ShopifyとBASEを料金・機能・拡張性で比較|事業規模と今後の展開で選ぶECプラットフォームの最適解

ShopifyとBASEを料金・機能・拡張性で比較|事業規模と今後の展開で選ぶECプラットフォームの最適解

ShopifyとBASEは、いずれも「ASPカート」として広く知られ、ECサイト構築の代表的な選択肢として比較されることが多いプラットフォームです。特に法人・企業としてECビジネスを立ち上げる際には、初期コストや拡張性、運用体制との相性などを慎重に見極める必要があります。
本記事では、両サービスの基本的な特徴から、将来的な展開を見据えた選び方までを解説。自社にとって最適なECプラットフォームを判断するための視点を整理しました。ShopifyとBASEのどちらを選ぶべきかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

ShopifyとBASEの特徴

ECサイトを成功に導くうえでプラットフォーム選びは非常に重要です。同じ「ASPカート」に分類されるサービスでも、それぞれに異なる特徴や強みがあり、自社のビジネスの方向性や運営体制によって適した選択肢が変わってきます。ここでは、よく比較される「Shopify(ショッピファイ)」と「BASE(ベイス)」について、それぞれの特徴を簡単にご紹介します。

ASPカートについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

Shopifyはビジネスと共に成長していける拡張性の高いマルチコマースプラットフォーム

Shopify

Shopifyは世界175カ国で利用されているカナダ発のECプラットフォームで、日本国内でも多くの企業に採用されています。多言語・多通貨対応が標準機能として備わっており、将来的な越境EC展開にもスムーズに対応可能です。

特徴的なのは、デザインテンプレート(テーマ)や、機能を拡張できる「Shopifyアプリ」が豊富に揃っている点です。業務効率化やマーケティング施策など、目的に合わせてゼロから自社開発をすることなく機能を追加できるエコシステムが整っています

また、利用プランや機能の構成はビジネスのフェーズに応じて柔軟に変更できるため、スモールスタートから本格的なEC事業へと無理なくスケールすることが可能です。SNSや実店舗との連携、ERPなどの外部サービスとも柔軟にAPI連携できるので、複数ブランドへの展開やマルチチャネル戦略にも対応しており、将来的にEC事業を大きく成長させていきたい企業にとって心強い選択肢となるでしょう。

Shopifyがなぜ多くのD2Cブランドに選ばれるのか、データと比較で解説したページもご用意していますので、併せてご覧ください。

BASEは初心者でも簡単に始められるECサイト作成サービス

BASE|初期費用が無料で簡単にショップが作成できる

BASEは、専門知識がなくても誰でも手軽にECサイトを開設できるサービスです。初期費用が無料で、商品登録から公開までの操作も直感的に行えるため、EC運営が初めての方でも安心してスタートできます。
デザインはテンプレートを選んで簡単に整えることができ、特別なカスタマイズの必要がない点も魅力です。

一方で、Shopifyのような柔軟な拡張性や海外対応、多店舗展開への発展性はやや限定的です。そのため、まずは国内向けに小規模でECサイトを立ち上げたい個人事業主やスモールビジネスに人気があり、本格的な事業展開を見据えたEC構築には別の選択肢を検討するケースもあります。

ShopifyとBASEの比較表|料金・機能・拡張性

ShopifyとBASEの主な違いを比較検討しやすいように一覧表にまとめました。選ぶプランや活用方法によって費用感は変わりますが、初期費用やランニングコスト、機能の柔軟性といったポイントを把握する上での参考としてご活用ください。

ShopifyとBASE 基本情報の比較

Shopify BASE
初期費用 無料 無料
月額料金 4,850円~$2,300
(年払いの場合、月額3,650円~)
無料 または 19,980円
(年払いの場合、月額16,580円)
決済手数料 2.9%~3.9% 2.9%~4.6%
(スタンダードプランは1取引毎に+40円)
取引手数料 0.2%〜2% (Shopifyペイメント利用で無料)
サービス利用料 3%〜5.9%
カスタマイズ性 16,000以上のShopifyアプリで機能拡張
(Shopify公式や世界中のアプリディベロッパーが開発・提供)
ERPやMAツール、WMSなどとのAPI連携
90以上のBASE Appsで機能拡張
(50を超えるBASE開発のOfficial Appsと30を超える外部ツール連携のConnect Apps)
越境EC対応 多言語・多通貨対応 日本国内向けが基本
サポート メール・チャット・コミュニティ(英語含む)・Shopifyパートナーなどによる支援 チャット・問合せフォーム(メール返信)
おすすめの利用層 成長を見据えた企業・中〜大規模EC事業者 スモールビジネス・個人事業主

