ECサイトを構築する場合、ECモール、ASPカート、クラウドEC、ECパッケージ、オープンソース、フルスクラッチなど、さまざまな方法を選ぶことができます。それぞれ特徴が異なりますが、どの構築方法を選ぶかによって費用が大きく変化することに注意しなければいけません。
この記事では、成長フェーズにある法人向けに、ECサイト構築の費用相場や、費用を抑えるポイントを紹介します。これからECサイトを構築しようとしている方はぜひ参考にしてください。
ECサイトを構築する6つの方法と費用相場
ECサイトの構築方法は複数あり、それぞれにメリットとデメリットがあります。ここでは、ECモール、ASPカート、クラウドEC、ECパッケージ、オープンソース、フルスクラッチという6つの構築方法について、費用相場や特徴などを解説します。
それぞれのECプラットフォームの特徴をより詳しく解説した記事もありますので、ぜひご覧ください。
ECモールでECサイトを構築する

ECモール大手のAmazon
◼︎ECモールの構築費用の目安
構築費用の目安 | 無料 | 基本的にECモール側が提供するテンプレートを使用するため無料 |
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初期費用 | 10万〜30万円程度 | 出店審査料や登録料、出店プランによって変動 |
月額費用 | 5万円〜10万円程度 | 売上規模や選択するプランによって変動 |
販売手数料 | 売上の3%〜15%程度 | 商品カテゴリ、売上規模によって手数料率が変動 |
ECモールとは、インターネット上のショッピングモールタイプのECプラットフォームを利用して商品を販売する方法です。すでにあるECプラットフォームに出店するので、自社のコンピューターやサーバーなどにソフトウェアをインストールせず簡単に構築でき、EC構築事業者は介さず、内製で立ち上げるケースが多いでしょう。代表的なECモールは、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどです。
ECモールのメリットは、Amazonや楽天市場が主体となって行うセールやキャンペーンなどの集客施策に参加できる点です。デメリットは、他社が出品する同一・類似商品と価格競争になりやすいことや、デザイン面で自社ブランドの個性を出すのが難しいことが挙げられます。また、ECモールのルールによって顧客情報を得られない可能性があり、顧客管理やマーケティング施策の展開がしづらいケースもあるので注意が必要です。
ECモールの構築費用の相場は無料、初期手数料でも数万円からと低コストでスタートできますが、商品の売り上げに対してかかる販売手数料が高く、ランニングコストとしては高めになる傾向があります。Amazonで必要な手数料の種類や費用についてまとめた記事もありますので、併せてご覧ください。
ASPカートでECサイトを構築する
◼︎ASPカートの構築費用の目安
構築費用 | 無料~300万円 | ECサイト構築事業者に依頼する場合、カスタマイズの量や外部連携などにより変動 |
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初期費用 | 無料〜数百万円 | 有料テーマの利用や初期設定費など サービスによっては初期設定費などが発生する |
月額費用 | 数千円〜5万円 | 売上規模に合わせて選択するプラン、利用するアプリやツールによって変動 |
取引手数料 | 0%〜3% | プランによって変動 |
ASPカートとは、クラウド上で提供されるECプラットフォームで、代表的なASPカートは、Shopify、BASE、STORESなどがありますが、サービスによってカスタマイズ性が大きく異なります。共通している点として、サーバーや基本機能、ノーコードで操作できる豊富なテンプレートなどが既に用意されているので、専門的な知識がなくても比較的に短期間で自社ECサイトの運営を開始できます。
初期費用は無料で、月額費用も低額のサービスが多く、初めての自社ECサイトとしては始めやすい点が魅力です。ただし、構築したいECサイトの規模によっては、ECサイトの構築支援事業者へ依頼する必要がある場合があります。その際には、構築費用が必要になるでしょう。
中〜大規模のECサイトとなると、販売手数料やブランディング面でも、独自のECサイトが構築できるShopifyがおすすめです。Shopifyは、商品登録が無制限ででき、デザインや機能のカスタマイズ範囲が広く、個人〜エンタープライズ企業まで幅広く採用されている、クラウドECとASPカートの中間のようなECプラットフォームです。
後ほど詳しく解説しますが、数多くのShopifyアプリから必要な機能を必要なタイミングで導入できる点が特徴です。さらに、毎年200を超える機能のアップデートもShopifyによって行われるため、自社開発なしに機能を拡張し、利用し続けることが可能です。
