Shopifyで作るECとYappliのスマホアプリで叶える、パーソナライズ戦略のヒント

Shopifyで作るECとYappliのスマホアプリで叶える、パーソナライズ戦略のヒント

2024年10月24日(木)、京都市中京区のQUESTION(クエスチョン)ビルにおいて開催された「Ship&co ECOMMERCE CONNECT 2024」のレポートの後編では、株式会社ウェブライフ代表取締役の山岡義正と、ノーコードでスマホアプリ制作を可能にする「Yappli」を展開する株式会社ヤプリの執行役員CCOの金子洋平氏による、これからのECトレンドと戦略についてトークセッションの模様をお届けします。

越境ECに関するセッションについては前編の記事をご覧ください。

最新のECトレンドを理解するための3つのトピック

「ECブランドと消費者を”つなぐ”最新のECトレンドと戦略」というタイトルで行われたこのセッションでは、「モバイルデータから生まれるパーソナライズ体験」、「ECと実店舗をつなぐホスピタリティの事例やアイデア」、そして「ユニファイドコマースの6つのポイント」の3つのトピックについてディスカッションが行われました。

EC構築・運用とスマホアプリ開発のスペシャリスト2人によるセッション

WEBLIFEは、ShopifyによるECの構築から売上成長のための運用を支援するサービス「BiNDec」を提供しています。2009年からEC構築事業をスタートさせ、Shopifyも日本進出の初期から対応し、中小規模から大規模まで350サイト以上の構築・運用支援の実績があります。

Yappliは、iOSとAndroid向けのスマホアプリをノーコードで構築できるサービスです。ブランドのオリジナルスマホアプリからBtoB向け、従業員向けなど800以上の実績を持ち、顧客管理やポイント管理ができるYappli CRMというサービスとも連動させることができます。
写真左から、WEBLIFE 代表取締役 山岡義正、Yappliの執行役員CCO 金子洋平氏/Photo by Ship&co - Fred Mery

ヤプリの金子氏は、ECの売上を伸ばすためのマーケティングにおいて、スマホアプリだからこそ取得できるデータの重要性に言及しました。具体的には、ECサイトは購買データや顧客データは持っていても、その前後の情報として、たとえば、購入商品を知ったきっかけや、比較検討の対象、購入の決め手、購入後の満足度などについては把握できていないため、その部分をスマホアプリで取得できれば、ECはさらに進化するというわけです。

スマホアプリならではのデータで顧客理解・顧客体験を向上する

モバイルデータから生まれるパーソナライズ体験

ディスカッションの最初のトピックは、モバイルデータを活用したパーソナライズ体験についてです。

OMO戦略に欠かせないスマホアプリ

BiNDecの構築したECサイトでは、オンラインとオフラインをつなぐOMOの展開においてYappliによるスマホアプリ導入している事例もあります。
金子氏は、スマホアプリを使えばお客様との接点が完結するわけではないけれども、継続的なつながりを維持していくことが大切だと述べました。実店舗やポップアップストアで得られたお客様とのリアルな接点を、Shopifyやスマホアプリを通じてオンラインでの継続的な関係につなげることで、新たな価値創造が可能になります。

山岡は、最近増えている期間限定のポップアップストアでもPOSと決済は不可欠で、スマホアプリとの連携によってInstagramなどのSNSと連携しやすくなり、お客様のデータ収集が可能となることに言及しました。企業の規模に関係なく、リアルとオンラインを融合したOMO戦略を立てることが重要です。

OMOについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

パーソナライズされたコンテンツによって関係性を深める

また、山岡は顧客を細かくセグメント分けすることの重要性を強調し、潜在的なお客様からリピーターまで、顧客が購買のどの段階にいるかに応じて適切なアプローチを行うことで、より深い関係性を築くことができると述べました。

金子氏は、使い続けるモチベーションのないスマホアプリは次第に使われなくなるので、得られたデータをきちんと分析して、その結果に基づいてコミュニケーションをパーソナライズすることが大切だといいます。
そういう観点からもマーケティングを進化させるデータ活用が重要であると説明し、ECサイトの情報やスマホアプリからのデータを融合することで、プッシュ通知やメール、LINEなど、多様なチャネルで精度高くパーソナライズされたコンテンツを提供することが可能になると指摘しました。

Yappli Data Hub

AIによって収集したデータの利活用が促進

AIの登場によって蓄積されたデータの使い方が劇的に変わっていくという点も話題になりました。具体的な事例として、Yappliでスマホアプリを開発したアパレルブランドでは、スマホアプリを通じて顧客の購買行動データを収集し、その分析結果をもとに購買を促すコンテンツやオファーを提供することで、購買金額や閲覧数などが向上したとのことです。
近い将来的には、顧客の一人ひとりに異なる内容のメルマガを送付したり、それぞれの人に適したチャネルやタイミングでメッセージを送るなど、ターゲティングの最適化が進んでいくとの見方が示されました。

