カラーミーショップからShopifyへリプレースで、必ず覚えておきたい手順と注意点

カラーミーショップからShopifyへリプレースで、必ず覚えておきたい手順と注意点

カラーミーショップでEC運営をしている事業者の方には、何らかの都合から、ほかのプラットフォームへの移行を検討している方もいると思います。今回の記事では、昨今、企業での利用が増えているクラウド型のECプラットフォーム、Shopifyへ移行することを前提に、システムの特徴や、移行の仕方を紹介していきます。

カラーミーショップとShopifyの比較

カラーミーショップもShopifyも、サイトの構築、商品ページの作成ができ、ショッピングカート機能がついたECサイトを構築・運営できるサービスです。
どちらも多数の機能があるので、機能面だけ見比べても、どこが違うのか、わかりづらい面もあります。まずは、それぞれのサービスにはどんな特長があるのか、解説します。

Shopifyの特長

Shopifyは、世界175か国で使われているカナダ発のECプラットフォームです。世界のアクセス上位のEC100万サイトにおいて、No.1のシェア(30%)を占めており、売れているECサイトのおよそ3サイトに1つがShopifyを使っているといっても過言ではありません。(*1)
Shopify公式サイト
*1=BuiltWith調査。アクセス上位のEC100万サイトのプラットフォームは30%のうち7%がShopify Plus。(2024年8月時点)

スタートアップからエンタープライズまで幅広く使える

日本では、Shopifyは個人や小規模ビジネスでも利用できる高性能なECプラットフォームとして知られる面もありますが、D2Cを立ち上げる企業や、スタートアップにもよく選ばれています。また必ずしも中小規模のビジネス向けのサービスではありません。年間売上が億単位になるエンタープライズ向けのShopify Plusという上位プランがあり、専門知識をもつShopify Plusパートナー契約を行い、より攻めの運用をすることができます。
Shopifyは世界規模のリソースをもつクラウド型のプラットフォームのため、柔軟なスケーラビリティを提供できます。そのため、ごく小規模のECが利用した場合も、また、超大規模なECが利用した場合も、どちらも適正コストでありながら使い勝手がよく、つねに最新機能が利用できる環境が提供されるのが特長です。

高耐久でリスクの低いサーバー性能

Shopifyのホスティングサーバーは、世界中に拠点を設けて負荷分散することで、99.99%の稼働率を記録しています。
さらに、Shopify Plusプランであれば、フラッシュセール時には前もってエンジニアチームによる監視体制を組み、障害に即時対応できるので、同時刻に注文が殺到するようなセールであっても安定して運用できます。最新の公式記事によれば、ブラックフライデーのセールで1秒あたり96万7000件のチェックアウトを処理した実績もあります。(*2)
*2=Shopify merchants drive record-high $9.3 billion in Black Friday-Cyber Monday sales

アプリによる拡張性の高さも人気のひとつ

Shopifには、機能拡張の幅が広いことも特長として挙げられます。ShopifyのECサイトに「Shopifyアプリ」を追加するという方法で標準では用意されていない機能を簡単に追加でき、Shopifyアプリは世界中の開発者が日々制作、公開しています。ECサイトに「アプリ」を追加できるサービスも最近増えていますが、この概念をECに持ち込んだのは、Shopifyが元祖と言えるでしょう。
Shopifyでは、基本機能のうえに、自社にとって必要なアプリを追加することで、開発コスト要らずで高度な機能をECに追加することができます。
Shopifyアプリについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

カラーミーショップの特長

カラーミーショップは、GMOペパボが開発するECカートサービスです。2005年にリリースされてから現在にいたるまで、初心者でも使いやすいネットショップ運営インフラとして親しまれており、多くの利用者をもつサービスです。
カラーミーショップの公式サイト

おしゃれなECサイトを簡単に制作できる

カラーミーショップを利用しているショップには、「SOU・SOU」(アパレル)や「パンと日用品の店わざわざ」などを始め、おしゃれなショップが多数あります。カラーミーショップのサイトデザインは、無料テンプレート48点、有料テンプレート37点(2023年1月現在)と80種を超え、おしゃれなイメージのサイトを誰でも作りやすいのが特長です。サイトのデザインをさらに編集するには、HTMLやCSSを使います。

お手頃なコストで本格的なECを始めやすい

ECまわりの機能に加えてWordPressを使ったブログ運営や広告配信などもサービス内の機能で利用でき、月額料金もスタンダードプランが4,950円からと低コストで運用開始できます。決済手数料が割高にはなりますが、月額不要なフリープランも登場しており利用が伸び、5万件の契約数があります。(*3)
また、年商1,000万円を超える店舗数も2,848店(2023年)と、成長ショップが増加傾向にあります。