ASPカートについて、より詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。
クラウドECでECサイトを構築する

ECサイト構築サービスの提供で15年以上の実績を持つ株式会社インターファクトリーのクラウドECサービス「ebisumart」
◼︎クラウドECの構築費用の目安
構築費用 | 数百万〜数千万円 | ECサイト構築事業者に依頼する場合、カスタマイズの量や外部連携などにより変動 |
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初期費用 | 5万円〜20万円 | 採用するECプラットフォームによって変動 |
月額費用 | 5万円〜20万円 | 採用するECプラットフォームによって変動 |
クラウドECとは、ASPカートと同様にクラウド上に用意されたプラットフォームを使い、ECサイトを構築する方法です。代表的なクラウドECとしては、ebisumartやメルカートなどがあります。
メリットとしては、自社でサーバーを用意する必要がない点や、ニーズに合わせたカスタマイズ性の高さです。また、セキュリティ面もECプラットフォーム側が管理するので安心です。
デメリットとしては、ASPカートなどと比較すると初期費用や月額費用が高額になる可能性がある点です。クラウドECとASPカートを比較した記事もありますので、参考にしてください。
ECパッケージでECサイトを構築する
◼︎ECパッケージの構築費用の目安
構築費用 | 数百万〜数千万円 | ECサイト構築事業者に依頼する場合、カスタマイズの量や外部連携などにより変動 |
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初期費用 | 100万円〜300万円 | 採用するECプラットフォームによって変動する他、サーバーも別途必要 |
月額費用 | 10万円〜30万円 | サポートの充実度合いなど、採用するECプラットフォーム、プランによって変動 サーバー等のインフラ事業者を利用する費用も別途必要 |
カスタマイズ追加費用 | 50万円〜/機能 | ECサイト構築事業者に依頼する場合 |
ECパッケージとは、必要な機能が用意されたパッケージソフトウェアを自社のコンピューターやサーバーにインストールして、ECサイトを構築する方法です。代表的なECパッケージとしては、コマース21やEC-Orangeなどがあります。
ECパッケージのメリットとしては、カスタマイズ性に優れたECサイトを手軽に構築できる点です。ECサイトに必要な豊富な機能が既にパッケージ化されているため、高機能でデザイン性の高いECサイトを立ち上げることが可能です。
ただし、サーバーやソフトウェアを自社で管理を行わなければならないため、メンテナンスや保守などの管理リソースや金銭的コストが必要です。また、パッケージを自社サーバーにインストールして利用するため、導入時には最新のシステムであっても、時間経過とともにシステム自体が古くなるデメリットもあります。
ECパッケージの持つ代表的な機能など、下記の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
オープンソースでECサイトを構築する
◼︎オープンソースの構築費用の目安
構築費用 | 数百万〜数千万円 | ECサイト構築事業者に依頼する場合、カスタマイズの量や外部連携などにより変動 |
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初期費用 | 10万円〜50万円 | サーバー等のインフラ事業者を利用する場合 |
月額費用 | 3万円〜15万円 | インフラ事業者および保守事業者を利用する場合 |
オープンソースとは、無料で公開されているプログラムを使用してECサイトを構築する方法です。代表的なオープンソースとしては、EC-CUBE、WooCommerceなどがあります。
オープンソースはカスタマイズも行いやすく、htmlをはじめとするプログラミングなどの専門スキルがあればコストを抑えて自社ECサイト構築できる点が魅力的です。しかし逆の面を見れば、公開されている情報を使用する分、危険にさらされる可能性があるためセキュリティ面でのリスク対策は必須であり、その点のコストの負担は必須でしょう。また、サーバーも自社で用意する必要があります。
構築費用は、自社で構築するのか外注するのかで大きく変わります。ECサイト構築の専門スキルがない場合には、支援事業者へ依頼をすることになるため構築費用が必要です。オープンソースの代表例は下記の記事でも紹介しているので、併せてご覧ください。
フルスクラッチでECサイトを構築する
◼︎フルスクラッチの構築費用の目安
構築費用 | 数千万円以上 | ECサイト構築事業者に依頼する場合、依頼要件によって変動 |
