ECの多店舗運営を効率化!Shopifyで複数ストアを一元管理するメリットと方法

ECの多店舗運営を効率化!Shopifyで複数ストアを一元管理するメリットと方法

この記事でわかること

  • 複数ブランドや異なるビジネスモデルの展開では、1つのECサイトだけでは対応しきれない場合がある
  • Shopify Plus・Shopify Markets・モール型、3つの方法の違いと向いているケースを比較する
  • 多店舗展開は高度な構築技術が必要となるためShopifyパートナーに依頼するのがおすすめ

複数のブランドを展開している企業や、越境ECやBtoBなど異なるビジネスモデルでECを運営している場合、1つのストアだけでは対応しきれない場面が出てきます。かといって、ECサイトを増やすほど管理コストや運用負担も増えていくのが悩みどころです。

本記事では、こうした多店舗運営の課題にShopifyで対応できる3つの方法をそれぞれの特徴や向いているケースとあわせて解説します。自社のビジネスモデルに合った構成選びの参考にしてください。

EC多店舗運営が必要になる場面とは

ブランドごとに異なる世界観や顧客層を持つ複数ブランドの展開や、国内向けとは異なるルールや言語が求められる越境EC、法人向けの販売ルールが適用されるBtoBなど、ビジネスモデルが複雑になるほどECサイトをどう構成するかは重要な経営判断になります。

複数ブランドを展開するケース

複数のブランドを持つ企業では、ブランドごとにターゲット顧客や価格帯、世界観が異なります。これらを1つのECサイトにまとめてしまうと、いくつかの問題が生じます。

まず、デザインが画一的になり、各ブランドらしさを表現するのが難しくなります。ECサイト全体のデザインに引っ張られるため、ブランドごとの世界観を独立して打ち出すことができません。
また、商品が混在することで、顧客が目的の商品にたどり着くまでの導線が複雑になります。異なるブランドの商品が並ぶことで、購買体験の質が下がるリスクがあります。

さらに、特定のブランド向けに展開したいキャンペーンやクーポン施策が、他ブランドにも影響してしまいます。ブランドを絞った販促活動がしづらく、マーケティングの精度が落ちてしまいます。
こうした課題を解決するためにも、ブランドごとに独立したECサイトを持つ構成が有効です。

越境EC・BtoB・BtoCなど異なるビジネスモデルで展開するケース

越境ECや複数のビジネスモデルを持つ企業でも、同様の課題が生じます。
たとえば越境ECでは、販売する国や地域によって言語・通貨・税率・決済手段が異なるため、1つのECサイトで複数の地域に対応しようとすると設定が複雑になったり、汎用的な購入体験しか提供できないことがあります。

BtoBとBtoCを併用している場合も、法人向けには会員登録後のみ価格を表示したい、掛け払いに対応したいなど、一般消費者向けとは異なる販売ルールや購買フローが必要になります。これらを1つのECサイトで実現しようとすると、設計や運用の難易度が大きく上がります。

ECサイトを多店舗化するほど管理コストは増大する

ブランドやビジネスモデルごとにECサイトを独立させることで顧客体験の質は上がりますが、ECサイト数が増えるほど運用・管理のコストも比例して大きくなります。
商品情報や在庫、注文データをECサイトごとに管理する必要があり、担当者の工数も分散します。また、デザインやキャンペーンの更新作業もECサイトの数だけ発生するため、少人数のチームで複数ECサイトを運営するには限界が生じやすいという側面もあります。

こうした課題に対応して、ECプラットフォームのShopifyなら、目的や規模に応じた複数の多店舗運営の方法があります。

Shopify Plusでビジネスモデルの異なる複数ストアを構築

Shopify Plusは、Shopifyのエンタープライズ向けプランです。通常のShopifyプランと比較して高度な機能やカスタマイズ性を備えており、同一ブランドなら、10サイトまで1つのアカウントでまとめて管理できる点が大きな特徴です。
Shopify Plusの料金や機能について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

1アカウントで最大10ストアまで管理できる

Shopify Plusでは、同一ブランドであれば1契約でメインストアに加えて最大9つの拡張ストアを追加でき、合計10サイトまで運営できます。
追加できるECサイトは、同じブランド名・同じ商品ラインを持つことが条件で、たとえば国内向けと海外の各国向け、BtoCとBtoBなど、販売先や販売形態が異なるケースが該当します。異なるブランドを展開する場合はブランドごとに別途Shopifyアカウントの契約が必要になります。

各ECサイトはそれぞれ独立したECサイトとして機能し、デザインや商品ラインナップ、価格設定、決済方法をストアごとに自由に設定できます。一方で、顧客管理や請求は1つの管理画面に集約されるため、運営の独立性を保ちながらも組織全体として一元管理できるのが大きなメリットです。