*3=2024年12月期 第1四半期 決算説明資料

Shopifyとカラーミーショップの主な機能の比較

ShopifyとカラーミーショップのECにおける基本的な機能やサービスについて比較します。

サービス名 Shopify カラーミーショップ
運営会社 Shopify Japan株式会社 GMOペパボ株式会社
概要 世界175か国で利用されるカナダ発のECプラットフォーム。アメリカのECサイトトップ10万サイトのうち1/3でShopifyを使用。日本での利用が増加している カラーミー2005年からサービス開始。2023年の総流通額1,955億円(推計)、5万店舗程度
月額利用料金 3,650円(ベーシックプラン、年払い月額の場合) 4,950円(レギュラープランの場合)
※フリープランあり
カード決済手数料 3.55%(ベーシックプランの場合) 3.4%(レギュラープランの場合)
そのほかの決済 Shopify POSによる実店舗決済への利用 ——

カラーミーショップからShopifyへ移行できるデータは?

カラーミーショップで運営していたショップをShopifyにリプレースしたい場合、元のECサイトのデータをそのまま移動して利用できれば手間が省けます。カラーミーショップでは、各種データのダウンロードを行う機能が備わっています。ここでは、データの種類ごとにカラーミーショップからShopifyへ移行する場合の概要をまとめて説明します。
カラーミーショップのデータダウンロード

商品情報

カラーミーショップの「商品データ」「商品オプションデータ」「商品価格データ」「オプション価格データ」、「グループ商品データ」は、ダウンロード機能を使ってエクスポート(CSV形式でデータ書き出し)することができます。

商品データには、商品画像URLが含まれますが、画像本体は含まれないため、別途ダウンロードするなどの手配が必要です。

会員データ

カラーミーショップの「顧客データ」は、ダウンロード機能を使ってエクスポートすることができます。カラーミーショップの顧客データの「名前」は姓名は分かれずに合計全角25文字以内のテキストデータですが、Shopifyでは姓・名で入力枠が分かれています。
また、カラーミーショップでは会員情報の1つとして誕生日を入力管理できますが、Shopifyでは標準で誕生日や、会員ランクの入力枠はないので顧客メタフィールドで対応することになります。

形式やデータの持ち方が異なる情報は、なんらかの一括変更処理を行った上で、Shopifyへインポートして、利用することができます。

ブログ記事

カラーミーショップは、WPオプションが無料で用意されているので、ECサイトの一部としてブログを運営している場合が多いかと思います。WordPressの標準的な機能を使ってブログを移行することもできますし、WordPressプラグインを利用することで移行することはできます。
ただし、WordPressのデータをまるごと別の場所で利用するには、移行先にもWordPressのインストールが必要です。

ShopifyではPageという静的ページを利用してお知らせや記事を掲載します。そのため、今後もWordPressを使いたいか、記事の内容をPageに移植するかで作業内容は異なってくるでしょう。

送料設定

送料設定のデータを書き出すことはできません。そのため、Shopifyへ移行後に管理画面で設定し直しをします。
なお、「B2クラウド(ヤマト運輸)」「e飛伝II(佐川急便)」「ゆうパックプリントR(郵便局)」といった配送会社用のデータを書き出しすることができます。サイト移行後も各伝票作成サービスを使う場合は、別途Shopifyでもアプリを使った設定などが必要です。

カラーミーショップアプリ

カラーミーショップの機能の一部は「カラーミーショップアプリ」として提供されおり、他のサービスと連携するアプリやA/Bテストを実行するアプリなど様々なものがあります。これらはカラーミーショップでのみ利用できるものなので移行することはできません。
使いたいものがあれば、Shopifyで代替となる機能やアプリがないか確認してみる必要があるでしょう。

パスワード

会員のログイン用パスワードなどはセキュリティの観点から移行はできません。そこで、Shopifyに会員データを移行したのちに、会員宛てに新サイトへの移行手続きを促すお知らせメールを送り、新パスワードを設定してもらえるようにShopifyで準備します。

ポイントデータ

カラーミーショップの会員は、ポイントを貯めることができますが、このポイントの情報は、自動的に移行することはできません。Shopifyでポイントシステムを導入するにはアプリを利用する必要があります。
Shopifyのポイントアプリの選び方について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