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初期費用 | 数百万以上 | サーバー等のインフラ事業者を利用する場合 |
月額費用 | 数十〜数百万以上 | インフラ事業者および保守事業者を利用する場合 |
保守・運用・改修費 | 数十〜数百万以上 | ECサイト構築事業者や保守事業者を利用する場合 |
フルスクラッチとは、既存のECプラットフォームなどを利用せず、ゼロからECサイトを構築する方法です。フルスクラッチのメリットは、全て自社の思い通りのECサイトを構築できることです。ECサイトのデザインや、導入する機能、外部システムとの連携も、理想のECサイトを構築したいなら、フルスクラッチが最適でしょう。
ただし、ゼロから構築する分、時間もコストもかかります。機能性を高めれば高めるほどコストはかさむので注意が必要です。また、ECパッケージやオープンソースと同様にサーバー管理なども自社で行う必要があります。特に気を付けるべきことはセキュリティ面で、オリジナルのECサイトである以上、情報の管理などの責任はすべて自社で負うことになります。
もちろん、サーバー管理などのランニングコストも発生し、知識やスキルを持つ専任の管理者などが必要なケースも多いでしょう。フルスクラッチについて詳しくは下記の記事をご覧ください。
ECサイトの構築費用を抑える方法
ご紹介したように、ECサイトの構築費用は選択するECプラットフォームによって変動します。ここでは、ECサイトの構築費用を抑えるために何をすれば良いのかを見ていきましょう。
自社のニーズに合った構築方法を選ぶ
ECサイトの構築費用を抑えるために絶対にすべきなのが、自社のニーズに合った構築方法を選ぶことです。
他社との差別化を図りつつ、最高のパフォーマンスを発揮できるECサイトを構築するためには、多額のコストと時間をかけてフルスクラッチで構築することが理想の選択かもしれません。
しかし、ECサイトに求めることの優先度や予算、現状のビジネスプランによっては他のECプラットフォームがベストな場合も多々あります。コスト面やデザイン性、機能面の豊富さ、運営開始までの時間など、自社のニーズを正しく把握し、その中で最適なコストの構築方法を選ぶことがおすすめです。
本当に必要な機能を精査して導入する
どのECプラットフォームを使ってECサイトを構築するにせよ、本当に必要な機能を精査して導入しないとコストがかさむばかりです。例えば、ECパッケージやフルスクラッチなどで構築する場合、機能をひとつ追加するだけで構築コストがかかりますし、運用開始までの時間も長くなります。将来的に欲しい機能があったとしても、現時点で必要がないのであれば、導入を見送るほうが構築費用を抑えられるのです。
とはいえ、ECサイトはリプレースの際にも費用がかかります。顧客情報や商品情報も蓄積されている状態からのリプレースは、時間も手間も膨大になるためなるべく同じECプラットフォームで運用を続けられるのが理想でしょう。
Shopifyが成長段階のECサイト構築におすすめできる理由
そこでおすすめなのが、ASPカートとクラウドEC両方の特徴を併せ持つECプラットフォームのShopifyです。Shopifyの特徴のひとつに、柔軟な機能追加があります。Shopifyアプリと呼ばれる、13,000以上のアプリケーションから導入したい機能を簡単に追加できるため、ミニマムのプランで低コストに抑えてEC運用を開始しても、ECプラットフォームの変更なくビジネスの成長とともに機能や規模をアップデートできます。
ECサイトに求められる機能は、トレンドに左右される部分も多く、短期間のうちに時代遅れになることもあります。ビジネスの成長プランに長期性が見込まれるときや、逆に見通しが立てられていない場合にも、機能の着脱が簡単に行えるほうが、トータルコスト的に最適でしょう。
Shopifyの料金プランについて詳しく解説した記事もありますので、併せてご覧ください。
サイトの将来性を見据えて外部に構築を依頼する
サイトの将来性を見据えて外部に構築を依頼することも、ECサイトの構築費用を抑える方法のひとつです。ASPカートなどのECプラットフォームを使えば、知見がなくてもECサイトの構築が簡単にできます。ですが、先述の通り、選択したECプラットフォームがビジネスの目的やトータルコスト的に、自社には最適ではない場合もあります。また、簡単に始められると思ったけれども、案外難しい部分があり、ECサイトのオープンまでに時間がかかってしまうケースもあるでしょう。
このような場合、ECサイト構築に知見の深い事業者に依頼するほうがスムーズに最適なコスト感のECサイトを構築できます。各ECプラットフォームに詳しい事業者であれば、コスト面を視野に入れつつECサイトの将来性を見据えて最適な提案をしてくれるので、無駄なコストを払う必要がなくなります。
Shopifyの場合は、公式にパートナーシップを結んだ支援事業者「Shopifyパートナー」がいます。Shopifyパートナーの選び方をまとめた資料もありますので、ぜひ参考にしてください。