【項目別】ShopifyとBASEの特徴的な違い

ShopifyとBASEは同じ「ASPカート型」のECプラットフォームながら、機能や拡張性に明確な違いがあります。ここでは、「コスト」「機能やUIのカスタマイズ性」「越境対応」「決済手段」「外部サービス連携」など、事業運営に直結するポイントごとに両者の特徴を整理しました。
自社にとって重要な観点を見極めながら、適切なECプラットフォーム選びにお役立てください。

コストとプラン|拡張性の高いShopifyと小規模運用に強いBASE

Shopifyは、利用するプランに応じて異なる月額料金と、決済手数料・取引手数料が発生します。なお、取引手数料に関しては、Shopifyペイメントを利用する場合に無料になる点は魅力的です。
主要なプランは4種類です。個人事業主にも利用しやすいBasicプランから、複数のECサイトを開設できる大規模EC事業者向けのShopify Plusプランまで選択可能で、上位のプランになるほど機能やビジネス展開の幅が広がりますが手数料率は下がります。

一方、BASEは初期費用・月額費用が無料のスタンダードプランでスタートできるのが魅力です。商品が売れたときにだけ決済手数料とサービス利用料が発生する仕組みのため、小規模なECサイトの運営やテスト販売に適しています。
ただし、売上が増加すると手数料の負担も増える点には注意が必要です。また、月額料金制で手数料が割安になるグロースプランも提供されています。

ShopifyとBASE プランとランニングコストの比較表

Shopifyのランニングコスト

プラン名 月額料金(年払いの月額) 決済手数料 取引手数料
(Shopifyペイメント利用で無料)
Basic 4,850円(3,650円) 3.55~3.9% 2%
Grow 13,500円(10,100円) 3.4~3.85% 1%
Advanced 58,500円(44,000円) 3.25~3.8% 0.6%
Plus $2,300 ※3年契約 2.9~3.75% 0.2%

BASEのランニングコスト

プラン名 月額料金(年払いの月額) 決済手数料 サービス利用料
スタンダードプラン 0円 3.6%〜4.6%+40円 3%〜5.9%
グロースプラン 19,980円(16,580円) 2.9%〜3.9%(+40円) 0%〜5.9%

Shopifyペイメントについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

機能面|ビジネスモデルに合わせて広がるShopifyと最小構成で始められるBASE

Shopifyは、商品・在庫管理、注文処理、レポート機能など、EC運営に必要な基本機能が揃っており、ビジネスの土台をしっかり支えます。さらに、Shopifyアプリや外部ツールとの連携により定期購入や予約販売などからCRM・MAツール、ERPの導入まで、自社のビジネスモデルに応じて幅広い機能強化が可能です。
アプリはShopify公式のものだけでなく、世界中のアプリディベロッパーも開発・提供していて、その数は16,000種類以上にものぼります。アプリの選定や導入が難しい場合には、「Shopifyパートナー」と呼ばれる支援企業の力を借りるとよいでしょう。
このように、Shopifyは本体だけでなく、その周辺に広がるさまざまなアプリ・サービス・パートナーが一体となってECビジネスを支える“エコシステム”の仕組みが整っています。

BASEは、商品登録や注文管理、送料設定といった基本機能が標準で備わっており、誰でも扱いやすい構成になっています。クーポン発行やメルマガ配信、レビュー機能なども、BASE Appsから簡単に追加して拡張できます。
ただし、Shopifyのエコシステムのような仕組みはなく、BASEが提携している以外の外部サービスとの連携は難しいでしょう。その分、初期構築や運用のハードルが低く、最小構成でスモールスタートしたい事業者には適しています