カラーミーショップからShopifyへの移行手順

カラーミーショップからShopifyへ移行する際の作業は、大きく、ストアの移行・データの移行という2つの作業に分かれます。大まかな流れを紹介します。

ストア移行① ストア機能の情報整理をする

ストアの移行とは、ECサイトの枠組みを、カラーミーショップからShopifyへ変更する作業です。実際の引越にたとえれば、引っ越し先の家を建てるようなイメージです。

ストアを新しく作成する際は、まず、どのような機能が必要かを確認します。過去に使っていたカラーミーショップとそっくりのサイトが必要でしょうか? 必ずしもそうではないはずです。
一方で、カラーミーショップにはなかった機能でも、Shopifyでは利用できる場合があります。積極的に使いたいものがあれば、その機能を使うための準備や設定について調べておきます。

続いて、デザインのテイストなどを決め、サイト作りを行います。Shopifyでは、「テーマ」と呼ばれるサイトテンプレートからデザインを作っていきます。テーマは複数ありますが、もっともベーシックなテーマを使ってオリジナルデザインを作成するケースも多くあります。
豊富なテーマから自社のブランドイメージに合うデザインを選べる
なお、Shopifyのテンプレート言語はLiquidというものが使われています。詳しくは下記の記事をご覧ください。

ストア移行② ストア基本設定とアプリの設定

Shopifyに作成したストアで基本設定を行います。商品のカテゴリ(コレクション)を設定したり、会社概要やお問い合わせのページを作成、ショップのメールや決済方法の設定など、販売に必要な各種の設定を行います。

また、追加機能が必要な場合は、選定しておいたアプリをストアにインストールし、その設定も行います。サイトを稼働する際には、ストアやアプリが正常に動作しているかのテストが必要です。

データ移行① 移行データの書き出し方法

入れ物が設定できたあとで、データを移行していきます。カラーミーショップでは、ショップの設定画面で「ダウンロード」を開き、「データダウンロード」の機能を利用できます。ダウンロードする「データの種類」を選び、「ダウンロード」ボタンからダウンロードを実行します。ダウンロードされたデータはCSVファイルになっているので、表計算ソフトなどに読み込んで加工が可能です。

データ移行② Matrixfyの準備、データ整形、インポート

カラーミーショップのデータをダウンロードできても、そのままだと仕様の異なるShopifyの対応箇所へスムーズにデータを読み込ませることができません。そこで各種のデータ整形を行います。
この際、Matrixifyというアプリを使うと便利です。データの入れ替えや順番指定などをまとめて処理し、Shopifyに読み込ませることができるアプリです。ただし、データ整形を行うには、カラーミーショップとShopifyの両方のデータ仕様を調べ対応させる必要があります。

商品ページや会員データを読み込んでサイトが移行できたら、ECサイトの運用ができることを確認していきます。

ECサイトをスムーズに移行するための注意点

ここまでにカラーミーショップのECサイトをShopifyへ移行する流れを紹介しましたが、ほかにも、ECサイトの移行時に注意したいことを紹介しましょう。

ECサイトのデザインはそのまま移行はできない

カラーミーショップで使っているデザインテンプレートが気に入っており、そのままShopifyでも使いたい、と考えるショップもあるかもしれませんが、仕様が異なるため、カラーミーショップのデザインデータをShopifyで使うことはできません。
また、コーディングでカスタマイズを行って、カラーミーショップのサイトとよく似たデザインを作るということも可能かもしれませんが、過度なカスタマイズは、Shopifyの機能バージョンアップの際に不具合が生じるのであまりおすすめできません。

サイトデザインは移行できませんが、画像やイラストデータ、ロゴデータなどは利用することも可能です。デザイナーと相談しながら、Shopifyのテンプレートで、自社のブランドらしらやターゲットに好まれるデザイン、使いやすさを考慮しつつリニューアルを検討しましょう。

ドメインの移行に気を付ける

また、カラーミーショップで独自ドメインを契約した場合は、ムームードメインでドメイン契約をしているショップが多いかもしれません。また、別の会社などでドメイン管理をしているケースもあると思います。
サイトを引っ越ししたら、ショップのURLを指定したときに古いサイトではなく新しいECサイトが表示されるようにDNSサーバーの設定を変更します。ムームードメイン、あるいは自社の使っているドメイン管理会社の設定を確認しましょう。
Shopifyでの独自ドメインの設定方法は下記の記事をご覧ください。

リダイレクト設定を行う

外部記事に掲載されているURLやSNSのリンクなどは変更できないため、過去のサイトへジャンプしてしまいます。また、SEO上も問題が出ます。そこで、過去のURLがクリックされたときは、適切なページへ転送するようにリダイレクト設定を行います。リダイレクトはまとめてトップページに転送するなどの設定ではなく、商品や記事へのリンクであれば、1対1で目的のページが表示されるように転送設定しなければ意味がありません。

