び方は下記の記事をご覧ください。

makeshopの特徴

makeshop公式サイト
makeshopは、GMOグループに属し、日本国内のSaaSのECサービスにおいて12年連続で流通総額がNo.1となっているサービスです。

カスタマイズに対応した「makeshopエンタープライズ」と低コストの「プレミアムプラン」の2種類のプランを提供しており、専用サーバーの構築やシステムカスタマイズなどは、makeshopエンタープライズのみの機能です。一定以上の規模のネットショップを目指す場合には、makeshopエンタープライズがおすすめです。

makeshopの特徴は、651の機能がサービスに含まれている点で、その中には日本の商習慣に合わせた機能が多く含まれています。プラットフォーム提供に留まらず、コンサルティング、独自ドメイン、サイト制作まで各種のサポート体制が整っていることも大きなメリットでしょう。

Shopifyへの詳しいリプレース手順については下記の資料をご覧ください。

makeshopからShopifyへ移行可能なデータ

makeshopで運営していたECサイトをShopifyへ移行する際には、できるだけサイトの情報をそのまま活用したいと考えるかと思いますが、実際はどのデータが移行可能なのでしょうか。
スムーズに移行できるものもあれば、別途手順が必要なものもあります

スムーズに移行ができる 商品情報、会員データ、受注データ
別の手順が必要 商品画像データ、ブログ記事、ポイント情報
移行できない 顧客のパスワードデータ、送料設定、各種機能

ただし、移行できないものも代替案的に移行できる部分があります。それぞれ以下に解説していきます。

商品情報

makeshopの商品ページのデータは、Shopifyへ移行することができます。

makeshopの商品管理画面の『商品一括登録』からCSV形式のファイルをダウンロードすることができ、データには商品コードや商品名、商品説明、商品グループ、画像有無などを含みます
画像ファイルと画像URLはCSVファイルに含まれないため画像の移行には、別の手順が必要ですが、移行自体は可能です。

商品情報や画像をShopifyに一括登録する手順の詳細はこちらの記事で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

会員データ

makeshopの会員データは、会員管理画面の会員一覧からCSVファイルでダウンロードが可能です。会員ID、名前、フリガナ、メールアドレス、性別、メルマガ設定、生年月日、電話番号、郵便番号、住所、会員加入日、ポイント情報、会員グループが含まれます。

makeshopの会員登録情報は、姓名が1枠にまとまっていますが、Shopifyは、姓・名2つの枠に分けられています。このような違いからデータ自体は加工が必要にはなりますが、インポートによって一括移行は可能です。

受注データ

makeshopの受注データは、Shopifyへ移行可能です。ただし、過去の受注データを移行する必要があるのかは検討も必要です。
長年、既存のECサイトを運営していると、商品の統廃合などで存在しないものや、すでに販売を終了しているものが出てくるでしょう。詳しくは後述しますが、データの移行にはMatrixifyというアプリを使用します。そのアプリにデータを取り込む際に、終売したデータなどを含め、取り込むデータが増えるほどエラーチェックや移行時間の負担が大きくなります。
データをローカルに残して参照する方法もありますので、必須でないケース以外は直近の未出荷対応中のもののみの移行をおすすめします。

ブログ記事

makeshopには、「ブログ」というサービスはありませんが、「お知らせ機能」で記事コンテンツが更新・公開できます。簡単なマークアップ、表組みや画像の挿入が行え、投稿したお知らせは、ECサイト内の「お知らせ」に掲載されます。そして、makeshopにはこのデータをエクスポートする機能が付いていません。
少々アナログではありますが、手動でmakeshopの記事のソースをコピーし、Shopify側のブログへ貼り付けて調整をするなど方法自体はいくつかあります。

なお、Shopifyにも簡易的なブログ機能があります。管理画面の販売チャネルからオンラインストアを選び、「ブログ記事」から投稿・管理が可能です。また、商品ページとは別に自由に編集できるフリーページも、移行が可能です。