事例:KINTOが実現したBtoC・BtoB・海外展開の多店舗構成

テーブルウェアなど生活道具を展開するライフスタイルブランドのKINTOは、Shopify Plusを活用した多店舗運営の好例です。
KINTOでは、日本・アメリカ・欧州・イギリスの4拠点でBtoC向けの直営ECサイトを展開し、さらにBtoB向けのECサイトも国内外に構築しています。BtoCで構築したサイトのデザインと構造をベースにBtoB向けに転用することで、短期間での立ち上げを実現しました。

公式ECサイトを起点にD2C型で展開し、ブランド価値を高めているKINTOのUSAサイト

公式ECサイトを起点にD2C型で展開し、ブランド価値を高めているKINTOのUSAサイト


ECシステムにShopifyを選んだ背景には、多言語・多通貨対応や各国の決済・物流環境との連携が標準機能として充実していることに加え、同一ブランドであれば複数のECサイトを1つのアカウントで管理できる点が、国や販売形態ごとにサイトを分けたいKINTOの戦略に合致していたことがあります。結果として、売上が伸びる中でも担当者を増やさずに複数サイトの運営を維持できる体制が整えられています。
KINTOの事例について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

Shopify PlusによるECの多店舗運営が向いているケース

Shopify Plusは、同一ブランドでBtoC・BtoB・海外展開など、販売形態や販売先が異なる複数のECサイトを運営したい企業に向いています。各サイトをそれぞれ独立した環境として構築できるため、顧客層や商習慣の違いに応じた細かい設計が可能です。

一方、後述するShopify Marketsのように1つのサイト内で対応を完結させる方法と比べると、サイトごとに商品情報やキャンペーンの更新作業が発生するため、ある程度の運用リソースが確保できる企業に適した選択肢といえます。

Shopify Marketsで1つのECサイトをマルチ展開する

Shopify Marketsは、1つのECサイトのまま、国・地域ごとに販売体験をカスタマイズできる機能です。複数のサイトを立ち上げることなく、言語・通貨・価格・カタログなどを出し分けられるため、運用負荷を極力抑えながら多様な顧客層へのアプローチが可能になります。

国・地域ごとに販売体験をカスタマイズ

Shopify Marketsでは、同一のECサイト内で市場ごとに異なる設定を適用できます。たとえば、表示言語や通貨の切り替え、地域ごとの価格設定、市場ごとの商品カタログの出し分けなどを、サイトを分けることなく管理できます。
大きな地域に国別のECを管理できるサブマーケット
また、国・地域ごとにサブフォルダ(例:example.com/ja/)・サブドメイン・独自ドメインのいずれかを設定できます。SEOの観点ではサブフォルダ形式が一般的に推奨されており、地域ごとの検索流入を意識した構成を1つのサイト内で実現できます。

なお、市場ごとのテーマカスタマイズやチェックアウトページのカスタマイズはAdvanced以上のプランが必要で、BtoBの顧客グループを市場として設定する機能はShopify Plusプランのみです。活用できる機能の範囲はプランによって異なる点に注意が必要です。

現在、日本では一部機能に制限あり

Shopify Marketsを活用する際、日本のEC事業者には特有の制約があり、関税の自動計算や現地決済手段の自動追加などを可能にするManaged Marketsは、現時点で日本マーチャントには非対応です。言語・カタログ・配送の出し分けといった基本的な機能は問題なく利用できますが、現地通貨での決済を含む本格的な越境EC展開には、別途サードパーティの決済ゲートウェイとの組み合わせが必要になる点を念頭に置いておきましょう。

Shopify Marketsによる多店舗運営が向いているケース

Shopify Marketsは、同一ブランドで越境ECを始めたい、または国内外の市場ごとに販売体験を変えたい企業に向いています。サイトを増やさずに対応できるため、運用リソースが限られているブランドでも導入しやすい選択肢です。
一方で、国や地域ごとにまったく異なる商品ラインナップを展開したい場合や、BtoBとBtoCで購買フローや世界観を完全に分けたい場合には、Shopify Plusの拡張ストアやBtoB機能を活用した構成のほうが適している場合もあります。

モール型のストア構成で多ブランドをまとめる

Shopify Plusの拡張ストアが同一ブランドの多店舗展開を前提としているのに対し、複数の異なるブランドを1つのECサイト上にまとめて展開する方法が、モール型のストア構成です。一般的なShopifyのストア構成とは異なるため、一見不可能に思われがちですが、高い構築スキルを持ったShopifyパートナーであれば実現している事例もあります。