なお、カラーミーショップで独自ドメイン名を使っていない場合は、xxx.shop-pro.jpというアドレスが使われますが、Shopifyでは、xxxx.myshopify.comというアドレスが基本になります。それ以外にもサイト構造が異なってくるので、リンクのURLはサイト内でもすべて書き換えます。
リダイレクト設定の詳しい手順は下記の記事をご覧ください。

顧客への告知を行う

サイトの移行時は、前もって顧客に告知することが大切です。セキュリティの観点から、新サイトの会員パスワードは顧客本人が再設定しないとなりません。この手続きを進めるためにも、新サイトへの移行のお知らせと、会員設定を更新してほしいことをメールで丁寧に案内します。

EC事業者側では、サイトは自動的にリダイレクトするからそこまで心配しなくても、と思うかもしれませんが、馴染み顧客にとっては「サイトが変わったけれど、詐欺サイトや乗っ取りでないか?」「自分が知っているショップじゃないかも」など不安になる可能性があるからです。短時間でも移行時にサイトが繋がりづらくなるなどもあるため、あらかじめ移行の告知を行います。

また、過去に購入したことを忘れて疎遠になった顧客にも、リニューアルキャンペーンとサイト移行の告知を併せることで、再訪問のきっかけづくりになることも期待できます。

カラーミーショップからリプレースするならShopifyがおすすめ

カラーミーショップはさまざまな機能が搭載された人気のECカートシステムです。そこからShopifyへの移行するのがおすすめできる理由はなんでしょうか。

小規模プランからの契約ができる

カラーミーショップは月額料金4,950円と安価ですが、Shopifyも安価な月額のプランが用意されています。カラーミーショップ「レギュラープラン」と同価格帯の「ベーシックプラン」では、カラーミーショップにあるディスク容量制限もなく、作成ページ数にも制限がありません。

カラーミーショップの「プレミアム」プランよりも大規模になってきた際にも、Shopifyにはリアル店舗と統合できるPOS機能や多数の分析機能などを含むShopify Plusという上級プランがあり、さらにECの成長を目指すことができます。
Shopifyは、ECサイトが成長してきたらまた別のプラットフォームへ乗り換えをしなければならない、という心配がありません。
Shopifyの各プランの特徴は下記の記事をご覧ください。

より自由度の高いECサイト運営が可能

Shopifyはデザインのカスタマイズだけでなく、アプリによる機能拡張が豊富に用意されています。公開されているアプリは13,000種を超えており、CRMや基幹システムとの統合、MAなどの自動化、そして日本向けの機能も用意されています。会員ランクの運用やマイページのカスタマイズ、サブスク購入機能やセット商品の作成、購買履歴をもとにした商品のレコメンド表示など、さまざまな施策をすぐに行えます。

Shopifyアプリストア

Shopifyアプリストア


また、Shopify Plusであれば、購買率を高めるチェックアウトの画面もカスタマイズが可能になります。Shopifyのチェックアウト画面は年々改良されており、ワンページチェックアウトが標準になってからはコンバージョンが大幅に伸びているという報告もあります。(*4)

よりLTVの高いECサイトへ育てるために、新しい機能を加えたいというときに、Shopifyならアプリを使ってスピーディーに開発が行えるので、より自由度の高いサイト運営が可能になります。
Shopifyのカスタマイズについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。


*4=Stellar Eats Increases Conversions by 3.5% Switching to Shopify’s One-Page Checkout

ユーザーフレンドリーで安定したサイト運用

ECサイトでは、新製品の発売日にアクセスが瞬間的に増えてアクセスしづらくなってしまったり、フラッシュセールなどのサーバーに負荷がかかるセールがしづらいという場合があるかもしれません。
Shopifyは世界的なイベントのチケット販売に利用されることがあるほど、スピーディーなレスポンスが可能です。北米のブラックフライデーのセールにも対応できる環境を利用できるので、アクセス集中が予想される施策も安心して行えます。

安全でスムーズなリプレースのためにはプロにも頼むことを考えてみよう

カラーミーショップは、コスパに優れて初心者でも自分で始められるECシステムですが、企業のECのプラットフォームとして使うことが増えています。順調に伸びてきた売上を、今後もっと伸ばしたいと考えたとき、カラーミーショップよりShopifyを使うという選択はあると思います。
Shopifyの効率的な運用方法や売上の上がるアプリ選び、マーケティングノウハウなども含めてしっかり検討したいなら、Shopifyの公式パートナーに依頼することをお勧めします。

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