ポイント情報

makeshopは、会員データと一緒にポイント情報をダウンロードできます。ただし、そのままShopifyへインポートして使うということはできません。Shopifyでポイント制度を導入したい場合は、別途ポイントアプリを使う必要があります。それぞれ機能性や使い勝手が異なるため、ビジネスモデルに最もマッチするアプリを選びましょう。

Shopifyのポイントアプリについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

パスワードは顧客が再設定しなければならない

顧客情報には通常、会員ログイン用のパスワードが含まれますが、パスワードのデータ移行はできません。パスワードは、顧客に対してサイト移行のお知らせ時に設定してもらうのが基本です。

顧客情報は、すべてが移行完了されるわけでなく、データ移行後は仮会員登録状態になっており、新規サイトに顧客がアクセスしてパスワードを設定したところから本登録が完了し、利用可能になる流れです。

送料設定やアプリは設定し直しを

makeshopには、「ショップ構築」設定で「配送設定」を行うようになっています。設定を移行する方法は用意されていないので、新たに設定を行います。

Shopifyでは管理画面の設定で、[配送と配達]から設定を行います。また、Shopifyの基本設定では、購入時に配送希望日時は設定できませんが、アプリを使うことで可能になります。
Shopifyの構築・運用を支援するサービスのBiNDecにも「BiNDec|配送日時指定」というアプリがあり、ECサイトの運営に合わせた配達可能日を設定することが可能です。他にも、EC運営に欠かせない機能を追加するために様々なアプリをご用意しています。詳しくはこちらをご覧ください。

Shopifyへの詳しいリプレース手順については下記の資料をご覧ください。

事前に把握しておくべきmakeshopからShopifyへの移行手順

引越しのイメージイラスト

ここから、makeshopからShopifyへ移行を行う際のポイントを順を追っておおまかな流れで解説します。

1. makeshopからShopifyへ、移行できることの情報整理

Shopifyに移行するにあたって、そのまま移行できることができないものの切り分けを行います

  • 商品情報:CSVファイルで移行可能
  • 受注データ:CSVファイルで移行可能だが、必要性を検討
  • 会員データ:パスワード以外は移行可能
  • ブログ記事:エクスポート不可
  • 各種機能:ポイント情報、送料設定はインポート不可。別途アプリを検討

ここまでで解説した上記内容や、後述する注意点も参考に、移行後にも必ず必要な機能とあった方が良い機能をレベル分けします。
そうすることで、導入するShopifyアプリの候補を選定でき、カスタマイズの必要性も見えてくるでしょう。

2. Shopify基本設定、及びデザインの調整

makeshopとShopifyではデザインテンプレートは共通ではなく、ページの機能も異なるため、デザインやECサイトの基本設定はShopifyで改めて行うことになります。

データを移行する準備と並行して、ページデザインの調整を行いましょう。移行にあたっては必ずしも前サイトと同じデザインを踏襲する必要はありません。社内のデザインポリシーや、今後の運用に向けてふさわしいデザインを検討していきましょう。

Shopifyには数多くのデザインテンプレートがありますが、注意したいのはテンプレートによって使用できる機能が異なっている場合があることです。外側の見た目だけでなく、使用する機能との兼ね合いもチェックしておきましょう。

Shopifyテーマストアには100種類以上のデザイン性の高いECサイトのテンプレートが用意されている

3. Shopifyアプリのインストール、設定、動作確認

Shopifyは、多くのアプリが用意されており、初期状態で用意されていない機能はアプリで追加することができます。

そのため、makeshopの日本独自の商習慣向け機能などをはじめとしたいくつかの機能は、Shopifyではアプリで対応することになるでしょう。
自社のニーズに合ったアプリの選択とインストール、設定、動作検証を経て、商品情報などの入れ物となる新しいECサイトの土台の準備を完了しておきましょう。