モール型とはどういう構成か

モール型のストア構成とは、1つのShopifyストアの中に複数のブランドを共存させ、ブランドごとに独立した購買体験を提供できる構成です。たとえば、ECサイトのトップページにアクセスした顧客が、目当てのブランドのページに遷移すればそのブランドの商品のみで構成されたストア環境の中でショッピングができるようになっています。
ビジネスの方針によって、他のブランドとは完全に隔離した設計にしたり、逆に回遊性を高めるため他ブランドの商品をクロスセル提案することも可能です。

事例:P2C StudioがFRONT ROWで実現した1ストア・マルチブランド設計

YouTuberやインフルエンサーのIPグッズ事業を手掛けるP2C Studioでは、クリエイター発のアパレルブランドを取り扱う総合ECサイトとしてFRONT ROWをShopifyで構築しています。
FRONT ROW|ブランドごとに、全く異なる世界観のデザインをURL配下で切り替えている
通常、1つのShopifyストアで複数のブランドを運営すると、ヘッダーやフッターなどのデザインが共通化される制約が生じます。しかしFRONT ROWでは、1つのURL配下でヘッダーからデザインまでをブランド独自の仕様に切り替える構成を採用しており、訪問者はまるで単独のブランドサイトに来たかのような没入感のある体験ができます。その裏側では1つのECサイトとして統合管理されているため、ブランドごとに管理画面を分けることなく、最小限の工数で個別のブランディングを両立しています。
P2C Studioの事例について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

モール型が向いているケース

モール型のストア構成は、複数の異なるブランドを展開しているグループ企業や、ブランドごとに独立した購買体験を提供しながらも管理を一元化したい企業に向いています。各ブランドのストアを完全に独立させるのではなく、同一のShopifyストア上で運用できるため、在庫や注文データの管理がシンプルになります。
一方で、通常のShopifyの構成とは異なる高度な構築技術が必要となるため、Shopify Platinumパートナーのような実績のあるShopifyパートナーへの依頼がおすすめです。

3つの方法を比較|自社に合った多店舗運営の選び方

ここまで紹介したShopify Plus・Shopify Markets・モール型のストア構成は、それぞれ異なる課題やビジネスモデルに対応しています。自社に合った方法を選ぶには、販売形態の違い・ブランドの独立性・運用リソースの3つの観点から整理するとわかりやすいです。

Shopify Plus・Shopify Markets・モール型の違い

3つの方法の主な違いは、ストアを分けるか・1つにまとめるか、そしてブランドが同一か・異なるかという点にあります。

Shopify Plusは、同一ブランドでBtoC・BtoB・海外向けなど販売形態や販売先が異なる複数のECサイトを、それぞれ独立した環境として構築したい場合に適しています。
Shopify Marketsは、同一ブランドのまま1つのECサイト内で国・地域ごとの販売体験を出し分けたい場合に適しており、運用リソースを抑えながら多市場で展開できるのが強みです。
モール型は、異なる複数のブランドを1つのShopifyストアに共存させたい場合に有効で、管理を一元化しながらブランドごとの独立した購買体験を実現できます。

ビジネスモデル別の選択基準

どの方法が自社に合っているかは、ビジネスの状況によって異なります。
同一ブランドで越境ECを始めたい、または国内外の市場ごとに価格や言語を変えたいだけであれば、まずはShopify Marketsの導入を検討するとよいでしょう。
一方、国や地域ごとに商品ラインナップや購買フローを大きく変えたい、あるいはBtoBとBtoCを完全に分けて運用したい場合はShopify Plusによる拡張ストアの構築が現実的な選択肢になります。ただし、Shopify Plusプランは利用料が高額なため、自社の売上規模に対してきちんと利益が出るのかを検討する必要があります。

複数の異なるブランドを展開しているグループ企業や、ブランドごとに独立した世界観を持たせながらも管理コストを抑えたい場合には、モール型のストア構成が有効な解決策となります。ただし高度な構築技術が必要なため、まずはShopifyパートナーへの相談からはじめることをおすすめします。

EC多店舗運営する時はShopifyパートナーへの相談がおすすめ

複数ブランドの展開や、越境EC・BtoBなど異なるビジネスモデルでのEC多店舗運営をするには、ご紹介した3つの方法があります。
いずれの方法も、自社のビジネスモデルや運用リソース、将来的な拡張計画を踏まえたうえで選択することが重要です。どの構成が自社に合っているか判断が難しい場合は、まずShopifyパートナーへ相談することで、最適な方法を一緒に検討できます。
株式会社ウェブライフでは、Shopifyを利用したECサイト構築から運用までサポートする「BiNDec」を提供しています。
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