ECと実店舗をつなぐホスピタリティの事例やアイデア

次のトピックは、ECと実店舗をつなぐための具体的なホスピタリティの事例やアイデアです。

ブランドファンが広がるポップアップストアの事例

BiNDecがECサイトの構築・運用支援をしている、京都の老舗日本茶専門店「一保堂茶舗」では、オーセンティックな一保堂茶舗のブランドイメージとは異なる、カジュアルな雰囲気のポップアップカフェを展開し、期間限定の特設サイトも合わせてオープンしました。
ポップアップカフェでは、毎月ワークショップイベントを開催し、思い出になる特別な体験と共に美味しいお茶がいただけるという流れによって、一保堂茶舗のブランドへの理解度をより深めてもらえる機会を提供していました。
一保堂茶舗の事例について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

また、和をテーマにしたアパレルブランド「火消魂」の海外展開についても触れました。
火消魂は8〜9割ほどインバウンドで売上が立っており、台湾で開催したポップアップストアでは列ができるほどの人気を集めました。
ブランド成長の流れとしては、最初にInstagram上のコアなファンがマイクロインフルエンサーとなり、UGCによって知名度が拡大していきました。越境ECでの海外販売と国内店舗でのインバウンド需要の両軸展開でリピーターを増やし、現地ブランドとのコラボレーションも兼ねたポップアップストアの開催にまで広がりました。
火消魂の事例について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

顧客との接点を増やすスマホアプリでのコンテンツマーケティング

WEBLIFEとヤプリが共同で手掛けた「ミキハウス」の事例も紹介されました。
子供の成長に合わせて必要な商品が変わる中、コンテンツマーケティングを通じて情報を提供し、タイミングに合った商品をスマホアプリで的確に提案しているというものです。スマホアプリを活用して顧客との接点を増やすことで、コンテンツマーケティングが効果的に展開されている例となります。
対象年齢のニーズやギフト目的などでトップページが切り替わるミキハウスのスマホアプリ
ミキハウスの事例について、詳しくは下記の記事をご覧ください。


これに関して金子氏は「スマホアプリユーザーは情報を得ることへの意欲が高く、特に読み物系のコンテンツが響きやすい」と述べました。
その例として、北海道は小樽のスイーツブランド「ルタオ」では、季節のお便りがスマホアプリユーザーから楽しみにされていて、編集部のコラムも人気があるとのことです。コンテンツマーケティングがしっかりできているブランドはスマホアプリからコンバージョンにつなげている印象が強いとも話されました。

商品やビジネスの特性に合わせたコンテンツ作りとサービス設計

その他のヤプリの事例としては、食品系からライフスタイルまで様々なものが挙げられました。
パンやスイーツを製造・販売している広島の八天堂では、可愛らしいパッケージや華やかな見た目のスイーツとスマホアプリとの相性がよく、限定の壁紙なども人気があるそうです。
クーポンや壁紙を配布している八天堂のスマホアプリ
また、栃木県那須町のGOOD NEWSでは、地域おこしとしてスマホアプリを活用しており、ポイントプログラムで貯めたポイントを環境に良い活動に使うというサステナブル的な側面が強調されていて、お客様との関係を単に売る側と買う側ではなく、共に未来を作っていくというパートナーとして考えている点が特徴的でした。

ユニファイドコマースの6つのポイント

最後のパートでは、ビジネスの成長をリードするうえで必要とされる、ユニファイドコマースの重要性と、以下のような6つのポイントが示されました。

  1. オンラインとオフラインの統合:一貫した顧客体験を提供するために、ECサイトと実店舗をシームレスにつなぐ。
  2. 国内外の販路拡大:海外市場への進出を視野に入れ、グローバルな戦略を展開する。
  3. BtoCとBtoBの両立:消費者向けだけでなく、企業間取引にも対応し、ビジネスの幅を広げる。
  4. データの一元管理:顧客データや販売データを一元管理し、マーケティング戦略に活用する。
  5. スマホアプリの活用:スマホアプリを通じて、お客様との継続的な接点を維持し、パーソナライズされた体験を提供する。
  6. パートナーシップの強化:他社との連携やコラボレーションを通じて、新たな価値を創造する。

山岡はShopifyの最新のキーワードであるユニファイドコマースが次なるECトレンドのキーワードとして、モバイル端末とPC、国内と国外、BtoCとBtoB、実店舗とWebなど、さまざまな要素を積み上げ、繋いでいくための戦略を立てることの重要性を強調しました。
OMOの次にくる施策として、ユニファイドコマースで融合して運用される要素

スマホアプリと連携したEC構築・運用を支援するBiNDec

今回のトークセッションでは、EC運用におけるスマホアプリ展開のメリットや、モバイルデータを活用したパーソナライズ体験、ECと実店舗をつなぐホスピタリティの重要性、そしてユニファイドコマースの可能性が、具体的な事例を交えて語られました。
デジタルとリアルの融合が進む中、EC事業者は、どのように顧客と良い関係性を築き、持続的なビジネス成長を実現するかが問われています。今回のトークセッションで紹介された事例やアイデアは、そのための大きなヒントとなるものです。
Shopifyを利用したユニファイドコマースをブランド戦略の核として位置付けて、新たな顧客体験を提供することが今後のECサイト運用の鍵となっていきます。

株式会社ウェブライフでは、ECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」を提供しています。ShopifyでのEC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。

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POINT

  • スマホアプリで顧客と接点を設けることによって、継続的な関係につなげる
  • ECとスマホアプリ双方のデータを集約し、分析することでパーソナライズなコミュニケーションができる
  • さまざまな要素を積み上げて融合させるユニファイドコマースがこれからのECのトレンド

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