Shopifyのおすすめアプリをまとめた記事もありますので、併せてご覧ください。

UI・デザイン性|自由度の高いShopifyとシンプル志向のBASE

Shopifythemestore

Shopifyは、豊富なデザインテンプレート(テーマ)から選んでスピーディにECサイトを立ち上げられるほか、HTMLやLiquidといったコード編集によるカスタマイズが可能です。ブランドの世界観を反映した独自デザインのECサイトを構築しやすく、企業のブランディングやUI設計にこだわりたい場合に適しています
また、EC構築を支援してくれるShopifyパートナーに依頼することで、細部まで調整された高品質なデザインも実現可能です。なお、写真の差し替えやマージンの調整などノーコードで行える部分も多いです。

BASEもテンプレートから簡単にデザインを選べるため、手軽にECサイトの見た目を整えられます。コード編集には制限があり、独自性の高いデザインは難しいものの、シンプルで見やすい構成のサイトを短期間で立ち上げるには十分な機能が揃っています。
ブランドの世界観を強く打ち出すよりも、手軽さを優先したい事業者に向いています。

Shopifyのテーマについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

越境EC|本格展開を見据えたShopifyと英語圏向けから試せるBASE

Shopifyは、標準機能として多言語・多通貨に対応しており、為替レートの自動換算や現地通貨での決済、各国ごとの配送条件や税率設定などが可能です。
また、国や地域ごとに価格や表示内容を調整することもでき、本格的な越境ECの構築・運用に対応した設計となっています。越境EC向けのアプリも多く、グローバルに強いShopifyパートナーに支援してもらうことで、より戦略的な海外販売を実現できます。

BASEは国内販売を主軸とした設計のため、多言語表示や多通貨決済には標準で対応していませんが、BASE Appsを追加することで英語への言語表示切り替えと34ヶ国の外貨対応が可能です。ただし、言語切り替えが反映されるのはECサイトの基本的な箇所であり、商品説明など、EC事業者側で設定した文章は英語表示されません。英語圏以外への販売には対応範囲が限られるため、事業展開内容に応じた見極めが必要です。

Shopifyの越境ECについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

決済手段|柔軟な決済構成も可能なShopifyと標準機能が整ったBASE

ShopifyとBASEはいずれも、クレジットカードやコンビニ決済、銀行振込など、日本国内の主要な決済手段に対応しています。

Shopifyでは、クレジットカードやApple Pay、Google Payの決済に対応できるShopifyペイメントに加えて、例えばKOMOJUやSBペイメントサービスなどといった外部の決済代行サービスを導入することが可能です。これにより、海外で主流となっている支払い方法を柔軟に追加でき、越境ECにおけるニーズにも対応しやすくなります。販売チャネルやターゲット市場に応じて、決済環境を最適化できるのが特徴です。

BASEは、クレジットカードやコンビニ決済、キャリア決済など国内で主要な決済に対応したBASEかんたん決済を提供しています。初期設定がシンプルで、特別な手続きなしにすぐに利用できる利便性があり、構築・運用の手間を抑えたい事業者には適しています。ただし、BASEかんたん決済で提供されていない決済方法は利用できない点に注意が必要です。

決済代行サービスのKOMOJUについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

外部サービス連携|MA・CRM・ERPとも可能なShopify

Shopifyは、InstagramやTikTokなどのSNS連携に加え、AmazonなどのECモールとの商品連携、実店舗との在庫・顧客情報連携にも対応しています。
さらに、ERP(基幹業務システム)やCRM、MA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携も柔軟で、商品・顧客・在庫・販促データを連携・統合して、効率的かつ施策の幅を広げた運用を実現できます。たとえば、購買履歴をもとにしたパーソナライズ配信など、成長を見据えた高度なマーケティング施策と業務連携が可能です。

BASEも、InstagramやTikTokとの商品連携機能があり、SNS経由の購入導線をスムーズに構築できます。ERPやCRM、MAツールとの直接連携は限定的ですが、BASE Appsを活用することで、レビュー機能やメール配信などのマーケティング機能を利用できます。

Shopifyで実践できるマーケティング施策についてまとめた記事もありますので併せてご覧ください。

ビジネス展望別BASEとShopifyの選び方

ここまでで、BASEとShopifyの機能や特徴の違いが見えてきたかと思います。では、それぞれのサービスはどのようなビジネスモデルに適しているのでしょうか。ここでは、将来的な展開や運用体制などの視点から、BASEとShopifyの選び方を整理します。