おすすめのアプリをまとめた記事もありますので、合わせてご覧ください。

4. ドメイン移行やリダイレクトの準備

独自ドメインのECサイトをmakeshopで運用している場合はドメインの移行を進めます。makeshopではネームサーバーを提供していますが、解約すればこれも使えなくなるため、別途ドメインを管理できるネームサーバーの契約が必要です。

Shopifyへの詳しいリプレース手順については下記の資料をご覧ください。

実践!makeshopからShopifyへのデータ移行

1. 移行データを決定し、データをエクスポートする

移行するデータを決定し、商品情報、会員データなどmakeshop側から移行できるデータをエクスポートします。CSV形式のファイルでダウンロードすることで表計算ソフトなどで加工可能な状態になります。

後述の注意点にも示すように、必ずしも全データを移動することがベストではないので、必要なデータだけにしぼって移行コストを軽減することをめざしましょう。

2. Matrixify(旧Excelify)などを使って加工し、インポートする

makeshopとShopifyでは、会員データにおける名前管理の枠のように、データの格納形式が異なります。そのため、そのままインポートすることはできません。そこで、Matrixifyのようなデータの互換性を調整するためのツールを使い、対象データを新しい割り当て先で使えるように調整、そしてShopifyへインポートします。

Matrixifyのメリットは、移行元のデータの各列を移行先のデータの各列へ紐づけして、取り込みがそのままではできないデータも、自動的に複雑な処理を定義づけすることで取り込み可能にできることです。

そのため、ツールさえあればインポートができるというわけではなく、データ同士を比較して紐づけ作業を行い、書き出したデータのフォーマット整形する必要があります。

3. データ検証

ページの移行などが正しく行われたかを確認します。また、商品ページがすべて正常に表示されているかも確認します。ブログやページなどは、デッドリンクなどが発生しないように画像や文中のリンクが内部リンクの場合は変更されていることも必要です。

以上、おおまかな流れを説明しました。このようにmakeshopからShopifyへのECサイトの移行は、ワンクリックで手軽にできるものではありません。手順を理解し、ノウハウがある技術者がいる状態で行うことが好ましいでしょう。

Shopifyへの詳しいリプレース手順については下記の資料をご覧ください。

makeshopからShopifyに移行する際の3つの注意点

ここからは、makeshopからShopifyへの移行で知っておきたい注意点をご紹介します。スムーズな移行を叶えるためにも確認してください。

必要な機能のみ移行する

ECサイトの移行の際は、すべてのデータや機能が移行できるということがゴールと考えてしまうことがあります。しかし、実際にECサイトを移行するのは、手狭になったサイトを拡張したり、新しいことにチャレンジすることが目的のはずです。
過去に導入してあまり使われていない機能を再現したり、不要になったデータまで移行するのは移行のコストが大きくなるだけで、管理面での負担となります。

旧サイトと新サイトで、必要な機能を対比させた際に、成果率が低く、かつ無くてもよいと思われるものはいったん削除する勇気が必要です。もちろん売上に影響するような機能は、しっかりと再現できるようにアプリを追加する、似た機能を探すなどの取り組みをします。

商品データの移行の検討

たとえば、商品データには、もう販売されていない商品データやページ、写真も移行元には存在します。今後発売しないのであれば、これらのデータをあえて移行させる必要はなく、削除して身軽にすることをおすすめします。

画像データの移行の検討

商品写真については、ケースバイケースで、大量にある商品写真を短期間で入れ替えることは現実的ではないので、まずはそのまま自動的に移行するのが基本です。
ただし、あまりに古い写真を使っていたサイトでは、移行を機にセールスに関わる要素として写真のグレード、クオリティを上げた方が良いでしょう。

SEOの評価を引き継ぐために正しくリダイレクトをする

以降時のチェック対象事項をイメージしたアイコンの写真

makeshopとShopifyではサイト構造が異なるため、商品の個別URLは変更となります。そのため、リダイレクトの設定を行わないと、メルマガやQRコード、キャンペーンのリンク、SNSや記事などインターネット上に存在する過去のリンクが機能しなくなります
また、リダイレクト設定がされていないと、過去のSEO上の信頼もなくなり、検索表示でも不利になってしまいます。新サイトでは、公開前に適切なリダイレクトを設定しておきましょう。