ECサイト構築依頼時に見積もりで注意すべきこと
選択するECプラットフォームにもよりますが、ECサイトの構築は決して安くはありません。「あったほうがいいかも」という気軽な気持ちで独自機能の開発を依頼したり、曖昧な判断で修正費用が発生したりしないように、十分に注意して発注する必要があります。
ここでは、ECサイト構築依頼時に見積もりで注意すべきことをご紹介します。
必要な機能を取捨選択する
必要な機能を取捨選択することは、ECサイト構築依頼時に検討すべきことのひとつです。「将来的に必要かもしれない」と、今の時点では不必要な機能を入れることにすると、明確な条件が出せず、作業がかさみ、後から追加費用が発生してしまう場合もあります。
そうしてせっかく追加した機能が、いざ使いたいタイミングではトレンドに合っていないなどのケースが起こらないよう、本当に必要な機能を見極めるようにしましょう。
また、注意しても失敗しやすいのがECサイトのデザインです。ECサイトにとって、デザインはブラインドイメージを左右する大切な要素です。そのため、できるだけ凝っていて、オリジナリティのあるデザインを依頼したいと考える方も多いのではないでしょうか。
ですが、デザインを複雑にすれば作業時間やコストが増えます。完全にオリジナルのデザインが必要なのかどうかは改めて検討し、既にあるテンプレートのカスタマイズに留めるなども視野に依頼をするようにしましょう。
追加費用の範囲を確認する
機能やデザインの取捨選択を行ったうえで依頼したとしても、後から気づいてしまうことや、仕様変更などが起きないとは限りません。どの程度の範囲まで修正費用がかからないのか、かかるとしたらいくらくらいなのかなど、追加費用の範囲を事前に確認することも大切です。
依頼するEC事業者側からすれば「たいした変更ではない」と思える修正も、EC構築事業者にとっては「根本から修正しなければいけない仕様変更」かもしれません。後で、トラブルに発展させないためにも、修正料金やアフターサポートなども見積りに記載してもらうほうが安心です。
ECサイトの構築で費用対効果の最大化を目指す方法
ECサイトを運営する場合、構築時の開発コストだけでなく、毎月支払うランニングコストも発生します。ECサイトの構築で最大の費用対効果を臨むのであれば、いくつか実践すべきテクニックがあります。
KPIを設定してECサイトを最適化する
KPIを設定してECサイトを最適化することは、費用対効果を上げる方法のひとつです。KPIとは「重要業績評価指標」のことで、最終的なゴールではなく途中経過の目標を設定し、達成度や進捗を図るための指標となっています。
ECサイトを運営するのであれば、できるだけ売上を向上させたいところですが、目標なく運営していては、「あまり売上が上がらないな」と感じるだけで問題意識にはつながりません。ですが、KPIで具体的な目標を設定していれば、ECサイトに問題がないかどうかを確認し、途中で軌道修正することができるのです。
例えば、ECサイトの訪問者数をKPIに設定し、一定期間計測した結果、予定より低いならSNSなどに広告を出すなど、具体的な改善策を実施することも可能でしょう。
ECサイトのKGI、KPIについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
マーケティング戦略を立てる
ECサイトの費用対効果を上げるためには、マーケティング戦略は必須です。顧客の購買データやアクセス解析を活用し、顧客の行動やニーズを把握し、リピートしてもらうための施策を検討したり、SNSを活用して新規の見込み客を誘致するためにコンテンツを用意したりと、できることは多くあります。
そのため、分析機能が充実したECプラットフォームを選択することも重要です。また、複数のEC運用サポート実績のある支援事業者と協力することで、複合的な情報を得ることができるでしょう。
ECサイトのマーケティングについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
最速・最大の効果を狙うなら外注も視野に入れよう
ECサイトを構築する方法は様々ですし、費用にも幅があるため、どのECプラットフォームを使いどのような機能を実装したECサイトを構築すれば良いのか、ECサイトの運営経験者でも正解を導くのは難しいかもしれません。
一番の早道は、ECサイト構築のプロフェッショナルとうまく分業・連携していくことです。時間をかけてしまったり、失敗して無駄なコストをかけるよりも、自社の目的沿ったECサイトを提案し、今後のEC運営の強い味方を作る方がECサイトの成長も加速するでしょう。
株式会社ウェブライフのShopify構築運用サービスBiNDecでは、ECサイト構築から運用まで徹底サポートしています。Shopify Premierパートナーの認定事業者として、最適な運用戦略の提案も可能です。ぜひ一度ご相談ください。