低コストでシンプルに運営したい|BASEがおすすめ

BASEは、「コストをかけずに始めたい」「できるだけ簡単にECサイトを開設したい」という個人やスモールビジネス向けに最適なサービスです。
スタンダードプランなら初期費用・月額費用が完全無料で、商品が売れたときだけ手数料が発生する成果報酬型のため、最低限のリスクでECサイトをスタートできます。成果報酬型である点を利用することで、小規模での販売やテスト運用にも利用できます。

本格的にEC事業を成長させたい|Shopifyがおすすめ

Shopifyは、中〜大規模の事業や、まずはスモールスタートでも将来的に大きくビジネスを成長させたいブランドに最適なプラットフォームです。特に、以下のようなメリットがあります。

カスタマイズ性が高く自社ブランドを確立しやすい

BASEでもテンプレートの利用で整ったデザインでECサイトを構築することは可能ですが、Shopifyは、豊富なテーマやliquidを利用したカスタマイズにより、細部まで自社らしいデザインや顧客体験の設計を反映できる点でブランドとしての世界観を形にしやすいのが特徴です。
また、ブランドの確立とはECサイトの見た目だけでなく、施策を通しても顧客に伝わります。顧客の購買行動に合ったレコメンドや、Web接客や配信コンテンツの質などがその例ですが、Shopifyはそれらもアプリや外部連携で柔軟に拡張・対応できるため、ECサイト上でのデザイン・接客・マーケティングで一貫したブランド表現を行うことが可能です。

より高度なマーケティング施策の実施が可能

BASEでもクーポン配信やメール通知など、基本的な販促機能は利用できますが、ShopifyはCRMやMAツールとの連携により、顧客データを活用したパーソナライズ施策を柔軟に実行できるのが特徴です。
購買履歴や閲覧データをもとにしたセグメント配信や行動トリガー配信、レビュー・ポイント・レコメンド機能の組み合わせなど、目的や商材に応じて多様な施策を設計できます。ECサイトを起点とした継続的なマーケティング戦略の実行にも対応できる点が、ECビジネスを成長させていきたい事業者にとって必要な要素になるでしょう。

Shopifyと連携できるMAツールのひとつに「Dotdigital」があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

多様な販売チャネルに対応し、運用を一元管理できる

BASEでもInstagramとの商品連携、外部ツールを使った在庫連携などにより、複数チャネルでの販売は可能です。ただし、ShopifyはECサイトだけでなく、実店舗のPOS連携やAmazonなどのECモール、BtoB向けの販売、定期購入・予約販売といったさまざまな販売形態にも対応でき、事業の特性や成長フェーズに応じた柔軟な構成が可能です。
さらに、多言語・多通貨・海外配送・決済など越境ECに必要な機能も備えているため、国内外を含めたチャネル全体を一元管理しながら、効率的に販路を拡大できます。

選び方の最終チェックポイントは「事業規模」と「今後の展開」

ShopifyとBASEは、ECサイトの立ち上げには十分な機能を備えたECプラットフォームです。どちらが優れているかではなく、自社のビジネスモデルや展開方針に合っているかが選定の基準になります。
たとえば、初期コストを抑えてシンプルに始めたい場合はBASEが適しており、一方で、複数チャネルでの販売や在庫連携、将来的な越境EC・業務システムとの統合を視野に入れるのであれば、Shopifyの柔軟性が大きな武器になります。
また、D2Cブランドや独自の世界観を重視するビジネスでは、小規模スタートであっても、デザイン性や拡張性に優れたShopifyを選ぶケースが増えています。

どのプラットフォームが最適かを見極めるには、事業の現状だけでなく今後の展望も踏まえて判断することが重要です。もし選定に不安がある場合は、Shopify Premierパートナーであり、D2CやBtoB、グローバル展開まで幅広い構築実績を持つBiNDecまで、お気軽にご相談ください。

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POINT

  • ShopifyはEC事業の規模拡大を見据えての拡張性が高く、BASEは手軽に始められる点が特徴
  • ECプラットフォームを選ぶポイントは「現在の規模」よりも「将来の展開」を見据えること
  • 迷ったときはビジネス視点での最適な選定をサポートしてくれる支援事業者に相談するのが最短ルート