顧客が離れないように、移行後の流入計画を立てる

サイトの移行は、顧客に向けても告知し、計画的に行います。突然のサイト移行で見た目が変わっていたり、ECサイトの名前が同じでもログインできなかったりすると、「偽サイト」や「サイト障害」と勘違いされ、顧客が離れてしまう危険もあります。

ロイヤル顧客やリピーターに対しては、サイト上にポップアップして告知するなどが効果的です。
また、メルマガユーザーに対しても事前の告知を行います。リニューアルキャンペーンなどでお客さまにメリットがあるサービスを提示し、会員ログインを促していきましょう。

Shopifyへの詳しいリプレース手順については下記の資料をご覧ください。

ShopifyがECシステムの移行先におすすめの理由

ここまで、makeshopからShopifyの移行について解説してきましたが、Shopifyへの移行にはどんなメリットがあるでしょうか。現在、利用する企業が増えているShopifyの魅力を簡単にまとめてみました。

1000以上のEC構築を手がけてきたトップベンダーが、Shopify、EC-CUBE、ecforceという、D2Cを数多く支えているプラットフォームを比較して語るインタビュー記事もございますので併せてご覧ください。

アプリによる機能追加で、開発コストを抑えることが可能

Shopifyは、アプリという機能の考え方があり、必要になった機能は、アプリをインストールして個別にサイトへ追加できるようになっています。その数は10,000以上にもわたり、無料で使えるアプリもあります。

Shopifyパートナーとして認定された世界中の開発者がアプリを提供するため、iPhoneのアプリでさまざまなことが1台のスマホで可能になったように、Shopifyでは、単一のプラットフォームとはいえ、さまざまなニーズに合わせてサイトを拡張できるのが魅力です。

また、フルスクラッチやパッケージに比べて、手数料も低く抑えながら常に最新の機能を利用できます

事業規模に合わせた3つのプランで、成長に合わせてビジネスも拡大

個人事業主向けのベーシックから、エンタープライズ企業向けのPlusまで、Shopifyには4つのプランが用意されており、事業規模に合わせて変更が可能です。未来予測が難しい状態でも、その時の事業の状態に合わせたプランを選択できるので、すぐにシステムを移行しなければならないという不安なくECサイトを運用することができます。

可用性も耐障害性も高い安心のシステム

Shopifyは世界標準のセキュリティ基準に対応しており、また負荷にも強いプラットフォームです。世界中のサーバー拠点で負荷分散されており、フラッシュセールや限定商品などの影響による集中アクセスで停止のリスクが低く、サーバーメンテナスの手間が不要です。安定した環境で運用できることで、ビジネスを加速することへつながります。

スムーズな移行にはmakeshopからShopifyリプレイスの専門知識が必要

ここまで、makeshopからShopifyへECサイト移行の準備をいち早く進めたい、という方に向けて考えておきたい点や準備などを紹介してきました。
しかし、ECサイトの移行は新規の立ち上げよりも遥かに難易度は上がります。既存のECサイトを運用しながら、ここまで説明した作業を行うとなると相当な工数が必要になるでしょう。
なおかつ、データ移行やサイトデザイン制作には、Shopifyへの理解度も必要になります。

そんな時には、Shopify Plusパートナーの手を借りるのがおすすめです。Shopify厳しい審査を通った公式のパートナーが、EC構築・運用のノウハウを提供しています。
Shopify PlusパートナーのBiNDecは、makeshopからShopifyへのECシステム移行の実績も豊富です。スピーディかつスムーズな移行を実現し、その先の運用サポートまで一貫して行っています。
ShopifyへのECシステムの移行をご検討の際は、お気軽にお問合せください。
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